「ダーティハリー4」(原題 Sudden Impact)は、1983年のアメリカ映画。主役のハリー・キャラハン刑事にクリント・イーストウッド。監督・制作も同じくクリント・イーストウッド。前作より7年の時を置き、満を持してイーストウッド本人がメガホンを取った作品。共演は「ガントレット」での出演以来、愛人関係にあったソンドラ・ロック。
映画『ダーティハリー4』 作品情報
- 製作年:1983年
- 上映時間:117分
- ジャンル:アクション
- 監督:クリント・イーストウッド
- キャスト:クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、パット・ヒングル、ブラッドフォード・ディルマン、ポール・ドレイク etc…
映画『ダーティハリー4』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ダーティハリー4』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ダーティハリー4』のあらすじを紹介します。
ある日、ゴールデン・ゲート・ブリッジ近辺の丘で猟奇的な殺人事件が発生する。被害者の男は車の中で股間を撃たれ死亡していた。 その捜査を受け持ったサンフランシスコ市警のハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)は、事件の手掛かりをつかめぬまま、別件での殺人犯の判決に立ち会うため裁判所へ向かう。犯人は無罪釈放となり、ハリーは行き過ぎる捜査に警告を受ける。ふてくされたように行きつけのコーヒー・ショップに寄ったハリーは、強盗団に遭遇し銃撃戦の末に事件を収める。そしてマフィアのボスの孫娘の結婚式に単身のり込み、ニセの証拠で脅迫するもボスは心臓麻痺で倒れた。市警にもハリーの無謀な捜査への批難が押し寄せ、ほとぼりを冷ます理由と、連続殺人事件の犠牲者の1人がサン・パウロ出身という理由も併せ、彼はサン・パウロヘ出張を命じられる。
サン・パウロに到着した早々に起こった銀行強盗事件で手柄を立てたハリーだったが、田舎町の閉鎖的な警察署長は、肝心の殺人事件の捜査に協力もせず、揉め事の元凶はハリー本人だと町から追い出そうとする。そんな中で現れたジェニファー(ソンドラ・ロック)という女性とハリーは恋に落ちるが、ミステリアスな雰囲気に包まれた彼女は、重い過去を背負いながら陰で復讐を重ねる女だった。
映画『ダーティハリー4』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ダーティハリー4』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ミステリアスな女性がらみのサスペンス
シリーズの4作目にあたり、前作から7年越しにメガホンを取ったのはイーストウッド本人。そして物語の背後で大きな存在になっている女性に愛人のソンドラ・ロックを起用したところで、ハリウッドから”映画の私物化”という避難も聞こえてきそうなキャストであるが、「スキャンダルも映画のネタとして話題になればいいじゃないか」という、イーストウッドの脳内を勝手に妄想してしまうアホな老婆心はさておきである。
シリーズ最大のヒットとなった本作は、やたらと暴れ回るハリーより、ジェニファー役のソンドラの方がクローズアップされている。作品内容はレイプという社会問題を背景にしたサスペンスとなり、復讐の鬼と化したジェニファーが痛々しいほどの鬼気迫る演技を見せる、手に汗を握るハードボイルド・サスペンスである。
4作目にして着目された性犯罪
前3作では間接的であるが、ベトナム戦争、社会的正義、テロリズムという、大きな時代背景を匂わせていたシリーズだったが、4作目では現実的で身近な問題である性犯罪を取り上げたところに、イーストウッド監督の社会的な指向が窺える。事実この映画を公開した3年後の1986年に選挙で立候補し、カリフォルニア州のカーメル市長に就任している。古くから世界中で問題となる性犯罪であるが、民族の坩堝であるアメリカにおいては、その深刻さも計り知れないものがあるだろう。直接的にその問題を物語に織り込み自ら監督を務めた、クリント・イーストウッドの社会的観念が反映された作品でもある。
4作目にしてクリント・イーストウッド本人がメガホンを取った今作。今となっては映画監督として数々の賞を受賞している彼ですが、始まりはこの『ダーティハリー4』と言っても過言ではないでしょう。
今作を見て感じたのは、これまでの3作には無かった哀愁やもの哀しげな雰囲気です。クリント・イーストウッド自身、歳をとったということもあるのでしょうが、ハリーのキャラクターにも深みが増して、これまでの彼とは少し違う落ち着きや、貫禄のようなものを感じられました。(女性 30代)
映画『ダーティハリー4』 まとめ
クリント・イーストウッド監督10作目にあたるこの作品の前後から、彼は監督業への本格的な方向性を持ったような感がある。そして政界から退いた1988年にダーティ・ハリー5に主演し、自らのライフワークとも言えるジャズに関する二本の映画に携わっている。映画人としての円熟期を迎え、映画に対する思い入れも過渡期に差し掛かった時期の、役者と監督という二つの視点から客観的に見て制作された「ダーティハリー」の異色作である。
みんなの感想・レビュー