「ガントレット」(The Gauntlet)は、1977年のアメリカ映画。証人の護送を任された刑事と、スキャンダルの揉消しを企てた上役との対決を描くアクション作品。主演・監督兼任のクリント・イーストウッド。共演はイーストウッドとの名コンビであったソンドラ・ロック。タイトルの“ガントレット”とは、両側にムチを持った人間を並べその間を走り抜けさせる拷問の事で、クライマックスに両側から無数の警官隊による銃撃を受けつつショックリーが運転するバスのシーンを指している。
映画『ガントレット』 作品情報
- 製作年:1977年
- 上映時間:115分
- ジャンル:アクション
- 監督:クリント・イーストウッド
- キャスト:クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、パット・ヒングル、ウィリアム・プリンス、マイケル・カバナー etc…
映画『ガントレット』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ガントレット』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ガントレット』のあらすじを紹介します。
ある事件の裁判で検察側の証人として”マリー”(ソンドラ・ロック)という娼婦がラスベガスに拘留されていた。アリゾナ州のフェニックス市警察委員長ブレイクロックから、”ベン・ショックリー”警察官(クリント・イーストウッド)はマリーの護送を命じられる。ベンは移動を嫌がるマリーを無理矢理車に押し込み裁判所へ向かうが、道中で何者かの襲撃を受け、命からがら逃げ延びてマリーの家に隠れる。ベンはブレイクロックに応援を要請するが、なぜか地元警察に包囲され銃撃を受ける。何とか脱出した二人は再び裁判所へ向かう。ベンがマリーを問い正したところ、ブレイクロックのスキャンダルを彼女が握っていることを知り、そのせいで狙われていることにベンは気づく。さらに二人の行く先々でトラブルが続出し、最後に大がかりな罠が待ち受けていた。
映画『ガントレット』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ガントレット』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
最後は大きな滝へ流れ落ちるようなストーリー展開
ストーリーは単純明快で、ラストの壮絶な銃撃を見せつけるための映画になっている。そこまでやる必要があるのかと言わんばかりの銃撃は、迫力という点においては凄まじい見せ場となり、他の映画ではまず観られない一番の売り物だろう。そんな中でも単純なストーリーの間にささやかな恋が芽生え、バスに乗り込む前のモーテルでベンがマレーに薔薇の花束を渡すのだが、銃撃を受けボロボロになりながらも花束を離さないマレーの健気さが、イーストウッドらしいシニカルな演出として披露されている。そして物語は恋愛スキャンダルやら裏切りなどという無粋な話は、全てここで一気に流してしまえと言うようにラストシーンに凝縮された破壊へと向かう。
何故?というような観点で見るとつまらない
ラストシーンのバスへの射撃ではタイヤを避けて撃っているような気がしなくはないが、バスが走り抜けるからこそ「ガントレット」という意味に結びつくのであり、ダイナミックに画面が動かせるという理屈も分かるので、少々ツッコミどころは見られるのだが、そこは見ないふりをするというのがこの映画に対するマナーだろう。映画の中でのリアリズムの追求は、時として物理の法則に遮られてしまうのだから。
クリント・イーストウッドが作る作品は昔からかっこいいのだなと改めて感じました。最近の彼の作品には、かっこよさだけでなく哀愁を感じさせるものが多いですが、今作はラストのガントレットを観客に見せつけるためのストーリーと言っても過言ではないでしょう。
しかし、ストーリー自体が手抜きな訳ではなく、組織の闇の部分やマリーとベンが心を通わせる様子などしっかりと作り込まれています。そこからのラストは本当に魅力的でハードボイルドな雰囲気と疾走感を感じられる最高のシーンでした。(女性 30代)
映画『ガントレット』 まとめ
この映画での主人公は意外なほど饒舌であり、ハードボイルドでありながらコミカルな面を持ち合わせている。イーストウッドにとっては「ダーティ・ハリー」と「ダーティ・ファイター」の中間くらいの位置なのだろうか。隠しアイテムのように背後に流れるアート・ペッパーのアルトサックスにも、ジャズが好きなイーストウッドの遊び心が溢れている。アクションでは銃撃シーン以外でも救急車での逃走劇や、ヘリコプターのアクロバティックな低空飛行など、半分は個人的な趣味で作った感は拭えないが、それが監督の個性という部分で表現され見る側も楽しめるのではないだろうか。
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