映画『パピヨン(1973)』の概要:無実の罪を着せられ、周りを海に囲まれたフランス領ギアナの刑務所に移送された、終身刑囚パピヨン。彼の命をかけた、13年間にわたる脱獄劇を描く。スティーブ・マックイーン×ダスティン・ホフマン共演。
映画『パピヨン』の作品情報
上映時間:151分
ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記
監督:フランクリン・J・シャフナー
キャスト:スティーヴ・マックィーン、ダスティン・ホフマン、ヴィクター・ジョリイ、アンソニー・ザーブ etc
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映画『パピヨン』の登場人物(キャスト)
- パピヨン(スティーブ・マックイーン)
- フランス領ギアナのサン・ローラン刑務所に移送された囚人。胸に蝶の入れ墨がある。けちな金庫破りだったが、無実の殺人罪を着せられ終身刑となった。脱獄に執念を燃やす。
- ルイ・ドガ(ダスティン・ホフマン)
- 偽札作りの名人で、1928年の偽国債事件の犯人。パピヨンと同じくサン・ローラン刑務所に移送される。看守らとの取引資金を作れるため、パピヨンに協力することに。
- クルジオ(ウッドロー・パーフリー)
- サン・ローラン刑務所でパピヨンが出会った囚人。ボートの運転ができ、情報通。
- マチュレット(ロバート・デマン)
- サン・ローラン刑務所の病院で働く囚人。同性愛者で、他の囚人の慰みものにされそうになり脱獄計画への参加を願い出る。
映画『パピヨン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『パピヨン』のあらすじ【起】
フランスのとある刑務所が、ギアナ刑事局の管轄となった。刑務所の囚人たちは、船で植民地ギアナに移り、そこでの労働を言い渡される。8年以上の刑期の者は、ギアナで植民地労働者として一生を終えることになる。囚人の中には、無実の罪を着せられた終身刑囚パピヨンや、偽金や偽国債づくりのプロ、ルイ・ドガがいた。パピヨンはルイに、ギアナまで身の安全を守る代わりに、偽金で脱獄計画に協力してほしいと交渉する。
船がギアナに到着した。ギアナは沼地が多い熱帯気候の地だ。ギアナのサン・ローラン刑務所には看守の他、脱獄者を捕まえる「ハンター」になった元受刑者たちもいる。ルイとパピヨンは看守に金を握らせて島での作業を逃れようとするが、あいにく上役の1人が偽国債事件で大損をしていた。2人は島送りになり、沼地での過酷な作業を命じられる。
パピヨンとルイは同じ囚人のルイに出会う。彼はボートの運転ができるため、脱獄計画に乗る。月に1度、島の蝶を買いに来る男がやってくる。パピヨンは男に大金を提示し、1週間後ボートを手に入れる約束を取り付けた。最初は逃げる気のなかったルイも、ここにいたら死んでしまうと悟り、自分もボートに乗せてほしいと頼む。
映画『パピヨン』のあらすじ【承】
パピヨンとルイは殺された囚人を運ぶ仕事を命じられるが、ルイが吐いて看守に暴行される。パピヨンはそれを止めようとし、脱走。しかしハンターに捕まり独房に入れられてしまう。
独房にルイから食べ物が差し入れられる。しかし差し入れがばれてしまった。パピヨンは差し入れした人物の名を言うまで、もともと少ない食べ物を半分にされ、明かりも消されてしまう。
ルイはサン・ローラン刑務所での比較的楽な仕事に移っていた。半年以上がたってもパピヨンはルイの事を明かさず、死にかけていた。パピヨンは死んだ囚人仲間の夢を見る。彼らに駆け寄ろうとしたところで目が覚めた時、独房での刑期が満了となる。
サン・ローラン刑務所にパピヨンが戻ってきた。パピヨンは刑務所内の病院に入れられる。ルイは彼の友情に感謝し、パピヨン宛に肉入りのスープを届けさせる。ルイは刑務所長に金を握らせて楽な仕事に付けたこと、自分の妻が弁護士とともに釈放運動に奔走していることを明かす。その夜パピヨンは、同じ病院にいる同性愛者のマチュレットが、見回り役の囚人に狙われていることを知る。
クルジオからの情報で、刑務所の医者がボートを手配してくれることになった。パピヨンはマチュレットに見回り役の囚人の気を引いていてくれるよう頼む。するとマチュレットは自分の身を守るため、自分も脱獄計画に入れるよう交渉した。
映画『パピヨン』のあらすじ【転】
今夜は音楽会、いよいよ脱獄計画の決行だ。パピヨンはルイを脱獄に誘うが、ルイはここに残って妻の釈放運動を信じることを決める。見回りに来た囚人をマチュレットが油断させて殴り倒す。パピヨン、クルジオ、マチュレットは看守の目をかいくぐりながら脱獄を試みる。しかしクルジオが見つかり殴り倒されてしまった。パピヨンに銃を向ける看守をルイが殴り倒す。脱獄に加担してしまったルイは、パピヨンとともに脱獄しボートへ向かう。ルイは塀をとびこえた際に足をくじいてしまった。
パピヨンたちは医者の協力者に金を渡し、ボートを手に入れる。しかしボートはぼろぼろで使いものにならなかった。しかも、ルイの足は骨折していたことが分かる。そこに顔に入れ墨をした男が銃を手に現れる。彼はボートが壊れていることを知っていた。しかも待ち伏せしていたハンターを始末してくれていた。男はボートを買うことができるよう、ハンセン病患者の住むピジョン島へ3人を案内する。
ピジョン島に着き、パピヨンは1人集落を訪れる。集落のリーダーは、自分の吸っている葉巻を吸うようパピヨンに勧め、パピヨンの人柄を試す。パピヨンはそのテストに合格し、ボートを譲ってもらえることになり、金までカンパしもらった。パピヨンはリーダーに深く感謝し、島を去る。
ボートが嵐に遭い、ルイの足のけがはさらにひどくなった。ルイは壊死した片足を切ることになる。
映画『パピヨン』の結末・ラスト(ネタバレ)
3人はホンジュラス島にたどり着いたが、警備隊に見つかってしまう。ルイは歩けず逃げられない。パピヨンは林に逃げ込むが、追手の吹き矢に撃たれ川に落ちてしまう。
パピヨンが目覚めると、そこは海沿いの原始的な集落だった。パピヨンは住民から歓迎され、現地女性と愛をはぐくむ。しかし、ある日突然住民たちはパピヨンに真珠を残し、皆いなくなってしまった。
パピヨンは合い乗りバスに乗って内陸に向かう。検問を逃れるため修道院の馬車に乗せてもらい、真珠を修道院長に渡す。しかし修道院長は刑務所に連絡し、再びパピヨンは捕えられてしまった。
5年がたち、パピヨンは独房から釈放された。マチュレットも独房に入れられていたが、亡くなってしまう。パピヨンはサメと激しい潮流に囲まれた島につれてこられた。そこでパピヨンはルイに再会する。ルイは女房に弁護士と駆け落ちされ、この島で妄想と戦いながら暮らしていた。
パピヨンは波を観察して脱出法を思いついた。ヤシの実をつめた浮き袋を崖から落とし、自分も飛び込むのだ。ルイは、自分は行けないと、パピヨンと別れの抱擁をする。パピヨンは浮き袋を投げ込み、飛び降りた。大きな波に無事乗って泳いでいくパピヨンを、ルイはうるんだ瞳で見送った。
パピヨンはついに自由を手に入れ、その余生を自由人として送った。ギアナの刑務所はその後まもなく廃止された。
映画『パピヨン』の感想・評価・レビュー
本作の最大の魅力はパピヨンとドガの熱い友情である。パピヨンにとってのドガ、ドガにとってのパピヨンが次第にどういう存在になっていくのか。それを思い返すだけで涙が出てくる。
パピヨンを演じたスティーブ・マックイーン、ドガを演じたダスティン・ホフマン。両名の魅力も最大限に発揮されている。
暗くて辛いギアナ監獄の描写も凄まじい。正に地獄のような場所に見える。そんな地獄で、友情だけが彼らの救いとなってくれる。心を打つ映画とはまさしく本作のことであろう。
全ての人に観てもらいたい傑作である。(男性 20代)
脱獄映画は個人的に大好きで様々な作品を観てきたが、その中でも大きな衝撃を受けたのが本作である。気が遠くなりそうな刑務所での労働と脱獄の繰り返しは、観ている自分まで精神を抉られるような絶望感があるが、それでも生きようとするパピヨンの姿に感動した。
人間はこんなに必死に生きようとすることができるのだと知り、もっと自分の時間を大切にしようと思わせてくれる映画でもある。スティーヴ・マックイーンとダスティン・ホフマンのリアルな演技も忘れられない傑作だ。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー
牢獄はこの世のメタファー。死んでもチャレンジをやめないという尊い姿をマックイーンが貫き通す。痺れるような感動をもたらす映画。
私はこの映画を高校生の時に観ました。スティーブマックインのファンで、彼の出演した作品は欠かさずチェックしていたものです。同じ脱獄物語では大脱走が有名ですが、こちらはよりリアルで人間味溢れた内容でした。共演のダスティンホフマンの何とも切ない表情が忘れられません。もう一度、大人になった今、じっくりと観賞してみたいと思いますが、DVDではなく、臨場感のたっぷり効いた劇場の大型スクリーンで、というのはもう不可能な望みなんでしょうね。メインミュージックも最高でした。
①美しい南米の風景と相反する過酷な囚人生活。
南米の真っ青な空と緑に包まれた風景が、過酷な囚人生活の環境に反して悲しくも美しい。そしてさらにジェリー・ゴールドスミスの音楽がその悲哀を盛り立てるように包み込む。マックイーンとホフマンの演技もさることながら、その悲しいストーリーの背景が都市ではないところがこの映画を名作にした理由ではないだろうか。脱獄を扱った映画には、有名なアルカトラズ刑務所とか、軍の捕虜施設とか、どこか鬱屈した閉塞感に満ちている舞台設定が多いのだが、ここは南米であり、最後の悪魔島のシーンは島自体が脱出不可能な環境と言うだけで、監獄というイメージなど皆無な天国のようにも見えるロケーションなのである。みすぼらしく老いてしまったドガが平穏な日々を暮らす姿は、囚人服を着ていなければ桃源郷の暮らしにさえ思える光景なのだ。
②「I am Nobody」
ストーリーの前半では逞しさに満ち脱獄を繰り返す主人公が、後半での度重なる虐待、裏切り、絶望にまみれ、行き着く最後の流刑地は看守もいない絶海の孤島。人としての尊厳すらなく、世間から忘れ去られ、全ての希望を奪われた代価として、何の義務も権利もなく、命の尽きるまで生きているだけの悪魔島。「お前は誰だ」と聞かれ、「I am Nobody」としか返事ができないパピヨンの絶望的な風体と、全てを諦めたドガの送る平穏な暮らし振りがあまりにも印象的なシーンとして目に焼き付いてしまう。
丸メガネで飄々とした知性的なドガ。クールでタフガイのパピヨン。苦境の中で違うタイプの友人に出逢い、理想を追いかけ、最後の最後で目的を成し遂げる生き様は、人として憧れの姿なのかも知れない。若者には生きる希望と不安を、老人には後悔を想わせずにいられないだろう。脱獄とかアドベンチャーとかの括りでは表せない、切なさと美しさに満ちた珠玉の作品である。