この記事では、映画『英国式庭園殺人事件』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『英国式庭園殺人事件』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『英国式庭園殺人事件』 作品情報
- 製作年:1982年
- 上映時間:108分
- ジャンル:サスペンス、コメディ
- 監督:ピーター・グリーナウェイ
- キャスト:アンソニー・ヒギンズ、ジャネット・サズマン、アン・ルイーズ・ランバート、デイヴ・ヒル etc
映画『英国式庭園殺人事件』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『英国式庭園殺人事件』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『英国式庭園殺人事件』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『英国式庭園殺人事件』 あらすじ【起・承】
1694年、イギリス。画家のネヴィル(アンソニー・ヒギンズ)は、貴族のハーバート夫人(ジャネット・サズマン)に呼ばれて夜会に行った。
夜会には、ハーバート夫人の娘サラ(ジャネット・サズマン)、サラの夫タルマン(ヒュー・フレイザー)、そして執事のノイズ(ニール・カニンガム)がいた。
ネヴィルに、主人のハーバート氏が旅行の間、12枚の絵を描いて欲しいという。
その条件として、
1、絵画1枚につき、8ポンドを支払うこと。
2、毎日の食事と部屋を支給すること。
3、夫人と関係をもってもよい。
とハーバート夫人側から提案してきたのだ。
こうして、画家ネヴィルは館に滞在しながら描くことになった。
ところが、2日目を迎えた時から、庭にいるとおかしな事ばかりが起きてしまう。
紳士用のシャツやマントが木の枝に引っかかっていたり、前日にはなかったハシゴが置かれていたりするのだ。誰か庭にいるのかもしれない。
画家ネヴィルの12枚の絵がついに完成した。
ところが、旅行に出かけたはずのハーバート氏の遺体が庭の池で発見された。
映画『英国式庭園殺人事件』 結末・ラスト(ネタバレ)
ハーバート氏は一体、誰に殺されたのか?ハーバート一家を含め、誰もが怪しい。
画家ネヴィルの絵が、不倫の証拠ではないかと疑われて、娘サラの夫が12枚全てを買い取ることになってしまう。
そのお金で、亡き夫ハーバート氏の記念碑を建てるらしい。ハーバート氏の遺産を巡って、骨肉の争いが始まっていた。
そんな中、画家ネヴェルは再び、ハーバート夫人から呼ばれた。
もう1枚、絵を描いて欲しいと言われ、渋々描くことを決めた彼は、馬の像を中心にした絵を描くのだった。
ある晩、絵が完成した頃、5人のマスクを付けた貴族の男たちがネヴェルの前に現れた。
絵を見せていたが、どうも様子がおかしい。その中の1人が合図をすると、ネヴェルはいきなり後ろから殴られ気を失ってしまった。
その後、更に殴られて殺されてしまう。庭の池に捨てられたネヴェルの死体。
その様子を、緑色の顔をした裸の男が眺めていた。ネヴェルを助けることもなく、
パパイヤのような果実をむさぼり食らうのだった。
最後に、画家ネヴェルの絵は、証拠隠滅のため燃やされた。
映画『英国式庭園殺人事件』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『英国式庭園殺人事件』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ピーター・グリナウェイに騙されろ!絵に描かれた殺人?
ピーター・グリナウェイ監督の世界って、不思議の国のアリスみたいだ。
白と黒の対比や、映像というキャンパスに構図や色、役者を乗せているような感じ。
この映画のチラシを観ると、アガサクリスティーの「オリエント急行殺人事件」を模したようなミステリーであると書かれています。それでは、犯人は探偵役などを除いた全員?になるのだろうか。しかし、本作には探偵役など存在しない。
絵画のような映像をじっくり観ても、犯人らしき姿は映ってないのだ。途中から、眠くなりもう、犯人探しさえ、どうでも良くなるのだ。
「英国式庭園殺人事件」というミステリー風な題名に惹かれて観たが、これはミステリーなどではなくて、ピーター・グリナウェイ監督のデビュー作なので実験作品なのではないか。彼にとって、どう見えるかが重要なのだ。殺人らしく、という感じ。
あえていうならば、画家のネヴィルが描いていた絵にその証拠が描かれているのかもしれない。しかし、誰が殺したのかは永遠の謎だ。
死と肉欲が常にテーマ!ピーター・グリナウェイ作品の憂鬱
イギリス流のアート作品は、シモネタや皮肉が挨拶がわりだと聞いたことがあります。
俳優でも、涼しい顔をしながら毒舌家が多いらしい。そんなわけで、ピーター・グリナウェイ作品は、皆さまにおすすめできないものばかりです。
特に「コックと泥棒、その妻と愛人」(89)なんて、シモネタしかないといっていいほど観るのが辛い。フランス映画のような、オシャレな題名に騙されないようにして下さい。
そんなカルト映画ばかりの印象がありますが、美術好きには見逃せない作品もあります。
それは、マーティン・フリーマン主演の「レンブラントの夜警」(07)。
画家レンブラントが描いた、「夜警」をベースに絵の謎を掘り下げてゆくという、グリナウェイ監督にしか撮れない作品です!
画家になるのが夢だったという監督なので、当然、学芸員の資格も持っているそうです。
長編デビュー作の「英国式庭園殺人事件」から、一貫して描いているのは汚い・卑猥なものをどう魅せるか。
西洋と東洋の文化の違いも大きくあるので、受け入れられるかどうかに委ねられています。
最初から最後まで集中して見ていても正解が分かりませんでした。ネヴィルの絵から犯人を見つける推理的な要素が含まれるのかと思っていましたが、そんなことも無く結局絵を書いたネヴィルも殺されてしまう。そしてそれを見ている裸の男。理解するのが難しすぎて一体何を見せられているのだろうと苦笑してしまいましたが、人が持つ欲望の汚い部分を芸術的に描いた作品なのかなと解釈しました。これが正解なのかは分かりませんが、下ネタや性的な描写、金の問題、人間関係など生きていれば必ず経験するであろう人の欲望を欲望だと感じさせないような不思議な世界観がありました。(女性 30代)
豪華な庭園と美術的な構図に圧倒されながら、いつの間にか陰謀に巻き込まれていく感覚がとても面白かったです。絵画と推理が結びついているという斬新な設定に惹かれました。ラストで主人公が裏切られ、絵に描かれた証拠によって破滅する展開には衝撃を受けました。芸術的でありながら残酷な一作でした。(20代 男性)
一見美しい英国庭園と、静かに進行する殺人の陰謀。その対比がとても印象的でした。女性たちの計画にまんまとはめられる主人公の哀れさに、思わずゾッとしました。映像美と冷徹な人間関係の描写が絶妙で、観終わった後も長く余韻が残る作品だと思います。油断していると痛い目に遭う、そんな怖さがありました。(30代 女性)
正直、最初は少し退屈かなと思ったけど、中盤以降、静かに積み上げられていく陰謀の空気にゾクゾクしました。契約によって拘束される主人公が、徐々に逃げ場を失っていく展開が見事です。ラストの展開も含めて、観る者をじわじわと追い詰めていく感じがたまらない。知的好奇心を刺激される映画でした。(40代 男性)
イギリスの上流社会の退廃と偽善が、見事に描かれていて引き込まれました。女性たちの冷たく計算高い行動には震えましたし、芸術という道具が権力のために使われる構図も考えさせられます。主人公が自ら仕掛けた契約に縛られていく皮肉な結末も印象的。知的でちょっと意地悪な映画が好きな人におすすめです。(20代 女性)
とにかく映像が美しく、絵画をそのまま映像にしたようなシーンの連続にうっとりしました。しかしその美しさとは裏腹に、登場人物たちは皆腹に一物あり、陰謀と裏切りに満ちています。最初は美しい映画かと思ったら、後半はゾッとする展開に。このギャップがたまらない作品でした。(50代 男性)
主人公が自信満々に契約を結び、女性たちに対して優位に立ったつもりでいたのに、最終的には利用され捨てられる流れが痛快でした。権力を持たないはずの女性たちが、知恵と策略で立場を逆転させる展開にスカッとしました。映像の美しさにだまされないで、じっくり人間模様を味わってほしい作品です。(30代 女性)
おしゃれな映像に隠された、人間のどす黒い欲望と策謀。最初はただの芸術映画かと思いきや、裏では静かに進行する復讐劇でした。絵の中に証拠が隠されているというミステリー要素も非常に面白く、最後まで目が離せません。芸術とサスペンスを両方楽しめる、稀有な作品だと思います。(40代 男性)
女性たちの巧妙な復讐劇が圧巻でした。特に、主人公があまりにも軽率に契約に応じてしまうところに、後の破滅が暗示されていたのがうまかったです。上品な外観と、底に流れる毒とのコントラストが絶妙。映像美に酔いながらも、ぞわぞわと不安が募っていくこの感覚がクセになります。(20代 女性)
一言でいうと「美しくて怖い映画」でした。庭園の緻密なデザインと、人間関係の歪みが絡み合い、独特の緊張感を生み出していました。主人公のプライドの高さが逆に仇となり、最後は悲惨な運命を辿る皮肉も見事。形式美の中に潜む狂気を楽しめる、上質なサスペンス映画だと感じました。(30代 男性)
映画『英国式庭園殺人事件』を見た人におすすめの映画5選
危険な関係(1988)
この映画を一言で表すと?
優雅な仮面の裏に隠された欲望と策略の、美しくも冷酷なラブゲーム!
どんな話?
18世紀フランスの貴族社会を舞台に、元恋人同士の男女が策略と誘惑を駆使して若者たちを弄ぶ物語。愛と裏切り、復讐が交錯する、華麗で残酷な人間模様が描かれます。
ここがおすすめ!
美しい衣装や豪華な美術に彩られた表層の下に、ドロドロした感情が渦巻く構成が絶品。『英国式庭園殺人事件』が持つ優雅さと冷酷さのギャップを楽しみたい方にぴったりの作品です。
バリー・リンドン(1975)
この映画を一言で表すと?
一枚の絵画のような映像美と、野心に翻弄される男の哀しき物語。
どんな話?
18世紀のヨーロッパを舞台に、庶民出身の青年バリーが、上流階級への野心に燃えながら転落していく数奇な人生を描く壮大なドラマ。スタンリー・キューブリック監督による歴史大作です。
ここがおすすめ!
徹底した映像美と、人間の虚栄心を冷徹に見つめる視点が素晴らしい。『英国式庭園殺人事件』が持つ美と虚構のテーマに共鳴する人には、必ず心に残る作品です。
仮面/ペルソナ(1966)
この映画を一言で表すと?
沈黙と仮面の奥に潜む、アイデンティティの崩壊を描いた心理劇。
どんな話?
声を失った女優と、彼女の看護師という二人の女性の間に芽生える奇妙な関係性を描く物語。言葉にならない内面の闇と、自我の崩壊を幻想的に描き出します。
ここがおすすめ!
説明を拒みながらも心をざわつかせる、圧倒的な心理描写が魅力。『英国式庭園殺人事件』のように、表面的な秩序の裏にある混沌に惹かれた方におすすめです。
ゴスフォード・パーク(2001)
この映画を一言で表すと?
優雅な館に潜む秘密と殺意を描く、上流階級版クローズド・サスペンス。
どんな話?
1930年代イギリス、ある貴族の屋敷で催された狩猟パーティーの最中に起きる殺人事件。階級社会の裏側と人間模様を、ブラックユーモアたっぷりに描いた群像劇です。
ここがおすすめ!
上流階級の偽善と見栄を巧みに暴きながら、絶妙なサスペンスを織り込む構成が秀逸。『英国式庭園殺人事件』のような、美と毒が交錯する物語を楽しみたい方にぴったりです。
天使と悪魔(1995)
この映画を一言で表すと?
宗教と権力の狭間で繰り広げられる、知性を問うミステリードラマ。
どんな話?
古代の秘密結社イルミナティが復活し、バチカン市国で連続殺人事件を引き起こす。宗教、科学、歴史が絡み合い、知識と推理による闘いが展開されます。
ここがおすすめ!
知的なトリックと華麗な美術背景を楽しめる本格派ミステリー。『英国式庭園殺人事件』のように、美術的センスと知性を刺激する謎解きが好きな方に強く推したい一作です。
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