映画『EVA エヴァ』の概要:10年ぶりに故郷へ戻ったロボット科学者は、自立型ロボットの感情生成機能の開発を依頼される。テストモデルに悩む科学者は、理想の少女と出会う。近未来と現代を上手く織り交ぜ、違和感なく見事に描き出した作品。美しい映像と衝撃的な結末に考えさせられる。
映画『EVA エヴァ』の作品情報
上映時間:94分
ジャンル:SF
監督:キケ・マイヨ
キャスト:クラウディア・ベガ、ダニエル・ブリュール、ルイス・オマール、アルベルト・アンマン etc
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映画『EVA エヴァ』の登場人物(キャスト)
- アレックス・ガレル(ダニエル・ブリュール)
- 天才的な頭脳を持つ、ロボット科学者。ラナと共同で自立型アンドロイドの開発をしていたが、開発に行き詰まり失踪。その後、10年もの時を経て帰郷する。
- ラナ・レヴィ(マルタ・エトゥラ)
- アレックスと共同でアンドロイドの開発をしていた優秀な女性。彼とは、かつて恋人同士だった。アレックスが去った後、密かに研究を継続させてエヴァを完成させる。現在はアレックスの兄、ダヴィッドと家庭を築いている。
- ダヴィッド・ガレル(アルベルト・アンマン)
- アレックスの兄。優秀なロボット科学者で優等生然としている。現在はラナと結婚して家庭を築いている。
- エヴァ(クラウディア・ベガ)
- アレックスとラナの研究を元に、ラナが密かに開発した精巧なアンドロイド。10歳の少女の姿で、ラナとダヴィッドの娘として育てられている。お茶目で口の達者な女の子。
- ジュリア(アンヌ・カノヴァス)
- ロボット研究者。アレックスの才能と再起を願い研究所へ呼び戻す。
- マックス(リュイス・ウマー)
- ダヴィッドが開発した執事ロボット。感情レベルなど自力で変更できる高性能。年配の男性の容貌をしている。
映画『EVA エヴァ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『EVA エヴァ』のあらすじ【起】
ロボット科学者のアレックスは地元大学の研究所から呼び戻しを受け、10年振りに故郷へと帰って来た。同じ科学者である兄ダヴィッドに笑顔で迎えられ、近況報告をし合いながら、まずは大学へ。兄とはそこで別れた。
構内を進み、同科学者ジュリアが受け持つ学生の授業へ。アレックスは、とある学生達の馬を見る。馬は暴れて嘶いていた。彼は周波数などを調整。その後、どうするかを問うと学生は最期の言葉を唱える。すると馬は死んだように倒れ、動かなくなった。学生は再起動すればいいと簡単に言う。
だが、アレックスはこの馬の魂は、ここで完全に終わる。再起動したところで同じ馬にはならない。つまり、人で言うところの死だと教えた。
『目を閉じたら何が見える』という言葉は、最も神聖な言葉であり最後の手段でもあった。
ジュリアの案内で別室へ。そこには10歳程度の少年アンドロイドが横たわっている。彼女はアンドロイドの要となる、感情生成機能をアレックスへ依頼するために呼び戻したのだ。研究所としては、自立型ロボット第1号となる少年。彼は依頼を請け、滞在先である父親の家で開発を行うことにした。
翌朝、アレックスの元へ大学の研究所から強制的に派遣された、執事ロボットのマックスが訪ねて来る。高性能過ぎるマックスは、ダヴィッドが作ったらしい。家の掃除をするからと、家を追い出されたアレックスは研究所へ。ジュリアと会話後、かつての恋人で共同開発者であったラナ・レヴィに会った。
映画『EVA エヴァ』のあらすじ【承】
ラナに軽くあしらわれたアレックスは車で公園へ。少年達の様子を観察するためだったが、そこで理想的な少女と出会う。予測不能な言動と行動は、正にアレックスが求めるものだった。彼は少女に協力を依頼するが、すげなく断られる。少女の名前はエヴァと言った。
自宅の研究室で早速、作業を開始する。おおよその設定を行い、試作アンドロイドで行動や感情の表現をつぶさに観察し、メモを取った。そこへ突然、端末に着信が来る。電話の相手はダヴィッド。アレックスは兄家族との夕食の約束を思い出した。
兄の自宅へ。一瞬、逡巡したものの中へ入った。ダヴィッドとラナは夫婦。アレックスは吹っ切れたかのように笑顔を見せる。そこへ、少女が帰宅。あのエヴァだった。姪っ子は挨拶後、ウィンクして来る。前に会ったことを秘密にするらしい。
夕食時のラナとエヴァの様子を、動画に撮ったアレックス。彼はエヴァに強い興味を抱く。感情生成には彼女をテストモデルにしようと思った。
翌朝、エヴァに起こされたアレックス。無邪気な彼女を研究室へ通す。マックスとエヴァのやりとりを見ていたアレックスは、エヴァに遊びを持ち掛けた。
自宅へ戻ったエヴァは、母親であるラナへ叔父アレックスについて聞く。兄弟とラナは昔、同じ研究所で同じ研究をしていた。だが、アレックスが突然、姿を消してしまったため、兄とラナは酷く怒ったのだった。
映画『EVA エヴァ』のあらすじ【転】
アレックスはジュリアを訪ね、自立型ロボットを少女にするのはどうかと提案。しかし、アンドロイドは少年型で決定しており、あとは情動反応をプログラムするだけのため、今更変更はできないとの事だった。
帰りにラナと会話をした。そこで、実験にはエヴァを使わないで欲しいと頼まれる。アレックスは了承した。
そんなある朝、出かけようとしたアレックスの前にエヴァが現れる。彼はエヴァに、この家にはもう来るなと話すが、彼女は納得しない。頑なな態度を示すも、エヴァは両親の話をしてあげると言う。アレックスは溜息を吐いて、エヴァに付き合うことにした。
感情テストでアンドロイドがエヴァの動画を見て、こう言った。エヴァとアレックスが似ていると。これにより、アレックスは1つの疑念を抱いた。アレックスが地元を離れて10年。エヴァの年齢も10歳。もしかして、自分の子ではないかと。
アンドロイドの感情生成は大詰めに近付いていた。テストも満点で終え、独創的で完璧なプログラムが生まれそうだった。だが、ふとしたきっかけで突然、怒り出したアンドロイドが感極まって刃物を投げつけて来る。アレックスはやむを得ず、最期の言葉を放った。
今までの苦労が水の泡となったアレックス。気分転換も兼ねて研究所のパーティへ顔を出してみたが、そこでラナとダヴィッドが寄り添う姿を目にする。立ち去ろうとも思ったが、ラナとダンスをすることにした。ダヴィッドはかつての恋人同士を見て、1人で店を去った。
ダヴィッドを探しに外へ出たラナとアレックス。今後の身の振りを話している間に、昔を思い出す。アレックスはラナにキスをした。しかし、彼女はそれを拒否して走り去る。ラナを追いかけようとしたアレックスは、現れたダヴィッドと殴り合いになる。兄は弟に町を出て行けと怒鳴った。
映画『EVA エヴァ』の結末・ラスト(ネタバレ)
翌日、ジュリアの元へ向かったアレックスは、研究の断念を告げる。しかし、ジュリアはそれを受領せず、少し休めと話した。アレックスはその足でエヴァの元へ。町を出ると話すと、エヴァは失望して走り去る。
町を出る準備をしていたアレックスの元に、ラナが訪ねて来る。大事な話があると言う。彼女の話を聴くことにしたアレックス。
叔父の家にやって来たエヴァは、天窓から母親とアレックスの会話を、読唇術で読み取ってしまう。彼女は酷いショックを受けて山へ走り出す。
エヴァが真実を知ったことに気付いた2人。すぐさま追いかけようとするが、ラナが2人きりで話したいと言うので、アレックスは家に残ることになった。
雪山を探し続けるラナ。探査機を用いてエヴァを探す。崖の上で倒れている娘を見つけ、すぐさま背中をメスで切開。彼女のボディを開いて動力源を入れた。
復活したエヴァは何も覚えていなかったが、出血痕を見つけてパニックになる。揉み合っている間に、ラナが足を滑らせ崖下へ転落してしまった。
待ちくたびれてうたた寝をしてしまったアレックスは、ノックの音に目を覚ます。ドアの前にはエヴァが立っており、彼女はそのまま気を失う。
アレックスは兄へ連絡するも、そこで衝撃的な報告を聞く。エヴァを連れて病院へ。
2人が到着した時、ラナの心音が止まる。彼女は不幸な事故で亡くなってしまった。
後ほど、ジュリアから話を聴いたアレックス。彼が姿を消した後、ラナは1人で研究を進めた。そうして、自立型アンドロイドのエヴァは完成したが、残念ながら安全基準に達しておらず、認可はされなかった。それでもラナは全てを捨てる覚悟で、エヴァを自分の娘として引き取った。ジュリアはエヴァの解体を決意。しかし、アレックスはジュリアの代わりに、自分がやると言った。
アレックスはエヴァと2人きりで研究室へ。ベッドに横たわるエヴァ。彼女は自分がアンドロイドであること、母親を死なせてしまったことを酷く悔やみ、助けを求めていた。アレックスは泣き出したエヴァを抱き締め、最期の言葉を口にした。
映画『EVA エヴァ』の感想・評価・レビュー
2011年制作のスペインのSF映画。非常に美しい映像と感情プログラムのプログラムシーンが独走的で面白く、数々の賞を受賞している。実は自立型アンドロイドだった少女エヴァが非常にお茶目で可愛らしく、愛嬌がある。彼女がアンドロイドだったと分かるシーンは、衝撃的で印象に残っている。その上、ヒロインが崖から転落死してしまったことにも衝撃を受けた。主人公の深い悲しみが、ラストシーンでの最期の言葉に込められているように思う。(女性 40代)
アンドロイドのことはもちろんのこと、アレックス、ラナ、ダヴィッドの複雑な三角関係が気になった。ダヴィッドとしては弟が戻ってきたというよりも、恋敵が戻ってきたという感じだったのではないだろうか。このドロドロした関係の設定はこの物語に必要だったのか、少しだけ疑問に思った。
アレックスが言うように、最期の言葉を唱えた後のエヴァは、もう彼らが知るエヴァに戻ることはない。そう思うと、アンドロイドだと分かっていても、別れが悲しいと思う。(女性 30代)
まさかエヴァ自身もロボットだと思っていなかっただろうし、主人公も思ってはいなかっただろう。ロボットと疑えない程に感情も容姿も人間そっくりに作り上げられてたエヴァ。しかも主人公が元恋人と人間に近い感情の研究を進めていたのだが、主人公は途中でやめ元恋人だけが進め完成させていたという衝撃。途中、元恋人が兄の奥さんだと判明してからの恋愛のどろどろ感は必要ないと感じてしまった。
死ぬ恐怖を感じるエヴァを機能停止させる瞬間がかなり切ない。将来、そのようなロボットが出てきたら、これも人殺しと同等な扱いになりえるのかと考えさせられた。(女性 20代)
あらすじを読んで、きっとこんなオチだろうと想像した通りの作品でした。想像通りの作品だったからと言ってがっかりしたわけではなく、現代と近未来のテクノロジーを上手く融合させた世界観は素晴らしく、感情移入してしまいラストはとても切なかったです。
人間味とロボットの無機質さを併せ持つ、とても不思議で美しいキャラクターのデザインは圧巻でした。
なるべくネタバレを読まずに、純粋に楽しんで欲しい作品です。(女性 30代)
少し曇りがかったような映像、落ち着く世界観に心奪われました。ロボットをシャットダウンさせる言葉「目を閉じたら何が見える」が印象的です。ロボットに人間らしい感情を与える工程が非常に楽しくもあり、複雑な心持ちとなりました。人間らしくなる程、想定外のトラブルが頻発するはずです。手に負えなくなったらロボットを強制終了すればいいと考えるのは、人間のエゴでしょう。猫のアンドロイドが室内を動き回る光景を、いつまででも見ていたいです。(女性 30代)
スペインの美しい背景を舞台にした、派手さはないが静かにしっとりとした見ごたえのあるSF映画。最後の結末に到達するまでの過程が、じっくりと描かれる。
主演のダニエル・ブリュールという俳優が好きなのだが、(彼は『キャプテンアメリカ ウインターソルジャー』から登場したジモという味わい深いヴィラン役。)何といってもエヴァを演じるクラウディア・ベガが素晴らしい。可愛らしさと無邪気さとその裏に隠れている不穏さ、無機質な感じを見事に演じ切っている。この子役なしでは、この作品は成立しなかったのではないか。(男性 30代)
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