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映画『天の茶助』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『天の茶助』の概要:あの世で茶番頭をしている主人公は、自分の一言で気になっていた女性が死んでしまうことを知る。彼は下界へ降りる決意をし、彼女を助けることにする。天国で人のシナリオを脚本家が書いているという発想が面白い。

映画『天の茶助』の作品情報

天の茶助

製作年:2014年
上映時間:105分
ジャンル:ファンタジー、ラブストーリー
監督:SABU
キャスト:松山ケンイチ、大野いと、大杉漣、伊勢谷友介 etc

映画『天の茶助』の登場人物(キャスト)

早乙女茶助(松山ケンイチ)
茶番頭。あの世でひたすら茶を淹れ、渡して歩く仕事をしている。新城ユリが気になっている。優しい男。元は人間だった。
新城ユリ(大野いと)
話すことを止めた女性。大人しく控えめ。人を救う茶助に心を打たれる。
種田潤一(大杉連)
茶助を助ける脚本家が担当している男性。紆余曲折後、現在は骨董品店の店主。気の優しい親切なおじさん。
彦村ジョー(伊勢谷友介)
茶助を助ける脚本家が担当している男性。運動神経抜群で現在はラーメン屋の店主。
チャーリー・ポン(田口浩正)
茶助を助ける脚本家が担当している男性。スリの母親亡き後、伝説の手品師に師事。現在はタレント。茶助に命を救われ、師匠と呼ぶようになる。

映画『天の茶助』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『天の茶助』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『天の茶助』のあらすじ【起】

あの世には、人間1人に対し脚本家が1人いて、人生のシナリオを書く所がある。茶助はそこで、ひたすら茶を淹れ渡して歩く茶番頭だった。
あの方は全てを見通しており時折、大雑把な指示を脚本家達へ与える。今回は『斬新』がテーマだった。斬新とは何だ。ざわざわする脚本家達。

茶助は1人の脚本家に意見を求められ、適当にコメントした。しかし、それが元で彼が気になっていた、新城ユリの人生が終わってしまうことを知る。人の人生は全てが連動しているため、1人の行動が変わることで全ての行動が変化するのだ。

新城ユリの脚本家は茶助に助けを求めた。下界で強制的にシナリオを変えるには、下界に存在しない者が手助けするしかない。何人かの脚本家も手伝ってくれるらしいので、彼は心を決めてユリを助けるべく、あの世から密かに下界へと飛び降りたのだった。

新城ユリは3歳の時、両親の離婚が原因で突然、話さなくなった。彼女が亡くなる時間は、8時50分。それまでに、彼女を救わなければならない。
下界に降りた茶助は、まず種田潤一と出会う。茶助を手助けする脚本家が、担当する人物だった。しかし、種田は過去の経歴から見ても、あまり頼りになりそうにない人物である。彼は骨董品店を経営していた。それでも、いないよりはマシ。種田の助けを借り、衣服を着替えて食事に出る。

近所のラーメン屋で食事をした。ラーメン屋の店主、彦村ジョーも茶助をサポートする脚本家が、担当する人物だった。彦村は運動神経が抜群である。過去にサッカーやボクシングに、才能を発揮していた。彦村なら頼りになりそうであった。

種田も彦村もユリと直接の接点がある人物だ。3人は事が起こるカラオケボックスへ向かう。込み合った店内は、人で溢れ返っていた。そこへ、通り掛かった市議会議員の息子に彦村が絡まれてしまう。彦村と因縁のある人物だった。

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映画『天の茶助』のあらすじ【承】

彦村と市議会議員の息子は、店内で乱闘騒ぎを起こす。ナイフを出した息子を、羽交い絞めにした茶助だったが、目の前をきっかけの女性が素通りして外へ出て行った。同時に白塗りの警官が現れ、茶助に銃を向ける。茶助は警官の出現で、他の脚本家に自分の存在が知れ渡っていることを知る。警官は銃を発砲。市議会議員の息子が撃たれる。直後、ユリを殺害すると思われるマサオが外へ。茶助は慌てて走った。

近道を爆走。時間前にユリと遭遇した。これで助けられると思った矢先、車はユリと茶助を無情にも撥ね飛ばした。
救急治療室へ運ばれた茶助だったが、そもそも今の彼は人間ではない。目を覚ました彼は、ユリを助けられなかったことに絶望した。

夜の町を彷徨い歩いて朝。街角に天使の羽をつけた、何者かの姿を見た茶助。その者を追いかけて行くと、彦村のラーメン屋へ辿り着いた。だが、ラーメン屋は破壊されて、滅茶苦茶にされている。裏路地へ向かうと、市議会議員の息子の取り巻きが、彦村へ暴行を働いていた。茶助は見えない力で奴らを倒す。俗に言う超能力のようなものである。茶助が念じると取り巻き達が吐血。彼は逃げ出した1人を追いかけた。

ヤクザの巣窟へ辿り着いた茶助。ヤクザの兄貴と対峙する。彼は兄貴を操って、舎弟を刺し兄貴の左指を4本、斬り落とした。
ふらつきながら外へ出た茶助は、天使の羽を発見。それを身に着けて、あの世へ戻ろうとするが、戻れるはずもなく。振り向くと両足の不自由な少年がいた。彼の足を念じて治癒。少年の家族は茶助を天使様と呼んだ。

力を使い過ぎた茶助は種田に救助された。種田はたまたま、茶助が少年の足を治す様を動画に撮っており、それを勝手にYouTubeへアップしていた。すると、爆発的に閲覧数が増えたと言う。しかも、ツイッターで自宅にいるとまで呟いたらしい。骨董品店前では数多の人垣が出来ていた。

色々考えた末に、人々の病を癒すことにした茶助。そうすることで、シナリオを滅茶苦茶にしてやろうと思った。彼は不治の病を次々と治していく。だが、力を使えば酷い頭痛と吐き気に見舞われる。茶助は何度も嘔吐した。
その日の夜、彦村がやって来る。どうしても、診てもらいたい人がいるらしい。彦村の案内で病院へ向かうと、そこには意識不明のユリがいた。

映画『天の茶助』のあらすじ【転】

死んだと思っていたユリは、辛うじて一命を取り止めていたのだ。茶助は力を振り絞ってユリを助けた。喜びも束の間、覚醒したユリの前で嘔吐してしまう茶助。

種田骨董品店には病人が長蛇の列を成していた。そこへ、退院したユリが飛び込んで来る。彼女も何か手伝いたいらしい。茶助はユリが気になって仕方なかった。
最後の病人が帰ると、彦村と種田が気を遣って買い出しに行った。茶助はユリと2人きりの時間を過ごす。2人の気持ちが寄り添い合う。幸せな時間だった。

テレビ出演のオファーが入り、テレビ局へ来た4人。番組の司会はチャーリー・ポン。ポンは手品師でタレントだ。ユリとは接点のない人物であるため、きっと何かあると茶助は気構える。

番組が始まり、席へついたその時だった。客席にいたマサオが立ち上がり、全部バラすぞと叫ぶ。そして、白塗りの警官が登場。警官はユリを狙って銃を発砲。続いてポンへと発砲した。ユリには当たらなかったが、ポンが腹部を撃たれてしまった。茶助は倒れたポンを癒した。

警察へ連行された茶助は、経歴を調べられる。茶助の名字は早乙女、年齢は30歳。土佐出身だった。ふざけた経歴だと憤慨する茶助。彼は最終的に極道へ入り、身を挺して親分を守った後、行方不明になっていたらしい。人間だった頃の記憶が蘇ると、全身の入れ墨が復活した。

迎えに来たユリとの帰り道、ヤクザに絡まれるも力を使って回避。その後、ポンが現れて茶助を師匠と呼び始める。無事に種田骨董品店へ辿り着いた茶助は、皆の経歴を言い当てていく。そして、自分がユリを救うために、下界へ降りて来た存在であることを明らかにした。仲間達は一様に驚いていたが、茶助を快く受け入れてくれる。

映画『天の茶助』の結末・ラスト(ネタバレ)

ポンを救った特別番組が放送されたせいで、病人の列は更に伸びていた。
そんなある日、茶助の前にテレビを観た妹が現れる。彼女は兄に、病を癒す力が世界中に知れ渡った。そのせいで、兄自身が抱えきれないものを背負うことになったと忠告。そして、何かあったら必ず助けると言って去って行く。

その頃、茶助に散々痛めつけられたヤクザと市議会議員が、それぞれに暗殺者を雇っていた。
町では祭りが開催中で、病人達は待ちくたびれて次第に文句を言い始める。
妹に忠告されたにも関わらず、茶助は副作用を押してでも、病人の病を癒し続けていた。

暗殺者は2人。所定の位置で準備を始める。シナリオは淡々と進み続けた。様子を見て来ると言って外へ出たユリはふと、天井に目を向け何かが狙っていることに気付く。彼女は急いで茶助の元へと走った。だが、ユリの目の前で茶助が撃たれる。茶助は1人にやり返すも、もう1人が発砲。弾は茶助を庇ったユリに当たった。
力を使い過ぎた茶助は、ユリの傷を癒すことができない。脚本家達に文句を叫んだ彼の前に、マサオと警官が現れる。万事休すかと思われたが、種田が警官へ飛び掛かった。すると、警官の弾はマサオへ命中。これにより、マサオの人生は終わりを告げた。アーケード街はたちまち騒然となる。

茶助はユリの魂が抜けて行くのを見る。彼は自らの体を捨てて、ユリを呼び戻した。異変を察した仲間達が集まって来て、茶助を病院へ連れて行こうとするが、祭りと病人のせいでアーケード街はごった返している。一向に前へ進めない状態のため、ユリが茶助の元へ。彼の身体を抱いた彼女は力の限り、何度も何度も茶助の名前を呼んだ。

すると、茶助は大量の吐血をして意識を取り戻す。ユリの叫びが彼へと届いたのだ。
彼は死の淵でユリの声を確かに聴いた。故に、茶助は永遠よりも彼女と生きることを決めたのだった。
人の祈りの力は絶大で尊い。だから、祈り続けていれば、きっと新しいシナリオを生み出すことも可能なのだ。強く願えば、運命は変えられるのだから。

映画『天の茶助』の感想・評価・レビュー

原作・脚本をSUBU監督が自ら執筆し映画化。人間一人につき、脚本家が一人付いて人生の脚本を書いているという設定が面白い。
言わずと知れたSUBU監督作品だが、脚本に沿って人生を歩むばかりではなく強い思いによって未来を変えられるという希望のある終わり方をしている。終盤で茶助が人間だった頃の記憶や経歴が明らかになるが、実はとても不憫な人生を歩んでいる。そんな彼が自分の軽薄な言動によって一人の女性が命を落とすと知り、奮闘する様が非常に健気。脚本を書き直すために天で脚本家たちが右往左往する様子も面白かった。(女性 40代)

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