映画『フェアリー・オブ・キングダム』の概要:ベトナム版、シンデレラと呼ばれる昔話をベースに製作された作品。継母と義妹に虐げられていたヒロインが、妖精の王の庇護を受け皇太子の妃となるが、王座を狙う官使長官の画策によって、国に危機が訪れる。
映画『フェアリー・オブ・キングダム』の作品情報
上映時間:116分
ジャンル:アクション、ファンタジー
監督:ンゴー・タイン・バン
キャスト:ンゴー・タイン・バン、アイザック、ファム・ハ・ビー、ニン・ズーン・ラン・ゴック etc
映画『フェアリー・オブ・キングダム』の登場人物(キャスト)
- 継母(ンゴー・タイン・バン)
- タムの実父の後妻。傲慢で金に汚い。実の娘であるカムを非常に可愛がっており、義理の娘であるタムを蔑ろにしては虐げている。
- 皇太子(アイザック)
- 清廉で端正な容姿を持つ。誠実で育ちが良く、愛情深い。タムに一目惚れし、深く愛している。思慮深く勇猛果敢。
- タム(ファム・ハ・ビー)
- 父親亡き後、義母と義妹に虐げられている。清楚で清い心根を持った女性。泣き虫で愛情深く、妖精の王様の庇護を受けている。一途な高麗ウグイスが好き。
- カム(ニン・ズーン・ラン・ゴック)
- タムの義妹。母親に似て性根が悪く、自分の悪行をタムのせいにしたりする。卑怯で傲慢。長官の手下となり、王の暗殺などに手を貸すことになる。
- トラン・バン(ウィル)
- 皇太子付きの近衛兵で乳兄弟。武を誇り非常に知的。皇太子の信頼も厚く、頼りになる存在。赤い髪が特徴。
- ルク(ゴック・トライ)
- 皇太子付きの近衛兵で乳兄弟。少々、間の抜けた面があり、頼りになるトラン・バンに嫉妬している。皇太子を崇拝しているところがある。
映画『フェアリー・オブ・キングダム』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『フェアリー・オブ・キングダム』のあらすじ【起】
実父亡き後、連れ子の後妻に虐げられているタム。素直で美しい心根を持った彼女は、動物や生物を育てることで辛い生活を乗り切ろうとしていた。けれども、耐え切れない時もある。そんな時は人知れず家の裏の井戸で涙を流していた。そんな彼女の前に妖精の王様が姿を現し、勇気づけたり助けてくれたりするのだった。
そんなある日、国の皇太子殿下が妃を決めるため、身分を問わず未婚の若い女性を宴へ招待すると告知がされる。義妹のカムはその知らせに浮き足立ち早速、母親に美しい衣装をおねだり。タムもまた宴へ参加したいと控え目に主張したが、継母は家事を全て終えてからなら良いと言うのだった。
カムが美しい衣装をとっかえひっかえ選んでいる間、タムは必死に家事をこなした。だが、出発寸前、継母が大量の豆をわざとひっくり返し、タムへ仕事を言いつけてしまう。彼女はすっかり気落ちしてしまい、泣きながら豆を拾い集めた。
すると、そこへまたも妖精の王様が登場。王様は泣いてばかりいるタムに呆れ返っていたが、何だかんだ言いつつも彼女を助けてくれるのだった。
妖精の王様は不思議な力でタムを美しく着飾り、白馬を用意。タムは宴が終わる前に急いで王宮へ向かった。しかしその途中、彼女は靴を片方だけ落としてしまう。
その頃、王宮では皇太子の眼鏡に叶う姫君が次々と紹介される。だが、皇太子はどの姫君も気に入らず、席を立ってしまう。
現在、王宮は幾つもの問題を抱えていた。皇太子の父である王は病床に臥せ、明日をも知れぬ命。政務は皇太子が行うことになっているが、若過ぎる彼では難しいのではないかと渋る官使が少なからずいる。官使長官もその1人である。更に隣国へ友好の証として貢物を送っていたが、使節団が襲撃されるという事件が発生。そのため、今回の妃選びの宴には隣国の姫君を招き、妃に迎えることで友好を示そうという案が出ていた。
映画『フェアリー・オブ・キングダム』のあらすじ【承】
皇太子は自分の意思を覆されてばかりで、憤りを隠せない。そんな時、川に浮かぶ片方だけの靴を発見。それはとても美しい女性物の靴でタムが落とした靴であった。皇太子はこの靴を履くことができる女性を妃に迎えることにした。
宴に参加した女性が次々と靴を試す中、ようやくタムが到着。彼女は促されるまま靴を履き見事、妃へと選ばれる。皇太子は彼女と無事に結婚。実は以前、道の途中でばったり出会ったことがある2人。互いに一目惚れしていたのである。そうして、幸せで穏やかな生活が始まった。
ところが、皇太子の妃にも選ばず友好を示せなかったことで、隣国が国境の村を襲撃するという事態が発生。皇太子は臣下や長官の進言を聞き、使者を送って襲撃をやめるよう説得することにした。
その日の夜、長官の配下が継母とカムの元を訪れ、大金を提示してあることを依頼。
実父の命日に実家へと訪れたタム。継母とカムの甘言に乗せられ、実父が好きだった木の葉を取るため、普段着に着替え木登りをした。継母は依頼を達成するため、タムが登っている木を伐り倒してしまう。彼女は倒れる木から落下し、儚くも命を落としてしまうのだった。
愛する妃を失った皇太子は酷く気落ちし、荒れてばかりいたが、こんな時に限って隣国の襲撃が再開される。使者による説得も無駄になったため、皇太子は実力行使に出ることを決めるのだった。
密かに王と皇太子を廃し、玉座を狙っていた長官。王はじきに病で崩御するし、皇太子は隣国との戦争で命を落とすだろうと踏み、笑いが止まらない。
その頃、タムの遺言だと継母に聞かされ、カムを妃に据えた皇太子。だが、彼はカムに対して愛情を抱けずにいた。
生前、タムは愛情深い高麗ウグイスの話をしていた。ウグイスは番を一生愛し、片方を亡くしても次の番を見つけずに死んだ番を愛し続けると言う。皇太子はその時の話を思い出しては、ウグイスを眺めタムのことを一心に思い続けているのだった。
映画『フェアリー・オブ・キングダム』のあらすじ【転】
玉座を狙う一方で人間の魂を集めている長官。彼は人間ではなく魔物であり、人間になるために魂を集めていた。魂を奪われた人間の亡骸は、数カ月を経たかのように腐ってしまう。カムと継母は魔物である長官の命令で皇太子の命をも狙っているのだった。
その日の夜、長官の命令が実行できず、厳しい叱責を受けてしまったカムは、昼間に見たウグイスを捕まえて殺してしまう。すると、ウグイスの亡骸は霧散し、同じ場所へ一夜にして大木が生える。
翌日、軍の訓練を見学していた皇太子。1人の兵士が弓矢で皇太子を狙ったが、木の枝が落ちて彼を救った。兵士は即座に長官の臣下が殺してしまったため、誰に命じられたか尋問できずじまいであった。そこで、皇太子は側近のルクを王宮に残しある物を預け、命を懸けて守り抜くよう命じる。そうして、皇太子は隣国との戦争へと出発するのだった。
隣国との戦争が激化する中、長官の手によって王宮に度重なる不幸が訪れる。その上、軍は壊滅状態となり皇太子は側近のトラン・バンと共に戦線を離脱。崖の上に逃れるも、後をついて来ていた兵士がいつの間にか消えている。そこで、皇太子はようやく裏切り者がトラン・バンであったことに気付く。2人は激しい戦いを展開したが、トラン・バンの策に嵌った皇太子は腹部を刺され崖から突き落とされてしまうのだった。
皇太子は戦いに出る前、自分を守った枝からナイフを作り大事に持っていた。それをトラン・バンに刺したが、彼は皇太子を突き落した後、そのナイフも崖下へ投げ捨てる。すると、ナイフは地面に突き刺さり、たちまち厚い草の層を作り上げ落ちて来た皇太子を受け止めるのだった。
映画『フェアリー・オブ・キングダム』の結末・ラスト(ネタバレ)
皇太子はその後、歩道へ落下し通りかかった村人に助けられる。村人は死ねば良かったと口にする皇太子を叱咤し、手厚く介抱してくれる。タムを亡くし、信頼していたトラン・バンの裏切りで疲弊していた皇太子は、傷の回復と共に気力を取り戻し始める。
そんなある日、彼の前に亡くなったはずのタムが姿を現す。彼女は妖精の王様の庇護を受け、ずっと皇太子の傍にいて彼を守っていたのだ。最初はウグイスとなり、次に大木へとその姿を変えながら。
最愛の妃と再会した皇太子は、王宮にいるルクへと密かに連絡を取り合流する。そして、黒幕である長官の打倒を目標に据えた。ルクに預けていた物を受け取った皇太子。それは王を示す証となる王印であった。彼はこれを持って各部隊長の隊長を訪ねるようルクに命じる。残りの兵力を都に集め、長官から国を奪還するつもりだった。
そうして、皇太子の元に大勢の兵士が集まった。彼は軍隊を引き連れ、王宮へと攻め入る。長官はすでに49個の魂を捧げており、人間になるにはあと1歩のところであった。単身、城へ乗り込んだ皇太子は長官と対峙し刃を向けたが、そこへトラン・バンが加勢に入る。彼は王に家族を殺されたと皇太子に恨みを持っていたが、それらが全て長官の画策であったことを知り、反旗を翻したのである。しかし、トラン・バンもまた長官の反撃に遭い、命を落としてしまうのだった。
惑星並列になるその時を待っていた長官。念願の人間になる儀式がもうじき完了する。皇太子は本性を現した長官と戦うも、力の差は歴然であった。タムも加勢に入ったが、力及ばず。そこで、惑星並列により力を溜め込む宝玉を奪った皇太子。彼はタムの制止も聞かず、その宝玉を飲み込んでしまう。すると、皇太子は宝玉の力によって獅子の姿へと変容。
彼は長官と再び激しい戦闘を繰り広げた。そうして、皇太子は長官を倒しタムの元へと戻って来る。だが、彼は魔物と化し激しい戦闘により、命を落としてしまうのだった。
涙に暮れたタムだったが、惑星並列の時が訪れ皇太子の身に奇跡が起こる。彼は魔物から人間へと戻り、更に失った命をも取り戻す。こうして、タムは愛する皇太子と生涯、寄り添うことが叶うのだった。
映画『フェアリー・オブ・キングダム』の感想・評価・レビュー
物語の前半部分は確かにシンデレラそのものである。だが、後半からは全くの別物で、隣国との戦争や魔物である長官の画策で大変なことが起こる。ベトナムには美男美女が多いと聞くが、正にその通りでキャストの誰もが美男美女であり、演技力も素晴らしい。
製作・監督は継母役を演じたンゴー・タイン・バン。かなりファンタジックな展開で、終盤は魔物対魔物との戦いとなり、そこへ更に惑星並列までが関わってくる。とんでもない展開ではあるが、違和感はなくなぜかすんなりと観られる。衣装も豪華でそれだけでも見応えは充分にある作品。(MIHOシネマ編集部)
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