この記事では、映画『ファミリア』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ファミリア』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ファミリア』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0090376
製作年 | 2022年 |
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上映時間 | 121分 |
ジャンル | ヒューマンドラマ |
監督 | 成島出 |
キャスト | 役所広司 吉沢亮 サガエ・ルカス ワケド・ファジレ |
製作国 | 日本 |
映画『ファミリア』の登場人物(キャスト)
- 神谷誠治(役所広司)
- 山里で1人暮らしをしている陶器職人。施設で育った過去を持つ。誰にでも優しく接する、温厚な性格。
- 神谷学(吉沢亮)
- 誠治の一人息子。英語が堪能。プラントエンジニアとして、アルジェリアに赴任している。偏見を持たない。誰にでも公平に接することができる。
- ナディア(アリまらい果)
- 学の婚約者。アルジェリア人。過去のアルジェリアでの紛争で、両親を早くに亡くしている。辛い経験をしているのに、いつも笑顔でいる。
- マルコス(サガエルカス)
- 在日ブラジル人。団地に住んでいる。同じく在日ブラジル人のエリカと付き合っている。
- エリカ(ワケドファジレ)
- 在日ブラジル人。団地に住んでいる。マルコスの恋人。経済的困窮を理由に夜の街で働いている。
- 榎本海斗(MIYAVI)
- 半グレ集団のリーダー。ある事件をきっかけに、ブラジル人を目の敵にするようになる。
- 駒田隆(佐藤浩市)
- 誠治の古くからの友人で、誠治と同じ施設で育った。刑事として働いている。
映画『ファミリア』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ファミリア』のあらすじ【起】
陶器職人の神谷誠治は山里で独り寂しく暮らしていた。そこにアルジェリアに仕事で赴任していた、誠治の息子の学が、赴任先で出会った婚約者のナディアを連れて帰ってきた。誠治は紛争孤児で日本語を話せないナディアを受け入れ、学の結婚を喜んだ。
学は陶芸を継ぎ、ナディアと日本で暮らすことを決め、仕事を辞めてきたことを誠治に告げたが猛反対されたため、会社に辞職を取り消してもらった。
ある日、誠治の車を盗もうとした、在日ブラジル人のマルコスが、誠治の家の前で事故を起こした。マルコスは誰かから逃げているようだったが、誠治と学は深く事情を聞かず、ケガの処置をするために家へ招き入れたが、目を離した隙にマルコスは姿を消した。
数日後、マルコスの恋人のエリカがマルコスを連れて、誠治の家へやってきた。誠治は怒ることなく、自分が作った器を2人に渡した。誠治はエリカから、マルコスと住んでいる団地でのパーティーに誘われ、マルコスとエリカとの仲を深めた。
学とナディアは仕事のためにアルジェリアへと戻っていった。
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映画『ファミリア』のあらすじ【承】
ある日、誠治の家にひどく顔の腫れたマルコスが訪ねてきた。マルコスは半グレ集団から暴力を受けていたのだ。誠治はマルコスだけでなく、あの団地に住むブラジル人たちは、半グレ集団に目をつけられ、薬漬けにされた人も、殺された人もいることを知った。
誠治は古くからの友人で、刑事の駒田隆に情報を求めた。隆は半グレ集団の存在を知っており、主犯格は榎本海斗という人物であることを教えた。海斗はブラジル人の飲酒運転で妻と娘を亡くし、その犯人を1年かけて突き止めたものの、すでに死んでいたため、罪のないブラジル人に復讐を繰り返していると隆は推測していた。
ある日、マルコスが陶芸をしたいと、誠治の家を訪ねてきた。誠治はちょうど陶器を焼く工程に入ったところだったため、これから3日間睡眠をせず、火を見張っておかなければならないことと、3日後には煙突から2メートルほどの炎がみられることを教えた。マルコスは「3日後、炎を見に来ます」と言って帰っていった。
そして3日後、マルコスは炎を見に来ることはなかった。
映画『ファミリア』のあらすじ【転】
数日後、エリカがマルコスを探しに誠治の家へやってきた。誠治はエリカから、マルコスが誠治のことを父親のように慕っていることを聞いた。誠治もマルコスのことを第二の息子のように感じていたため、素直に喜んだと同時に、行方がわからないマルコスのことが心配でたまらなかった。
ある日、誠治のもとに、アルジェリアにある学の職場が、テロ組織によって支配されたという情報が入ってきた。身代金を目的としたテロによる犯行という報道を見た誠治は、すぐに2000万円ほどの大金を準備し、政府にこのお金をテロ組織へ渡してほしいと頼んだが、拒否されてしまった。
そして、誠治は学とナディアが銃撃戦に巻き込まれ、亡くなったことを知らされた。学とナディアの遺骨を受け取った誠治のもとに、学の職場の同僚が訪ねてきた。同僚は人質を解放するために尽力していた学のおかげで助かったと感謝し、職場に残されていた学のタブレットを誠治に渡し、帰っていった。誠治は学のタブレットを開き、学らがアルジェリアに戻ったあと撮影されたと思われる、学が父親になったことを喜ぶ動画を見つけた。
映画『ファミリア』の結末・ラスト(ネタバレ)
誠治はエリカから、マルコスが意識不明の重体で見つかったことを聞いた。まったく罪のないマルコスらがこれ以上苦しまないように、半グレ集団を必ず仕留めることを強く誓った誠治は、隆を呼び出した。
誠治はこれまでに半グレ集団が起こした事件がすべて事故として処理されていることと、彼らを逮捕するための証拠がないことを、隆から聞かされた。誠治は隆から半グレ集団のメンバーやアジトの場所を聞き出し、あることを頼んだ。
誠治は半グレ集団のメンバーの1人を脅し、これまでの犯行を認めさせた音声をレコーダーに記録した。そして、海斗がいるアジトに向かい、海斗に警察に提出する音声データの削除を条件に、マルコスらに一切関わらないことを約束するよう頼んだ。海斗は刃物を取り出し、誠治の腹を刺した。誠治は腹を刺された状態でも、海斗を離さなかった。誠治の頼みを受け、待機していた隆ら警察によって、海斗は逮捕された。
1カ月後、誠治は無事退院し、帰宅した。エリカとマルコスには平和な日常が訪れ、3人で陶芸を始めた。
映画『ファミリア』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
在日ブラジル人問題と日本の地方社会という、普段あまり注目されないテーマに真摯に向き合った良作。特に、溶接職人の誠治と日系ブラジル人のマルコスとの関係が徐々に築かれていく過程に感動しました。家族や血縁を超えた“つながり”を描く視点が新鮮で、差別や排除の問題にもリアルに触れているのがよかった。社会派でありながら、温かさを持つ映画です。(40代 男性)
移民や外国人労働者という重いテーマを扱っていながら、登場人物たちの交流がどこか優しく、心に沁みました。特に、マルコスの過去と向き合いながら誠治との距離が縮まっていく描写が秀逸。彼らの間に生まれる信頼が、血のつながり以上に強く感じられ、感動しました。終盤の事件とその後の展開は胸が痛かったですが、希望を感じるラストに救われました。(30代 女性)
この映画は、自分にとって衝撃的でした。外国人との共生を「遠い問題」として考えていた自分の甘さに気付かされました。職人の世界を通して築かれていく信頼関係や、文化的なすれ違いが非常にリアルで、考えさせられるシーンの連続。誠治とマルコスの関係は、最初はぎこちないけれど、だんだん家族のようになっていくのが感動的でした。(20代 男性)
「家族とは何か」という問いを、血縁や国籍を超えて描いた深い作品でした。息子を亡くした誠治と、家族のような存在を求めていたマルコスが心を通わせていく様子がとても丁寧に描かれていて、自然と涙が出ました。とくに、最後に誠治がマルコスに心を開く場面には胸が熱くなりました。静かな作品ですが、心に残る余韻が強い映画です。(50代 女性)
外国人労働者を受け入れる町の現実に正面から向き合った作品。偏見や差別がある一方で、それを乗り越えていく人間関係の温かさも描かれていて、バランスが良かったです。暴力的な事件のシーンでは胸が痛くなりましたが、それが現実としてあることを描いたのは重要だと思います。こういう作品がもっと評価されるべきだと感じました。(60代 男性)
物語全体に漂う静かなトーンがとても印象的でした。派手さはありませんが、その分、人物の内面や関係性の変化にしっかりと焦点が当たっていて、観終わったあとに深く考えさせられます。誠治とマルコスの関係性がまるで父と息子のようで、観ていて自然と感情移入してしまいました。現代日本が抱える問題を丁寧に描いた名作です。(30代 男性)
「他者を受け入れること」の難しさと大切さが、ひしひしと伝わってくる作品でした。移民問題に対して表面的な描き方ではなく、日常生活の中でのリアルな葛藤や共感をしっかりと描いていて、共生社会を考えるうえで非常に貴重な映画だと感じます。特に、マルコスの優しさと葛藤に胸を打たれました。(20代 女性)
自分自身、外国籍の友人が多い環境にいるため、この映画のテーマはとても身近に感じました。異文化同士がすれ違いながらも理解を深めていく過程が丁寧に描かれており、現代の日本社会に必要な視点だと思います。特に誠治の不器用ながらも真っすぐな姿勢がとても好感を持てました。人の心のあたたかさが沁みる映画です。(40代 女性)
ドラマチックな展開ではないのに、じわじわと心に響いてくる映画でした。誠治の職人気質とマルコスの若者らしさ、その二人が時にぶつかりながらも絆を育んでいく様子が丁寧でリアルでした。事件を経て、彼らが「家族」になっていく描写には感動。日本社会の問題点に目を向けつつ、人間の優しさを信じたくなる作品でした。(50代 男性)
映画としての派手さはありませんが、とてもリアルで骨太な作品でした。多文化共生というテーマに対して、説教臭くならず、人物の関係を通して自然に描いているところが素晴らしいです。誠治とマルコスの交流は、まさに「言葉より心」で通じ合うようなもので、観終わったあとに静かに胸が熱くなりました。良質な邦画だと思います。(60代 女性)
映画『ファミリア』を見た人におすすめの映画5選
万引き家族
この映画を一言で表すと?
本当の“家族”とは何かを問いかける、心に深く刺さる人間ドラマ。
どんな話?
東京の下町で暮らす貧しい一家が、実は血のつながりのない人々の集まりだったという衝撃の事実が明かされていく。ひとつ屋根の下で支え合う彼らの生活と、やがて訪れる別れが描かれる、切なくも温かい物語。
ここがおすすめ!
貧困や社会からの孤立、そして「血縁を超えた家族の形」というテーマが『ファミリア』と深く重なります。是枝裕和監督ならではの静かで繊細な演出が胸に残り、人と人の絆について深く考えさせられる秀作です。
誰も知らない
この映画を一言で表すと?
子どもたちの孤独とたくましさを描いた、静かで衝撃的な実話ベースのドラマ。
どんな話?
母親に置き去りにされた4人の子どもたちが、周囲に知られないまま自力で生き抜こうとする姿を描いた作品。特に長男・明の葛藤と成長が観る者の心を打ちます。淡々とした語り口がリアルで、より深い余韻を残します。
ここがおすすめ!
『ファミリア』と同様、弱者の視点に寄り添いながら、社会の無関心さを鋭く描いています。柳楽優弥の演技は圧巻で、ラストまで目が離せません。静かな衝撃を味わいたい方にぜひ観てほしい作品です。
そして父になる
この映画を一言で表すと?
「血のつながり」と「一緒に過ごした時間」、本当の父親とは何かを問いかける感動作。
どんな話?
出生時に子どもが取り違えられていたと判明し、6年間育ててきた子は実の子ではなかった…という父親の葛藤と成長を描いたヒューマンドラマ。感情の細やかな描写が共感を呼びます。
ここがおすすめ!
父子の心の距離が少しずつ縮まっていく描写が『ファミリア』に通じる部分があり、家族の本質について深く考えさせられます。感情を抑えた演出が逆にリアルで胸を打ち、観終わったあとに長く余韻が残ります。
ヒューマン・ハンター
この映画を一言で表すと?
移民の実態に迫る、社会の裏側を描いた衝撃のヒューマンドラマ。
どんな話?
アメリカで暮らす不法移民たちを追う保安官と、移民たちの現実を描く。冷酷なシステムの中で生きる者たちの視点を交互に描き、移民問題の複雑さをあぶり出していく作品。
ここがおすすめ!
『ファミリア』が日本の移民問題を描いていたのに対し、本作はアメリカを舞台にした視野の広い社会派ドラマ。過激な描写もありますが、移民の「生きるリアル」がリアルに迫ってきて、目を逸らせなくなります。
川っぺりムコリッタ
この映画を一言で表すと?
孤独な人々が小さな幸せを分け合いながら、人生をやり直していく、ほっこり系ヒューマンドラマ。
どんな話?
過去を抱えた青年が、古いアパートで新生活を始める中で、個性豊かな住人たちとの出会いを通じて少しずつ心を開いていく物語。日常のささやかな営みが丁寧に描かれています。
ここがおすすめ!
『ファミリア』のような静かな人間ドラマが好きな方におすすめ。社会の片隅に生きる人々の温かさや絆に触れられる作品で、観ると優しい気持ちになれます。井浦新、松山ケンイチらの自然体な演技にも注目です。
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