映画『フローズン・グラウンド』の概要:アメリカのアラスカ州で実際に起きた恐ろしい連続殺人事件を基にして製作された作品。善良な市民を装いながら、娼婦を次々と暴行し、最後はアラスカの平原に放って撃ち殺してきた殺人鬼を、ジョン・キューザリックが好演している。
映画『フローズン・グラウンド』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:サスペンス、ミステリー
監督:スコット・ウォーカー
キャスト:ニコラス・ケイジ、ジョン・キューザック、ヴァネッサ・アン・ハジェンズ、ディーン・ノリス etc
映画『フローズン・グラウンド』の登場人物(キャスト)
- ジャック・ハルコム(ニコラス・ケイジ)
- アラスカ州警察の殺人課の刑事。妻の希望で石油会社への転職を考えていたが、ハンセンが起こした連続殺人事件の捜査に没頭していく。妻と幼い娘と暮らしている。17歳の妹を事故で亡くした過去があり、娼婦のシンディにも優しく接する。
- ロバート・ハンセン(ジョン・キューザリック)
- アラスカ州のアンカレッジでパン屋を経営し、妻と2人の子供を養っている。普段は紳士的で温厚な人物を装っているが、実は複数の娼婦を拉致監禁してレイプ後に殺害してきた。事件が発覚しにくいため、社会的地位の低い娼婦ばかりをターゲットにしている。
- シンディ(ヴァネッサ・ハジェンズ)
- ハンセンに拉致監禁され、殺されそうになった17歳の娼婦。隙を見て逃げ出し、警察にハンセンが犯人だと話すが、娼婦であるという理由で信じてもらえない。劣悪な環境で育ち、11歳の時から体を売ってきた。
- クレイト(50セント)
- 売春宿を経営しているシンディのヒモ。娼婦の稼ぎに依存する最低の男。
映画『フローズン・グラウンド』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『フローズン・グラウンド』のあらすじ【起】
1983年、アラスカ州アンカレッジにあるモーテルに、娼婦のシンディが「あいつに殺される!」と叫びながら駆け込んでくる。連絡を受けたアンカレッジ市警の警官は、パニック状態のシンディを保護して、病院へ運ぶ。シンディは手錠をかけらており、下腹部には性交渉の跡があった。
アンカレッジ署で事情を聞かれたシンディは、客の男の自宅に鎖で繋がれて監禁され、 レイプされた後、自家用機で何処かへ連れていかれそうになったと話す。シンディの証言から、容疑者は町でパン屋を経営しているロバート・ハンセンであることがわかるが、ハンセンにはアリバイがあった。アンカレッジ市警の刑事は、娼婦のシンディよりも優良市民のハンセンの証言を信用し、この事件の捜査を打ち切ってしまう。しかし、シンディを保護した警官は、どうしても彼女が嘘をついているとは思えず、上司に内緒で、シンディの調書をアラスカ州警察に郵送しておく。
同じ時期、アラスカ州奥地の平原で、若い女性の遺体が発見される。遺体の状況から、被害者は半年から1年ほど前に、狩りをするような状況で殺されたことがわかる。この殺人事件の捜査を担当することになったアラスカ州警察のジャック・ハルコム刑事は、まるで処刑のような殺し方だと感じる。最近、この周辺では、若い女性の惨殺体が次々と発見されていた。
ハルコム刑事は、一連の事件を同一犯による連続殺人事件ではないかと考え、捜査を開始する。死体の側には薬莢が落ちていたが、容疑者の特定に繋がるような物的証拠は何もなかった。捜査が難航する中、アンカレッジ市警から届いたシンディの調書に目を通したハルコム刑事は、ハンセンが怪しいと考える。ハンセンのことを調べてみると、12年前に娼婦を銃で脅し、湖に連れて行ってレイプした疑いがあることや、つい最近も娼婦と揉め事を起こしていたことがわかる。ハルコム刑事は、シンディに直接会って話を聞くため、彼女を捜す。
映画『フローズン・グラウンド』のあらすじ【承】
アンカレッジ署の風俗班の刑事に協力を依頼し、ハルコム刑事は娼婦が集まる夜の街で、シンディの行方を捜す。娼婦たちの話から、シンディが11歳の時から体を売っていることやクレイトというヒモがいることがわかる。しかし、シンディはなかなか見つからない。
そんな中、行方不明になっているスーという女性の姉が、ハルコム刑事に会いにくる。スーは4歳の娘を姉に預けたまま、消息を絶っていた。スーの姉は、妹の歯の治療記録とお揃いのブレスレットをハルコム刑事に渡し、妹を見つけて欲しいと頼む。スーの姉は、妹の生存は諦めていたが、早くお墓に埋葬してあげたいと思っていた。
シンディが見つかり、ハルコム刑事は彼女から事件の詳しい話を聞く。通りでハンセンに買われたシンディは、ハンセンの自宅の地下室の柱に鎖で繋がれ、声を出したら殺すと脅される。鎖を切るのは無理だと判断したシンディは、自家用機に乗せられる前に、隙を見て車から逃げ出した。ハンセンはシンディに、自分は今まで7人の女性を1週間ほど監禁し、レイプしてきたと話していた。ハルコム刑事は、シンディの証言に偽りはなく、やはり一連の殺人事件の犯人は、ハンセンだと確信する。
ハルコム刑事は上司の警部補に、ハンセンは限りなく黒に近いと説明するが、アンカレッジ市警に近づくなと怒られてしまう。アンカレッジ市警からは、終わった事件をほじくり返すなと苦情がきていた。2人が議論していると、また新たな女性の遺体が発見されたという連絡が入る。20代から30代と見られる被害者の女性は、体のあちこちを銃で撃たれていた。
一方、シンディは先輩の娼婦に誘われ、ストリップ・バーの踊り子を始める。シンディは娼婦の勧めで、麻薬にも手を出していた。シンディは調子よく稼いでいたが、ここにもヒモのクレイトが現れ、彼女の稼ぎを奪っていく。
映画『フローズン・グラウンド』のあらすじ【転】
アンカレッジ市警や検察は、誤認逮捕を恐れてハンセンの捜査をためらっていたため、ハルコム刑事は州警察の同僚たちとハンセンの捜査を開始する。警察が手をこまねいている間に、ハンセンは新たな少女を誘拐し、自家用機で奥地の平原へ連れ去っていた。ハンセンは、命乞いする少女を平原に放ち、獲物を狩るようにして撃ち殺してしまう。
バーで踊っていたシンディは、客席にハンセンを発見し、恐怖のあまりパニック状態になる。その様子を見て、ハンセンは店を出る。ハンセンは、どうにかしてシンディを始末しなければと焦っていた。
ハルコム刑事は検察官に、ハンセンの逮捕状を出して欲しいと頼む。しかし、確実な証拠がなければ、逮捕状は出せないと断られる。早くハンセンを逮捕しなければ、シンディが危ないということは、ハルコム刑事も承知していた。
身の危険を感じたシンディは、どこかへ逃げようと考え、空港へ向かう。その情報を事前に仕入れたハルコム刑事は、空港でシンディを保護する。ハルコム刑事は、犠牲者の写真をシンディに見せ、彼女たちのためにも証言してくれるよう頼む。物的証拠が出ない以上、ハンセンを起訴するためには、シンディの証言がどうしても必要だった。しかし、シンディはハンセンの報復が恐ろしくて、なかなか決心がつかない。劣悪な環境で育ったシンディは、今まで人を信用したことがなく、ハルコム刑事のことも信じていなかった。
その夜、ハルコム刑事は自宅にシンディを連れて帰る。ハルコム刑事の妻は、2週間後には警察を辞職して石油会社に転職する約束だったのに、捜査に没頭する夫に腹を立てていた。シンディは2人が言い争っているのを聞き、ハルコム刑事の自宅を出る。シンディは、結局クレイトの売春宿に戻り、また客引きを始める。
荒れた生活をしていたシンディは、バーのトイレで大量のコカインを吸引して意識を失い、彼女を捜していたハルコム刑事に保護される。病院で意識を取り戻したシンディは、付き添ってくれていたハルコム刑事に、幼い頃から義理の叔父に性的虐待を受けてきたことを打ち明ける。シンディは、ようやくハルコム刑事を信じてみようと思えるようになり、証言を引き受ける。
映画『フローズン・グラウンド』の結末・ラスト(ネタバレ)
シンディを捜していたハンセンは、ストリップ・バーでマフィアらしき男から「1万ドルで欲しい女を捜してやる」と声をかけられる。焦っていたハンセンは、その男にシンディ捜しを依頼する。その男は、借金のあったクレイトを脅し、2日以内にシンディを連れてきたら借金をチャラにしてやると約束する。
警察の張り込み捜査に気づいたハンセンは、自宅にある証拠品を隠滅するため、悪天候の中、自家用機で平原に向かう。ハンセンは、被害者の所有品や凶器を、平原のあちこちに捨てる。
ハルコム刑事はFBIのプロファイリングの結果を提示して、粘り強く検察官を説得し、保険金詐欺の微罪でハンセン逮捕の許可を貰う。
警察署に連行されたハンセンは、ハルコム刑事の取り調べを受ける。取り調べと同時進行で、ハンセンの自宅の家宅捜索も開始される。ハルコム刑事は、不起訴になった3件の娼婦レイプ事件について尋問し、ハンセンに揺さぶりをかける。しかし、賢いハンセンは、なかなかボロを出さない。ハンセンが証拠を隠滅していたため、家宅捜索も難航する。
ハルコム刑事は、シンディの事件でハンセンを再逮捕し、拘留期間を伸ばす。懸命な家宅捜索の結果、現場にあった薬莢を使う銃や手錠が発見される。
ハンセンや検察官の前で証言することになったシンディは、恐怖のあまり病院から逃げ出す。クレイトは、帰ってきたシンディを騙して車に乗せ、マフィアの男に引き渡そうとする。しかし、クレイトと男が揉め始めたため、シンディは車で逃走する。クレイトは、男に射殺された。
シンディから連絡を受けたハルコム刑事は、売春宿の部屋に隠れているよう指示して、現場に急行する。シンディはマフィアの男に連れ去られそうになるが、間一髪のところでハルコム刑事が2人を見つけ出し、シンディを救出する。
ハンセンを殺人罪で立件できるかどうか、最後の審判が下される日。ハルコム刑事は、家宅捜索で押収した地図をハンセンに見せ、その地図に記された20箇所以上の印は、被害者の墓なのだろうとハンセンを問い詰める。そのうちの何箇所かは、被害者の遺体が発見された場所と一致していた。それでもとぼけ続けるハンセンに、ハルコム刑事はスーの姉のブレスレットを見せ、揺さぶりをかける。そして、最後の切り札として、シンディを入室させる。シンディを見て動揺したハンセンは、思わず「殺しとけばよかった!」と叫んでしまう。ついにハンセンは、自ら殺人鬼であること告白したのだった。
その後、ハンセンは17件の殺人と30件のレイプを認め、裁判で仮釈放なしの懲役461年と終身刑を言い渡される。ハルコム刑事は退職まで警察を続け、シンディは結婚して3人の子供の母親となった。
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