映画『ジャイアント・ピーチ』の概要:イギリスの人気作家、ロアルド・ダールの児童文学『おばけ桃の冒険』をウォルと・ディズニー・ピクチャーズが映像化した作品。実写とストップモーション・アニメーションを融合させ、孤独な少年と擬人化した虫たちの冒険物語をファンタジックに描いている。
映画『ジャイアント・ピーチ』の作品情報
上映時間:79分
ジャンル:ファンタジー、アニメ、アドベンチャー
監督:ヘンリー・セリック
キャスト:ポール・テリー、ジョアンナ・ラムレイ、ミリアム・マーゴリーズ、ピート・ポスルスウェイト etc
映画『ジャイアント・ピーチ』の登場人物(キャスト)
- ジェームス・ヘンリー・トロッター(ポール・テリー)
- イギリスで暮らす少年。優しい両親と幸せに暮らしていたが、不慮の事故で両親を亡くし、極悪人のおばさん姉妹に引き取られる。魔法で巨大化した桃の中に入り、6匹の虫たちとニューヨークを目指すことになる。虫好きで心優しく、頭もいい。
- スパイカーおばさん(ジョアンナ・ラムリー)
- ジェームスの叔母。絵本に出てくる魔女のような風貌をしており、虫が大嫌い。まだ幼いジェームスを朝から晩までこき使う。すごい厚化粧をしている。
- スポンジおばさん(ミリアム・マーゴリーズ)
- ジェームスの叔母でスパイカーおばさんの妹。ブクブクと太った大食漢で、スパイカーおばさんと同じく強欲で意地悪で厚化粧で、いいところがひとつもない。
- ムカデ(リチャード・ドレイファス)
- 魔法で巨大化したムカデ。ジェームスと同じくらいの背丈になり、人間の言葉も話せる。世界中を旅したのが自慢で、自ら桃の舵取りを志願するが、実は世界図鑑の中で暮らしていただけ。社交性があってよく喋る。
- クモ(スーザン・サランドン)
- ジェームスの屋根裏部屋にいたメスのクモ。魔法によって、アンニュイな雰囲気のクモおばさんになる。虫を食べるので、みんなから孤立していたが、徐々に打ち解ける。自分を助けてくれたジェームスを可愛がり、母親のように接する。
- キリギリス(サイモン・カーロウ)
- 音楽が好きで、バイオリンがうまい。博識で、座標や羅針盤の見方も心得ている。
- テントウムシ(ジェーン・リーヴス)
- 気のいいおばさんになったテントウムシ。子沢山だったが、スパイカーおばさんたちに殺されることを恐れ、子供たちは遠くへ逃がした。温厚なムードメーカー。
- ミミズ(デヴィッド・シューリス)
- サングラスをしたミミズ。少々臆病で悲観的。
- 土ボタル(ジョアンナ・ラムリー)
- キラキラと派手な衣装を身につけた土ボタル。耳が遠い。
映画『ジャイアント・ピーチ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ジャイアント・ピーチ』のあらすじ【起】
9歳のジェームス・ヘンリー・トロッターは、海辺の小さな家で、優しい両親と幸せな日々を送っていた。父親はよくエンパイア・ステート・ビルの絵葉書を見て、「いつか3人で世界一高いこのビルに登ろう」と言っていた。そのため、ジェームスにとってニューヨークは憧れの地となる。
そんな幸せな生活が突然終わりを告げる。ある日、真っ黒な雲と共に恐ろしいサイが現れ、両親を食べてしまったのだ。孤児となったジェームスは、スポンジおばさんとスパイカーおばさんに引き取られ、丘の上にあるおばさんの家で暮らし始める。
この2人のおばさんは、血も涙もない極悪人で、幼いジェームスを召使いのようにこき使う。ジェームスは、まともにご飯も食べさせてもらえず、朝から晩まで働かされる。孤独なジェームスは、屋根裏部屋にいたクモに、両親との楽しい思い出やニューヨークのことを語る。そして、その想いを乗せた手作りの紙風船を夜空に飛ばすのだった。
翌朝、おばさんたちがクモを見つけて騒ぎ出したので、ジェームスはクモを助け、塀の外へ逃がしてやる。思わず「僕も逃げたい」と呟いたジェームスの前に、不思議な老人が現れる。老人は、昨日ジェームスが飛ばした紙風船を持っており、この中には魔法が入っているのだと説明する。紙風船の中では、蛍光色の芋虫のような物体がうごめいていた。老人は「君が第一歩を踏み出せばニューヨークへ行ける」とジェームスを励まし、紙風船の中身を逃さないよう警告する。この中身に触れた物には魔法がかかってしまうらしい。
ところが、ジェームスはその直後に転んでしまい、紙風船の中身をこぼす。芋虫状の何かは、あちこちへ逃げ出し、あっという間にいなくなる。すると、枯れ木に1個だけ桃が実り、どんどん大きくなっていく。ジェームスを追いかけてきたおばさんたちは、家と同じくらいまで大きくなった桃を見て、この桃でひと儲けすることを思いつく。
映画『ジャイアント・ピーチ』のあらすじ【承】
おばさんたちは、さっそくおばけ桃の広告を出し、集まった人々から見物料を徴収する。この商売は大当たりして、おばさんたちは大金を手にする。
夜になり、ジェームスは桃の周辺の掃除を命じられる。ゴミ拾いをしていたジェームスは、あの紙風船を見つける。紙風船の中には、1つだけ芋虫状の物体が残っていたが、ジェームスが捕まえようとすると、桃の中へ逃げ込んでしまう。お腹の空いていたジェームスは、桃の果肉をひと口食べてみる。すると、桃の中へ通じる入口ができる。
ジェームスはその入口から桃の内部へ侵入し、細い通路を通って中心部へ移動する。その途中で、ジェームスの姿は人形のようになる。中心部からは、賑やかな話し声が聞こえており、ジェームスはそこへ入って行く。
中心部の空洞には、魔法で巨大化した虫たちがいた。ムカデ、キリギリス、テントウムシ、ミミズ、土ボタル、クモの6種類の虫は、それぞれ人間のように個性を持ち、言葉も話せる。その中のクモは、ジェームスが屋根裏部屋で助けたあのクモだった。彼らは、ジェームスを仲間として歓迎してくれる。
おばさんたちがジェームスを探しにきたので、ムカデは木の枝を噛み切って、桃を動かす。桃は、おばさんたちが乗った車を押しつぶし、丘を転がっていく。そして、崖から海へと転落する。
みんなはジェームスの持っていたガイドブックに従い、ニューヨークを目指すことにする。世界中を旅したことがあるのが自慢のムカデは、自ら船長に名乗り出る。しかし、桃にはエンジンも舵もなく、前に進めない。ジェームスは、クモの糸をカモメにくくりつけ、空を飛んで移動する方法を考え出す。
カモメをおびき寄せるための囮役を命じられたミミズは、怖がってなかなか外へ出ない。しかし、後方から恐ろしいサメが襲ってきたため、ムカデが強引にミミズを振り回す。ジェームスたちは、みんなで協力し、降りてきたカモメに糸をくくりつけ、サメと戦う。みんなの勇気とジェームスの作戦のおかげで、サメは撃退され、桃は空を飛ぶ。そして、ジェームスと6匹の虫たちは、一路ニューヨークを目指す。
映画『ジャイアント・ピーチ』のあらすじ【転】
空には食料がなかったが、みんなが乗っているのは巨大な桃なので、美味しい果肉がいくらでも食べられる。みんなは豊富な果肉をお腹いっぱい食べ、幸せな眠りにつく。ジェームスは、クモの巣のベッドで寝かせてもらう。ジェームスは眠りにつく前、二度とおばさんのところには戻りたくないと強く思うのだった。
翌朝、ジェームスはひどい寒さで目を覚ます。舵を取っていたムカデが居眠りして、桃は氷に包まれた北の海に迷い込んでいた。すぐに軌道修正しなければ、みんなここで凍え死んでしまう。しかし、羅針盤がないため、正確な位置がわからない。責任を感じていたムカデは、沈没船から羅針盤を取ってくるため、氷の海に飛び込む。
クモとジェームスもムカデの後を追い、氷の海に入る。沈没船には、立派な羅針盤があったが、なんとその船は幽霊船で、ムカデは幽霊海賊に捕まってしまう。ムカデを助けるため、クモとジェームスも幽霊海賊と戦い、彼らは勝利する。
羅針盤のおかけで正しい進路がわかるようになり、桃は穏やかな星空の中を順調に飛び始める。バイオリンの上手なキリギリスの伴奏で、みんなは歌を歌い、このままずっと家族でいようと誓い合う。ジェームスは、とても幸せだった。
そうこうしているうちに、桃はニューヨーク上空に到着する。みんなは、キラキラと輝くニューヨークの夜景の美しさに感動する。ところが、上空に不穏な雲が広がり、その中からあの恐ろしいサイが姿を現わす。虫たちは、カモメの上に避難するが、ジェームスは桃に残り、両親を食べてしまったサイと対峙する。ジェームスは、「困った時は見方を変えろ」という父親のアドバイスを思い出し、あのサイはただの煙と音なんだと自分に言い聞かせる。すると、恐ろしいサイは姿を消し、煙になって消えていく。しかし、稲妻によってクモの糸が切れ、桃とジェームスは地上に落下してしまう。
映画『ジャイアント・ピーチ』の結末・ラスト(ネタバレ)
桃の中で目を覚ましたジェームスは、人間の姿に戻っていた。桃はエンパイア・ステート・ビルのてっぺんに突き刺さっており、周辺は大騒ぎになる。
ジェームスは、クレーン車に乗ったおじさんに救助され、地上に降ろしてもらう。憧れだったビルのてっぺんに登る夢は叶ったが、それを一緒に喜んでくれる虫たちの姿はない。優しい警官に保護され、ホッとしたのも束の間、執念深く後を追ってきたスパイカーおばさんとスポンジおばさんが、ジェームスの前に姿を現わす。
おばさんたちはジェームスの後見人だと名乗り、ジェームスと桃を持ち帰ろうとする。ジェームスは警官に今まであったことを説明する。しかし、おばさんたちはジェームスを嘘つき呼ばわりし、強引に連れ去ろうとする。ジェームスは勇気を出して「帰りたくない!」と叫び、おばさんたちに虐待されていることを訴える。おばさんたちは激怒し、ジェームスに襲いかかる。そこへ、上空から虫たちが降りてくる。
ジェームスはクモの糸でおばさんたちを縛り、ぐるぐる巻きにする。虫たちが登場したことで、ジェームスの話が嘘でないとわかり、おばさんたちは逮捕される。ジェームスは、集まった人々に虫たちを紹介し、桃を振る舞う。美味しい桃は大勢の人たちに喜ばれ、あっという間に種だけになる。
その後、桃の種はセントラルパークに置かれ、ジェームスと虫たちの家になる。ジェームスと6匹の虫たちは家族として幸せに暮らし、それぞれの分野で活躍をする。ジェームスは、家を訪れる人々にこの冒険物語を話して聞かせ、それを1冊の本にまとめる。社交的なムカデはニューヨーク市長に立候補し、キリギリスはバイオリニストになった。ムカデは男性用化粧品のコマーシャルに出演し、テントウムシは1000人目の赤ちゃんを出産する。クモはナイトクラブをオープンし、土ボタルは自由の女神の上で輝く。ジェームスは新しい家族に誕生日を祝ってもらい、満面の笑顔を見せるのだった。
映画『ジャイアント・ピーチ』の感想・評価・レビュー
ジェームスのことが大好きなクモさんは、一見クールなお姉さんに見えますが、ジェームスや仲間に対してはとても優しく、ギャップ萌えを感じました。
個人的に昆虫が好きなので、昆虫と人間の男の子が一緒に旅をするというのは、自分にとっては夢の様な話です。
たくましい心に成長したジェームスが、昆虫たちと共闘して、意地悪な叔母さん達に圧勝するシーンは、見ていて心がスカッとしました。ジェームスが、きちんと叔母さん達に向かって「NO」と言える子に成長出来たことが、本当に嬉しいですし、ラストの爽快感を含めて、たまらなく愛しい映画です。(女性 20代)
ティム・バートンが手掛けるストップモーションアニメの芸術性は本当に高い。
キャラクターがおどろおどろしい所がまた激しく好み。
自分でもあんなセンスの良いぬいぐるみを作ってみたい。
子供向けかと言われれば、ティム・バートンのこの手のアニメは子供はたいがい途中で飽きてしまう。やはり大人向けでしょうか。
子供向けと思って家族で観ているうちに、最後は大人だけが一生懸命観ていたというパターンになると思います。
だけどやっぱり家族で観たい作品です。(女性 40代)
本作は、イギリスで暮らす少年ジェイムズと虫の仲間たちが、どんな夢も叶う街を目指して冒険する様子を描いたもので、ロアルド・ダールの童話をティム・バートン監督が映画化したアドベンチャーファンタジー作品。
実写とクレイアニメーションが融合しており、また一人一人のキャラクターがはっきりしているため子どもでも観やすい。
大きくなった虫たちと大きくなった桃に乗ってニューヨークに旅するという発想が素敵だと思った。(女性 20代)
ジェイムスと虫の仲間たちがNYを目指す冒険劇です。内容は子供向けです。しかし、キャラクターはトラウマになりかねないビジュアルばかりです。初見は独特なモーションが合わさって少し気持ち悪く感じてしまいます。けれども惹き込まれてしまうのは流石ティム・バートンが携わっていただけある。桃が空を飛ぶシーンに子供の頃ワクワクさせられたことを覚えています。今見ると、実写でアニメーションでストップモーションアニメで、雰囲気が多様で非常に手の込んだ作品だと思いました。(男性 20代)
頑張っている人や、一生懸命な人が嫌な目にあったり、不幸になったりするストーリーが物凄く嫌いな私は、今作のおばさん2人がとても嫌でした。「強欲」という言葉がピッタリで、自分のことしか考えていないおばさんたちはいつか痛い目に遭うだろうと期待しながら鑑賞していました。
心優しいジェームスと虫たちの不思議な旅に心が癒され、逮捕されたおばさんたちに物凄くすっきりしました。
かなり大人向けのアニメーション作品だと思います。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー