映画『ギヴァー 記憶を注ぐ者』の概要:近未来。境界に囲まれたコミュニティーでは、過去の記憶を封印しあらゆる監視の中、規則に従って人々は穏やかに暮らしていた。そこで唯一記憶を伝える者ギヴァーに選ばれた青年は、記憶を学び続ける事でコミュニティーのやり方に疑問を抱いて行く。
映画『ギヴァー 記憶を注ぐ者』の作品情報
上映時間:94分
ジャンル:SF、アドベンチャー、アクション
監督:フィリップ・ノイス
キャスト:ジェフ・ブリッジス、メリル・ストリープ、ブレントン・スウェイツ、アレキサンダー・スカルスガルド etc
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映画『ギヴァー 記憶を注ぐ者』の登場人物(キャスト)
- ギヴァー(ジェフ・ブリッジス)
- 過去の記憶を唯一保持し、次のギヴァーへと受け継がせる者。記憶の器レシーバー。主席長老とは過去に関係があり、彼女が行っている事へ密かに対抗しようとしている。老年の男性。
- 主席長老(メリル・ストリープ)
- 凄惨な過去の出来事から、境界で囲んだコミュニティーを作り上げた創設者の1人。現支配者。外界との接触を一切絶ち切ったコミュニティーをあらゆる手段で守ろうとしている。
- ジョナス(ブレントン・スウェイツ)
- 次代ギヴァーに選ばれた青年。好奇心旺盛で行動的。思いやりのある好青年。
- 父親(アレクサンダー・スカルスガルド)
- ジョナスの父親。模範的な父で養育センター勤務。人間的で慈愛がある。
- 母親(ケイティ・ホームズ)
- ジョナスの母親。母親としての役割を必死に勤めようとしている。司法長官で模範的な母。
- フィオナ(オディア・ラッシュ)
- ジョナスの幼馴染。明るく周囲を和ます性格。ジョナスに好意を寄せており、身の危険を犯してでも彼を守ろうとする。
- アッシャー(キャメロン・モナハン)
- ジョナスの幼馴染。冷酷な面があり規則に忠実。パイロットの腕前は相当なもの。
映画『ギヴァー 記憶を注ぐ者』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ギヴァー 記憶を注ぐ者』のあらすじ【起】
荒廃後の灰の中からある社会が再建された。境界に守られたコミュニティーである。ここでは誰も過去の記憶を持たない。コミュニティーでは誰もが平等で、規則を守って平穏に暮らしていた。ここでは幼少期から規則を叩き込まれる。
「正しい言葉遣い」「決まった服を着る」「毎朝の投薬」「門限を守る」「嘘はつかない」
秩序を守る為、これらの規則を厳守する事が徹底されていた。他と異なってはいけないのだ。住んでいる者達は誰もが名字を持たない。ある一定の年頃になると儀式を受け、職業に就く事となっていた。コミュニティーでは長老達が違いを全て排除した為、争い事も起きない。恐れ、痛み、妬み、憎しみは最早存在しないものとして昔の記憶と共に消し去られていた。故に、世界は全て灰色だった。
ジョナスは儀式の前日から不安を抱えていた。自分の将来が全く予想出来ない。なぜなら、自分は他の子達とは違うと感じているからだ。ジョナスには時々世界が色を帯びて見える事があった。アッシャーとフィオナは幼い頃からの親友だった。3人は養育センターへ最後の奉仕活動をしに行く。
奉仕活動では赤ん坊の体重を測ったり子供の様子を観察したりする。その後は3人の秘密の場所へ。そこは三方が囲まれた噴水の中。3人はずっと友達。そう誓い合った。
儀式当日。会場に整然と並び腰掛ける人々へ、全身投影の主席長老が姿を現した。演説の後、高齢者が立ち並ぶ。よそへの開放者達だ。その後は赤ん坊の命名の儀式で家族ユニットへと赤ん坊が渡される。そして次は9歳の儀式で自転車を付与。最後は任命の儀式、職務が割り当てられる。職務は多岐に渡る。アッシャーはドローンのパイロットへ任命。フィオナは養育係となった。そしてジョナスは最後、たった1人だけ残される。主席長老はジョナスを選ばれた人間だと言う。彼はこれから知性、誠実、勇気、彼方を見る力の訓練を受ける。ジョナスは記憶の器レシーバーの後継者へと選ばれたのだった。
映画『ギヴァー 記憶を注ぐ者』のあらすじ【承】
指示端末を起動。これからの指示と共にレシーバーの衣類や靴が支給される。
記憶の器レシーバーの掟。1、訓練内容はレシーバーが直接指示する。訓練終了後は速やかに自宅へ戻る事。2、今後は不作法を取り締まる規則から除外される。どんな質問をしても良い。3、薬は毎日の注入薬以外使用してはならない。特に痛み止めは禁ずる。4、訓練の話は決して誰ともしてはならない。5、嘘を吐いてもいい。
出勤初日。エッジという場所の一軒家へ向かう。エッジまで行って迷うと二度と戻れないと言われていた場所だった。崖の上の一軒家。これから毎日ここへ通う事になる。
網膜チェックを受けて中へ。着いた先は地下3階の吹き抜けのホール。壁際には本棚が並び上から下までぎっしりと本が詰まれている。ジョナスがいる中央には螺旋階段。ホールを挟んで向かいの崖側は一面が窓だ。階段から向かって階下の右側ではギヴァーが待っていた。謝罪の礼は一切いらないと言う。ギヴァーには時間が無い。彼はこれから自分が持つ昔の記憶の全てを、ジョナスへ受け継がなければならなかった。記憶は全世界のもので一個人のものではない。コミュニティーの中で昔の記憶を持っているのはギヴァーだけ。長老達が未経験の事で戸惑っている時などの助言役として存在しているのである。
ギヴァーはすぐさま訓練へと入った。雪景色。雪を踏みしめる感触、雪という物質、ソリに乗って滑る爽快感。高揚した気持ち。滑降先にある家の中でクリスマスの歌が聞こえた。ジョナスは驚愕して現実へと戻る。コミュニティーは気象操作がされていて雪は降らない。雪が降ると作物がやられて育たない。雪のせいで食料の輸送に困難が生じる。そうなると飢餓が生じて餓死者が出る。そうして必要のないものとして雪は除外されたのだ。全てには因果関係がある。もっと見たいと言うジョナスを連れて、ギヴァーは外へ散歩に出掛ける。ギヴァーはしょっちゅう嘘を吐いているが、ジョナスに嘘は吐かないと話す。前のレシーバーはどうなってしまったのか。その問いには答えてくれず。ではギヴァーは何者かと問うと、記憶を注ぐ者だと答えた。
その夜、家に発育不良だった赤ん坊が連れて来られた。養育センターで仕事をしている父親の元へ一時預かりとなったのだ。ゲイブリエルと仮名をつけられた赤子はずっと泣いている。司法長官である母親は咎めていたが、父親は言い訳してもう少し成長するまでと預かる事になった。赤子の手首の内側にはジョナスと同じ痣があった。彼は直感した。いつかきっとこの子も選ばれる。
ハチに刺される記憶。夕日の海をボートで進む記憶。記憶を手にする度、ジョナスの世界に色が付いていく。まだ色褪せてはいるが、これからもっと色が増えるだろう。窓の外はコミュニティーの外。窓外には荒れた原に一本の木が生えていた。外はすぐそこにある。手が届きそうだった。
映画『ギヴァー 記憶を注ぐ者』のあらすじ【転】
フィオナとアッシャーの3人でそれぞれの仕事や近況報告をする。3人は展望台へ向かいパイロットのアッシャーが外には様々なものがあると話した。目印のような三角の岩がある。その向こうは飛行禁止区域。この世界は秘密が多すぎる。
ギヴァーは主席長老に呼び出されていた。ジョナスの規則違反について注意を受ける。10年前のような事になってはならないと。ジョナスを苦痛に耐えさせなければならない。
ギヴァーはジョナスに本を読ませる為本棚を漁っていた。そこへ同一化計画と銘打った地図が現れる。コミュニティーの全体を記したもので、アッシャーが言っていた三角岩も記載されていた。ギヴァーはその地図を抽斗にしまう。そして半地下の部屋へ。そこにはピアノが置いてあった。正しいキーを叩けば音楽になる。音楽を心で聞け。ジョナスは結婚式で輪になって踊る記憶を見た。なぜコミュニティーには音楽が無いのか。
朝、出勤前だ。主席長老が投影で訪ねて来る。ギヴァーの訓練状況を知る為だった。ただ座って話しているだけ、でもそれは一日中ではないと報告する。そして、毎朝の投薬をリンゴにして家を出た。毎朝の投薬は感情を消す為のものと知らされたからだ。その後も様々な訓練を行った。世界中の楽しい記憶を見て、ギヴァーから信念を持てと教えられた。世界には色が溢れた。命が生まれる瞬間。そして痛みの記憶。象牙搾取の為にゾウを殺すハンターの記憶。
ゲイブリエルが夜泣きをした。ジョナスはあやしながら赤子へゾウの映像を注ぐ。ふと、顔をあげると向こうの家にフィオナが見えた。花嫁と花婿が互いを愛する記憶に自分達を重ねる。そしてジョナスは初めて夢というものを見た。それは愛というものだと教えられた。
ある日、出勤するとギヴァーが倒れて叫んでいた。ジョナスは咄嗟に彼の手を握る。意図せず戦争の記憶を見た。凄惨な記憶に耐えられず、彼はギヴァーの元を走り去る。戦争は悲惨な記憶。これは無くなって良かったのだ。
映画『ギヴァー 記憶を注ぐ者』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジョナスはフィオナに朝の投薬を試しにやめてみるよう話した。フィオナと感情を共有したかった。レシーバーをやめるつもりだと話すと彼女は、試してみるからレシーバーはやめないでと言った。
彼は再びギヴァーの元へ戻る。ピアノの部屋から声がする。そこにはジョナスの前のレシーバーだったローズマリーという女性と、ギヴァーの過去の映像が投影されていた。彼女はもうこの世にはいない。訓練はほんの2か月足らず。彼女は痛みの記憶を知りたがった。詰め寄られて喪失の記憶を教えたがしかし、彼女はその痛みに耐えられずに解放を願った。解放とはつまり死だ。コミュニティーの人々はそれを死とは知らず、殺人とは知らずにやらされている。それを殺人や死と知るのは、痛みの記憶を持つレシーバーだけだった。止める方法はいくらでもあったはずだ。だが、たった一人でそれに抗う事が果たして出来るのだろうか。
秘密の隠れ場所にフィオナがいた。彼女は約束通り投薬をしなかった。すると頭の中はジョナスで一杯に。彼女は初めての感情に戸惑っていた。自宅へ帰るとゲイブが姿を消していた。発育不良と再診断され養育センターへ戻されたのである。あの子は解放されるだろう。ジョナスはゲイブを救う為に行動する。外出禁止時間にギヴァーの元へ。途中、アッシャーに止められるも彼を殴って突破。記憶の境界線へ向かい人々の記憶を呼び覚ます。ギヴァーはジョナスのような者を待っていた。思った通りにやってみろとあの地図をくれる。主席長老はジョナスを捕捉。時間がない。最後の訓練を行った。彼に強さを教える為、抗う為の強い心を注ぐのだ。
養育センターへ向かいフィオナの助けを借りてゲイブを探す。その頃、主席長老はジョナスを反乱者として確定。追手を差し向けた。ゲイブは解放室にいた。ジョナスが赤子を抱えフィオナが囮となり脱出する。ジョナスは警備兵のバイクで逃走。フィオナは捕まってしまった。ドローンが出動。コミュニティー内は騒然となる。彼はエッジから外の世界へと飛び出した。
ギヴァーはコミュニティーの開放を計画していた。娘のローズマリーを亡くした為だ。彼も拘束される。主席長老はアッシャーにジョナスの捕縛と消去を命令。彼はドローンでジョナスを見つけ消去しようとするが、彼を信じて密かに渓流へと逃がした。その後、消去したと報告。川から上がったジョナスとゲイブは荒涼とした土地を進み続ける。砂漠から雪山へ。だが、地図にある境界のタワーが見当たらない。
一方、コミュニティーではフィオナの開放が決定。ギヴァーは主席長老を説得しようとするが彼女は頑なだった。
その頃、ジョナスは雪山で意識を失っていた。気が付いて辺りを見回す。見た事のある景色に記憶を探ってソリを見つけた。滑降して行く。フィオナの開放が行われる同時刻。ジョナスは境界線を見つける。そして突破。記憶の境界線は消え失せコミュニティーに色が戻る。記憶が戻る。愛しみ、悲しみ、辛さ、喜び、ありとあらゆる記憶と感情が蘇る。そして愛も。彼はコミュニティーを開放し、ゲイブという未来をも守ったのだった。
映画『ギヴァー 記憶を注ぐ者』の感想・評価・レビュー
ロイス・ローリーの児童文学『ザ・ギバー 記憶を伝える者』を原作に制作された映画。ストーリーの要となるギヴァーと長老には、大御所俳優のジェフ・ブリッジスとメリル・ストリープが演じ、主人公と同年代の若者の中には、ケイティ・ホームズやテイラー・スウィフトもキャスティングされている。
全てにおいて統制された世界は、争いも悲しみもなく強い感情を覚えないように調整されており、世界の全てが灰色で表現されている。その中で唯一、主人公だけが色を見ることができ他と違う存在が強調されている。記憶を注ぐ際の鮮やかな景色や美しさ、愛情や深い悲しみなどの感情は、世界が灰色で描かれているが故により強く感じられる演出となっており、とても分かりやすい。人が感情を持つことが人生において、いかに大切であることなのかを描いている。(女性 40代)
全体的にはいまいち盛り上がりが足りない印象ではありましたが、SFらしい設定がとても面白かったです。人間が集団として生活していく上で、何を幸せと感じるかは人それぞれなのだと感じました。
人類が経験したすべての記憶を受け継ぐ“ギヴァー”という存在である主人公のジョナスが、徐々に過去の出来事を知っていき、それに伴ってモノクロだった世界が色鮮やかになっていくという演出がとても素敵でした。(女性 20代)
恐れや痛みなど負の感情がないというのは一見素晴らしいことのように見えるが、喜びも感じないことが恐ろしいなと思う。灰色に見える世界が物悲しく、だからこそ感情が大事だということが伝わってくる。
管理された人々は(感情がないから当たり前かもしれないが)、ロボットのようだった。間違いも犯すし嫌だなと感じることも多いが、やはり感情は持っていたいなと思う。そして、嬉しいことや幸せだと思う気持ちを大切にしたいなと思った。感情について改めて考えさせられる作品だった。(女性 30代)
本作は、近未来、記憶を受け継いでいく過程で世の中のシステムに疑問を抱くギヴァーの青年を描いたSFアドベンチャー作品。
児童文学作品原作。
徹底的な管理下に置かれた近未来が舞台だが、差別のもとになる色彩を排除したり、争いのもととなる愛と夢を排除したり、その徹底ぶりに感心した。
また、映像はカラーとモノクロを使い分けていて、劇中の大半を占めるモノクロの世界も美しかった。
全て管理されて平等で平和になっても、本当の意味で自由にはなれないと気付かされる作品。(女性 20代)
幼い頃から「集団生活」を送ることが少なくなかった私たち人間ですが、この作品を見ると学校生活や大人数で共に生活することだけが「集団生活」では無く、今生きている世界も1つの「集団生活」なのだと感じました。
集団と言うと、全員を知っていてある程度関わりがある人たちのことをイメージしますが、日本という国自体も1つの集団であり、その中で暮らす人間一人一人に考え方、意見があります。その意見の考え方の違い、つまり「何」を幸せに感じるかは人それぞれという事こそが今作が訴えたかったものなのではないでしょうか。
大きな盛り上がりはありませんが、非常に考えさせられる作品でした。(女性 30代)
社会主義を突き詰めるとこうなるんだなと感じました。そして、社会主義の善し悪しをはっきり見せてくれます。偏見や格差が皆無になることは素晴らしいですが、芸術、歴史、色までも無い世界は如何なものでしょう。殺風景で寂しそうです。しかし、もしかしたら感情は無い方が良いのかもしれません。というのも、あらゆるトラブルは乱れた感情から発生していると思うからです。とはいえ、感情を自由に表現できる環境は、幸福なことだと感じます。自分の感情に責任を持ち、他者に表現していきたいです。(女性 30代)
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