映画『ゴールデンスランバー』の概要:『ゴールデンスランバー』は、伊坂幸太郎の同名大ヒット小説の映画。身に覚えのない首相暗殺の罪を着せられた男の逃亡劇。主演は堺雅人。監督は、『フィッシュストーリー』の中村義洋。
映画『ゴールデンスランバー』 作品情報
- 製作年:2009年
- 上映時間:139分
- ジャンル:サスペンス、コメディ
- 監督:中村義洋
- キャスト:堺雅人、竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり etc
映画『ゴールデンスランバー』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ゴールデンスランバー』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ゴールデンスランバー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ゴールデンスランバー』 あらすじ【起・承】
仙台で、野党初の首相である金田首相が凱旋パレードを行っている際、ラジコンヘリ爆弾が首相の乗った車を襲撃し、暗殺事件が起こった。
宅配ドライバーとして働く青柳雅春は、ごく普通の男だが、以前宅配の仕事中にアイドルの凛香を救ったことがありちょっとした有名人だった。
事件が起こったころ、青柳は大学時代の友人である森田に釣りに誘われ、久しぶりに再会していた。だが、森田は釣りに行く格好でもなく、動作はどこか落ち着かず怪しい。実は、借金返済に困った森田は、それをチャラにしてもらう代わりに青柳を指定された場所に呼出し、車の中にいるように指示されたというのだ。
森田は、ちょっとした有名人である青柳は、ケネディ暗殺の犯人のように容疑者に仕立て上げられると言い、ここから逃げろと訴える。
あまりの様子に青柳は言う通り車から降りるが、その瞬間警察が現れて取り囲み、森田を乗せた車は爆発した。
全く身に覚えのない首相暗殺に加えて森田殺害の容疑もかけられ、今起こっていることを理解できないまま青柳は逃走する。
映画『ゴールデンスランバー』 結末・ラスト(ネタバレ)
ニュース番組でもこの事件は大きく報道され、青柳の目撃情報も次々と挙がる。警察はどういうわけか、青柳を捕まえるというより見つけた瞬間殺そうとしている。
青柳は大学の頃の友人を頼り逃走し続ける。彼らだけは青柳の無実を信じてくれた。
逃走している最中、青柳はキルオという男に出会う。キルオとは、犯罪オタクで過去に連続通り魔事件を起こしたこともある危険人物だったが、青柳の話を聞くと協力をしてくれた。
その後も元恋人の協力を得ながら逃げ続けるが、キルオの情報である手がかりを得る。
青柳そっくりに整形した男が監視カメラに映っていたというのだ。
このまま逃げていてもどうにもならない。青柳はテレビの生中継で無実を訴えるが、すぐに警察に取り囲まれてしまう。
その時、そこら中から花火などの爆音が響き渡り、警察の目がそらされた瞬間に青柳は逃げ出した。
この後逃走の手助けをしてくれたのはアイドルの凛香だった。青柳は凛香の助けで包囲網が敷かれた仙台市内から抜け出した。
その後、青柳の死体が川から上がったと報道されたが、それは整形した別人だ。
逃走したまま顔を整形し、全くの別人になった青柳はあるエレベーターの中で元恋人・晴子とその娘と乗り合わせる。
娘の七美は、青柳に「たいへんよくできました」のハンコを押してあげた。
映画『ゴールデンスランバー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ゴールデンスランバー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
黒幕不明のエンド
無実の罪を着せられた男が追っ手から逃亡するサスペンスなので、最終的に黒幕が明らかになるのかと思っていたが、何も明らかになることなく終わってしまった。
野党初の首相が暗殺されたことから、彼の存在を良く思わない政治家が黒幕だとか、青柳を執拗に追いかける刑事・佐々木はいかにも悪役のように描かれていたので、警察上層部の陰謀だとか、予想できるところはあるのだが、この黒幕と思われる組織の罪が明らかになることはない。
このラストを観てがっかり……と思うかもしれないが、フィクションならともかく(これはフィクションだが)現実だと大体このようなものだろう。ちゃんと現実的に締めくくったところが素晴らしい。
大物暗殺なんて、それこそケネディ暗殺やリンカーン暗殺など、謎が解けないからこそ面白いのだ。解明されないからこそケネディ暗殺事件やリンカーン暗殺事件は今でも映画の題材になったり、特番で今でも放送されたり、注目を集められるのだと思う。
この映画もそういうところに面白さがある。
細部まで作りこまれている
サスペンスなのに青春っぽく、コメディ要素もかなり強い。青柳が大学時代に教わった「大外刈り」もこの映画上大事な技で、この得意技のせいで青柳がこんなことに巻き込まれたのかと思うと辛いのだが、いかんせん絵的に面白い。
タイトルになっている「ゴールデン・スランバー」は、劇中でも流れているがビートルズの楽曲。この曲が作られた頃ビートルズは解散しそうな時。メンバーがばらばらになった中でポールはこの曲を作ったわけだが、「ゴールデン・スランバー」を直訳すると「黄金のうたたね・まどろみ」といった感じ。サスペンスに似つかわしくない穏やかな曲だ。
実際、危機的状況にありながら劇中でもこの曲を口ずさんだりするのだが、そこから思わせるのは「楽しかったころ」のことだろう。大学時代の回想シーンも度々出てくるように、こういう状況にあってこそ過去の青春が想起させられるのだろう。
誰が犯人なのか、何故こんなことに巻き込まれたのかは正直はっきりとは分かりません。しかし、今作の魅力は意味もわからず逃げ続ける青柳の姿でしょう。
青柳を演じるのは堺雅人。一見頼りなさそうにも見えますが、ドラマ『半沢直樹』で見せてくれたような内に秘めた力強さや頭の良さが今作の青柳というキャラクターにも見られ、知らず知らずのうちに彼のことを応援してしまうでしょう。
自分はやっていないから逃げる必要なんてないのに、逃げないと殺されかねないから逃げるという、理不尽で過酷すぎる状況に終始ハラハラしながら見ていました。(女性 30代)
映画『ゴールデンスランバー』 まとめ
サスペンスとして面白く、青春映画としても感動的でいいストーリーだったが、解せないことがある。タイトルの「ゴールデンスランバー」はビートルズの楽曲で、そこから思い起こされるものがこの映画の一つのテーマであるように思うのだが、その大事な曲をなぜ原曲で流さなかったのかがわからない。劇中で流れたのは斉藤和義のカバー曲だ。せっかくこの曲が作られた当時のビートルズと、メンバーの関係が良かったころを懐かしんで作られたであろう背景を想起させるのに、カバー曲を流されると興がそがれる。
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