この記事では、映画『犯人に告ぐ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『犯人に告ぐ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『犯人に告ぐ』の作品情報
上映時間:117分
ジャンル:サスペンス
監督:瀧本智行
キャスト:豊川悦司、石橋凌、小澤征悦、笹野高史 etc
映画『犯人に告ぐ』の登場人物(キャスト)
- 巻島史彦(豊川悦司)
- 2000年の少年誘拐殺人事件でメディアのやり玉に挙げられ左遷されてしまった警視。
- 曾根要介(石橋凌)
- 元巻島の上司で、川崎連続幼児殺人事件で巻島を再度起用するやり手。
- 植草壮一郎(小澤征悦)
- エリート警視。巻島を快く思わずマスメディアに情報を漏えいする。
- 杉村未央子(片岡礼子)
- キャスター。植草のリーク情報を報道し窮地に追い込む。
映画『犯人に告ぐ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『犯人に告ぐ』のあらすじ【起】
20世紀最後の日の2000年12月31日、神奈川県警の警視である巻島は、警視庁指揮下で6歳児の誘拐事件の捜査に当たっていた。犯人が指定した身代金の受け渡し場所は新宿駅。
誘拐された少年の母親は新宿の次に横浜展示場へ行くよう犯人から指示を受ける。
そこで、母親に接触した人物が現れた瞬間警察がその人物を取り押さえたが、巻島はその直前、不審な人物を発見していた。
その不審人物は警察の取り押さえの様子を見て逃げ出したため、巻島は取り押さえることができず、結局誘拐された少年は後日遺体となって発見された。
事件は警察のミスで最悪の結末を迎えたとされ、巻島がマスコミへの記者会見に駆り出された。彼は、県警の曽根刑事部長から警察側は何もミスしていないと主張するよう指示を受け記者会見に臨む。
会見の場でマスコミから激しい批判を受けた巻島は怒りで理性を保つことができず、暴言を吐いてしまったことで足柄署へ左遷されることとなってしまった。

映画『犯人に告ぐ』のあらすじ【承】
巻島が足柄署へ左遷されてから6年後、一方の県警の曽根は組織のトップである本部長となっていた。巻島は曽根から連絡を受け、ある指令を受けた。その指令とは、「BADMAN」と名乗る犯人が川崎で起こしている3件の連続児童殺害事件の捜査責任者としてテレビに出演し、犯人を挑発するという内容だった。
巻島は曽根から提案された大胆な捜査方法に関心を示し、犯人にボロを出させるべく曽根の指令に従うことにする。かつて自分がマスコミから激しい挑発を受け激高してしまったように、今度はメディアの力を逆に利用して犯人を追い詰めようというのだ。
テレビに出て犯人に語りかける巻島だったが、最初は犯人とのコンタクトを途切れさせないために共感しているかのような発言をしていたため、世間からは犯人を擁護しているのかと非難が殺到した。
警察への苛烈な批判も手伝い、視聴率は上がり大量に届くBADMAN名義の手紙の中でついに公開されていない捜査情報が記載された有力な手紙が届く。
映画『犯人に告ぐ』のあらすじ【転】
本物の犯人かもしれない手紙が見つかったということで、巻島はさらなる挑発をテレビから投げかける。
しかし、この様子を見ていたエリート警視の植草壮一郎は、巻島の活躍を快く思っていなかった。そこで植草は知り合いの落ち目のアナウンサーである杉村未央子に、巻島がBADMANから送られてきた手紙を自らねつ造しているという情報を流してしまう。
巻島のねつ造疑惑はすぐさま報道され、さらに6年前の事件の際、巻島の記者会見で起こしてしまった失態の件も取り沙汰されたことで巻島はテレビ番組を降板させられることとなった。
そんな中、事件解決の大きな決め手となるBADMANの3通目の手紙が発見される。その手紙が出されるとき、犯人はトラブルに巻き込まれて手紙を落としてしまっており、その結果差出人の境地を絞り込むことができたのだった。
このチャンスを捨て置けず、巻島は半ば強引にテレビに出演してBADMANへ語り掛ける。
お前はもう逃げられない、今夜は震えて眠れと。
映画『犯人に告ぐ』の結末・ラスト(ネタバレ)
特定した地域での捜査が開始される。警察は犯人のものと思われる掌紋をすでに入手しているということで、巻島は地域住民にしらみつぶしにコンタクトをとっていくローラー作戦を使い犯人を捜していく。
捜査の対象は掌紋そのものではなく掌紋照合を拒否した人間と、えんじ色とカーキ色を間違えている者である。犯人は手紙でえんじ色とカーキ色を混同するというミスを犯していたのだ。実は警察が入手したと発表した掌紋はブラフで、捜査に使っていた掌紋は曽根のものである。
巻島の罠にはまった犯人の正体は、手を骨折していると主張していた予備校生であった。
また、6年前の少年殺害の犯人は自室で自殺をしていた。
そんな折、巻島の息子が誘拐されてしまう。誘拐犯は6年前の事件で亡くなってしまった少年の父親の桜川夕起也だった。巻島は息子を助けようとしたところで刺されてしまうが一命を取りとめ、桜川を庇おうとしていたが、結局桜川は自首をし、一連の事件は終幕を迎えた。
映画『犯人に告ぐ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
巻島が最後のテレビ出演で犯人に語り掛ける、「今夜は、震えて眠れ」というセリフは、このシーンのための映画と言っても過言ではないと思っている。豊川悦司だからこその貫禄や迫力のあるシーンだった。犯人を追い詰めていく過程でのテレビを使った「劇場型捜査」は非常に面白いアイデアながら、本作では一貫して警察内部やマスメディアの足の引っ張り合いにクローズアップされていた。今度同じ手法で警察の優秀さを際立たせられる作品も観てみたいと感じさせられた。(MIHOシネマ編集部)
終始重苦しい空気感の中、ラストまで緊張感が途切れず圧倒されました。テレビを利用して犯人と対峙するという斬新な設定が面白かったです。最終的に真犯人が予想外の人物だった点も衝撃。やや地味な展開ですが、骨太なサスペンスが好きな人には刺さる一本です。(20代 男性)
ドラマ版も観ていましたが、映画版はよりシリアスで見応えありました。主演のトヨエツ(豊川悦司)がとにかく渋くてかっこいい。人間の弱さや正義感の揺らぎが丁寧に描かれていて、単なる刑事ものに留まらない深さがありました。静かな衝撃が残る作品。(30代 女性)
映像の色味や空気感がとても重く、独特の緊張感に引き込まれました。捜査の中で見えてくるマスコミの問題点や、正義のあり方にも鋭い視点を感じました。エンタメ性よりもリアリティを重視した作りが好印象。後半の畳み掛ける展開は鳥肌ものでした。(40代 男性)
犯人とのやり取りをテレビを通じて行うというアイデアが斬新でした。展開は地味ですが、その分リアルで説得力がありました。特に、周囲の圧力に負けそうになりながらも信念を貫こうとする主人公の姿に胸を打たれました。心に残るサスペンス映画です。(50代 女性)
若干テンポが遅く感じる部分もありましたが、逆にそれがリアルさと緊張感を高めていました。人間ドラマとしても深みがあり、ただの警察ドラマとは一線を画す仕上がり。真犯人が身近な存在だったのも怖かったし、社会の闇を感じさせるラストが印象的でした。(20代 女性)
テレビを利用するという手法は今観ても新鮮で、マスコミと警察の関係性がリアルに描かれている点が良かったです。主人公が追い詰められる中でもブレずに行動し続ける姿がかっこよかった。犯人との心理戦にハラハラしながら見入ってしまいました。(30代 男性)
犯人を煽るようなメディア戦略に違和感を覚えつつも、それが物語を面白くしていました。正義とは何か、誰のための捜査なのかを考えさせられる内容でした。クライマックスの緊迫感はかなりのもので、最後まで集中力を切らさずに見られる映画です。(40代 女性)
トヨエツ演じる主人公が、マスコミと世論に翻弄されながらも正義を貫こうとする姿勢に胸を打たれました。捜査が迷走していく様子や、警察内部の軋轢もリアルに描かれていて見応えあり。結末には苦味もありますが、しっかり心に残る作品でした。(50代 男性)
予告編からは想像できないほど、静かでじわじわと緊張が高まる展開でした。事件の裏にある人間の業の深さがテーマになっていて、単純な勧善懲悪では終わらないところが良かったです。人間ドラマ好きにもオススメできる骨太なサスペンス映画です。(10代 女性)
映画『犯人に告ぐ』を見た人におすすめの映画5選
64-ロクヨン- 前編・後編
この映画を一言で表すと?
「未解決事件に翻弄される刑事たちの苦悩と執念を描いた重厚サスペンス」
どんな話?
昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件「ロクヨン」。未解決のまま14年が過ぎたある日、新たな誘拐事件が発生し、過去の事件と交錯していく。記者クラブとの対立や警察内部の葛藤も絡み合い、静かに緊張感が高まる物語です。
ここがおすすめ!
骨太なストーリーとリアルな人間描写が秀逸。佐藤浩市の鬼気迫る演技が圧巻で、正義とは何かを深く問いかけます。『犯人に告ぐ』の空気感が好きな人には、間違いなく刺さる社会派サスペンスです。
クライマーズ・ハイ
この映画を一言で表すと?
「一つの事故を巡る記者たちの生き様を描いた、熱き報道ドラマ」
どんな話?
日本航空123便墜落事故を題材に、地方新聞記者たちが極限の中で真実を追い求める姿を描く。組織内の対立、上層部との圧力、記者たちの葛藤が重なり合いながら、壮絶な人間ドラマが展開します。
ここがおすすめ!
報道に対する矜持と、組織に生きる人間の苦悩がリアルに描かれていて見応え抜群。『犯人に告ぐ』同様、静かな緊張感と人間ドラマを堪能したい人に強くおすすめできる一作です。
模倣犯
この映画を一言で表すと?
「社会を挑発する悪意に翻弄される人々の姿を描いた衝撃作」
どんな話?
連続殺人事件の裏で暗躍する謎の人物。警察とマスコミが振り回される中、真犯人の目的が少しずつ明らかになっていく。圧倒的なスケールと深いテーマ性で、人間の闇を描き出します。
ここがおすすめ!
悪意そのものをテーマにした重たい作品ですが、観終わった後に深い余韻が残ります。社会派サスペンスが好きな人、『犯人に告ぐ』のシリアスな雰囲気を楽しめた人には刺さること間違いなし!
22年目の告白-私が殺人犯です-
この映画を一言で表すと?
「告白本を出した“元殺人犯”を巡る、予測不能なサスペンス」
どんな話?
未解決連続殺人事件の犯人を名乗る男が、自ら事件を暴露した本を出版し、社会を騒がせる。彼は本当に犯人なのか、それとも別の目的があるのか。真実に迫る刑事との緊張感ある駆け引きが展開します。
ここがおすすめ!
ラストに向かう怒涛の展開が圧巻!人間心理の裏をかくストーリー展開も見事で、ぐいぐい引き込まれます。『犯人に告ぐ』の犯人との心理戦が面白かった人には、絶対にハマる一本です。
MOTHER マザー
この映画を一言で表すと?
「一人の母親と息子の歪んだ愛情が引き起こす、衝撃の実話ベースドラマ」
どんな話?
息子を歪んだ愛情で縛り付け、犯罪へと追い込んでいくシングルマザー。彼女と息子の狂気的な関係を、リアルかつ冷徹に描いた作品。社会から取り残された親子の悲しい結末へと向かっていきます。
ここがおすすめ!
長澤まさみがこれまでにない衝撃的な役柄を熱演。善悪では語れない人間ドラマの深さに圧倒されます。『犯人に告ぐ』の重苦しいリアリティに惹かれた人に、ぜひ観てほしい強烈な一作です。
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