映画『犯罪の女王』の概要:判事を目指す息子の下宿屋から、高額な水道代の請求がきたことで、お節介な母親がソウルへとやって来る。周囲を巻き込み、なぜ高額になったのかを調べるうち、問題は殺人事件へと繋がっていくのであった。
映画『犯罪の女王』の作品情報
上映時間:103分
ジャンル:コメディ、サスペンス
監督:イ・ヨソプ
キャスト:パク・チヨン、チョ・ボクレ、キム・デヒョン、ホ・ジョンド etc
映画『犯罪の女王』の登場人物(キャスト)
- セン・ミギョン(パク・チョン)
- 美容院を営む女性で、人懐っこく誰とでも友達になる。イクスを女手一つで育てるも、息子には煙たがられている。お節介な面がある。
- ゲーテ(チョ・ボクレ)
- B101号室に住む管理事務所の下っ端。天涯孤独の身で優しい面はあるも切れやすく、すぐに暴力に訴える。ミギョンと行動を共にすることで、信頼を深める。
- イ・イクス(キム・デヒョン)
- ミギョンの息子だが、母親を嫌っている。404号室に居住。試験のことばかりで常に苛々してばかりいる。
- カン・ハジュン(ホ・ジョンド)
- 403号室の浪人生で10試。冴えない青年だが、結婚指輪をしており部屋にいつもいない。良い大学を卒業するも、司法試験に失敗。妻と階下の303号室の青年を殺害している。
- オ・ドック(ペク・スジャン)
- 301号室の浪人生。メガネをした青年で、独自に人間ロジックを考案し、超集中力を養おうとしている。人見知りをせずとても親切。実は金持ちの息子。
- ジンスク(イ・ソム)
- 402号室に住む引き籠りの女性。ゲーテとは犬猿の仲で、いつもドア越しに口喧嘩している。警察署長の娘で警察試験に合格するまで、戻って来るなと言われている。
映画『犯罪の女王』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『犯罪の女王』のあらすじ【起】
美容院を営むセン・ミギョンは1児の母。息子のイ・イクスは現在、ソウルにて判事を目指し勉強中だった。
そんなある日、ミギョンの元にイクスから水道代として120万ウォン送って欲しいと連絡がくる。一カ月の水道代が120万ウォンもするなど、聞いたことがない。近所の食事処でも月20万ウォンだ。何らのトラブルを察したミギョンは、思い立って息子がいるソウルへと向かうことにした。
イクスは古くて安い下宿屋の404号室に住んでいる。部屋の扉には管理費滞納時、強制退去させるという赤紙が貼ってあったが、息子本人はいたって元気な様子。そして、イクスには管理費として確かに120万ウォンの請求書が届いていた。
美容院の管理費だって月5万ウォン程度である。あまりにも高額過ぎやしないだろうか。ミギョンは煩わしそうな息子の態度に臆することなく、2日ほどの滞在日数を設けることにした。
司法試験まであと4日。イクスは判事ではなく弁護士になる道を選んだようだ。
その朝、息子を送り出したミギョンは下宿屋の前で301号室に住む浪人生オ・ドックと遭遇。彼から管理事務所の場所を聞いて怒鳴り込んだ。
しかし、管理事務所にはまるでヤクザのような男達がいて、404号室と403号室の水道は共用なのだと言われる。ミギョンは403号室の住人の連絡先をもらい部屋へ。水道メーターを専門家に見てもらったら、メーターが100万ウォン以上回るのは10年に1度とのこと。彼女は全室の住人へ水道代についての手紙を出した。
息子のために何かをしてあげたい母親だったが、イクスは試験前のせいかミギョンには冷たい。しょんぼりして下宿先へ戻ると、管理事務所の連中が何かを運んでいる場面に遭遇。彼女は身を隠し、連中が何をしているかを探ることにした。奴らは荷物を備品倉庫へ運んでいる。ミギョンは思い切って扉を開けたが、現れた管理事務所の青年ゲーテに驚いて思わず殴ってしまう。
そこへ、たまたま居合わせた警察官が2名。ミギョンが通報したわけではないのに厄介なことに。
映画『犯罪の女王』のあらすじ【承】
備品倉庫の中では、連中が小遣い稼ぎで学生に売りつける怪しい飲み物を作っていたが、詳細は何てことない、ただの水とビタミン剤である。ミギョンは無抵抗のゲーテを殴ってしまったことで、警察署に連行されてしまう。
彼女には無許可で美容整形を行ったとして前科があった。そのせいで、益々疑われてしまうが、身元引受人としてイクスがやって来る。
ミギョンは勉強の邪魔をしたとして、息子にこっぴどく叱られてしまう。
試験まであと3日。イクスの部屋から追い出されたミギョンは、ゲーテが住むB101号室へ移動。親がいないというゲーテに朝食をご馳走し、少しだけ仲良くなる。2人は403号室を訪ねるも、やはり留守。ゲーテは優しい面を持っているが、すぐ暴力的になるため、ミギョンは彼を叱りつつドックに相談することにした。
403号室の人は2次試験に10回も落ちていると言う。故に10試と呼ばれており、遺物と名高い。ミギョンはゲーテと共に幾つもの場所を探し、ネットカフェで403号室に居住するカン・ハジュンを発見。彼が結婚指輪をしていたので、夫婦で住んでいると思ったミギョンは水道代を3分の2払って欲しいと交渉するも、彼は飽くまでも1人暮らしだと言い張る。そして、試験前を言い訳に逃げられてしまうのであった。
402号室には女性ジンスクが住んでいて、ゲーテ曰く引き籠りらしい。彼と彼女は犬猿の仲なので、ミギョンが1人で訪ねてみることにした。食事の時間を狙って扉が開くのを待ち伏せし、話を聞くことに成功。ジンスクは今から1カ月程前の夜、403号室の部屋から血が流れ出てくるのを目撃している。その時、ハジュンと会ったが、彼は浴槽からお湯が溢れたと言い訳していたらしい。
映画『犯罪の女王』のあらすじ【転】
ミギョンは再び管理事務所へ向かい、403号室の鍵を貸してもらうよう直訴したが、連中は話を聞いてもくれない。彼女は腹を立てながら下宿屋へ戻ろうとしたが、途中で通りかかったドックからハジュンが帰宅したことを聞き、403号室へ向かった。
ハジュンと会ったミギョンは、玄関に女性物の靴を発見。やはり、2人暮らしなのではないかと問い質した。しかし、彼もまた喧嘩腰で1人暮らしを強調。そこで、1カ月前に浴槽から湯を溢れさせたことを告げると、それは素直に認めてくれたので、金額の交渉へ移ろうとした。しかし、そこへイクスが通りかかってしまい息子に捕まってしまうのだった。
イクスは母親の行動でこれ以上、恥をかきたくないと思っている。いい母親面はもうやめろと怒鳴られてしまったミギョン。強い言葉が胸に刺さり、項垂れてしまう。
試験まであと2日。ミギョンは水道代を諦めて払うことにした。管理事務所へ行き支払いを済ませたが、半分が戻ってくる。どういうことかと聞くと、ハジュンが使った分は払うと言って支払いを済ませたのだと言う。彼女は別の疑問を思い浮かべたが、これ以上は息子の迷惑になると思い、予定通り帰ることにした。
最後に息子の姿を見て帰ろうとしたミギョンだったが、予備校の受付で騒ぐ女性を発見。彼女とは確か、管理事務所でも会ったはずだと思い出したミギョンは、女性からどの部屋の母親なのかを聞き出した。
すると、女性は303号室の男性の母親だと言う。そういえば、ジンスクが303号室の住人が突如、行方不明になったと言っていた。部屋は403号室の下で、音に非常に敏感な青年だったらしい。
ミギョンはゲーテの部屋へ向かい、彼と交渉して10万ウォンで協力を得る。恐らく、403号室には同居人がいたはずだ。更に303号室の住人も一緒に姿を消した。これはもしかして、殺人事件なのではないか。ミギョンはゲーテに403号室の合鍵を密かに持って来るよう頼んだ。
映画『犯罪の女王』の結末・ラスト(ネタバレ)
試験まであと1日。ゲーテが上手く403号室の合鍵をゲットしたので、2人で部屋へ侵入。家探しの結果、浴室の排水溝で女物の結婚指輪を発見する。部屋には妻と思われる女性との写真も飾られていた。
2人は更に家探しを続行。ドックからハジュンが帰宅すると連絡があるも、逃げ遅れてしまう。どうにか浴室の影に隠れ、見つからずに済んだ。ハジュンが寝入った頃を見計らい、2人は慎重に部屋を脱出。証拠を持って移動を開始したが、運悪くイクスに発見されてしまう。
試験の前日であったため、イクスは血管が切れそうなほどに怒り狂っている。ミギョンは下宿屋で殺人があったことを告白したが、聞き入れてもらえず。イクスは人の生き死によりも、試験が大事だと言うが、そんなことでは立派な法律家になれないのではないか。母親は息子にそう言い捨て、部屋から飛び出すのであった。
その少し前、ゲーテの前にハジュンが現れる。彼は部屋の合鍵を手に詰め寄り、ナイフでゲーテに襲いかかった。
イクスの部屋から飛び出して来たミギョンはゲーテの部屋へ向かったが、そこで満身創痍の彼を発見。ゲーテはミギョンの背後から襲い来るハジュンから彼女を守り、刺されてしまう。驚愕で固まるミギョンだったが、そこへイクスが駆け付け母を守ってくれるのだった。
そんな息子のピンチにミギョンは隠し持っていた美容整形用の注射で反撃。相手を怯ませ息子を救出するも、激情に駆られたハジュンがナイフを翳してミギョンへと突進して来る。イクスは咄嗟に母を守ろうと彼女を庇ったが、そんな息子を助けるべく母親はナイフを手づかみで止めるのだった。
母強し。ミギョンの気迫に負けたハジュンは、次第に脱力。そこへ、イクスが事前に通報していた警察が駆け付け、とうとう逮捕されるのであった。
じきに夜明け。イクスはその日、試験を受けるはずだったが、事情聴取のために諦めろと警察に言われる。そのため、ミギョンは必死に後にして欲しいと頼むも、聞き入れてくれず。困っていたところへ、警察署長の娘ジンスクが現れ手助けしてくれた。
ミギョンはドックから車を借りてイクスを試験会場へ。閉門ぎりぎりで、送り届けることに成功する。
その後、助かったゲーテはミギョンの元に身を寄せ、美容師としての修行を開始。今回の事件で彼女にはイクスの他に、ゲーテというもう1人の息子を得るのであった。
映画『犯罪の女王』の感想・評価・レビュー
お節介な母親が息子の異変を察知し、息子の元へ向かい殺人事件を解決してしまうという内容。
中盤くらいまではとにかく母親の存在が酷く煩わしく、息子の気持ちがとても良く分かったが、中盤以降から事件の匂いがし始めると全く別の印象に変わる。後半では母親の存在をとても頼もしく感じたし、息子を守るという母親の強さをも見せるので面白く感じた。故に、中盤まで頑張って見れば後半は安心して見られるという感じだった。(女性 40代)
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