この記事では、映画『ヘレディタリー/継承』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。
- 映画『ヘレディタリー/継承』の作品情報
- 映画『ヘレディタリー/継承』の登場人物(キャスト)
- 映画『ヘレディタリー/継承』のネタバレ・あらすじ(起承転結)
- 映画『ヘレディタリー/継承』の考察・解説(ネタバレ)
- 映画『ヘレディタリー/継承』のトラウマシーンはどんなものであるのか?
- 映画『ヘレディタリー/継承』は、なぜつまらないと思われているのか?
- 映画『ヘレディタリー/継承』の犬の存在の意味についての考察
- 映画『ヘレディタリー/継承』でなぜ父親は死んだのか?
- 映画『ヘレディタリー/継承』では、どのような怖いシーンがあるのか?
- 映画『ヘレディタリー/継承』の中で人が燃える現象についての解説
- 映画『ヘレディタリー/継承』に登場する地獄の悪魔ペイモンとは?
- 映画『ヘレディタリー/継承』に気まずいシーンがあるのか?
- 映画『ヘレディタリー/継承』には、笑えるシーンがあるのか?
- 映画『ヘレディタリー/継承』では、なぜチャーリーは無表情なのか?
- 映画『ヘレディタリー/継承』はどこで見れる?フルで無料視聴する方法は?
映画『ヘレディタリー/継承』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 2018年 |
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上映時間 | 127分 |
ジャンル | ホラー |
監督 | アリ・アスター |
キャスト | トニ・コレット アレックス・ウォルフ ミリー・シャピロ アン・ダウド |
製作国 | アメリカ |
映画『ヘレディタリー/継承』の登場人物(キャスト)
- アニー・グラハム(トニ・コレット)
- グラハム家の母親。ミニチュアの仕事をしている。解離性同一性障害を持つエレンという母がいる。エレンとの仲は悪かったが同居していた。
- スティーブン・グラハム(ガブリエル・バーン)
- アニーの夫。物静かで理解力がある。
- ピーター・グラハム(アレックス・ウォルフ)
- グラハム家の長男。夢遊病を持つアニーから殺されそうになったことで、アニーと不仲になってしまった。
- チャーリー・グラハム(ミリー・シャピロ)
- グラハム家の長女。祖母のエレンとは仲が良かったが、同年代の友達はいない。独特の雰囲気を持っており、スケッチブックを持ち歩いている。
映画『ヘレディタリー/継承』のネタバレ・あらすじ(起承転結)
映画『ヘレディタリー/継承』のあらすじ【起】
ミニチュア製作の仕事をするアニー・グラハムの母エレンが78歳で亡くなった。解離性同一性障害を持つエレンは変わり者で、認知症も併発していたことから家族との仲はあまり良いとは言えなかった。葬式の参列者はアニーの知らない人ばかりで、やはり変わった人も多かった。
アニーには夫のスティーブンと息子のピーター、娘のチャーリーがいた。エレンは他人に干渉して操るような性格だったため、アニーは関わり合いを持ちたくなかった。だが、エレンを放っておく訳にもいかない。彼女を大人しくさせておくには代償が必要だ。アニーはピーターにはエレンを近づけたくなかったので、仕方なくチャーリーを差し出すことにした。
エレンは大喜びし、チャーリーを我が子のように可愛がった。チャーリーも祖母と良好な関係を結んでいたが、エレンの死後、アニーは娘にしてしまったことをひどく後悔していた。
葬式が終わり、エレンの遺体は墓地へと埋葬されたが、何日もしないうちに何者かが墓を荒らし、遺体が盗まれるという事件が発生する。スティーブンはこの話を知ればアニーに良くない影響があると考え、伝えないことにした。
ある夜、友達の家で開かれるパーティに誘われたピーターは、学校の仲間とバーベキューをすると嘘をついてアニーに車を借りる。しかし、チャーリーも連れていくように言われてしまい、仕方なく連れていくことになった。友人宅にやってきたピーターはチャーリーを階下に残してマリファナを吸おうとした。ところが、チャーリーがケーキに入ったナッツでアレルギー反応を起こしてしまう。
焦ったピーターはチャーリーを車に乗せ病院へと急いだ。だが途中、道の真ん中で鹿が死んでおり、それを避けようとしたことで大変なことが起こる。呼吸困難に陥っていたチャーリーは新鮮な空気を吸おうと窓の外に顔を出していたのだが、鹿を避けようとした際、電柱にぶつかり頭を吹き飛ばされてしまったのだ。
あまりの出来事に呆然とするピーターだったが恐怖に混乱した結果、何事も無かったかのように車を走らせて家へと帰ってしまう。
映画『ヘレディタリー/継承』のあらすじ【承】
翌日、チャーリーの遺体が発見された。娘の死を知ったアニーは大号泣し、以前にも増して落ち込みナーバスになっていった。彼女はエレンの死後、自助グループの会に顔を出していたが、そこでジョーンという女性と出会う。彼女も子供と孫を失っていた。ジョーンは話し相手が欲しいなら連絡をくれと電話番号をアニーに渡した。
後日、ジョーンの家を訪ねたアニーは、彼女に悩みを打ち明けた。実はアニーは夢遊病者で、自分の知らないところで勝手な行動を取ることがあった。そのことでピーターとは不仲になってしまっていた。ある晩、彼女が自分でも気づかぬうちに子供たちと共に焼身自殺を図ろうとしたことがあり、それが原因でピーターから距離を置かれていると彼女は吐露した。
スティーブンはアニーがミニチュアでチャーリーの事故現場を再現しているのを見て顔をしかめた。彼は心配して夕食を作ったが、その席でアニーとピーターが口論を始め、アニーは今まで我慢していた思いを大声で喚いてしまう。
仕事の備品を買いに出た際、ジョーンと出くわしたアニー。ジョーンは以前とは比べ物にならないほど明るくなっていた。彼女は、ある霊能力者に出会って全てが変わったのだと説明した。自宅に招かれたアニーは、ジョーンと共に降霊術を試してみる。孫の霊が呼び出され、手を乗せたグラスがひとりでに動いたのを見てアニーは驚愕した。怖くなったアニーはその場を去ろうとするが、ジョーンは彼女を引き留め、降霊術のやり方を教えた。最後にジェーンはこう言った。チャーリーの命は奪われたのではない、彼女は死んでいない、と。
映画『ヘレディタリー/継承』のあらすじ【転】
ジョーンから降霊術のやり方を教わったアニーは、深夜、寝ていたスティーブンとピーターを起こし、チャーリーを呼び出したいと言いだす。二人は辛い過去を思い出すのは嫌だったが、仕方なく半信半疑で付き合うことにした。ところが、アニーの言葉に反応しグラスが動いたことで二人は凍りつく。アニーは全てチャーリーがやっているのだと声高に語った。
降霊術のせいでチャーリーを思い出したピーターは、次第に気分が悪くなりやめたいと言いだす。しかし、アニーはやめようとしない。そのうちアニーは不気味な唸り声を上げ始め、遂にはチャーリーそっくりの声でしゃべり始めた。危険を感じたスティーブンはアニーに水を浴びせて意識を取り戻させる。
スティーブンはピーターを心配してアニーを責めたが、憑依されていた時の記憶がない彼女は苛立ちを募らせるばかりだった。その夜、ピーターは自室でチャーリーらしき姿を目撃する。と同時に、何者かに首を絞められた。その犯人はアニーだったが、彼女は自分がしたとは憶えていないようだった。
チャーリーが肌身離さず持っていたスケッチブックには、ピーターの顔がいくつも描かれていた。不安に思ったアニーはそれを焼いてしまうと試みるが、スケッチブックを燃やそうとすると自分の体にも火がつくという不思議な現象に見舞われる。
エレンの私物を漁ったアニーは、ジョーンがエレンと知り合いだということに気がついた。エレンはどうやら“地獄の王ペイモン”を呼び出そうと考えていたようで、復活のためには男の肉体が必要不可欠だと記載されていた。
屋根裏を調べたアニーは、そこに首のないエレンの遺体を発見する。その頃、授業を受けていたピーターは見えない何者かによって机に顔をぶつけられ、鼻の骨を折ってしまった。スティーブンはピーターを迎えに行き自宅へと戻ったが、待っていたのは興奮したアニーの姿だった。
アニーは屋根裏の遺体を見せ、全てを説明した。チャーリーの降霊術をした時に何かが起き、彼らはピーターを狙っているのだと。ピーターを守るためにはスケッチブックをなんとかしなくてはならないのだとアニーは強調した。
映画『ヘレディタリー/継承』の結末・ラスト(ネタバレ)
アニーは自分ではやる勇気が無いからと、代わりにスケッチブックを暖炉に投げ込んで燃やしてほしいとスティーブンにお願いする。だが、彼女の言うことを信じられなかったスティーブンは警察に連絡すると言いだした。それではダメだと感じたアニーは、自らの手でスケッチブックを暖炉に投げ込んだ。しかし、一緒に燃えだしたのはアニーではなくスティーブンのほうだったのだ。
目を覚ましたピーターは家を探索し、焼け焦げたスティーブンを発見して驚愕する。そこへ憑依されたアニーが飛びかかってきた。大急ぎで屋根裏へと逃げたピーターだったが、そこにはペイモン復活のための儀式の準備が成されていた。
不気味な音に振り返ったピーターは、空中で自らの首を切り落としているアニーを発見する。他にも屋根裏には太古の時代からの霊が集まってきていた。恐怖を覚えたピーターはその場から逃げたい一心で窓を突き破って飛び降りてしまう。
動かなくなったピーターに一筋の光が舞い降りてきた。それはチャーリーの魂だった。ピーターの体に憑依したチャーリーは、お気に入りだったツリーハウスへと向かう。そこには首の無いエレンとアニーの遺体と共に、ペイモンを崇拝していた霊たちが彼を模った偶像に対して頭を垂れていた。男の肉体を得たチャーリーは8人存在する地獄の王の一人ペイモンの王位を継承し、霊たちは口々に歓喜の声を上げたのだった。
映画『ヘレディタリー/継承』の考察・解説(ネタバレ)
映画『ヘレディタリー/継承』のトラウマシーンはどんなものであるのか?
『ヘレディタリー/継承』の中で最もショッキングで「トラウマシーン」と呼ばれるシーンは、チャーリーが交通事故で亡くなる場面です。このシーンでは、兄のピーターが妹のチャーリーを車で病院に運ぼうとしますが、アレルギー反応で息ができなくなったチャーリーが、外の空気を吸おうと車の窓から頭を出した瞬間、ピーターが急いで運転している途中で、不運にも電柱に頭をぶつけ、即死してしまいます。
このシーンには、観客に強烈な衝撃を与える要素がいくつも含まれています。まず、予期せぬ形でのチャーリーの突然の死が、視覚的にもショッキングであり、物語の流れを一変させる決定的な瞬間となっています。さらに、事故後のピーターの行動にも注目が集まります。彼は事故の真相を理解しながらも、そのまま家に帰り、何事もなかったかのようにベッドに入ります。ピーターは心の奥底で起きた出来事を認識していながら、恐怖とショックのあまり何もできず、事故を放置してしまうのです。
翌朝、母親のアニーがチャーリーの遺体を発見するシーンも、観客にとって非常に辛いものです。母親の絶叫と、娘の死を受け入れられない家族の反応が、この先の物語を通して続く悲劇とトラウマを深く印象付けます。このシーンは、単なるホラー映画の一場面を超えて、家族の喪失と精神的な崩壊を描く重要な場面として、観る者の心に強く残るのです。
映画『ヘレディタリー/継承』は、なぜつまらないと思われているのか?
『ヘレディタリー/継承』を「つまらない」と感じる人がいる理由には、いくつかの要因が考えられます。まず、この映画のペースが非常にゆっくりしていることが挙げられます。物語の展開が緩やかで、スリリングな展開やびっくり仰天のシーンを期待していた観客にとっては、退屈に感じられる可能性があります。この映画は、恐怖を直接的に見せるのではなく、じわじわと緊張感を高めながら、心理的な不安や恐怖を積み重ねていく手法を用いています。
また、物語全体が非常に暗く重いテーマを扱っているため、観る人の気持ちが沈んでしまうことも多いでしょう。家族の崩壊や死、精神的な混乱といった要素が描かれるため、観客も感情的に引き込まれますが、その一方で、その深刻さゆえに「楽しめない」と感じる人もいるかもしれません。特に、チャーリーの事故のシーンや、その後の家族の悲しみと葛藤は、非常に重たい内容です。
さらに、この映画は超常現象的な要素と現実的な心理ドラマが入り混じっているため、どちらに焦点を当てて楽しめばいいのか分からないと感じる観客もいるでしょう。映画の前半は家族の問題を中心に描かれますが、後半になると悪魔崇拝や超自然的な展開が前面に押し出されます。この唐突な方向転換が、一部の観客には違和感を与え、映画全体が「つまらない」と感じられる原因となっているのかもしれません。
映画『ヘレディタリー/継承』の犬の存在の意味についての考察
『ヘレディタリー/継承』に登場する犬は、一見すると物語の中で大きな役割を担っていないように思えますが、その存在は家族の状況や物語全体を象徴していると考えられます。犬は家族の中ではあまり目立たない存在ですが、重要なシーンで登場することが多いのです。
犬の存在は、家族の安定や日常生活を表している可能性があります。犬が登場するシーンでは、家族がまだある程度の平穏を保っていることが多く、家族が崩壊していく過程で徐々に犬の姿が見られなくなっていきます。また、犬は人間社会において「忠実さ」や「保護者」の象徴でもあり、家族を守る存在とも捉えられます。しかし、この映画の中では、家族が悪魔崇拝や呪いの力に飲み込まれていくにつれ、犬もその運命に巻き込まれていくように描かれています。最終的に、犬の存在感は薄れ、物語の恐怖と混乱が深まるにつれて、犬の「守護者」としての役割が失われていくのです。
さらに、犬の登場は観客に一時的な安心感を与える効果もあります。犬が姿を見せるシーンでは、家族の日常生活が描かれることが多いのですが、それが徐々に恐怖や不安に取って代わられていきます。このコントラストによって、観客はより強い不安感を抱くようになるのです。
映画のラストシーンでは、犬の存在はほとんど完全に消え去っており、それは家族の崩壊が決定的になったことを示唆しています。つまり、犬は映画全体を通して、家族の状況を暗示する重要な存在として機能しているのです。
映画『ヘレディタリー/継承』でなぜ父親は死んだのか?
『ヘレディタリー/継承』で父親のスティーブが死亡するシーンは、物語のクライマックスに向けての重要な転換点となっています。彼が命を落とした理由は、家族を襲う超自然的な力が強まり、ついにスティーブもその影響を受けたためです。この映画では、悪魔崇拝や呪いといった要素が物語の中心となっており、家族全員がこの呪いに巻き込まれていくのです。
スティーブは、映画全体を通して家族の中で最も現実的な視点を持つキャラクターであり、超自然的な出来事に対して懐疑的な態度を取っています。彼は、妻のアニーや息子のピーターが感じている不安や恐怖を完全には信じようとせず、家族を守ろうと努力しますが、最終的には彼自身も避けられない運命に飲み込まれてしまうのです。
スティーブの死の直接的な原因は、アニーが持っていた火のついたノートが突然燃え上がり、彼が炎に包まれたことです。この現象は、アニーが行った儀式や呪いが引き金となったと解釈できます。スティーブはアニーがノートを燃やそうとするのを止めようとしますが、結果的にそれが彼の死を招いてしまいます。このシーンは、アニーが無意識のうちに家族を破壊しつつあること、そして彼らが運命から逃れられないことを象徴的に表現しています。
スティーブの死は、家族の崩壊が避けられないものであることを示すと同時に、物語の悲劇的な結末へと向かう大きな転換点ともなっています。また、彼の死は、悪魔の力が家族全員を支配しつつあることを強調する出来事の一つでもあるのです。
映画『ヘレディタリー/継承』では、どのような怖いシーンがあるのか?
『ヘレディタリー/継承』には、視覚的にも心理的にも恐怖を感じさせる数多くの怖いシーンが登場します。この映画は、恐怖を直接的に見せるのではなく、じわじわと緊張感を高めながら、観客の不安や恐怖心を煽っていくスタイルを取っています。
まず、最もショッキングなシーンの一つとして、チャーリーが交通事故で亡くなる場面が挙げられます。彼女が車の窓から頭を出した瞬間に電柱にぶつかり、突然命を失うシーンは、予想外の展開で衝撃的です。この出来事は物語の流れを大きく変え、観客に強い不安感を与えます。
次に、母親のアニーが自分の部屋で遭遇した母の幽霊や、ピーターが学校で経験した自分の顔が歪んで見える幻覚なども、不気味で印象的なシーンです。これらのシーンは、家族が呪いや悪魔の力に取り憑かれていることを示唆しており、視覚的な恐怖を通じて、徐々に家族の崩壊が描かれていきます。
また、映画の後半では、アニーが天井を這うシーンや、斧で自分の首を切り落とすシーンなども非常に衝撃的です。これらの場面では、物理的な恐怖と超自然的な力が融合しており、強烈なインパクトを与えます。アニーが自ら体を傷つける様子や、彼女が悪魔に支配されている状態が、物語全体の恐怖感を高めているのです。
さらに、家族が悪魔崇拝のカルトに巻き込まれていることが明らかになると、物語はさらに不気味さを増していきます。映画全体を通して、怖いシーンは単に驚かせるためだけのものではなく、家族の精神的な崩壊や超自然的な力による支配を強調する重要な要素として機能しているのです。
映画『ヘレディタリー/継承』の中で人が燃える現象についての解説
『ヘレディタリー/継承』では、登場人物が突然炎に包まれるシーンがいくつか描かれています。この燃焼現象は、物語全体を貫く呪いや悪魔的な力を象徴する重要な要素として用いられています。特に印象的なのは、父親のスティーブが突然炎に包まれ、命を落とすシーンです。
この現象は、アニーが悪魔を追い払うために行った儀式がきっかけとなっています。アニーは、家族に降りかかる呪いを解くために、チャーリーの死後に描かれたスケッチブックを燃やそうとします。しかし、スケッチブックを燃やすと自分自身が燃えてしまうことに気づき、儀式の結果、彼女の手によってスティーブの命が奪われてしまうのです。このシーンでは、アニーがスケッチブックを焼くことで呪いが解けると考えていましたが、逆にそれが災いを呼び、夫のスティーブが犠牲になってしまう結果となりました。
この燃焼のシーンは、家族にかけられた呪いがいかに強力で、逃れられないものであるかを視覚的に表現しています。炎は、悪魔的な力が現実世界に影響を及ぼしている象徴として描かれており、家族が次第に呪いに飲み込まれていく様子を如実に示しています。スティーブが突然炎に包まれるシーンは、超自然的な力が現実に介入し、家族を破滅へと導いていることを物語っているのです。
また、この炎の現象は、アニー自身の精神的な崩壊と、彼女が無意識のうちに家族を破滅へと導いていることの象徴でもあります。映画全体を通して、この燃焼のシーンは、恐怖を強調するとともに、物語の核心である悪魔崇拝や呪いの力を視覚的に表現する重要な要素となっているのです。
映画『ヘレディタリー/継承』に登場する地獄の悪魔ペイモンとは?
『ヘレディタリー/継承』に登場するペイモンは、悪魔崇拝の儀式や呪いの中心となる存在です。ペイモンは実在の悪魔学やオカルト信仰において、地獄の王の一人とされている悪魔です。映画では、ペイモンが家族に取り憑く形で影響を及ぼし、物語全体を通して恐怖の源泉となっています。
ペイモンは映画の中で直接的な姿を現すことはありませんが、その力は家族に災いをもたらし、最終的には全員を破滅へと導きます。物語の中で明らかになるのは、ペイモンがアニーの母親エレンによって崇拝されていた悪魔であり、エレンが生前に行っていた儀式や崇拝活動によって、家族全体に呪いがかけられたということです。エレンはペイモンを家族に「継承」させることを目的としており、それが物語の核心となっています。
ペイモンはその力を発揮するために特定の肉体に宿る必要があり、エレンは孫娘のチャーリーをその「器」に選びました。しかし、チャーリーが亡くなった後、ペイモンは新たな宿主としてチャーリーの兄ピーターに目をつけます。映画のクライマックスでは、ペイモンが最終的にピーターに乗り移ることで、儀式が成就するのです。
ペイモンの登場は、単なるホラー映画の悪役としての役割を超え、家族の崩壊や運命の不可避性を象徴しています。彼は物語全体を支配する邪悪な存在であり、家族がどれだけ抵抗しようとも、その運命から逃れられないことを浮き彫りにしています。ペイモンの力は人々の意思を無視して無情に働くものであり、彼が家族に取り憑くことで、彼らの運命は完全に決定づけられてしまうのです。
映画『ヘレディタリー/継承』に気まずいシーンがあるのか?
『ヘレディタリー/継承』には、観客が非常に気まずさを感じるシーンがいくつか存在します。映画では家族間の緊張や不和が描かれ、特に感情的な対立やチャーリーの死後に起こる痛ましい場面が、観る者に不快感を抱かせる要因となっています。
最も気まずいシーンの一つは、ピーターとアニーが夕食の席で口論するシーンです。チャーリーが亡くなった後の重苦しい雰囲気の中、家族全員が悲しみと怒りを抱えたまま、言葉を交わさずに食事をしようとしています。しかし、アニーが感情を抑えきれずにピーターに怒りをぶつける場面は、観客にとっても非常に居心地の悪いものです。アニーはチャーリーの死の責任がピーターにあると感じており、それが家族全体の緊張感を一層高めているのです。
また、チャーリーの死後、ピーターが罪悪感に苛まれる様子や、アニーが娘の死を受け入れられずに精神的に崩壊していく場面も、観客にとって重苦しい印象を与えます。家族全員が互いに思いやりを持てず、悲しみの中で孤立している様子は、観客に彼らの感情的な苦しみを感じさせ、気まずさや不快感を呼び起こすのです。
さらに、アニーが悪魔崇拝や儀式に関与していることに気づき、次第に精神的に不安定になっていく過程でも、彼女の行動が奇妙で異常なものに変化していくため、観客に違和感を抱かせる瞬間があります。アニーが亡き母親の影響から逃れられず、家族を守るどころか破壊していく姿は、見ていて非常に痛ましく、観客の感情に大きな負担をかけます。
これらの気まずいシーンは、映画の恐怖だけでなく、登場人物たちの心理的な緊張感や感情の崩壊をリアルに描き出すための重要な要素なのです。
映画『ヘレディタリー/継承』には、笑えるシーンがあるのか?
『ヘレディタリー/継承』は全体的にシリアスで暗いトーンの映画であり、笑えるシーンはほとんど存在しません。この作品は家族の崩壊や精神的な苦痛、超自然的な恐怖を描いているため、コメディ的な要素はほぼ含まれていないと言えるでしょう。
ただし、極めて不気味な雰囲気の中で、観客によってはブラックユーモアのように感じられる瞬間がいくつかあります。例えばアニーがピーターと口論するシーンや、超自然的な現象に対する家族の反応など、状況がある種の過剰さを帯びているため、その異常さが逆に笑いを誘うこともあるかもしれません。アニーが超常現象に必死に抵抗しようとする姿や、家族が次々と奇妙な出来事に巻き込まれていく様子には、シュールな印象を受ける場面もあります。
しかし、映画全体が非常に重く暗いテーマを扱っているため、観客が笑いを感じるシーンは意図的に作られたものではなく、むしろ状況のあまりの過激さや不条理さが引き起こすものだと言えます。この映画の主目的は観客に恐怖や不安を感じさせることにあり、笑いを誘発するためのシーンは存在していないのです。
映画を観ている最中の笑いは、時として緊張感から解放されるための「逃げ道」として機能することもありますが、『ヘレディタリー/継承』ではそのような瞬間は非常に稀です。ほとんどの観客は、映画を通して不安や恐怖を抱えたまま物語に没頭することになるでしょう。
映画『ヘレディタリー/継承』では、なぜチャーリーは無表情なのか?
『ヘレディタリー/継承』におけるチャーリーの無表情な態度は、彼女のキャラクターや物語全体に深い意味を与える重要な要素です。チャーリーは家族の中でも特に不気味で異質な存在として描かれており、その無表情な表情は、彼女が他の人々とは異なる世界を見ていることや、家族の呪いと密接に関わっていることを象徴しているのです。
チャーリーは生まれた時から母親アニーの母エレンの影響を受けており、自分でも気づかないうちに悪魔ペイモンの器としての役割を担わされています。エレンは孫娘のチャーリーをペイモンの宿主に選び、彼女にその力を継承させようとしたのです。そのため、チャーリーは他の家族とは異なる感覚や意識を持っており、彼女が普通の少女とは違う存在であることが、無表情を通して強調されているのです。
また、チャーリーの無表情は彼女の孤独や内面の不安定さをも表しています。彼女は家族との関係において疎外感を抱いており、特に父親や兄とは心を通わせていない様子が描かれます。チャーリーはいつも不安そうで、心を閉ざしたまま日常生活を送っており、その無表情が彼女の内面的な苦しみを暗示しているのです。
さらに、彼女の無表情は物語の不気味さを一層際立たせる効果があります。観客にとってチャーリーは謎めいた存在であり、彼女の考えや感情が読み取りにくいため、物語全体の緊張感が高まるのです。
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