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映画『散り椿』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『散り椿』の概要:かつて扇野藩の四天王の一人だった新兵衛は、不正を暴こうとしたことで故郷を追われ、妻を連れて京へと渡っていた。妻の死後、約束を果たすために八年ぶりに故郷の扇野藩を訪れることになる。

映画『散り椿』の作品情報

散り椿

製作年:2018年
上映時間:112分
ジャンル:時代劇、ヒューマンドラマ
監督:木村大作
キャスト:岡田准一、西島秀俊、黒木華、池松壮亮 etc

映画『散り椿』の登場人物(キャスト)

瓜生新兵衛(岡田准一)
“鬼の新兵衛”と言われた剣豪で四天王の一人。篠という妻がいたが、京に住んでいた時に死別。扇野藩の不正を正そうとした結果、故郷を追われる身となってしまう。
榊原采女(西島秀俊)
扇野藩の側用人。新兵衛の友で四天王の一人。正義感が強く、扇野藩に流れる悪事を一掃したいと考えている。
坂下藤吾(池松壮亮)
新兵衛の妻・篠の弟。四天王の一人の篠原三右衛門の娘と恋仲。
石田玄蕃(奥田瑛二)
扇野藩の家老。悪事に手を染めており、成り上がり虎視眈々と目論んでいる。
坂下里美(黒木華)
篠の妹。姉と同じように新兵衛を慕っている。夫は四天王の一人である坂下源之進。源之進は不正を疑われて切腹している。

映画『散り椿』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『散り椿』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『散り椿』のあらすじ【起】

かつては“鬼の新兵衛”と呼ばれた瓜生新兵衛は、扇野藩で起こっていた不正を暴こうとして故郷を追われていた。妻の篠を連れて京へと身を隠した新兵衛だったが、八年後、篠が病に倒れ命を落とす。

亡くなる前、篠は故郷の散り椿をもう一度見たいと言っており、死後、自分の代わりに新兵衛に実家の散り椿を見てきてほしいと約束していた。

八年ぶりに故郷に戻った新兵衛は、篠の妹・里美と弟・藤吾の家を訪ね、篠の死を知らせる。新兵衛が扇野藩に戻ってきたという噂は瞬く間に広まり、藩には不穏な気配が漂い始めた。

新兵衛はかつて扇野藩で四天王と呼ばれる剣豪の一人だった。四天王である榊原采女の養父が不正をしていることに気がつき、それを暴こうとして扇野藩を追われることになったのだ。だが、采女の養父は真実を語る前に何者かに切り殺されてしまった。代わりに白羽の矢が立ったのが四天王の坂下源之進だ。源之進が切腹したことで一連の不正事件に一応の決着がついていたのだが、真実は未だ闇の中だった。

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映画『散り椿』のあらすじ【承】

采女と篠は想い合う仲だったが、身分違いが障害となり夫婦になることはできなかった。以前の二人は隣り合う家に暮らしており、散り椿を眺めあっていた。篠は生前、もう一つ新兵衛に約束をしていた。それは、采女を助けてほしいというものだった。

新兵衛は采女の家を訪ね、養父は蜻蛉斬りという技で殺されたことを告げる。蜻蛉斬りは四天王のみが習得した技だった。

扇野藩の財政を立て直した田中屋惣兵衛という男から用心棒をお願いされた新兵衛。田中屋はある起請文を持っていた。そこには藩の行く末を決めてしまうほどの内容が書かれており、命を狙われる危険が伴っていた。用心棒の仕事を受けて早々、田中屋が何者かに狙われ起請文を盗まれてしまう。幸い盗まれたのは偽物だったが、新兵衛は本物の起請文を預かると言って田中屋から奪い取った。

田中屋に盗人を送り込んだのは藩の家老である石田玄蕃だった。起請文が公になれば、過去の不正に関与していることが知られてしまう。扇野藩を継ぐ若殿の政家がお国入りすれば面倒なことになる。玄蕃はなんとしても起請文を手に入れたかった。

映画『散り椿』のあらすじ【転】

季節は夏から秋へと変わっていた。山廻りに出ていた藤吾が玄蕃の配下に拘束される。同じく田中屋も玄蕃に捕まってしまった。田中屋からの文を受け取った新兵衛は藤吾を助け出すべく指定の場所へと向かった。

玄蕃は新兵衛に起請文と藤吾の交換を提案する。新兵衛は起請文を渡した相手の名前と交換に藤吾を助け出した。起請文を託した相手、それは采女だった。里美を通じて采女は起請文を受け取る。簡単には手を出せなくなった玄蕃は苛立ちを募らせた。

冬を越え、春になった。若殿の政家がお国入りし、改革を前に采女の心は期待に満ち始めた。だが、政家は戻って早々、すぐに巻き狩りに出かけたいと言いだす。お供に四天王の篠原三右衛門と藤吾を連れて出かけていった。

ところが、そこを玄蕃の刺客が襲った。三右衛門は火縄銃によって絶命してしまう。死に際、藤吾に抱きかかえられた三右衛門は、采女の養父を切り殺したのは自分だと告白した。彼は不正を追求されたことで錯乱し、采女に切りかかるという暴挙に出た。それを守ろうと三右衛門は反射的に養父を切ったのだ。その場には源之進もいた。采女はこれからの扇野藩に無くてはならない存在だと気がついていた彼は、自らの命を差し出して切腹という形で采女を救ったのだった。

政家が襲われた失態を采女のせいにした玄蕃は、切腹か、起請文を渡して藩を出て行くか決めろと言い放つ。決着をつける時が来たと判断した新兵衛は藤吾に内情を調べに行かせると采女の所へと向かった。

見事に咲いた散り椿の前で対峙した新兵衛と采女。新兵衛は篠とした二つの約束を果たそうと思っていたが、采女への思いが篠を苦しめていたことが許せず、対決を申し込む。だが、お互いに刀を交える中で新兵衛は悟り、戦うのを止めた。

篠は采女を想っていたと考えていた新兵衛に、采女は一枚の文を見せる。それは、新兵衛と夫婦となった篠からのもので、一生、新兵衛について行こうとする決意が書かれていた。篠の後を追って死のうと思っていた新兵衛に、生きることが篠のためだと諭す采女。

調べから戻った藤吾は玄蕃が上意討ちを目論んでいることを報告する。采女は起請文を藤吾に渡し、政家の所に持っていくように命じた。新兵衛と采女の二人は、玄蕃を討ち取ろうと決戦の場へと向かって行った。

映画『散り椿』の結末・ラスト(ネタバレ)

玄蕃を追い詰めた新兵衛と采女だったが、弓矢の奇襲により采女は命を落としてしまう。怒りに満ち溢れた新兵衛は玄蕃の側近たちをあっという間に切り殺し、玄蕃の命も奪った。

全てを知った政家に新兵衛は言った。政家は魚で民は水だと。源之進、三右衛門、采女は扇野藩に綺麗な水が流れるように努め、そして、死んでいったのだと告げた。これからどうするのか問われた新兵衛は、篠の供養をしたいと言い、扇野藩には残らない意志を伝える。

藤吾は三右衛門の娘と結婚し、篠原家を継ぐこととなった。彼らに子供が産まれた際には、坂下の名前を与えると政家からも許可をもらっており、家系を絶やさずに済むこととなった。

新兵衛は扇野藩を立ち去ることに決めた。彼を慕う里美は藩に残ってそばに居てほしかったが、ここにいては迷惑がかかるからと新兵衛の気持ちは変わらなかった。また散り椿を見たくないのですかという里美の言葉に、そういう日も来るかもしれないと答え、新兵衛は静かに故郷を後にしていった。

映画『散り椿』の感想・評価・レビュー

木村大作らしい風情に満ちたロケーションと、古き良き日本映画を彷彿とさせるカメラワークは必見。何を見せたいのか、どのように伝えたいのかが明確になっているのが良い。現代的なキャストで古臭く作っていくのが斬新だが、若すぎる俳優陣は少しおままごとに見えてしまわなくもない。ただ殺陣はどれも考え尽くされており、十分な時間をかけてトレーニングしたことが伝わってきた。(MIHOシネマ編集部)


個人的に、演技や殺陣のシーンが素晴らしかっただけに、刀が軽く安っぽく見えたのが残念だった。ただ、本当に演技や殺陣の動きは素晴らしかったので、見て良かったと思う。武骨な瓜生新兵衛の表情や、新兵衛を慕う里美の表情など、どれも印象に残っている。
新兵衛の行動の全てに、亡き妻の姿が見える。これほどまでに深く妻を愛することができる人は、なかなかいないのではないだろうか。
不正を暴き・正すために、多くの人が巻き込まれ亡くなった物語が切なかった。(女性 30代)


岡田准一が演じる武士の話は深みがあり、表面上のキャラクターではなくその人としての内面まで見えるような気がしてとても好きなのですが、今作で彼が演じた新兵衛は強さと優しさ、そして悪を絶とうとする真面目な心を持った「武士らしい」人間で、彼のイメージにぴったりでした。
妻や仲間の死、藩からの追放など悲しく苦しい経験をしてきたからこそ、彼の人間としての強さは揺らぐことがなく、そのおかげでたくさんの人、そして扇野藩を救うことになったのでしょう。
こういう正しいことを曲げずに、最後まで貫ける人が真の強さを持つ人なのだろうと感じました。(女性 30代)

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