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映画『ヒトラーの忘れもの』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ヒトラーの忘れもの』の概要:第二次世界大戦中ナチスドイツは、デンマークの海岸に数百万もの地雷を埋めた。終戦後、安全な土地に戻すため地雷の除去作業に当たった者の多くは、それまで地雷など扱ったことのないドイツ人捕虜の少年兵だった。

映画『ヒトラーの忘れもの』の作品情報

ヒトラーの忘れもの

製作年:2015年
上映時間:101分
ジャンル:戦争
監督:マーチン・サントフリート
キャスト:ローランド・ムーラー、ミケル・ボー・フォルスゴー、ルイス・ホフマン、ジョエル・バズマン etc

映画『ヒトラーの忘れもの』の登場人物(キャスト)

ラスムスン軍曹(ローランド・ムーラー)
デンマーク軍の軍曹。ある海岸エリアの地雷除去を担当する。約10名のドイツ兵捕虜を厳しく管理し、地雷の除去作業をさせる。いつも愛犬を連れている鬼軍曹。
エベ大尉(ミケル・ボー・フォルスゴー)
デンマーク軍工兵部隊の大尉でラスムスンの上官。地雷除去作業の全体を指揮する。ドイツ人を憎んでおり、少年兵に対しても卑劣な嫌がらせをする。
セバスチャン・シューマン(ルイス・ホフマン)
ドイツ兵捕虜。デンマークの海岸に派遣され、過酷な地雷除去を命じられる。ラスムスン軍曹とは親子ほど年が離れている少年兵。

映画『ヒトラーの忘れもの』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ヒトラーの忘れもの』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ヒトラーの忘れもの』のあらすじ【起】

第二次世界大戦中、ナチスドイツは占領下のデンマークの海岸に、220万もの地雷を埋めた。1945年5月にドイツが降伏すると、2000人のドイツ兵捕虜が地雷除去のために西海岸に派遣される。その多くは地雷を扱ったことのない少年兵であった。

全体の指揮をするエベ大尉は、少年兵たちに地雷の仕組みについて説明を始める。そして、空っぽの地雷を使って練習をさせると、すぐに本物の地雷を使う訓練に移行。少年兵を一人ずつトンネルに入れさせ、決められた時間内に信管を抜くという実践をさせた。失敗すれば命を落とすという緊張感の中、少年兵たちは無事に作業を進めていくが、ある少年兵が失敗して爆死してしまった。

十分な訓練をしないまま、少年兵たちは各エリアに配置された。ラスムスン軍曹が受け持つ海岸エリアに派遣されたのは、セバスチャンなど10名あまり。軍曹は少年兵に対して厳しく接し、このエリアにある4万5千個の地雷を全て除去せよと命じた。1時間に6個ずつ除去すれば、3か月後に祖国に帰れるのだとも言った。

少年兵はすぐに作業に取り掛かった。砂浜で一列に並び、匍匐(ほふく)前進をしながら棒で砂浜を突き刺し、地雷を探し始める。発見すると周りの砂を取り払い、中心部にある信管を慎重に取り出す。この地道な作業をひたすら繰り返すのだ。

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映画『ヒトラーの忘れもの』のあらすじ【承】

初日の作業が終わると、少年兵たちは物置小屋で体を休めるが、何も食べていないので空腹だった。セバスチャンは空腹を軍曹に伝えたが、軍曹自身も本部から何も聞いていないと冷たくあしらった。セバスチャンは夜中に抜け出し、家畜小屋から食料となりそうなものを盗み出した。

翌朝、少年兵で双子のレスナー兄弟が体調不良となり、軍曹に休みたいと訴えた。しかし軍曹は働くことを強要。その後、他の者も体調不調となり始め、ヴィルヘルムは地雷の上で嘔吐してしまった。それによって地雷は爆破し、ヴィルヘルムは両手を失う重傷を負う。家に帰りたいと泣き叫ぶ彼に、軍曹は麻酔で眠らせ、本部に引き渡した。

セバスチャンは軍曹に、家畜のエサを盗んで皆で食べたと白状した。そのエサにはネズミのフンが混ざっていたため、食中毒を起こすのは当然だった。軍曹は少年兵たちに海水を大量に飲ませて胃の洗浄をさせ、水をかけて体を洗わせた。翌日、軍曹は本部に行き、こっそり食料を持ち出した。その際、ヴィルヘルムの様子を見ようとしたが、もう死んだと聞かされる。

軍曹は小屋の前に食料を置くと、知らん顔をして自分の宿舎に入った。少年兵たちはその野菜を煮込み、無心になって食べた。軍曹は少年兵たちに、ヴィルヘルムは回復して帰国したと嘘をついた。元気になった少年兵たちは、再び除去作業を始めた。

映画『ヒトラーの忘れもの』のあらすじ【転】

別の日、突然エベ大尉が仲間を引き連れて小屋にやってくると。一人の少年の頭に小便をかけるなどの非道な行為を始めたため、軍曹は止めに入った。大尉はお前が食料を持ち出した罰だと言い、少年兵たちに情が移ったのではと指摘した。

ある日の作業中、そのエリアに埋められた地雷は、上と下の二重になっていることに気付いたセバスチャンは、皆に気を付けるよう呼びかけた。しかしその声が聞こえなかった双子兵士の弟ヴェルナーは、信管を外した地雷を持ち上げて下の地雷が爆発し、体が粉々に吹き飛んだ。兄のエルンストは分身のような存在だった弟の死が受け入れられず、地雷原に走り出したため、仲間は必死で止めた。軍曹は本部で再び食料を盗み出し、少年兵に与えた。

ある日、軍曹は彼らに一日の休日を与えた。地雷の撤去が終わったエリアで、軍曹も交じってサッカーや駆けっこをして和やかに過ごすセバスチャンたち。しかしその帰り道、軍曹の愛犬が地雷を踏んで死んだ。軍曹はそのエリアを担当した少年兵は酷く叱り、自分が甘やかしたせいだと反省した。

映画『ヒトラーの忘れもの』の結末・ラスト(ネタバレ)

翌日、軍曹は少年兵たちを一列に並ばせると、砂浜を隅々まで踏ませ、地雷が無いことを確認させた。夜中に逃亡を図ろうとした少年がいたが、セバスチャンは作業が終われば帰すと軍曹と約束したのだと言って、彼が逃げないようベッドに括り付けた。

翌朝、娘を探してくれと民家の母親が小屋に飛び込んできた。砂浜に行くと、少女は地雷が残っているエリアで無邪気に人形遊びをしていた。セバスチャンは匍匐前進で地雷を取り除きながら、少女に近づく。そこへ、精神のバランスを崩したエルンストが飄々と砂浜に入り、少女を抱き上げセバスチャンに差し出した。その後、エルンストは地雷原に向かって走り出し、地雷を踏んで死んだ。悲しむセバスチャンに、軍曹は「もうすぐ終わる、家に帰る」と何度も唱えさせて落ち着かせた。

撤去が終わりかけたある日、回収した地雷を荷台に積む作業をしていた6名が、処理不足が原因の大爆発で死んだ。その作業に加わっていなかったセバスチャンたち4人は、別の地で除去作業を続けることになった。

ここでの撤去が終わればドイツに帰すと約束していた軍曹は、彼らの解放を大尉に懇願したが、受け入れられなかった。軍曹は命令を破り、セバスチャンたちを国境付近まで連れて出すと、「走れ」と言って逃がすのだった。

テロップでは2000名のドイツ兵捕虜が除去に当たり、150万の地雷を撤去。半数近くが死亡または重症を負い、そのほとんどが少年兵だったと伝えた。

映画『ヒトラーの忘れもの』の感想・評価・レビュー

史実に基づいた話で、ドイツ兵捕虜の少年兵が地雷処理に駆り出されたという悲しい話。軍曹は見るからに強面で、最初は少年兵に殴る蹴るの暴行を働くような鬼軍曹だったが、長い時間一緒に過ごすうちに心を通わせ、父親のような存在になっていく。失敗すれば命を失うか、手足を失うという過酷な作業の中で、もし本当にこのような軍曹がいたら、少年兵にとって救いになっただろう。憎むべきは戦争であり、人間ではないと痛感させられる映画だった。(MIHOシネマ編集部)

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