映画『ハスラーズ』の概要:リーマンショックで稼ぎが減ったストリッパー達は、金融マンを相手取りクレジットカードの不正利用で大金を巻き上げる犯行を思い付いた。コンスタンス・ウーとジェニファー・ロペスのダブル主演による、事実を基にした犯罪映画。
映画『ハスラーズ』の作品情報
上映時間:110分
ジャンル:サスペンス
監督:ローリーン・スカファリア
キャスト:コンスタンス・ウー、ジェニファー・ロペス、ジュリア・スタイルズ、キキ・パーマー etc
映画『ハスラーズ』の登場人物(キャスト)
- デスティニー / ドロシー(コンスタンス・ウー)
- 女手一つで自分を育てた祖母の借金返済に協力するため、ストリップクラブ“ムーブス”で働き始めたアジア系の女性。ラモーナのダンスと一夜にしてチップを大量に稼ぐ魅力に惹かれ、勇気を出して声を掛けたところから友情が芽生える。リーマンショックの年に一人娘リリーを出産。
- ラモーナ(ジェニファー・ロペス)
- “ムーブス”のトップダンサー。面倒見の良い姉御肌で、不況で職を失ったダンサー達と大金を稼ぐ方法を模索する。違法な稼ぎ方は次第に過激さを増し、デスティニーですら止められなくなっていった。ジュリエットという娘がいる。
- メルセデス(キキ・パーマー)
- ストリッパー。逮捕された彼氏に弁護士を付けるため、ラモーナと共にアパレルショップのパートをする。
- アナベル(リリ・ラインハート)
- ストリッパー。不況で思うように稼げなくなり、住む場所がなくなったところをラモーナに誘われ詐欺に加担する。気が弱く、すぐに嘔吐してしまう。
- エリザベス(ジュリア・スタイルズ)
- ジャーナリスト。ストリッパーによる詐欺事件を記事にするため、当事者であるデスティニーに取材を行う。
映画『ハスラーズ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ハスラーズ』のあらすじ【起】
2007年。デスティニーは祖母の借金を返済するため、ストリップクラブ“ムーブス”で働き出した。早速顧客を掴みチップを貰う彼女だったが、取り分のほとんどはマネージャーに搾取されてしまった。
翌日も出勤したデスティニーは、トップダンサーであるラモーナのステージに釘付けになった。ワンステージで自分の何倍もの大金を稼ぐ彼女に強く憧れたデスティニーは、ステージを終え屋上で煙草を吸っている彼女へ話し掛けた。
面倒見の良いラモーナは、人懐っこいデスティニーをすぐに気に入った。デスティニーはラモーナからポールダンスを教わることになり、二人はすぐに打ち解けた。彼女達はコンビを組んで仕事をするようになり、プライベートでも友人になった。
2014年。ジャーナリストのエリザベスから取材を受けるデスティニーは、あの頃は不正をしていなかったと話した。
デスティニーは、チップをくれる男の特徴をラモーナから教わった。狙うのは主にウォール街の金融マンであった。一番下っ端の人間から金を絞り取れるのは給料日だけだが、結婚生活がうまくいっていない男と自信を喪失している独身男はヤらずにカモにできるという。さらに、中間管理職は汚い手を使っている割に一線は越えてこず、CEOやCFOなど投資・M&A・ヘッジファンドで儲けている極悪人は、一晩で1万ドル以上使うらしい。しかし、そうした金持ちは記者を避けて裏口から店に入り、真っすぐカメラの無い個室へ向かう。暴力を振るわれることもあるが、周りが揉み消してしまうのだという。
映画『ハスラーズ』のあらすじ【承】
デスティニーとラモーナは、共に荒稼ぎするようになった。ラモーナは自身の水着ブランド“スウィモーナ”を立ち上げようと資金を貯めており、デスティニーは、祖母が死ぬまで自分の力で面倒を見ていたいとラモーナへ語っていた。娘が好きな学校へ進学できるよう自立していたいと願うラモーナは、デスティニーへ「母親は全員イカれてる」とおどけてみせた。
上客を掴んだデスティニーは早々に祖母の借金を返済し、一人暮らしを始めると学業も再開させた。勉強中に話しかけてきたスティーブンというカモも手に入れ、ジョニーという恋人もできた。デスティニーは当時を振り返り、ムーブスにアッシャーが来店し、ダンサー全員でステージに立った日が最後の楽しい思い出だと語った。
2008年、9月29日。株価が大暴落し、未曾有の金融危機が多くの失業者を出した。客足が遠のいたムーブスは大打撃を受け、同時に、デスティニーはジョニーとの間に儲けた子どもを出産した。娘にリリーと名付け、育児をするためデスティニーは店を辞めた。ラモーナとはそれきり疎遠になっていった。
2011年。ジョニーと喧嘩別れしたデスティニーはシングルマザーとなった。生活に困った彼女はスティーブンへ連絡するも、彼はすでに結婚しており頼ることができなかった。彼女の「金づるリスト」は全滅し、就職活動も困窮。彼女は再びストリッパーに戻った。しばらくして、デスティニーとラモーナは店で再会した。
映画『ハスラーズ』のあらすじ【転】
不況を機に転職したラモーナはメルセデスと共にパートを始めたが、育児との両立が難しいシフトと安い給料にうんざりしてストリップに戻ったという。しかし、金払いの悪い客ばかりで大した稼ぎにはならなかったため、ラモーナはメルセデスとアナベルと共にガラガラのクラブへ上客を連れて行き、酔ったところでカードを奪う作戦を思い付いた。ほとんどは上手くいったが警戒する男も多く、ラモーナは酒にケタミンとMDMAを混ぜ男達に飲ませた。
ラモーナの計画する犯罪行為に誘われたデスティニーは、「金融マンは真面目な貧乏人から奪った金で遊んでる。踊れない年齢になったら、パートに戻るの?」と説得されチームに加わった。
ラモーナとデスティニー、メルセデス、アナベルは、ムーブスで出会った金持ちの顧客を漁った。彼女達は腹違いの姉妹という設定で、4人掛かりでカモを釣ると、巻き上げた大金でそれぞれの目標を達成させていった。次第に客は増え、彼女達はメンバーを増やしチームを拡大させた。
詐欺行為は次第にエスカレートしていき、ラモーナは昏睡した男達から社会保障番号や口座のパスワードまで聞き出すようになった。彼女達は密会場所にしているムーブスへ、時に10万ドルを落とすまでに稼いでいたため、店長も経営陣もDJも、誰もが協力した。
2013年。ラモーナとデスティニーは、ムーブスへ自分達と同様の手口で男が連れ込まれる現場を確認した。店に手法を取られたと怒るラモーネは、密会場所をホテルや客の自宅に変えた。そのせいでチームのメンバーは休みがちになり、ラモーナは見境なくゴロツキを集め出した。
映画『ハスラーズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
次第に常連客は離れ、彼女達は見知らぬ男も相手するようになった。作戦はどんどん思い通りに進まなくなっていき、デスティニーはラモーナへ不信感を募らせた。そんな中、デスティニーの祖母が亡くなり、彼女は犯罪行為も潮時だと感じた。
一連の話を聞いたエリザベスは、何故ラモーナと絶縁状態になったのかデスティニーに尋ねた。逡巡したデスティニーは、ボイスレコーダーを切りエリザベスを追い出すと、電話越しにダグという客の話をした。
ダグはラモーナの古い客だった。彼は自閉症の息子を抱えるシングルファザーで、法人カードを限度額まで使われてしまったことに気付き警察へ駆け込んだ。さらに、同様の被害を受けた別の男性も警察へ情報提供し、彼らの証言を受け2013年5月12日、ラモーナはATMで客の金を降ろしていたところを逮捕された。
芋づる式に逮捕されたデスティニーは、娘のことを考えて警察に全てを打ち明けた。それを知ったラモーナは「やっぱり母親はイカれてる」と言い、二人はそれきり顔を合わせることはなかった。この件で罪状を認めたデスティニーは禁錮刑を免れたが、ラモーナは保護観察5年、メルセデスとアナベルは週末禁錮4ヶ月と保護観察5年の刑を受けた。
現在。当時の事件を記事にするため、デスティニーへの取材の前日にラモーナと会っていたエリザベスは、彼女がデスティニーの写真を大切に持っていたことを伝えた。それを聞いたデスティニーは、ラモーナとの楽しい思い出を振り返り涙を流した。
映画『ハスラーズ』の感想・評価・レビュー
ジェニファー・ロペスの、50歳とは思えない肉体美とアグレッシブなポールダンスは必見である。自分の親と近い年代とは到底思えない。
ストリッパーとしてのゴージャスで美しい生活から一転、不況に煽られ犯罪に手を染めた彼女達は、生活水準を下げないために必死になった。ただ、羽振りの良い時代に金銭感覚が狂ってしまったわけではなく、女という性を最大限に活かして輝いていた自分に固執していたのだと思う。「あの頃は楽しかった」で片づけるのではなく、最後まで輝き続けようとして道を踏み外してしまったと思うと非常に切ない。(MIHOシネマ編集部)
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