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映画『ジュリアン(2017)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ジュリアン(2017)』の概要:グザヴィエ・ルグラン監督の初長編映画作品。2013年の短編映画『すべてを失う前に』の長編バージョンであり、ドメスティックバイオレンスをテーマに描かれている。夫のDVが原因で離婚した妻と子供達が、執拗に追って来る父親に脅かされる姿を描いている。

映画『ジュリアン』の作品情報

ジュリアン

製作年:2017年
上映時間:93分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:グザヴィエ・ルグラン
キャスト:ドゥニ・メノーシェ、レア・ドリュッケール、トマ・ジオリア、マチルド・オヌヴー etc

映画『ジュリアン』の登場人物(キャスト)

アントワーヌ(ドゥニ・メノーシュ)
病院の防火担当員として勤務している。短気で横暴、強権的。ミリアムと子供達を愛しているが、裏切られたという感情を持っている。執拗にミリアムを追いかけ、やり直そうと考えている。
ミリアム(レア・ドリュッケール)
アントワーヌの妻だったが、夫のDVにより子供達を連れて逃走。逃避生活の後、離婚調停を経て離婚することができる。子供達をとても大切にしており、ジョゼフィーヌに関しては勉強に集中しなさいと強く言い聞かせる面もある。
ジュリアン(トマ・ジオリア)
ミリアムとアントワーヌの息子で11歳。横暴で強権的な父親を嫌っているが、裁判の取り決めにより仕方なくアントワーヌと過ごしている。母親をとても心配しており、嘘をついて父親をやり過ごしている。
ジョゼフィーヌ(マチルド・オヌヴー)
ジュリアンの姉で高校生。暴力的な父親によって怪我をしたこともあり、アントワーヌを嫌っている。彼氏のサミュエルと遠距離恋愛になってしまい不満を抱えているが、妊娠が発覚してしまう。
サミュエル(マチュー・サイカリー)
ジョゼフィーヌの彼氏。明るい好青年でジョゼフィーヌと遠距離恋愛をしているが、頻繁に会いに来る。

映画『ジュリアン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ジュリアン(2017)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ジュリアン』のあらすじ【起】

夫アントワーヌによるDV被害に遭っていた妻ミリアムと娘ジョゼフィーヌ、息子ジュリアン。母親であるミリアムは、子供達を連れてアントワーヌからの逃避生活を送り、ようやく離婚調停へと漕ぎつけた。もうじき成人を迎えるジョゼフィーヌに関してはミリアムへと親権が託されたものの、アントワーヌは11歳のジュリアンに関して共同親権を求める。2人の子供達は父親の暴力に酷く怯えており、会いたくないと陳述書を出していた。ところが、裁定結果は、共同親権を認めるというものだった。

現在ミリアムと子供達は、ミリアムの両親の家で生活を送っている。アントワーヌは頑なにジュリアンと会いたがっているが、息子は父親と会いたいとは思っていない。だが、アントワーヌは強権的で拒絶すれば何をされるか分からないため、ジュリアンは仕方なく裁判所の取り決めに従って父親と隔週で会うことに。

新しい生活を始めるための準備は着々と進んでいる。ミリアムはアントワーヌと一切、会わずに新しい住所も連絡先も教えようとしなかった。そこで、アントワーヌはジュリアンの荷物を漁って住所を見つけ出そうとしたが、母子は徹底して新しく生活をする場所を隠しているのだった。

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映画『ジュリアン』のあらすじ【承】

そこで、アントワーヌはジュリアンを半ば脅すようにして、ミリアムの新しい携帯番号を入手。ジュリアンは母親のために父親と会わせないよう、嘘をついてどうにか牽制した。
そんな中、高校生のジョゼフィーヌは彼氏のサミュエルと遠距離恋愛することになり、父親を拒絶してはいるものの、母親に対して不公平だと不満を述べていた。だが、彼女は彼女で妊娠という大変な問題を抱えることになる。

アントワーヌは病院の防火担当員として勤めていたが、離婚により別のアパートへと引っ越すことになった。横暴な態度でしつこく幼い息子から新居を聞き出そうとするアントワーヌ。そんな息子の態度にアントワーヌの父親がとうとう腹を立て、実家には帰って来るなと追い出してしまう。ジュリアンは父親に脅され強制的に新居へと案内させられるが、別のアパートへと案内し隙を突いて逃げ出すのであった。

映画『ジュリアン』のあらすじ【転】

ジュリアンから新居の鍵を奪ったアントワーヌは一旦、怒りを治め息子を車に乗せる。ジュリアンは鍵を返して欲しいと何度も言ったが、返してはもらえず。とうとう、新居の場所を見つけ出しジュリアンを連れて乗り込んでしまう。家にはミリアムがいたが、入浴中だった様子。家の中を一通り見たアントワーヌは、キッチンで水を飲むと急に泣き出した。そうして、自分は変わったのだとミリアムを抱きしめ、大人しく家から去った。

その日の夜はジョゼフィーヌが企画したパーティーが開催。それにはミリアムとジュリアン、サミュエルも参加していた。ジョゼフィーヌが歌を披露している最中、メールにてアントワーヌが会場まで来ていることが分かる。ミリアムは元夫を追い返そうとしたが、アントワーヌは元妻にただならぬ未練を残し、逃げようとしたミリアムを乱暴に連れ戻そうとする。ミリアムの妹が友人から話を聞いて駆け付けてくれたため、どうにか逃げることができた。

映画『ジュリアン』の結末・ラスト(ネタバレ)

アントワーヌは怒りのままに車を飛ばして去って行ったが、大きな不安が残る。パーティーが無事に終わった後、ジョゼフィーヌとサミュエルは会場の片付けに残り、ミリアムはジュリアンと先に帰宅。会場の片付けをあらかた終え、ジョゼフィーヌとサミュエルも帰路に就いた。

ところが、深夜になってアパートのベルを鳴らす者が現れる。恐らくアントワーヌと思われるが、部屋にはジュリアンとミリアムしかおらず、ジョゼフィーヌとサミュエルは実家へ泊ることになっていた。ベルはしつこく鳴らされていたが、ミリアムはベルの音量を下げ応答しなかった。そのうち、諦めると思っていたのだ。やがて、ベルは鳴らなくなったものの、不安は尽きない。

不安は的中し、ドアの前にアントワーヌがやって来て激しく叩き始める。その姿を目にした隣人が警察へ通報。アントワーヌは怒り狂ってアパートの部屋へと銃を発砲する。これにより、ミリアム自身も警察へ通報した。警察の指示により、母子は鍵のかかる浴室へ避難しドアを塞ぐ。更に浴槽へと身を隠した。
アントワーヌはドアを蹴破って部屋の中へ。とうとう浴室へと辿り着いたが、到着した警察が即座に捕縛。アントワーヌは逮捕されようやく、恐怖は過ぎ去ったのだった。

映画『ジュリアン』の感想・評価・レビュー

物語の始まりと終わりが面白い。始まりは検事の視点で、最後は隣人の視点で終わっている。まるで、一つの家族を隣人視点で覗き見ているかのような演出。今作のテーマはDVとのことだが、乱暴な面は描かれるものの、実際に相手を殴ったりするシーンはほとんどない。

監督はグザヴィエ・ルグラン。今作が初の長編映画作品で、2013年の短編映画『すべてを失う前に』の長編バージョンとなる。夫役をドゥニ・メノーシュが演じているが、穏やかな面から一変して激情する演技はさすがだと言える。そんな父親に必死で抵抗する息子ジュリアン役のトマ・ジオリアの健気さが、作品を引き立てている。(MIHOシネマ編集部)


作品を見て、裁判の決定は親の意思よりも子供を守るためにあって欲しいと強く思った。ジュリアンは11歳という幼さで、よく父の追求を躱して家族を守ったなと思った。優しく勇敢な少年だと思うが、父に会い続けていたら心が壊れていたかもしれない。父の傍にいるときのジュリアンの怯えている表情が、可哀そうでたまらなかった。怒鳴り声を上げ、机を叩くアントワーヌの乱暴な言動は、見ているだけでも怖かった。DVの恐ろしさが伝わってくる作品。(女性 30代)


DVを受けた経験がある人にしか分からない恐怖と苦しみ、いつまでも逃れられないトラウマなど胸が痛むシーンが沢山ありましたが、特に私が思ったのは隣人の咄嗟の行動は時に命を救うことにもなるという事です。
もしお隣で普通じゃない物音や声がした時、私は何かするだろうかと考えてしまいました。ただの夫婦喧嘩かなと思ってスルーしてしまったり、面倒なことには関わりたくないと思って聞こえないふりをしたり…そんなことも少なくないと思うんです。しかし、当の本人たちは「何も出来ない」のが現実だと分かりました。関係ないと思わずに、勇気を出して通報だったり誰かに助けを求めることはすごく大切だと感じました。(女性 30代)

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