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映画『亀は意外と速く泳ぐ』あらすじとネタバレ感想

映画『亀は意外と速く泳ぐ』の概要:2005年に製作された三木聡監督、脚本の脱力系コメディ映画。主演は上野樹里。平凡な主婦が好奇心からスパイになったが、そのスパイ活動とは平凡に目立たなく暮らすことだった。

映画『亀は意外と速く泳ぐ』 作品情報

亀は意外と速く泳ぐ

  • 製作年:2005年
  • 上映時間:90分
  • ジャンル:コメディ
  • 監督:三木聡
  • キャスト:上野樹里、蒼井優、岩松了、ふせえり etc

映画『亀は意外と速く泳ぐ』 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『亀は意外と速く泳ぐ』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『亀は意外と速く泳ぐ』のあらすじを紹介します。

平凡な主婦、片倉スズメは平凡に暮らしている。
生まれたときからの腐れ縁で親友の扇谷クジャクがダイナミックに生活している反面、スズメは絵に描いたような平凡さ。

偶然「スパイ募集」と書かれた小さなポスターを見つけ、平凡から抜け出したいのと興味本位から電話をかける。
そして出会った某国のスパイ、クギタニシヅオとエツコ夫婦。
とにかく平凡に暮らすことがスパイ活動なのだという。
活動資金500万円を冷蔵庫に入れたスズメは、シヅオとエツコから目立たない生き方のコツや社会の裏側を教えられる。

スズメお気に入りのラーメン屋、通称そこそこラーメンの店主も実はスパイ仲間だったと知る。
そして、某国の活動が活発になり始めたと告げられるスズメ。
初恋の加東先輩との淡い思い出が消え去った後、クジャクがくじ引きで当てた地引網ツアーに向かうが、水死体が見つかり中止に。
それがきっかけで公安がスパイの存在を探り始める。

スズメはシヅオとエツコから拳銃を与えられ、元傭兵の豆腐屋の主人から射撃を教わる。
会えなくなる可能性もあるからと、実父に会いに行くスズメ。
クジャクにも会おうとするが、借金を残して海外に高飛びしていた。

スズメは単身赴任中の夫から世話を任されているカメの亀太郎を川に捨てようとするが、その場で溺れていた加東先輩の子供を救ったために有名になってしまう。
公安がスパイを探す中、集合が決まってしまった。

かつてクジャクがスズメのためにしたように、スズメはスパイ仲間を救うために送電所へ向かう。

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映画『亀は意外と速く泳ぐ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『亀は意外と速く泳ぐ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

古典的ギャグや三木ワールドと言われる小ネタの巣窟

小ネタのひとつひとつはあまりにもくだらないもので、昭和のコントのようなバカバカしいとしか言えないシーンも多い。
初恋相手の加東先輩のお風呂上りを見たいがために、クジャクに頼んで送電線を切ってもらったシーンでは、骨が見える服を着たり髪の毛にパーマがかかったようになるなど、古典的なギャグが使われている。
また、監督の三木聡が製作陣として関わった、トリビアを紹介するテレビ番組から引っ張ってきたような小ネタや豆知識が使われている。
小ネタの質からも、面白いと感じるのは個人差が大きすぎるだろう。

トイレが詰まった原因を映すことなく、エツコやスズメ、水道屋のリアクションのみで想像力をかき立て、爆笑を誘うシーンの演出はよくできている。

上野樹里の「はい」のクオリティの高さ

「のだめ」と比較するとテンションが低く、ぼんやりした主役のスズメ役の上野樹里、終始ハイテンションでダイナミックに生きる幼馴染のクジャク役の蒼井優の2人のキャスティングは良くできている。
特に、スズメが興味を感じない時に言う「はい」という返事は、演出でも距離感が作られているが、言い方も面白味がある。

スズメの平凡さに比べ、他のスパイ仲間たちがあまりにも目立っているというツッコミどころがある。
特に、モナカ屋の隣の豆腐屋というのは、明らかに目立つだろう。

エツコ役のふせえりのアナウンスは、他の三木聡作品でも使われることが多い。

平凡も度を越すと非凡になる?

スパイをテーマにしながらも、ゆるいテンポで進むストーリー。
平凡な主婦が脱・平凡を望んでスパイになったものの、ミッションは平凡に暮らす事という、堂々巡りのストーリー。
山も谷も無い展開なので、飽きる可能性も高い。
スズメの考え方ひとつで平凡な毎日がスパイ活動になるなど、ひとりの平凡な女性の成長ストーリーにもなっている。

他のキャラクターの個性が強すぎて、作中でも一番平凡なキャラクターだが「平凡すぎてむしろ非凡」という言葉がピッタリ。
仲間のために送電線を切ったが、有名になってしまったスズメはスパイ失格になってしまい、何の因果かスパイ容疑をかけられてパリで捕まったクジャクを助けに向かうラストシーンは、温かい気持ちを残すものになっている。


くだらないのにクスッと笑ってしまうなんだか良い意味でムカつく作品でした。ストーリーもキャストも平凡、地味と言いながら個性的で変わり者ばかり。まさか、スパイになるなんて話だとは思わず、これは失敗したなと時間を無駄にしたと思っていましたが、スズメのやる気が無いのか、興味が無いのか分からない気だるそうな雰囲気が妙にクセになるんです。
スズメが気になってくるとストーリー全体も面白く思えてくるのが不思議。クジャクを演じた蒼井優の独特の存在感も最高です。(女性 30代)


本作は、平凡極まりない主婦が突如飛び込んだ非凡な日常を描いた脱力系スパイコメディー作品。
「時が来るまで普通に過ごせ」という指令や、そもそも主婦とスパイという組み合わせが面白く、他のスパイ映画にはないオフビート感が心地よかった。
クスッと笑えるところや、何の緊張感もないゆるっとした空気感に不思議と癒された。
タイトルはこの作品の全てを言い表しているように思える。
また、ちょっとした小道具やインテリアにもこだわりを感じられて、何度も見直したくなる作品。(女性 20代)

映画『亀は意外と速く泳ぐ』 まとめ

パラパラ漫画から始まる映画で、そのパラパラ漫画を作成したのは「団地ともお」という漫画の原作者、小田扉。
三木ワールドと称される小ネタが多く使われ、「止まれ」の標識が「止れま」、鶉の卵で作った100目玉焼きの微妙な味、1晩水につけたかりんとうの末路など、知っていてもタメにはならないがどこか面白い知識が社会の裏側として紹介されている。
スズメが暇つぶしに、アイスコーヒーで肝臓(のような形の物体)を作るなど、あまりにもくだらないものも多い。

「亀は意外と速く泳ぐ」というタイトルのように、普通だと思っていた常識が崩れ去る瞬間が多々あり、豆腐屋の主人のように傭兵は意外とナヨナヨしている、スパイは「007」のように目立つことは無い、という教訓めいた展開が笑える。
ハマれば何度も見たくなる映画であり、一部の層にはかなりの人気がある作品だ。

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