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映画『渇き。』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『渇き。』の概要:突如忽然と姿を消してしまった娘・加奈子。元刑事である父親・藤島昭和は離婚した妻からその知らせを聞き、加奈子を探すために動き始める。しかし、それは単なる失踪事件に過ぎずあまりに大きな事件の幕開けだった……。

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映画『渇き。』の作品情報

渇き。

製作年:2014年
上映時間:118分
ジャンル:サスペンス、フィルムノワール
監督:中島哲也
キャスト:役所広司、小松菜奈、妻夫木聡、清水尋也 etc

映画『渇き。』の登場人物(キャスト)

藤島昭和(役所広司)
元刑事で、現在は警備員。家族とも離縁し、孤独なアパート生活を送る。娘・加奈子の失踪を聞き彼女の行方を追ううち巨大な闇へと足を踏み入れることとなる。なお、非常に短絡的かつ暴力的でキレやすい性格。アルコール中毒で、同時に精神疾患を患っている。
藤島加奈子(小松菜奈)
藤島の娘。成績優秀で容姿端麗、男女分け隔てなく付き合い、誰からも好かれる人気の女子高生。突如として行方をくらます。素行にも問題なく優等生の筈であったが、そんな彼女の正体は恐るべき「バケモノ」であった。
瀬岡(清水尋也)
加奈子の中学時代の同級生。元野球部員でいじめられっ子だったが、加奈子により救われる。以来、彼女に思いを寄せるように。もう1人の主人公であり、彼の中学時代の加奈子とのエピソードと藤島の現在のエピソードが交差し話が進む。なお、映画の公式サイトでは「ボク」と名前が表記されているが、便宜上原作の本名である「瀬岡」で統一する。
浅井(妻夫木聡)
藤島の刑事時代の後輩。常にへらへらとしており、元上司である藤島に対しても敬意を払っているようには見えない、軽薄そうな男。
愛川(オダギリジョー)
藤島のいた大宮警察署の刑事。愛妻家で、小さな息子を持つマイホームパパだが、誰にも言えない裏の顔を持つ。
松永(高杉真宙)
加奈子の中学時代の同級生。不良グループのリーダー格のような存在で、ヤクザとも絡みを持つことから恐れられている。
遠藤(二階堂ふみ)
松永とつるむ不良少女で、加奈子とは正反対に荒んだ生徒。気の強い性格で、金髪がトレードマークの典型的なギャル。親は水商売をしているのか、ほとんど一人暮らし。どうやら薬に溺れているらしい。
森下(橋本愛)
加奈子とは高校での友人……の、筈が加奈子の恐ろしい裏の一面を知る数少ない人物。そのためか、彼女について情報を聞きに来た藤島に対しても無愛想な態度を示していた。
長野(森川葵)
森下の友人で、同じく加奈子の同級生。何かに怯えているような弱弱しい表情が印象的で、森下の傍でおどおどとしている。
東(中谷美紀)
加奈子の中学時代の担任の教師。小学生の娘がいる。
辻村(國村隼)
加奈子が通っていた心療内科クリニックの医師。
桐子(黒沢あすか)
藤島の元妻で、加奈子の母親。彼女の浮気が原因で離婚に至るが、藤島にも暴力的な一面が垣間見えるためにある意味被害者とも言えなくもない……のではないだろうか。加奈子が覚せい剤に手を染めていたことなど一切知らなかった模様。心療内科に通っていたことについても知らなかったようだ。
緒方(星野仁)
加奈子の中学時代のボーイフレンド。いじめが原因なのか自殺をしており、作中では棺桶の中の遺体でしか登場しない。
咲山(青木崇高)
ヤクザ・石丸組の若頭。どういうわけなのか、加奈子の行方を追う。また、松永らとも付き合いがある。
チョウ(康芳夫)
とんでもない金持ちで、売春組織を経営する裏社会の大物。白髪頭の老人。

映画『渇き。』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『渇き。』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『渇き。』のあらすじ【起】

冒頭、映し出される雪が降るクリスマスの街の風景。幸せそうな人々を見つめながら、車の中で「クソが!」と罵声を上げる1人の男……彼の名は藤島。場面はここで途切れ、8ヶ月後へと時は流れる。さいたま市のコンビニで、小山と言う男がナイフで刺される。小山含め合計3名が凄惨な殺され方をしており、それを発見したのが警備中だった藤島である。事件の重要参考人として警察署に連れてこられた藤島。そんな彼におちょくるような態度で話しかけてくる浅井という刑事。軽い口調で「先輩!お宅の娘さん、高校生ですよね?何か知りませんか?」と少年の写真を見せてくる浅井。浅井は元部下で、彼とのやりとりから藤島が元警察官であったこと、藤島は暴力事件を起こし警察を辞めていたことが判明する。更には離婚し、親権も取られ元々住んでいたマンションも追い出されて今は安アパートで孤独な人生を送っている。

それから間もなくして、元妻の桐子から連絡が入る。娘の加奈子がいなくなった。何か知らないか、と尋ねる。加奈子は母親似の美人で、頭もよく、もし離婚していなかったら自慢の娘だと周囲に胸を張って言えただろう。藤島は久しぶりの桐子からの連絡にやけにはりきりながら、元住んでいたマンションを訪れる。加奈子の部屋へと入り、部屋を漁るとバッグから見つかったのは覚せい剤の入った袋であった。こんなこと知らなかったと愕然とする桐子。藤島は加奈子に何か変わった様子がなかったか尋ねるが全く知らないといった風に桐子は答え、藤島は加奈子のクローゼットの洋服を眺めながら「高校生が早々に買えるもんじゃない」と益々疑惑を深めていく。更には神経科の薬を見つけ、桐子に問いかける藤島。桐子は「歯医者に行くとしか聞いていなかった」と答え、藤島は彼女が覚せい剤を売りさばいて金を稼いでいたのではないかと考える。そしてもう1つ、加奈子が見知らぬ少年と移っている写真を見つけ出した。親しげな様子からいってさしずめボーイフレンドかそれとも恋人か……。

時は遡り、3年前。アニメで映し出されるプールの光景から一転し、そこでいじめられている一人の少年「ボク」こと瀬岡。瀬岡は以前、野球部に所属していたがそれを辞めたことをきっかけにして部員たちから陰湿ないじめを受けていたのだ。血を洗っていた瀬岡の元へとやってきて、タオルを差し出す加奈子。それをきっかけにして、瀬岡は加奈子が気になる存在になっていく。

再び時は戻り、藤島へ。藤島は手掛かりを集めるため、加奈子の元同級生二人と会うことに。一人はどこか苛立った感じの娘・森下。その隣で何かに怯えるよう沈黙している長野。長野の様子から藤島は、彼女が薬をやっているのではないかと見抜く。森下は終始不機嫌そうな態度を取りまともに取り合ってくれない。それでも本当に友達なのか、と腹を立てる藤島に森下は「あの、父親なのにホントに加奈子のこと知ってるんですか?」と意味深な言葉を吐いていく。藤島の中で、「誰からも愛され人気者だった加奈子」のイメージが少しずつ崩れ始める。

次いで、彼女が通っていたという心療内科へ赴く藤島。加奈子の担当医にカルテを見せてくれと頼むが勿論、個人情報ゆえにそんなことができるわけもない。無駄足に終わったところで、今度は加奈子の中学時代の友人らと連絡がつく。ファミリーレストランでその複数の友人らと会う藤島と桐子だが、随分とチャラついたグループで正直印象があまり良くない。娘の行方を捜す両親の前で笑いながら電話までかけ始める始末。それでも、加奈子が中学2年の時に緒方と言う男子生徒と付き合っていたという情報を得る。あの写真に写っていた男子生徒のことだろう。しかしその緒方は、何があったのか自殺してしまったという。葬儀の際に、加奈子は棺桶に入った彼の遺体に口づけをしたらしい。同級生らの話によれば、加奈子は優等生だったけれど一方で不良の男子生徒・松永や、ガラの悪い金髪ギャルの遠藤とも付き合いがあったような噂もあったそうだ。

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映画『渇き。』のあらすじ【承】

再び3年前。屋上で暴力を受けている瀬岡。するとそこへ加奈子が現れ、いじめをしている連中に何かを囁いた。すぐにいじめをやめ、慌てて立ち去っていくいじめっ子たち。瀬岡がどういうことなのか加奈子に問いかけると、加奈子は「別に。うるさいのに消えて欲しかっただけ。ここは、私とあいつの場所だから」と返す。あいつ、というのが緒方を指していることを知っていた瀬岡。この時既に緒方は自殺していて、また加奈子と緒方が付き合っていたことも瀬岡は知っていた。水に見せかけて酒を飲む加奈子に、瀬岡は言った。「僕も彼みたいになれないかな」と。ある意味告白とも言えるその言葉に、加奈子はどう受け止めたのだろうか。

時は戻り、藤島の視点。藤島は中学時代の教師、東の元を訪れる。東は加奈子についてこう話す。彼女は緒方が亡くなってから、「あの頃の彼女は、緩やかに自殺を試みてるような感じでした。まるで、彼女自身にその責任があるみたいに」とその様子を話す。緒方の自殺以来、加奈子は不良の松永や遠藤とつるむようになったことも分かる。ただ、遠藤は薬のせいで既に死亡しているらしい。藤島は東を怒鳴りつける、薬を使っているのを知っていてどうして見て見ぬふりをしたんだと。それから、再び元部下の浅井と出会う藤島。浅井も浅井で事件について追っていて、あわよくば藤島に取り入っては情報を得ようとしているような節が見られる。ここで、初めに見せられた写真の少年らがコンビニで殺された人物と関わりがあることが判明してくる。コンビニ殺害事件の被害者のうちの一人、小山の後輩が例の不良少年・松永で、彼らはヤクザと組み薬を売りさばいていたのだという……。何故か藤島は、次々知らない加奈子の恐るべき側面が浮き彫りになっていく事実に楽しげだ。事件を解決して加奈子を取り戻せば、また家族とやり直せるかもしれないという淡い希望に微笑んでいるのか。そんな彼を見て「何が楽しいの?あなた笑ってるよ」と恐れ慄く桐子だったが、彼女が寝ている隙を狙い無理やり抱こうとする藤島。抵抗し、泣き叫ぶ桐子。「このキチガイ!あんたなんか最低、死ね!」と怒号を上げる。藤島は悪びれる様子もなく言った、「俺が家族を愛して何が悪いんだ」と。この辺りから、藤島は完全に「娘を探す不幸な父親」ではなくネジの外れた凶暴な男だということが分かり始める。

場面はここで、冒頭のクリスマスのシーンへ戻る。車の中で暴言を吐いていた藤島は、突然ブレーキを踏み出すと停車していた別の車に突っ込む。この車の中では、桐子が別の男と浮気中だった。車から相手を引きずり出し、執拗なまでの暴力を浴びせる藤島。この件で藤島は、警察を解雇されたのだ。

3年前。いじめられっ子だったはずの瀬岡の世界は一変し、皆が手の平を返したように彼を慕い始める。ラブレターなんかを出す女子生徒まで現れる。いじめっ子の主犯格だった少年は何故か全身傷だらけだ。そして、「松永なんかとつるむためにお前は野球部を辞めたのか。汚ねえ奴だな」と言い捨てる。訳がわからず、「そんなことは知らない」と答える瀬岡だったが、主犯格の少年は背を向けて去っていく。薄々瀬岡は、加奈子が裏で何かをしたのではないかと勘づく。その矢先、加奈子の方から瀬岡に近づいてくる。彼女の部屋に誘われ、天にも昇るような気持ちでそれに了承する瀬岡。部屋へ行くと、加奈子は愛読している『不思議の国のアリス』の本を手に取りながら語りだす。「これは穴が深すぎてずっと落下していくかわいそうな少女の話。私、落下中なんだ。穴が深すぎて、ずっとずっと落ち続ける。ヤバいの私、時々消えたくなるの」……意味深な彼女の言葉も、すっかり舞い上がったままの瀬岡は特に触れずに耳を傾けているだけ。続けざま加奈子は、「緒方みたいになりたいって言ったよね」と問いかけてくる。聞き流されているとばかり思っていたその言葉を投げかけられ驚く瀬岡に、加奈子は「明日、松永たちとパーティーがあるから行かない?」と誘い出す。やはり加奈子は不良の松永らと繋がりがあったのか。しかし、彼女のためならばと瀬岡は怪しみつつもそれを了承する。

視点は現在へ。藤島は独自に調べを進めていくが、松永を見つけ出すも逆に襲われる。しかし、更に松永たちの連中がまた別の連中に襲われた。松永と対立している別の派閥があるということか。気絶していた藤島が目を覚ますと、既に警察が集まってきていた。ヘラヘラとしながら例の刑事・浅井がやってきて「奥さんならさっき出て行きましたよ」と、告げる。桐子に出て行かれ自棄になり、キャバクラかどこかの女を連れこんで酔っ払っている藤島。すると、見知らぬ男の集団に襲われ藤島は殴られます。射殺される女。謎の連中は「あれはどこだ。お前の娘が持っているあれは」と問いかけ、藤島は加奈子の持っていた覚せい剤のことだと思い場所を答えるが「そんなものじゃない」と突き返され、結局加奈子が何を隠しているのか謎のまま、男たちは藤島を殺さずに姿を消す。

翌朝、マンションの前にはいつかの加奈子の同級生・森下がいた。森下は「長野がこれを渡してほしいって……」とコインロッカーの鍵を藤島に渡す。加奈子が長野に渡してあったものだそうだ。長野は何かに怯えていた。コンビニの殺人事件の後、次は自分ではないのかと。それを聞いた藤島は、昨日の連中と言い、加奈子に関わる連中を殺してまで何かを探しているのだと知る。ロッカーの中に入っていたのは未成年と思しき少年少女らが中年の男性らと性行為に耽る場面を収めた写真だった。その中には、加奈子の姿もあった――写真の中には長野も収められていた。長野は警察官僚の相手をさせられていたようで、部下の浅井はこれを隠蔽するために藤島を密かに嗅ぎまわっているのだ。

一方で、長野はその時既に殺害されていた。長野は、純粋に加奈子に憧れていた。彼女のようになりたがっていた。長野は加奈子の言葉に操られ、薬漬けにされ、そして写真のような目に遭ったのだった。

映画『渇き。』のあらすじ【転】

3年前、パーティーへと誘われた瀬岡の場面。加奈子の姿を求めギラギラした色彩のその空間を彷徨う瀬岡。派手な若者たちで賑わう中、瀬岡は不良少女・遠藤らに煽られ酒を飲む。酒の中には昏睡薬が入っており、瀬岡はそのまま気を失う。再び目を覚ますと、瀬岡はどこかの部屋で拘束されていた。その部屋の中で、中年の男に犯される瀬岡。それを写真に収めるまた別の誰か。どういうことだ。加奈子は?加奈子は自分を陥れたのか?わけも分からぬまま男たちに蹂躙される瀬岡。

時は再び藤島へ。藤島は写真の中で見つけた、加奈子の通う心療内科の医師・辻村の元へと向かう。そこで耳にした真相は、加奈子が「おじさんも若い子好きでしょ」と、辻村を誘惑したということ。そして、かつて藤島が酔った勢いで加奈子を暴行しようとし首を絞めた事実を聞かされる。藤島は都合よくその記憶を忘れており、その仕打ちを思い出し絶叫する。辻村の話では加奈子のバックにはチョウという男がいる。チョウはヤクザではないがとてつもない金持ちで、売春組織を牛耳っているのだ。加奈子は松永に近づき、更にはチョウをも誘惑し、彼を虜にした。やがて藤島はまたもや何者かに拉致され、地下室のような場所で目を覚ます。そこにいたのは、先日藤島を自宅で襲った連中だった。彼らの正体は石丸組というヤクザ。チョウと手を組むヤクザであり、若頭の咲山の口からいくつかの真相が話される。加奈子は言葉巧みに、若い少年少女らを売春組織に誘い込みチョウの元へと差し出していた。やがて彼女たちを薬漬けにし、薬欲しさに抜け出せないような環境を作りながら。地位や立場のある人間たちをターゲットにし、ある日、加奈子はチョウが持っていた例の客たちとの痴態が収められた写真と顧客情報を盗み出していた。そんなものが世に出回れば、大変どころの騒ぎではないのは目に見えている――やがて咲山が見せてきたのは、壮絶なリンチの末に虫の息状態の松永だった。松永は加奈子に惚れてしまい、チョウを裏切ったらしい。松永の腹部からは内臓がはみ出ている。ここで藤島は、チョウが雇っている殺し屋・愛川の存在を知る。劇中で起きる殺人のほとんどは愛川の手によるものであった。表向きは愛妻家で、息子もおり殺人で得た金で幸せな家庭を築く男なようで、藤島とは正反対の境遇だ。咲山はこのチョウの飼い犬を始末しろと命じる。愛川は生粋のサイコパスで、殺しを愛している。暴走を極め、あまりにも目立ち過ぎたために殺せということらしい。愛川が加奈子の行方を知っているのではないかと踏んだ藤島は、その条件を飲む。

藤島は愛川を誘き出すため、彼の家へ侵入し彼の妻を暴行する。妻子を人質に取り愛川をおびき寄せる藤島。デパートの屋上で二人の対決が始まるが、車での轢き合いに始まり撃ち合い、血みどろを極める壮絶な決闘である。お互い狂っているのか、血だらけになりながらもゲラゲラ笑い合い殺し合う藤島と愛川。やがて愛川は拉致された妻と対峙し、「俺を許してくれるか?」と問いかける。レイプされボロボロ状態の妻は、愛川に嫌悪感を剥き出しに唾を吐きかける。反射的に妻を射殺する愛川。最終的には浅井が愛川を撃ち殺し、軽い調子で「はい自殺~!」と彼を自殺で処理する。藤島は慌てて加奈子がいるのではないかと愛川のトランクを開く。中にあったのはチョウの遺体だった。愛川が殺しすぎるあまり止めに入った雇い主さえも、愛川は殺害したのだ。藤島は浅井が愛川の処理をしている隙に逃亡する。

一方、男たちに犯された瀬岡は加奈子への愛憎入り混じる感情のまま夜の街へとふらふらと出ていく。彼が最初に目を付けたのはパーティーでも出会った金髪ギャルの遠藤。アパートに一人でいる遠藤をバットで襲い、ことの真相を聞き出す。かつて、加奈子の恋人だった緒方が自殺した本当の理由。それは瀬岡と同じように、緒方も男に暴行されたせいだった。緒方は松永に騙され、無理やり男娼のようなことを強要された。緒方や瀬岡を犯したのは例のチョウ。瀬岡はそれで思った、加奈子は緒方の仇を取るために、全ては復讐のためにチョウや松永に取り入ったのではないかと。加奈子の行方を聞き出す瀬岡に、「お前終わったよ」と呟く遠藤。「むしろ始まりだろ」と瀬岡は言い、遠藤に加奈子のことが好きなのか尋ねられる。頷く瀬岡。遠藤は泣きながら言う、「どうしてみんなあいつに夢中になるの。あいつは最高に狂っていて空っぽなのに」……やがて瀬岡は遠藤の耳をカッターで切り取り、顔に傷をつけた。

映画『渇き。』の結末・ラスト(ネタバレ)

加奈子がいるホテルの場所を聞き出した瀬岡。バットを片手に、彼女を探しその一室へと向かう。ベッドの上に静かに腰かけたままの彼女の顔には何の恐れも見当たらない。バットで彼女を殺そうとするが、結局それができない瀬岡。「君は緒方が好きだったんだろう?」と尋ねると加奈子は言う、「好きだったから殺したの。もっと好きになりたかったから……」。緒方の復讐のためだとして、何故瀬岡にも同じような仕打ちをしたのだろう。彼女の言葉通りだとするなら、彼女は生まれながらのバケモノで、ひょっとしたら理由なんてなかったのかもしれない。只、周りをめちゃくちゃにしたかっただけなのか。その時、愛川と思われる人物に背後から襲われる瀬岡。ここで瀬岡は死に、瀬岡の物語は結末を迎える。

一方で現在の藤島も、同じホテルへ足を運んでいた。ホテルの中で見つけたのは変態たちが好んで使いそうなアダルトグッズの数々だった。血が付着したそれらを見送りながら、藤島はやがて中学時代の教師だった東へと会いに行く。

東は実はほんの少し前、加奈子と会っていた。その理由は、小学生の娘・晶子が携帯を欲しいとせがむが断ったところ、加奈子に買ってもらったことを白状したから。何故そんなことをしたのかと、車の中で加奈子と話し合う東。実は加奈子が売春を斡旋したことにより、それで得た金で晶子は携帯を買った。信じられずにいる東に、行為の最中の写真を見せながら「晶子ちゃんが嫌がっているように見えますか?」と問いかける加奈子――泣きながら「あの子がまだいくつか知っているの?」と問い詰める東に、「そこが人気なんですよ」と悪びれもしない加奈子。東は泣きながら「あなたは空っぽなんだわ」とアイスピックで加奈子を刺した。死に際に加奈子は嘲笑交じりに言ってのけた、「先生。超うける」。

真犯人の存在を知った藤島は、加奈子の遺体を埋めたという雪山に東を連れて行く。加奈子を掘り起こせ、見つけ出すまでは娘には会わせないと。東は隙を見て持っていたスコップで藤島を殴り、その場から逃げ出す。結局、藤島がその広大な雪山で加奈子を探し出すため、無駄だと分かっていながら掘り起こし始める。生きているわけもないのに藤島は「あいつは生きている。ちゃんと探し出して、俺がぶっ殺す」と呟く。彼女を見つけ出して、どうしようというのだろう?本当のバケモノは果たしてこの父親なのか、娘なのか。映画はここで幕を閉じる。

映画『渇き。』の感想・評価・レビュー

とにかく登場人物がほぼ狂人。加奈子は作中、バケモノとされているけど、父親に強姦され挙句に恋人を最悪の形で失っているせいで壊れてしまった不幸な少女なのでは。そんな少女が世界を相手にたった一人で立ち向かう復讐劇とも取れるし、けれど彼女が瀬岡にしたことや無関係の人まで巻き込む辺りや台詞の節々からやはり「空っぽ」のバケモノなのかも、とも思える。でもそれ以上に父の藤島が最悪のバケモノだ……こんな汚れ役もこなせる役所広司は流石。(MIHOシネマ編集部)


ヤバいものを見てしまったなあと感じる作品は今までにもいくつかありました。『グリーン・インフェルノ』や『セブン』がその一例です。そして、この『渇き』も間違いなくヤバい作品に入るでしょう。それらに共通するのは「狂気」。誰がとか、何がでは無く全てが狂っていた今作は鳥肌が立つほどの気持ち悪さと、狂った人間たちの結末が最高に面白かったです。
小松菜奈と役所広司。演技派である2人がこう言った狂った役どころを演じるのはかなり見応えがありました。何度も見たいとは思いませんが、ふと思い出して定期的に見たくなるであろう作品です。(女性 30代)


内容はぶっ飛んでいるし、登場人物の誰一人にも共感ができないが、不思議と引き込まれた。冒頭に伏線としてよくわからないシーンがあったり、時系列も行ったり来たりしてわかりにくいところもあるが、そのせいか目が離せず先が気になり退屈しなかった。

小松菜奈が魅力的すぎる。狂っていて空っぽな人間なのに、美しくて、なぜか目が離せなくなる。みんなが夢中になってしまうのにとても説得力があった。映画を見ていくうちに、彼女が映るシーンを待っている自分がいた。(女性 20代)


とにかく怖かったです。登場人物たちの感情も理解できず、何を見せられたんだろうと思いました。人物も多く話についていきにくかった点と、全員が狂っており共感できず、ただ暴力的なシーンが続いて悲惨な印象でした。
しかし、この作品で当時初めて小松菜奈さんを知り、驚きました。加奈子のミステリアスな雰囲気や狂気やカリスマ性を、こんなにしっかり演じられる、まだ有名でない女優がいたのかと、強烈に印象に残りました。
役所広司さんの演技のふり幅にも驚きましたし、周りの学生役の若手俳優たちも、現在演技力を評価されているような方が揃っていて、そういった見どころはあると思います。(女性 20代)

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