この記事では、映画『君の名前で僕を呼んで』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『君の名前で僕を呼んで』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『君の名前で僕を呼んで』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 2017年 |
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上映時間 | 132分 |
ジャンル | ドラマ 青春 ロマンス |
監督 | ルカ・グァダニーノ |
キャスト | アーミー・ハマー ティモシー・シャラメ マイケル・スタールバーグ アミラ・カサール |
製作国 | イタリア フランス ブラジル アメリカ |
映画『君の名前で僕を呼んで』の登場人物(キャスト)
- エリオ・パールマン(ティモシー・シャラメ)
- 17歳の少年。考古学教授の父と多言語話者の母のもと育った一人息子。家庭環境から、文学や古典に造詣が深く、翻訳や楽器演奏が趣味。
- オリバー(アーミー・ハマー)
- 24歳のアメリカ人青年。博士課程にある大学院生で、エリオの父の助手として家族の別荘に招待される。頭が良く、堂々とした風格。美しい容姿で女性からも好意を寄せられやすい。厳格な父親に育てられた。
- マルシア(エステール・ガレル)
- エリオの女友達。初めはただの友達だったが次第にそれ以上の関係へと進んでいく。
映画『君の名前で僕を呼んで』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『君の名前で僕を呼んで』のあらすじ【起】
17歳のエリオは、大学で教鞭をとる考古学教授の父と、外国語が堪能な美しい母のもとに育った一人息子である。アカデミックな両親に育てられたエリオは知性溢れる少年であった。
1983年、イタリア。この夏、エリオは家族と共に母の所有する別荘へ訪れており、毎年恒例となっている父の助手としてインターンにやってくる学生の到着を待っていた。やがてオリバーと名乗るアメリカ人の青年が別荘に到着する。彼は博士課程にある24歳の大学院生である。彼は頭が良く、自信家のように見えるので、エリオは彼のことが気に食わなかった。
そんなある日、友人を交えてバレーボールで遊んだ際に、オリバーは冗談っぽく素肌のままのエリオの肩に触れてきたのである。その時感じた言葉にできない感情にエリオは戸惑い、思わず不機嫌な態度を示してしまう。
それからというものオリバーの口癖に嫌味っぽく愚痴を言ったり、オリバーに失礼な態度をとったりしてしまうエリオ。両親はこの夏ずっと一緒に過ごすのだから仲良くするようにとエリオをたしなめるが、それすらもエリオにとっては気に障るものだった。
映画『君の名前で僕を呼んで』のあらすじ【承】
ところが、毎日顔を合わせ、食事をともにし、一緒に泳いだり音楽を楽しんだりして時間を共有しているうちに次第にエリオの気持ちに変化が現れる。彼との会話の中で、きつい言い方をしたかもしれないと不安になったり、オリバーに嫌われているような気がして落ち込んだり、少しずつエリオの頭の中をオリバーが占めていき、いつしか視線はいつもオリバーを追うようになっていた。知的で自由奔放で美しいオリバーは皆の注目の的で、街で開催されたパーティーでオリバーが女性たちと密着して踊ったり、キスを交わしたりしているのを見ると、エリオの胸はざわついた。その一方でエリオは女友達のマルシアと湖でデートをしたりして次第に距離を縮めていく。
ある日、エリオはオリバーと自転車に乗って二人きりで街に出かけることになる。二人で過ごす中でエリオはオリバーにその博識さを褒められるが、「大事なことは何も知らない」とエリオは返す。大事なこととは何かと尋ねるオリバーに、エリオは「わかるだろう?」と迫り、秘めていたオリバーへの気持ちを吐き出す。いつしかエリオのオリバーに寄せていた好意は、恋へと変わっていたのである。エリオの気持ちを聞いたオリバーは、そういう話はするべきではないとエリオをたしなめる。
それでも想いを断ち切れないエリオは、オリバーを自分だけのお気に入りの場所である湖畔に連れていく。草むらに寝そべりながら、二人は情熱的なキスを交わす。しかし、オリバーはそのままの関係でいよう、とエリオと距離を置く意思を示す。それからというものオリバーは帰宅が遅くなり、エリオはもやもやするばかりだった。
一方でエリオはオリバーへの気持ちを断ち切ろうとするかのように急速にマルシアとの距離を縮め、ついには恋人同士となり二人は結ばれる。マルシアと愛を確かめ合うことで、その時だけは満足感を得ていたが、すぐにオリバーへの想いで心を乱されてしまうのであった。
映画『君の名前で僕を呼んで』のあらすじ【転】
自分を避け続けるオリバーの態度に苦しんだエリオはいよいよ耐えかねて、オリバーに「僕を避けないで」と置手紙を残した。それを読んだオリバーから「大人になれ。深夜に会おう」と返事がくる。約束の時間、オリバーの部屋を訪ねると二人は手を重ね、キスをする。そしてオリバーは本当に後悔しないかエリオに気持ちを確かめた後、そのまま二人は結ばれるのであった。オリバーは「君の名前で僕を呼んで。僕の名前で君を呼ぶ」と言って、エリオは自分の名前を何度も口にすることでオリバーに呼びかけ続けた。
翌日、二人は改めて互いの気持ちを確かめ合い、二人は幸せで満ち足りた時間を過ごす。一方で、マルシアは自分を放置しているが、本当に恋人同士なのか、という問いに答えられなかったエリオに愛想を尽かし離れていく。
いよいよオリバーが別荘を発つ日がやってくる。オリバーはミラノへと調査旅行に出向く予定だった。エリオは両親の勧めもあり、オリバーの旅行に同行することにする。二人は互いの名前を呼び合い、山を登ったり無邪気にはしゃいだり、二人だけの旅を満喫した。しかし旅も最終日を迎え、二人は駅で別れることにする。オリバーはこのままアメリカに帰るのだという。発車ベルが鳴り、電車に乗り込むオリバーに、エリオは何度も自分の名を呼んでオリバーに呼びかけた。電車は走り出し、やがて見えなくなった。
映画『君の名前で僕を呼んで』の結末・ラスト(ネタバレ)
駅のベンチで座り込み呆然とするエリオ。しばらくするとエリオは公衆電話で自宅に電話して迎えを呼んだ。迎えに来た母の車で目を腫らし泣き続けるエリオに、母は何も聞かず優しく頭を撫でるのであった。街に戻ってきたエリオは、母が用事で車を空けている間にマルシアから声を掛けられる。マルシアは泣き腫らしたエリオに「私たち、一生友達でいましょう」と言って抱擁する。マルシアはエリオが自分に恋愛感情を抱いていないことに気付いていたのだ。
帰宅してもエリオは沈んだままで食事にも顔を出さなかった。そんなエリオに父が優しく話しかけ、自分もかつて似たような経験をしたが、その時自分の気持ちを押し殺してしまった後悔を告白してくれた。父は二人の関係に気付いていたのである。両親や友達の深い愛情に支えられ、エリオは時間を掛けながら心を癒していこうとする。
季節は冬になり、家にかかってきた電話をエリオが取ると、聞こえてきたのはオリバーの声だった。懐かしさと愛おしさに気持ちが弾むエリオだったが、オリバーから婚約報告を受ける。オリバーには二年以上付き合っていた恋人がいたのである。エリオはオリバーを祝福する。オリバーはエリオの両親にも婚約の報告をしたあと、再びオリバーに電話を代わってもらった。エリオは両親が二人の関係をすべて知っていたことを告げる。オリバーもエリオの両親が義理の息子のように接してくれるその態度や口ぶりからそのことに気付いており、同性愛に寛容な両親がいることは恵まれたことであると言ってくれる。
電話が終わったエリオの目には涙が浮かんでいた。そのあと長い間、暖炉の火を見つめてエリオは静かに悲しむのであった。そんな彼の後ろでは、母が食事の支度をしている。エリオが落ち着きを取り戻し始めた頃、母がエリオの名前を呼び、彼は振り向くのであった。
映画『君の名前で僕を呼んで』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
イタリアの夏を舞台にした、静かで切ない青春ラブストーリー。エリオの戸惑いと恋に落ちる瞬間の細やかな演技に胸を打たれました。オリヴァーとの関係は一瞬で、しかし永遠のように感じる特別な時間。別れのあと、エリオが暖炉の前で涙するシーンは、本作のすべてを物語っているようで、心に焼きつきました。(20代 男性)
眩しくて、ほろ苦い。あまりにも美しい“ひと夏の恋”に胸が締めつけられました。エリオがオリヴァーに惹かれていく過程がとても丁寧に描かれていて、自分の初恋を思い出してしまいました。特に父親の言葉、「痛みを否定するな」は人生の指針になりそうです。観終わってからもしばらく余韻が抜けませんでした。(30代 女性)
最初は静かな映画だなと思って観ていたけど、気づいたときには物語の中に深く入り込んでいました。オリヴァーとエリオの距離が少しずつ近づいていく緊張感がとてもリアルで、最後の別れが近づくにつれて切なさが募りました。ラストシーンで涙を流すエリオの表情がすべてを物語っていて、胸に刺さりました。(40代 男性)
ティモシー・シャラメの演技力に圧倒されました。言葉では語られない感情の揺れを、目線や指先の動きで表現していて、観ているこちらも自然と呼吸を合わせてしまうような感覚になりました。二人の関係は儚くも確かに存在していて、それがとても美しい。ラストの長回しには心を打ちのめされました。(20代 女性)
すべてが美しかった。映像、音楽、俳優、そして空気感。どこを切り取っても詩のような作品でした。とくに「君の名前で僕を呼ぶ」という台詞の持つ意味が、物語を通してどんどん重みを増していき、クライマックスで涙が止まりませんでした。こんなにも静かで優しいラブストーリーに出会えたことに感謝。(50代 男性)
同性愛をテーマにしているけれど、それ以上に“人を深く愛すること”の本質を描いた作品でした。愛には名前も国籍も性別も関係ないということを、これほど優しく自然に描いた映画は他にありません。父親のセリフの一つ一つに重みがあり、子どもを包み込むような愛情に涙しました。(40代 女性)
思春期特有の不安定さと、初めての恋が混ざり合っていて、とてもリアルに感じました。オリヴァーのちょっとした言葉や距離の詰め方に、エリオが戸惑いながらも惹かれていく過程が本当に丁寧。最後の「結婚する」と告げられた電話のあと、何もできずに泣く姿には、共感しかありませんでした。(30代 男性)
原作ファンとして鑑賞しましたが、映画は想像以上に繊細で映像美が際立っていました。果実、川、陽射し、そして静寂――感情を言葉にしすぎないからこそ、観る側の心に直接訴えてくる作品だと思います。あの年齢にしか味わえない痛みと歓びが詰まっていて、エリオの時間を一緒に生きた気がしました。(50代 女性)
「自分を解放していいんだ」と思わせてくれるような映画でした。男性同士の恋愛というテーマ以上に、“心を開くことの怖さと尊さ”を描いていて、エリオの揺れる心に共感しました。オリヴァーのような存在は、誰の人生にも一度は現れるのかもしれない。心がチクッと痛むけれど、観てよかったと思える作品です。(20代 男性)
10代の頃に観ていたら、もっと人生が変わっていたかもしれない。そんな作品でした。エリオとオリヴァーがただ見つめ合うだけの時間が、なぜこんなにも美しく、苦しいのか。ラストの“暖炉の前のエリオ”を見たとき、自分の過去の恋愛がすべてフラッシュバックしました。静かに、深く刺さる名作です。(30代 女性)
映画『君の名前で僕を呼んで』を見た人におすすめの映画5選
ブロークバック・マウンテン
この映画を一言で表すと?
時代と社会に翻弄された、男たちの切なすぎる愛の物語。
どんな話?
1960年代のアメリカ。カウボーイとして働くエニスとジャックは、山での仕事を通して深い絆で結ばれるが、保守的な時代の空気の中でその関係を秘めたまま生きていく。それぞれの人生と愛の行方を描いた名作。
ここがおすすめ!
『君の名前で僕を呼んで』と同じく、抑えた演出と情景描写が感情の揺れを見事に伝えています。言葉にならない想い、失われた時間、心に残る余韻が美しくも苦しい一作です。ラストは涙なしでは観られません。
マイ・プライベート・アイダホ
この映画を一言で表すと?
孤独と愛を抱えながら彷徨う青年たちの、魂のロードムービー。
どんな話?
ナイトとマイク、二人の青年がポートランドからアイダホ、そしてイタリアへと旅をしながら、家族や愛を求めて彷徨う物語。社会の周縁にいる若者たちの視点から描かれる切実な生き方と愛の形。
ここがおすすめ!
ゲイの青春映画でありながらジャンルにとらわれない自由さがあり、『君の名前で僕を呼んで』のように“語られない感情”を丁寧に描いています。リヴァー・フェニックスの名演が光る、不朽の名作です。
キャロル
この映画を一言で表すと?
抑えきれない想いが静かに燃え上がる、1950年代の女性同士の恋愛劇。
どんな話?
1950年代のニューヨーク。若き写真家テレーズと、美しい既婚女性キャロルが出会い、惹かれ合っていく。だが時代と立場の違いが、二人の愛を試すことになる。上品で繊細な恋愛映画。
ここがおすすめ!
同性愛を扱いながらも、過剰な演出を排して静かに愛の深さを描いており、『君の名前で僕を呼んで』と同様に“静けさの中の激情”が胸を打ちます。美術と衣装、音楽も洗練された大人のラブストーリーです。
夏時間の庭
この映画を一言で表すと?
家族、時間、記憶が交差する、繊細で詩的なフランス映画。
どんな話?
パリ郊外の田舎の屋敷で、母の死をきっかけに集まった兄妹たちが、遺産や思い出、これからの自分たちの生き方に向き合っていく。風景と会話の中に“生”と“時間”の美しさを刻んだ物語。
ここがおすすめ!
『君の名前で僕を呼んで』と同じく、夏の光と静けさの中に人生の機微を感じさせる作品。大きな出来事はないけれど、心に染み入る時間の流れが、観る人の記憶と感情をそっと揺さぶります。
青いパパイヤの香り
この映画を一言で表すと?
記憶と感覚でつづる、“静寂の中の愛”を描いた映像詩。
どんな話?
1950年代のサイゴン。少女ムイは裕福な家の家政婦として働きながら、静かに人生と自然に触れていく。やがて成長した彼女は、ある青年との関係を通して、自分だけの愛と居場所を見出していく。
ここがおすすめ!
『君の名前で僕を呼んで』に通じる“空気を描く”映画。言葉少なでも伝わる情感、四季の移ろいと人間の心が織りなす美しさが詰まっています。映像と音で体感する芸術的な映画体験をぜひ。
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