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映画『キングダム 見えざる敵』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『キングダム 見えざる敵』の概要:1933年米国人探検家が石油を発見したことから、アメリカとサウジアラビアの関係が始まった。だが、その関係を良く思わない者もおり、両国の関係はとても複雑なものだった。そんなある日、アル・ラマー外国人居住区でテロ事件が起きる。

映画『キングダム 見えざる敵』の作品情報

キングダム 見えざる敵

製作年:2007年
上映時間:110分
ジャンル:アクション、サスペンス
監督:ピーター・バーグ
キャスト:ジェイミー・フォックス、クリス・クーパー、ジェニファー・ガーナー、ジェイソン・ベイトマン etc

映画『キングダム 見えざる敵』の登場人物(キャスト)

ロナルド・フルーリー(ジェイミー・フォックス)
FBI捜査官。息子がいる。仲間思いの熱い人物。捜査能力に長けており、射撃の腕前も優れている。
ファーリス・アル・ガージー大佐(アシュラフ・バルフム)
サウジアラビア警察に所属している。42歳。娘2人と息子1人の父親。部下思いの優しい人物。

映画『キングダム 見えざる敵』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『キングダム 見えざる敵』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『キングダム 見えざる敵』のあらすじ【起】

1932年イブン・サウードはイスラム教ワッハーブ派の協力の元、アラビア半島を制圧しサウジアラビア王国を建国した。ワッハーブ派は反欧米で、原始イスラム教への回帰を強硬に求める一派であった。

1933年米国人探検家が石油を発見した。外国人排除を求める声をよそに、国王は石油の生産を許可した。その結果、サウジアラビアとアメリカは初めて手を組むことになり、共同石油会社アラムコが設立された。さらに、外国人の労働者用に居住区が作られた。そこでは、厳しいイスラム法も適用外だった。

中東戦争でアメリカがイスラエルを支援したため、ワッハーブ派はサウジアラビアに石油の産出停止を迫った。その結果、ガソリンが不足し、価格が4倍に跳ね上がった。石油確保はアメリカの最優先課題であった。

1990年夜明けと共にイラク軍がクウェートに侵攻した。オサマ・ビンラディンは祖国サウジアラビアを支持し、アフガニスタンからの派兵を申し出た。しかし、サウジアラビアが派兵したのは、50万人のアメリカ兵だった。ビンラディンはサウジアラビアとアメリカの関係を「神聖ではない」と非難した。

2000年代サウジアラビアは世界一の産油国となり、アメリカは世界一の石油消費国となった。9.11アメリカ同時多発テロ事件が起きた。実行犯19人の内、15人がサウジアラビア出身だった。サウジアラビア側は同時多発テロの犯人を強く批判した。その後、サウジアラビアを狙ったテロの調査に、FBIが乗り出すことになった。親米のサウジアラビア王室とワッハーブ派の対立はテロで表面化し、王国の問題となった。

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映画『キングダム 見えざる敵』のあらすじ【承】

サウジアラビア、リヤド、アル・ラマー外国人居住区。警官を装った男達が居住区に侵入し、人々を射殺していった。さらに、避難させる振りをして多くの人を集め、自爆する男もいた。

FBI捜査官のロナルドは、ソフトボールの試合中にテロ攻撃があったと同僚のフランシスから連絡をもらう。標的にされたのは石油会社の従業員達で、子供も犠牲になっていた。現場にいるフランシスは精神的に参っており、ロナルドに来てくれと頼んだ。フランシスが電話を切った後、現場で爆発が起こった。

テロの死者は100名以上・負傷者は200名以上もいた。犯人は白昼テロを起こして警察や救援隊を誘き寄せ、爆弾を使って殺害したのだった。現場にいたフランシスも犠牲となった。ロナルドは「FBI ワシントン・オフィス」を訪れ、事件について会議を行った。犯人はサウジアラビアの内乱、アブ・ハムザ一派の犯行、ビンラディンを気取った一味など様々な可能性があった。

ロナルドを始めとしたFBI捜査官は現地に行きたかったが、サウジアラビアにアメリカ人がいるのが爆破テロの理由だとされ許可が下りなかった。ロナルドはワシントン・ポスト紙・事件記者のエレインを通じて、サウジアラビア駐米大使のサマー王子に会った。そして、王室の寄付がテロの実行犯に流れている件で脅しをかけ、サウジアラビアに行く許可を得る。

ロナルドは爆発物専門家のグラント、情報分析官のアダム、法医学調査官のジャネットと共にサウジアラビアに向かった。調査期間は5日だけだった。一方、サウジアラビア警察のファーリス・アル・ガージー大佐はビン・ハーリド王子の宮殿を訪れ、FBI捜査官達をもてなすよう指示される。テロ事件の捜査は、国家警備隊のアブドゥルマリク将軍が行うことになった。アブドゥルマリクはアル・ガージーの部下であるハイサムを犯人だと決めつけ、痛めつけた人物だった。アル・ガージーはアブドゥルマリクが適任ではないと訴えるが、警察に過激派がいる疑いがあったため聞き入れてはもらえなかった。

映画『キングダム 見えざる敵』のあらすじ【転】

ロナルド達はサウジアラビアに到着した次の日、アル・ガージーの案内で現場を訪れた。現場は酷い有様で、爆発によって周囲の建物は半倒壊していた。アメリカ大使館首席公使のデーモンが、ロナルド達の世話役として現れる。デーモンはビン・ハーリドにロナルド達を紹介した。そして、ロナルド達に帰国することを勧めた。だが、ロナルド達は何もせぬまま帰るつもりはなかった。

ロナルド達は「証拠品に触らない」「イスラム教徒の遺体に触れない」「アル・ガージーの前で質問を行う」など様々なルールを課せられ、自由に捜査を行うことができなかった。ロナルドは苛立ちを抱え、アル・ガージーと口論になった。だが、アル・ガージーはルールを曲げようとはしなかった。ロナルドは目撃者から話を聞くことにした。しかし、犯人に繋がるような手がかりは得られなかった。

ロナルドはネット上にアップされている犯行の映像を見て、ビルの屋上から撮影されたものだと気づく。アル・ガージーに許可を取ってもらい、ビルを確認しに行った。屋上から撮影したものに間違いなかった。外国人が立ち入れるような場所ではないため、犯人はサウジアラビア人の可能性が高かった。アブ・ハムザが犯人かもしれないが、彼は英雄視されていたため目撃情報を探しても情報が出てこないことが予想された。ロナルドはアブドゥルマリクの捜査に対する甘さを指摘し、現場で見つけた起爆装置をアル・ガージーに渡した。

ジャネット以外の3人は宮殿に招待された。ロナルドは調査して分かったことをビン・ハーリドに伝え、アル・ガージーの捜査能力の高さを褒め称えた。そして、捜査を手伝わせて欲しいと頼んだ。訴えは認められ、捜査できる範囲が広がった。ロナルド達はアル・ガージーやハイサムを始めとした警察の協力の下、現場や遺体の確認、情報収集などを行った。

映画『キングダム 見えざる敵』の結末・ラスト(ネタバレ)

アル・ガージーは多くの死傷者を出したテロリストに激しい憎しみを抱いていた。友を失ったロナルドも同じ思いだった。2人の間には友情が芽生えつつあった。アル・ガージーは犯人の手がかりを得るため、イズ・アル・ディンの元にロナルドを連れていった。イズ・アル・ディンはビンラディンに味方して王室と戦った男だった。恩赦期間中に出頭し、今は社会奉仕活動を行っていた。ロナルド達は現場で見つかった起爆装置を見せ、アメリカ軍の物だと教えられる。それは、特定の者しか入手できない代物だった。アブ・ハムザも入手できる可能性はあったが、幽霊みたいな人物のため居場所は分からなかった。

グラントが爆発現場を調査したことにより、ファハド国王病院の救急車が盗まれ犯行に使われたことが分かった。交代で乗務していたのは20名おり、その内の1人が怪しかった。怪しい人物の名はムアース・アル・アブドゥラ。兄のファハドは犯行を行い、ハイサムに射殺されていた。

警官がムアース・アル・アブドゥラの家に突入し、中にいた者を射殺した。残っていた証拠から彼らがテロリストの一味であることは間違いないが、年齢が若かったことから首謀者だとは考えられなかった。しかし、制限時間がきてしまい、ロナルド達は帰国を命じられる。

ロナルド達は車に乗って空港に向かった。その時、ロナルドは異変を察知し、ブレーキを踏むよう叫んだ。しかし、事故に遭い、アダムがテロリストに連れ去られてしまう。ロナルド達は車に乗って追跡した。辿り着いたのは、危険な過激派の拠点だった。ロナルド達は敵と戦いながらビルの中を進み、アダムを救出した。

ビルから出るとき、ジャネットは怖がらせてしまった子供のことが気にかかった。慰めるためにキャンディーを渡すと、お返しにビー玉をプレゼントされる。それは、遺体に付着していた物と同じだった。アル・ガージーは近くにいた壮年の男性がアブ・ハムザだと気づくが、その場にいた別の青年に首元を撃たれてしまう。ロナルドは銃を下ろさない青年とアブ・ハムザを撃った。その場にいた女性達は泣き叫んだ。ロナルドが見守る中、アル・ガージーは息を引き取った。

ロナルドはアル・ガージーの家を訪れ、彼の息子のスルタンに会った。そして、アル・ガージーは勇敢な人物だったと伝えた。その後、ロナルド達はハイサムに別れを告げ、帰国した。ロナルドはフランシスの死を知って悲しむジャネットに「奴らを皆殺しにする」と言って慰めていた。アブ・ハムザは自分の死を見て悲しむ孫に「心配ない、仲間が奴らを皆殺しにする」と言って励ましていた。

映画『キングダム 見えざる敵』の感想・評価・レビュー

ラストでロナルドもアブ・ハムザと同じ言葉を言っており、とても複雑な気分になった。きっと孫は祖父を殺したアメリカ人を憎んでしまうと思うし、そこから新たな戦いが生まれてしまうのではないかと思う。テロリストの行為は絶対許すべきではないし許せるものでもないが、良い解決方法はないのかと願わずにはいられない終わり方だった。実際に起きた事件を元に制作されているため、物語にリアリティがあって色々考えさせられる作品だった。(MIHOシネマ編集部)


中東の「キングダム」サウジアラビアが舞台のこの作品。1つのテロをきっかけに起こる復讐の連鎖が描かれています。私が思い描いていた、サウジアラビアの危険なイメージがそのまま映画になったような作品で、目を背けたくなるようなシーンも沢山ありました。これが日常的に起こっている出来事だとは、平和な日本で暮らしている私たちには想像もできないような世界です。
ラストでテロリストが子供に囁くセリフ。ああ、結局そうなってしまうのか…と胸が苦しくなりました。(女性 30代)

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