この記事では、映画『霧の子午線』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『霧の子午線』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『霧の子午線』の作品情報

出典:https://video.unext.jp/title/SID0036083
| 製作年 | 1996年 |
|---|---|
| 上映時間 | 106分 |
| ジャンル | 恋愛 ヒューマンドラマ |
| 監督 | 出目昌伸 |
| キャスト | 岩下志麻 吉永小百合 玉置浩二 林隆三 |
| 製作国 | 日本 |
映画『霧の子午線』の登場人物(キャスト)
- 鳥飼希代子(岩下志麻)
- 函館で新聞記者として働く女性。シングルマザーとして光夫を育てている。嫉妬深い一面を持っている。
- 沢田八重(吉永小百合)
- ちぎり絵作家の女性。病気を患っており、天涯孤独で過ごしている。希代子とは姉妹のような絆で結ばれている。儚げな雰囲気を纏う美人。
- 鳥飼光夫(山本耕史)
- 希代子の息子。反抗期の真っ最中だが、自分の父の正体について知りたがっている。
映画『霧の子午線』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『霧の子午線』のあらすじ【起】
ちぎり絵作家をしている沢田八重は、クローン病のため大学時代の友人である鳥飼希代子の勧めで彼女が住んでいる函館へ引っ越してきた。天涯孤独だった八重にとっては、希代子は家族のような存在で二人は姉妹のような関係だった。希代子は新聞記者として一生懸命に働くシングルマザーで、息子の光夫は反抗期の盛りだった。
ある日の夜、八重の家に光夫がやってきて、自分の父親のことを知っているのかと尋ねた。八重は、希代子がいつかちゃんと話をしてくれるはずだからそれを待ってあげてほしいと優しく話した。光夫は八重に恋心のようなものを抱いていた。
後日、希代子は部下であり恋人でもある高尾耕介と一緒に八重の家を訪れた。儚げで美しい八重に、耕介は目を奪われてしまった。
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映画『霧の子午線』のあらすじ【承】
本の出版が決まった八重を、耕介が密着取材することが決まった。八重の仕事場を訪れていた耕介は、我慢できず八重を抱きしめキスをしてしまった。そしてその夜二人は関係を持ってしまった。
希代子は、取材で東京を訪れており、偶然大学時代の先輩である宮本に再会し、光夫の父である淡路新一郎が今ノルウェーにいることを知った。新一郎は、かつて八重と希代子が愛した男だった。
函館に戻った希代子は、直感で八重と耕介に何かあったと悟った。嫉妬した希代子は耕介を独り占めするため躍起になり、八重を慕っている光夫にも酷い態度を取るようになっていった。八重は病気こそ回復していないものの、以前より明るく前向きになっていた。輝いている八重の姿を見ることが、希代子には辛いものだった。
映画『霧の子午線』のあらすじ【転】
耕介が二股をしていることを知った光夫は、耕介に殴りかかった。母への不満も同時に募らせた光夫は、八重の家を訪れ自暴自棄になっていた。八重は自分のお腹にある手術跡を見せ、自分も光夫のような子供を産みたかったと話した。そして、光夫の父は淡路新一郎という人物で、かつて学生運動に一緒に参加していた医学生だったと告げた。新一郎ははじめは八重と交際していたが、やがて希代子に乗り換えたのだった。
光夫を妊娠した希代子だったが、学生運動を諦めた新一郎はいつの間にか二人の前から姿を消していた。その日八重の家で眠った光夫だったが、朝になると八重はいなかった。そして、自分の許可なく父について話したことを知った希代子は、怒りをむき出しにした。
八重は耕介とともに旅をしていた。光夫は希代子を必死になだめ、八重はもう長くないのだろうと呟いた。
映画『霧の子午線』の結末・ラスト(ネタバレ)
希代子は、新一郎に会うためにノルウェーへ飛んだ。希代子は新一郎との再会を果たしたが、新一郎はノルウェーで新しい家庭を作っていた。希代子が八重に助けられながら光夫を育てていることを話すと、新一郎は息子を産んでくれたことへの感謝を告げた。希代子がホテルに戻ると、そこには八重の姿があった。八重は耕介と別れたことを話し、今までのことを謝罪した。八重はもうすぐ自分が死ぬことをわかっていたのだった。
八重を許した希代子は、二人でダンスホールでの夜を楽しんだ。しかし、やがて八重は激しい痛みに襲われて倒れ込み、希代子に抱えられながら静かに息を引き取っていった。大切な親友を失ってしまった希代子は、その場で八重の名前を叫びながら泣き崩れるのだった。
映画『霧の子午線』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
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映画『霧の子午線』のネタバレあらすじ結末と感想まとめ
病に苦しむちぎり絵作家・沢田八重と、記者として働く元友人・鳥飼希代子──かつて同じ男を愛した二人の再会と再び交錯する愛憎を描いた本作は、静かに、しかし重く心を揺さぶる作品でした。八重のクローン病という限られた命、そして希代子の息子・光夫を巻き込む複雑な人間関係――それらが絡み合い、美しくも哀しい結末へと向かう。そのラスト、八重が倒れ、希代子が湖で彼女の名を叫ぶシーンは、友情と裏切り、赦しと喪失が交錯する痛みを強く感じさせ、深く心に残りました。(20代 男性)
女優ふたりの対比が鮮やかで、ビジュアルだけでも引き込まれる作品でした。吉永小百合の儚げで繊細な八重と、岩下志麻のしっかり者で揺らぐ希代子――その関係性に自然と感情移入してしまいます。物語が進むにつれ、三角関係の苦しさ、嫉妬、そして赦しがゆっくりと深みを増してゆき、終盤の八重の死と希代子の叫びは胸を締めつけられるほど切なかった。苦しくも美しい人間ドラマが好きな人におすすめしたい作品です。(30代 女性)
重苦しいテーマながらも、情念と愛の機微を丁寧に描いたドラマ。若き日をともにした友情が、大人になってからの再会で試されるさま――それは時の流れだけでは癒せない傷と隠された想いの再燃。とくに、息子の光夫まで巻き込んだ葛藤と、真実が明かされたときの衝撃は大きく、過去と現在の歪みが余白なく映し出されます。ラストのノルウェーでの対峙と別れは、救いでもあり破滅でもある――その余韻がしばらく消えませんでした。(40代 男性)
人間の弱さと愛の強さ、その両方を見せつけられる映画でした。八重の病気、希代子の葛藤、そして耕介や淡路との過去と現在――すべてが絡まり合う人間模様。取材という名目で近づいた耕介との関係、そして息子の嫉妬と暴走。物語は静かに進むけれど、心の奥底で渦巻く感情の嵐は猛烈です。最後に八重が命を縮める結末は残酷だけど、希代子との友情と赦しを通じて描かれる“人間の救い”が、哀しみと共に胸を打ちました。(20代 女性)
映像に漂う霧と港町・函館の空気感が、物語の陰影を際立たせていました。過去の学生運動、友情、裏切り、罪──それらが時間を越えて再び交錯するドラマでは、登場人物たちの心の軋みが非常にリアルに描かれます。特に、息子・光夫の葛藤や、希代子の母としての苦悩が重層的で、単なる恋愛ドラマではない深みを感じました。終盤のノルウェーでの別れと八重の死は、静かな絶望の中にほのかな救いを残す、切実なラストでした。(30代 男性)
重く苦しいテーマにもかかわらず、静かな優しさと人間らしさを最後まで失わない作品だと思います。友情と愛情、その境界の曖昧さ、罪と赦し──それらを抱えながら生きる女性たちの姿は切なく、それでいて強かった。八重の病と向き合う姿勢、希代子の葛藤と決断、そして息子との関係――どれもが現実的で、観る者の心を揺さぶります。ラストに訪れる別れの痛みは深く、でもそれは誰かを責めるためではなく、生きることの儚さと尊さを教えてくれるようでした。(40代 女性)
友情と裏切り、過去と現在、命と愛――あらゆるテーマが絡み合う、この映画の構成には好き嫌いが分かれると思います。でも、その混沌の中にこそ人間の業(ごう)があり、リアルな感情のぶつかり合いがある。特に三十代前後の人生経験がある人には、過去の選択と後悔、今の自分との対峙を突きつけるような重さがあります。八重の死と希代子の叫びは、観る者の胸に突き刺さり、しばらく立ち直れないほどの余韻を残しました。(50代 男性)
結末に向けて登場人物たちの心の闇が少しずつ剥がれていく描写が秀逸でした。クローン病という現実の病と、心の病――過去の裏切り、息子への罪悪感、嫉妬と憎しみ。それらが絡み合っていく過程の苦しさは、本当に痛かった。同時に、友情という絆の深さと、人を赦す強さも描かれており、そのコントラストが胸に刺さります。八重の死は悲劇だけど、希代子との最期の時間、そして湖での絶望的な叫びは、生きる意味を問い直させられるラストでした。(20代 女性)
人間ドラマとしては過不足なく描かれており、特にキャラクターの心理描写と関係性の複雑さが印象的でした。学生時代の友情、母と子の関係、恋人との裏切り――それぞれが絡み合って、誰もが救われず、また誰かが傷つく。けれど、その中で誰かを赦し、受け入れようとする姿勢があるのが、この映画の救いでもあります。ラスト、八重の死を前にした希代子の涙は、赦しにも、絶望にも見え、その曖昧さが観る者に深い余韻を残しました。(30代 男性)
この作品は、愛と友情の境界、命のはかなさ、そして贖罪と赦し――極めて人間的なテーマを真正面から描いた、重厚なドラマだと感じました。過去の選択が現在に影を落とし、家族や友情、愛が複雑に絡み合う。誰かを憎み、愛し、赦す――そのすべてを抱えたまま生きる人間の業に、心が締め付けられました。八重の最期は悲しく、痛みを伴うものでしたが、それは生きることの尊さを教えてくれるようでもありました。観終えたあと、しばらく静かな余韻に浸ることになる一本です。(40代 男性)
映画『霧の子午線』を見た人におすすめの映画5選
雪国
この映画を一言で表すと?
愛と孤独が雪に閉ざされた温泉街で交錯する、文学的で繊細な恋愛ドラマ。
どんな話?
東京から雪国の温泉町へと通う男・島村と、芸者・駒子との関係を描く。互いに惹かれながらも、決して結ばれることのない愛。その儚くも切ない情感が、雪の静寂とともに胸に染み渡ります。川端康成の名作を美しく映像化し、風景と人間の心が見事に響き合う作品です。
ここがおすすめ!
『霧の子午線』と同じく、男女の愛と喪失を静かに、詩的に描いた作品。雪に包まれた世界が、登場人物の心の凍りつきや温もりを象徴しています。情念を抑えた演出の中に、激しい感情が潜む──まさに日本映画の美学が凝縮された名作です。
愛のコリーダ
この映画を一言で表すと?
愛と欲望の果てを、究極のリアリズムで描いた衝撃的な官能映画。
どんな話?
1930年代の日本を舞台に、女中とその主人が互いの肉体に溺れていく実話を基にした物語。社会から隔絶された二人は、愛と欲望に支配され、やがて取り返しのつかない結末へと向かっていきます。美しさと狂気が紙一重で同居する、挑発的な作品です。
ここがおすすめ!
『霧の子午線』のように“禁断の愛”と“破滅”を描いた作品で、人間の情念の極致を体験できます。大島渚監督の演出は過激でありながらも美しく、愛とは何か、欲望とは何かを観る者に突きつけます。愛の残酷さを芸術として昇華させた傑作です。
他人の顔
この映画を一言で表すと?
“顔”を失った男が、人間のアイデンティティと孤独を見つめる哲学的サスペンス。
どんな話?
事故で顔に大火傷を負った男が、新しい顔の仮面を手に入れたことで、別人として生き始める。しかしその自由は、同時に人間性を失う恐怖の始まりでもあった──。谷崎潤一郎的な倒錯と心理劇が交錯する、深いテーマ性を持つ作品です。
ここがおすすめ!
『霧の子午線』同様、人間の内面やアイデンティティの揺らぎを鋭く描いています。勅使河原宏監督の独特の映像美が、孤独と存在の不安を鮮烈に可視化。芸術性の高い心理ドラマとして、観るたびに新しい発見があります。
愛の亡霊
この映画を一言で表すと?
死んだ恋人の亡霊が現れる、官能と罪の意識が入り混じる幻想的愛憎劇。
どんな話?
戦前の日本。貧しい下町で生きる女・おきねが、恋人と共謀して夫を殺してしまう。しかし夫の亡霊は二人の前に現れ、次第に狂気と破滅が訪れる。愛、罪、そして死が絡み合う、鬼気迫る人間ドラマ。
ここがおすすめ!
『霧の子午線』に通じる“愛と罪の境界”を描いた作品で、感情の深層に踏み込む力があります。大島渚監督が幻想と現実を行き来させながら、登場人物たちの心理を鋭く暴き出す。欲望に支配される人間の悲しさを、詩的かつ残酷に映し出した名作です。
火火(ひび)
この映画を一言で表すと?
病と向き合いながら、自分の芸術と人生を全うした女性陶芸家の真実の物語。
どんな話?
陶芸家・神山清子の実話を基に、息子を白血病で失い、自らも病と闘いながら創作を続ける女性の生き様を描く。喪失と希望、そして“生きることの意味”を真摯に問う感動作。
ここがおすすめ!
『霧の子午線』で印象的だった「病」「創作」「母性」のテーマに強く共鳴する映画。主人公が苦しみながらも前へ進む姿は胸を打ちます。芸術と人生をかけた戦いの中で、人間の強さと儚さを静かに描いた作品です。






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