映画『寄生体X』の概要:彗星の襲来と共に謎の寄生体が街を襲う。10年前の彗星飛来時、狂暴化した両親の殺し合いを目撃してしまった主人公は、トラウマを乗り越えつつ寄生体によって化け物と化した人々と対峙する。たった一夜にして街が地獄へと化す様を描いた作品。
映画『寄生体X』の作品情報
上映時間:75分
ジャンル:SF、ホラー
監督:ダヴィッド・ショレワ
キャスト:ファビアン・ウルフロム、ブランディン・マーミゲール、ジョン・ファロン、ルーリク・サル etc
映画『寄生体X』の登場人物(キャスト)
- クリス(ファビアン・ウルフロム)
- 10年前の彗星襲来時、厳しい父親が母親を殺害する場面を目撃するという、悲惨な過去を持っている。おどおどしており気弱。暗闇が苦手で、過去のトラウマから精神安定剤を服用している。
- クレア(ブランディン・マーミゲール)
- クリスの部屋の向かいに住む女性。金髪で美しく、絵描きをしている。クリスに好意を寄せている。
- ジョン(ジョン・ファロン)
- 日本刀のコレクターでスキンヘッド。体格が良い。クリスの部屋と同じ階に住んでおり、バレエを教えている。
- ロール(ジョアンナ・セロー)
- ストアで知り合った女性。黒髪で急に逆上するような危うい面がある。
映画『寄生体X』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『寄生体X』のあらすじ【起】
PC接続のサポーターとして働いているクリス。世界が彗星襲来に湧く中、自宅から買い物へと出かける。彗星が近づくにつれ、街の人々はどこか高揚し狂暴になりつつあった。普段からさほど安全な地区ではないため、異様な光景が始まっていても、クリスはそれを差して変だとは思わなかった。
クリスは幼い頃、乱暴な父親と優しい母親に育てられた。しかし、10年前の彗星襲来時、深夜に凶暴化した父親が母親を殺害。それを目撃してしまったクリスは今も尚、心に傷を負っている。故に、彗星が再び襲来すると世間が湧いていても彼自身、それを歓迎することはできなかった。
クリスが一人暮らししている部屋の向かいには、絵描きで美人のクレアという女性が住んでいた。彼女へと密かに好意を寄せていたクリス。部屋を訪ねて会話したことで、彼女とデートの約束をする。
夜になり、クレアが待つクラブへと向かったクリスは日中、買い物に出た際にストアで知り合った女性ロールと出会う。彼女が言うには、クレアはもう帰ってしまったらしい。出かける前に安定剤を服用してきたクリスは、薬を飲んだことを忘れて酒を飲んでしまう。そのせいで気分が悪くなり、ロールの案内でトイレへ向かうも意識を失ってしまう。
映画『寄生体X』のあらすじ【承】
しばらくして、意識を取り戻したクリスは、彼を探しに来たクレアとようやく落ち合うことができるのだった。
別室にて彼女と彗星を眺めながら、良い雰囲気になる。彼は彼女に促されて安定剤を服用する理由を話すも、クレアはイベントへ参加するため、仲間達に連れて行かれる。その後、別の女が左頬に痣がある男と別室へ消える姿を垣間見てしまうクリス。
2人の後を追って行くと、ベッドルームで男が謎の触手で女を殺す場面を目撃。思わず扉を閉め、トイレへ向かうとロールがいたが、振り返った彼女の顔は見る間に溶けて、絶命してしまうのだった。
何が起きているのか分からないまま、クラブの外へ逃げ出したクリス。外でも人が謎の様相を現し、異様な様子で人を襲っている。
彼は恐ろしくなって部屋へと戻った。鍵をかけてようやく一息吐いたクリスだったが、窓の外を照らす光を目にする。
彗星が通過して行ったのだ。その後すぐ、街の明かりが次々と消えていく。クリスは予備のバッテリーを使い、PCを起動するもネットには繋がらない。当然、携帯も繋がらないため、何の情報も得られない。
ふと、部屋のクローゼットが開いているのを見たクリス。そこから触手が何本も伸び、先端に目玉が現れるのを目撃。彼は恐ろしい不安を感じて安定剤を服用し、意識を失った。
映画『寄生体X』のあらすじ【転】
どれくらい経ったのか。気付いたらクリスはベッドに横たわっていた。異変を感じて服を持ち上げると、腹部に直系10センチほどの傷痕がある。あの触手に何かされたのかもしれない。
クリスは部屋から脱出しようとして、ドアの鍵を壊してしまったことを思い出す。そこへ、街のゴロツキが通りかかりドアを破壊。クリスは男達に捕まり意識を奪われてしまった。
意識が戻ると、辺りは血塗れで死体が転がっていた。何者かが襲ったか同士討ちを行ったか。銃を構えたジョンが彼を発見し、傷の手当をしてくれた。
満身創痍のクリスへ、ジョンが生きる術を教え込む。柄はあまりよくないが、悪い人ではないようだ。武器を手にした2人は、変容を始めている人と思しきものを倒しつつ外へ。
過去のトラウマから暗闇に恐怖を覚えるクリスだったが、生き残るには暗闇を走り抜けなければならなかった。
どこからか、妙な音が響く。息遣いなのか、触手が移動する音なのか分からない。
見たこともない化け物と対峙した2人。ジョンが左手を負傷しつつも銃で倒してくれた。
無事に外へ出たが、ビルの角を曲がったところでジョンに異変が発生。息が苦しいと話すため、立ち止まった2人だったが、ジョンと敵対するゴロツキが現れクリスが殴られてしまう。ジョンとゴロツキは殴り合いを行うも、奴の手が触手のように変容する。男の背後からクリスが襲い掛かり、奴を倒した。
どうにか窮地を脱したと思った2人だったが、ジョンの傷口から触手が突き出ようとしている。巷を襲う何かに感染したのだ。更に背後からは感染した人々が大勢、迫っていた。ジョンはクリスを逃がし、大勢の化け物たちと戦うことにした。
映画『寄生体X』の結末・ラスト(ネタバレ)
1人で先を行くクリス。道を塞ぐ人の姿をした化け物を倒す。町の石垣まで来て疲れ切った彼は、少し休もうと腰を下ろした。しかし、そこへ下半身をクモのように変容させた女が現れ、クリスを篭絡しようとする。だが、彼はその怪物を倒して、クレアがいるであろうクラブへと向かった。
無事に生き残っていたクレアを救出したクリス。彼女が自殺しようとしていたため、躊躇い傷を治療する道具を探しに行く。その間、彼が置いて行ったカメラの録画を見たクレア。
録画にはゴロツキを倒して笑うクリスが映されていた。
クレアは戻って来た彼を思わず刺してしまう。しかし、すぐに正気へと戻ってクリスを連れて外へ。
途中、幼い少年を保護した2人。虫の息となったクリスとクレア、少年は軍の兵士に発見され、ようやく救出された。横たわるクリスの腹部からは何か触手のようなものが、蠢いて見える。
束の間、移動中に休んでしまったクレア。気が付くと1人の兵士が絶命しており、車も停車している。そして、クリスの姿もなかった。
数人の兵士とクレアは少年を守りつつ、移動を開始。だが、そんな彼らを化け物と化した人々が襲う。兵士は最後の1人となっても奮闘したが、結局は多勢に無勢でやられてしまう。ビルの屋上で蹲ったクレアと少年へ迫る化け物。そこへ、クリスが現れ触手を操って敵を倒し2人を救出した。
街は一晩で火の海と化し、そこら中に化け物が溢れ地獄と化した。唯一、クリスとクレア、少年だけは人としての矜持を持って生き残ることができたのである。
映画『寄生体X』の感想・評価・レビュー
若干バイオハザード色を感じる作風となっており、謎の奇生体に街中が感染していき、人々が殺しあう中をクリスとクレア(どこかで聞いたような名前である)が、生き延びていくストーリーとなっている。後半はモンスターパニック系の類に入りそうな異形の人間が多数登場するが、こういった内容は割と出尽くした感があるので、衝撃はそれ程では無いが、感染系の面白い部分をちゃんと押さえている作りなので、飽きずに見る事が出来るだろう。(男性 30代)
とにかく謎の生物が襲ってくる映画が作りたかっただろうという事が痛いほど伝わってくる映画で、チャンスが来た時のためにため込まれていたであろうアイデアは豊富だった。しかしながら面白いかというと、ちょっと…いやかなり基準値には程遠く、この手の低予算パニック映画を観慣れていない人には辛い時間が流れるだろう。個人的には少なくとももう少しキリの良い所まではお話は進めるべきだと思う。(男性 30代)
ゾンビ映画では無いのに『バイオハザード』感がすごい今作。それはきっと主人公のクリスとクレア、2人の名前と役どころ、そしてストーリーのせいでしょう。
未知の生物に寄生され、人としての感情を失ってしまう人間たち。その謎の生物から逃げ、生き延びようとするクリスとクレア。まさに『バイオハザード』なのですが、とにかく色々な形状のモンスターが出てくるのでハラハラドキドキします。びっくりするシーンもあって全体的にB級感は否めませんが、とても面白かったです。(女性 30代)
彗星襲来と共に謎の寄生体に襲われ阿鼻叫喚となる世界を生き抜く人々を描いている。主人公はクリスだが、彼には10年前からの謎があって安定剤も服用している。薬の幻覚を視野に入れたかったのかもしれないが、まったく功を奏していない。後から思うとちょっと笑ってしまう演出も多いのだが、何しろ寄生体の様相が様々でアイデアは豊富。結局、クリスは寄生されても自我を保てる存在となるのだが、クレアはよく無事だったな。彼女こそどうやって生き残ったんだよと思わされる。突っ込みどころも多いが、それなりに達成感はある。(女性 40代)
テンポが若干悪く、前半は随分のんべんだらりとしています。そして後半は気づけば人類滅亡と、急すぎる展開です。物語の不親切さに戸惑いますが、この適当な感じが『寄生体X』の良さなのかもしれません。フランス映画らしいなと感じます。クリーチャーを好きなように作って見せるから、視聴者は好きなように解釈して、という意味合いを感じ取りました。音や映像はおしなべてチープで、予算が限られていたことが窺えます。エンディングのアートが素敵です。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー