映画『こころに剣士を』の概要:第二次大戦後にあった感動の実話。戦時中ドイツ兵として戦ったエストニア人のエンデルは、秘密警察から逃れるため田舎町で教師に着任する。フェンシング教室の参加者を募ると、体育館いっぱいに子供たちが集まった。
映画『こころに剣士を』の作品情報
上映時間:99分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:クラウス・ハロ
キャスト:マルト・アヴァンディ、ウルスラ・ラタセップ、レンビット・ウルフサク、リーサ・コッペル etc
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映画『こころに剣士を』の登場人物(キャスト)
- エンデル・ネリス(メルア・ヴァンディ)
- 元フェンシング選手。エストニア人でありながら第二次世界大戦中にドイツ兵として戦ったことから、戦後にソ連の秘密警察に追われることになる。逃亡先のエストニア・ハープサルで小学校の教師となり、子供たちにフェンシングを教え始める。
- カドリ(ウルスラ・ラタセップ)
- ハープサル小学校の教師。エンデルが懸命に子供たちにフェンシングを教える姿に好意を抱き恋人になる。やがて彼がドイツ兵であったことを知ることになる。
- 校長(ヘンドリック・トムペレ)
- ハープサル小学校の校長。レニングラードからやってきたエンデルを教師として採用するが、次第にその経歴を怪しみ始める。彼がドイツ兵であったという証拠を掴むと秘密警察に密告する。
- マルタ(リサ・コッペル)
- エンデルがフェンシングを教える小学生の女の子。戦争で父を亡くし、2人の妹の面倒を見ながらフェンシングに打ち込んでいく。
映画『こころに剣士を』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『こころに剣士を』のあらすじ【起】
バルト三国の一つのエストニアは、第二次世界大戦で独ソの戦場となった。戦後ソ連に併合されると、ドイツ兵として戦ったエストニア人はソ連の秘密警察から追われることになった。元フェンシング選手のエンデル・ネリスもその一人。彼は監視の目が厳しいレニングラードを離れ、人口の少ないエストニアのハープサルに行く。そこでドイツ兵であったことを隠し、小学校の教師として雇われた。
彼は着任早々、校長から運動クラブを作れと言われた。スキー教室を開こうとして体育倉庫のスキー板の手入れをしたが、校長はそれを勝手に軍に貸してしまった。エンデルは次にフェンシング教室を始めようと掲示板に案内を掲示。すると彼の予想を上回る何十人もの児童が体育館に集まった。
初めて見るフェンシングに子供たちは興味津々。エンデルは子供たちを整列させて、相手との距離の取り方などフェンシングの基礎を説明し始める。遊び半分な気持ちは許さない彼は、おしゃべりをする子を厳しく注意。最初は笑っていた子供たちはすっかり黙り、先生の話を真面目に聞き始める。そして彼の動きに合わせて、基本動作を何度も練習した。
映画『こころに剣士を』のあらすじ【承】
練習用の剣を作るため、子供たちは草原で木の枝をかき集めた。エンデルは枝をなめして練習剣を何十本も制作。自分の剣を手にした子供たちは、夢中で練習を始める。エンデルは同僚のカドリと親しくなり、実は子供が苦手なのだという悩みを打ち明ける。すると彼女は、子供たちはフェンシングのおかげで戦争の辛い現実を忘れられていると励ました。
エンデルは子供たちを剣士にしたいという気持ちが強くなると、指導が少し厳しくなることもあったが、徐々に子供の目線に合せられるようになった。年長組のヤーンは祖父からフェンシングの道具を譲り受け、仲間たちと共有して使い始めた。
フェンシング部の活動は軌道に乗り始めたと思われたが、校長は部の存続に難色を示した。彼にはフェンシングは都会の金持ちがやる競技だという偏見があり、エンデルの活動を快く思っていなかったのだ。しかし保護者会で部の存続を採決すると、圧倒的多数で存続が決定した。
喜ぶエンデルの元に、フェンシング仲間だったアレクセイが訪問する。彼もエンデルと同じ元ドイツ兵だった。秘密警察が迫っているから一緒にシベリアに逃げようと彼を誘うが、エンデルはフェンシング部があるからと断った。
映画『こころに剣士を』のあらすじ【転】
ある日練習が終わると、エンデル宛てに大量のフェンシング道具が届けられた。アレクセイが届けてくれたのだ。子供たち全員に道具が行き渡り、さらに練習に身が入った。エンデルはカドリとの交際も順調となり、平凡な幸せを掴もうとしていた。しかし同じ頃、エンデルの素性を疑っていた校長は、彼が偽名を使っていることを突き止めた。
子供たちはフェンシング大会が開催されるという新聞記事を入手。エンデルに大会に出たいとせがんだ。その開催地はレニングラードであったため、秘密警察を警戒したエンデルは「君たちにはまだ早い」などと適当にあしらい却下した。しかし気の強い女の子のマルタから「挑戦したい!」と強く訴えられると心が揺らいだ。
ある夜。ヤーンの祖父を秘密警察が訪問。祖父も元ドイツ兵だったのだ。「立派な剣士になれ」とヤーンに言い残すと、秘密警察に連れ去られてしまった。
その後カドリは偶然、エンデルが元ドイツ兵だったと知る。大会でレニングラードに行くのは危険だと止めたが、彼はもう出場を決意していた。翌日、子供たちに出場を伝えると大喜び。選手はヤーンを含む3名。マルタも補欠に選ばれた。大会へ向かう朝、エンデルは駅まで見送りに来たカドリと別れのキスをする。その頃校長は、エンデルがドイツ兵だったことを裏付けるパスポートを見つけ出した。
映画『こころに剣士を』の結末・ラスト(ネタバレ)
レニングラードの会場にはソ連各地から強豪校が集合。ハープサル校の子供たちは試合用の電磁剣を他校から借りて開会式に出た。強豪校の選手は盛大な拍手で紹介されるが、無名のハープサル校は場違いだと言わんばかりのまばらな拍手だった。
試合開始。子供たちは緊張で最初こそ硬かったが、ヤーンが1勝すると次第に本来の力を発揮。チームは勝ち進み決勝トーナメントへの進出が決定した。しかしその時、エンデルは秘密警察に気付きとっさに逃げ出した。子供たちは決勝戦に勝ち進んだものの、次第に劣勢に。そこにエンデルが逮捕を覚悟して戻って来る。子供たちは強気な気持ちを取り戻した。
決勝戦の最後の1ゲーム。ヤーンが負傷してマルタにチャンスが回ってきた。敵は長身の男の子だったがマルタは腹を決めた。しかしいきなりの大舞台だったため、終了間際にポイントを失い延長戦に突入。たった1ポイントで勝負が決まる大事な勝負となったが、マルタが一瞬の隙を突きポイントを勝ち取った。まさかの無名校の初優勝で会場は拍手喝采に沸いた。
しかし喜びも束の間。子供たちはエンデルがいなくなったことに気付く。秘密警察に連行される先生の後ろ姿を見て、子供たちは悲しみ言葉を失った。
しばらくの時が過ぎ、スターリンが死ぬと囚人たちは解放された。エンデルはカドリや子供たちが待つハープサルに帰り、無事に再会を果たした。
映画『こころに剣士を』の感想・評価・レビュー
第二次世界大戦後のエストニアで実際に起きた出来事に基づく作品。全体を通して登場人物は多くを語らず、静かな基調で進んでいくのだが、言葉の代わりに眼差しで熱く伝えていると感じた。特にマルタの「フェンシングを習いたい!」「大会に出たい!」「ヤーンの代わりなんて無理っ!」などの目力を発揮するシーンが印象的で心に残った。どこまで事実かは分からないが、この学校のフェンシング部は今も活動しているとラストの一文にホッとした。(MIHOシネマ編集部)
自分の身に迫る危機を顧みず、子供達のために力を尽くしたエンデルの姿に胸を打たれた。この物語が実話を元に制作されたというのだから、驚きである。戦争によって窮屈な思いをする中、フェンシングとエンデルの存在が子供達の心の支えになっていたことが丁寧に表現されていた。だからこそ、エンデルが連行されていく姿を、子供達が見ている場面が何よりも悲しかった。あんなに悲しいことはないと思う。ラストでエンデルと子供達が再会できて、本当に良かったと心から思った。(女性 30代)
誰かのために何か出来る、エンデルがとても勇敢でかっこよかったです。子供たちにフェンシングを教え、子供たちからも好かれている人気の先生なのに、ドイツ兵として戦ったことで警察に捕まってしまうエンデルの姿はとても悲しく、良い事をしても報われない時代に嫌気がさしました。
今もこのフェンシング部は活動を続けているということですが、エンデルのような人がいたことをずっとずっと忘れずにいて欲しいなと感じました。(女性 30代)
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