映画『クロユリ団地』の概要:元AKBセンター、前田敦子が挑むホラー大作。ある時、クロユリ団地に越してきた明日香。それ以降、明日香の周りでは次々と不可解な出来事が続いていく。果たして明日香は、無事生き延びることができるのか。
映画『クロユリ団地』の作品情報
上映時間:106分
ジャンル:ホラー
監督:中田秀夫
キャスト:前田敦子、成宮寛貴、勝村政信、西田尚美 etc
映画『クロユリ団地』の登場人物(キャスト)
- 二宮明日香(前田敦子)
- 介護師を目指す、心優しい女性。ある時、クロユリ団地に越してきてからというものの、次々と不可解な事件に巻き込まれていく。
- 笹原忍(成宮寛貴)
- 明日香の隣人が亡くなった際に、遺品処理に現れた男性。霊に悩まされる明日香を助ける。
- ミノル(田中奏生)
- ある日、明日香が見かけた少年。実は彼には大きな秘密が隠されていて・・・?
- 篠崎(高橋昌也)
- 明日香の隣人。ある日不審な死を迎えてから、ことあるごとに明日香を悪夢で悩ませる。
映画『クロユリ団地』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『クロユリ団地』のあらすじ【起】
介護士を志す女性、二宮明日香は、この度家族と共にクロユリ団地に越してきた。仲の良い両親、そして、もうすぐ小学生になる年の離れた弟ミノルに恵まれ、明日香は幸せな毎日を過ごしていた。
クロユリ団地へ引っ越した明日香は、母親に頼まれお隣さんに挨拶へ向かう。しかし、ノックをしても反応はない。留守なのか、と明日香が思った時、急に少しだけ扉が開いたのである。その隙間からでは、お隣さんの顔を見ることまではできなかった。
そして、片付けが一段落したところで、明日香は新しい生活の場を見ようと街に出かけていった。すると、砂場で少年が一人遊んでいた。自分の弟と年齢が近いであろう少年に親近感が湧き、明日香は少年に話しかける。すると、少年、ミノルは血の繋がりはないものの、お隣さんの孫であるということが判明した。そして、家に帰った明日香は疲れ果て眠りについたのであった。しかし、翌日の朝5時半、あまりに五月蝿い目覚まし音に明日香は叩き起こされた。
映画『クロユリ団地』のあらすじ【承】
よくよく聞いてみると、そのアラーム音は隣の部屋から聞こえてきていた。さらに、その音はその日限りのことではなく、それから幾度となく明日香の耳に入ってくるのだった。しかし、あれだけうるさい音にも関わらず、なぜかその音は明日香以外の家族には聞こえていないのだった。
そんな奇妙な現象に悩まされ、明日香は少しずつ不安に苛まれていくのだった。さらに、明日香は友人から、クロユリ団地は普通ではないという話を耳にするのだった。
そして、明日香は隣の住民のことが気になっていた。老人が、一人で寂しくしていないかと気になったのである。明日香が改めて隣の部屋に顔を出すと、なんと老人が部屋の中で死んでいたのだ。その死体は既に死後3日が経過しており、それは明日香が初めて老人の部屋の扉を叩いた時だった。明日香は、あの直後に老人が死んでしまったのだと考える。それから隣の部屋では、遺品収集業者によって部屋の整頓が行われた。そして、そのうちの一人である笹原が、なぜかこの部屋には近づかないようにと明日香に忠告するのだった。
映画『クロユリ団地』のあらすじ【転】
明日香はミノルのことを気にかけていた。血は繋がってはいなかったものの、祖父を亡くしたミノルが気の毒に思えたのだ。そこで、明日香はミノルを家へ招き、共に遊ぼうと考える。しかし、ミノルが部屋に踏み入れた瞬間、恐ろしいことが起きた。なぜか、家の壁が突如としてヒビ割れ始めたのである。しかし、そのヒビ割れはいつのまにか無くなっていた。
それからというものの、明日香は不安に苛まれ、幻覚を見るまでになってしまう。寝ていた明日香は、恐ろしい夢を見た。夢の中で明日香は隣の部屋の中にいて、そして、おじいさんが明日香の耳元で「お前も死ぬ」と囁くのだ。また、学校で介護の演習を受けていた明日香の前にも、再びその老人が姿を現したのである。
耐えきれなくなった明日香は、慌てて家に逃げ帰る。しかし、家族がいるはずの家には誰もいなかった。そこで、明日香は失っていた記憶を取り戻す。実は、明日香の家族は10年以上前に既に亡くなっていたのだ。明日香は、一人暮らしをするためにこのクロユリ団地へやってきたのである。
映画『クロユリ団地』の結末・ラスト(ネタバレ)
明日香からの連絡を受け、笹原が彼女の元へやってきた。そして、自分では手に負えないと考えた笹原は、全てを明らかにするために霊媒師を呼ぶのだった。話を聞いた霊媒師は、この恐ろしい出来事を起こしている犯人の名前を口にする。それは、隣の部屋に住むおじいさんではなく、なんとミノルだった。
かつて、このクロユリ団地では痛ましい事故が起きていた。当時かくれんぼ中だった少年が、誤って焼却炉に入れられてしまい、そのまま焼かれてしまったのだ。そして、その少年こそがミノルだった。霊媒師の忠告通り、決してミノルを部屋に入れないようにする明日香と笹原。しかし、ミノルは二人を殺そうとやってくる。
ミノルは明日香の最愛の家族に姿を変えるなどして扉を開けさせようとするが、明日香はなんとか耐えていた。しかし、ミノルは次に、笹原の元婚約者に化けた。笹原は思わず扉をあけてしまい、ミノルに焼却炉へと連れていかれてしまう。そして、そのまま燃やされてしまったのだった。明日香は助かったものの、笹原を失ったショックから心を閉ざしてしまった。ミノルの怨念は、今もまだクロユリ団地を彷徨っているのだった。
映画『クロユリ団地』の感想・評価・レビュー
明日香と家族のやり取りに違和感を覚えていたが、それがまさか最後の伏線になるとは思いもしなかった。明日香は最初から心を病んでいたものの、とても優しい性格だったためにミノルに好かれてしまった。
ミノルの死は同情すべき点が多く、本人の心も純粋な少年のままだが、罪のない笹原を躊躇なく焼き殺すなど、子供とは思えないような残酷な一面も併せ持っている。ミノルは悪霊ではあるが、明日香に懐き、慕っている様子を見ると、寂しさを抱えた普通の子供にも見える。残酷な面と子供らしい心が共存しているミノルは、不思議な魅力がある少年で、出来れば成仏してほしいが、その怨みは計り知れず、天に昇ることは難しいのかもしれない。
この作品は怖いというよりは、全体的に可哀相な気分になるホラー映画である(女性 20代)
前田敦子と成宮寛貴が主演となるホラー作品。
前田敦子扮する明日香が、ミノルという少年と出会うのだが、実はこの少年は悲しい事故で亡くなってしまい、悪霊となってしまっていた少年であった。
ミノルは明日香と遊ぶ為に家を訪ねてきたりするのだが、それを邪魔しようとする霊媒師や、成宮寛貴扮する笹原を殺害してしまう。
とくに笹原は、自分の死に方と同じ、焼却炉で燃やされるという残酷な方法であり、冷静な笹原が思わず取り乱してしまう所はなかなか強烈なシーンである。
又、明日香自身も実は家族が死んでしまっていたという部分から、お互い孤独な立場だったミノルと波長があってしまったのでは無いだろうか。(男性 30代)
日本では人気があれば映画の主演ができる。これ自体はそんなに悪くないが、実力があってもそれだけで主演はできない。あくまでも人気が重要で、そして残酷なのが「人気があれば映画が面白くなるわけではない」という事。映画ファンとして公平に観て、前田敦子の演技はけして下手ではないが絶望的に演技に魅力がない。上手い下手を魅力は飛び越えるものだが彼女の場合は役者としてはかなり厳しい。人気を取る才能は本物でも役者とは難しいものだ。(男性 30代)
心の優しい人や自己肯定感の低い人に霊は憑きやすいと聞いたことがありますが、優しさが仇となってしまうのは本当に哀しいなと感じました。今作で描かれているのは、日本特有のホラー。作品を鑑賞したその時は少し驚く程度でも、見終わったあとのふとした瞬間にその作品の怖さを思い出し、日常生活の中で恐怖を体験することってありますよね。
作品自体は物凄く怖いわけではありませんが、鑑賞後の怖さに耐えられない方にはおすすめできません。(女性 30代)
「団地」という人が多く集まる場所の開放的ではない雰囲気の気味悪さみたいなのを上手く引き出してあって、心霊という舞台にはピッタリだ。監督はホラー映画をけっこう撮ってきていたようだが、本作のホラー映画としての怖さは初心者の私にとっても甘かったと思う。
パッピーエンドを望んでいた自分としては、精神が崩壊したり死に至った二人という結末は何か納得いかなかったものの、人間の内側の弱さみたいなものを描写している映画としては面白いと言える。(女性 20代)
団地に引っ越してきた家族に恐怖が襲い掛かる…という鉄板ホラーとは少し違うのがこの作品の面白いところ。開始早々両親に違和感はあるのだが、そういう展開とは思いもよらず衝撃を受けた。勝手に隣の家に入ったり、除霊が胡散臭かったりと気になる部分も多いがあらすじ的にはとても面白いホラーだと思う。しかし主役の前田敦子の演技がどこかわざとらしく、あまり感情移入できないのが残念である。この作品のスピンオフドラマである『クロユリ団地~序章~』もオススメしたい。(女性 20代)
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