映画『ラスト・マン 地球最後の男』の概要:経済崩壊と度重なる戦争により、無法地帯と化した世界。元兵士の青年は、人類滅亡説を唱える巡礼者と出会い共感する。彼は警備会社へ就職し、社長の娘と恋人関係になるが、彼女と会社の金を巡って争いが勃発。恋人を守るため、戦いへと身を投じることになる。
映画『ラスト・マン 地球最後の男』の作品情報
上映時間:104分
ジャンル:SF、アクション
監督:ロドリゴ・H・ビラ
キャスト:ヘイデン・クリステンセン、ハーヴェイ・カイテル、マルコ・レオナルディ、リズ・ソラリ etc
映画『ラスト・マン 地球最後の男』の登場人物(キャスト)
- カート・マシスン(ヘイデン・クリステンセン)
- 元兵士。20歳の頃、戦争に参加し親友のジョニーに止めを刺している。このことでPTSDを患い15年もの間、悪夢に苛まれている。現在35歳。兵士としてはかなり優秀で、近接戦にも強く銃の腕も良い。ジェシカに恋をする。
- ノエ(ハーヴェイ・カイテル)
- 終末論を唱える巡礼者。元は詐欺師で2回の逮捕歴がある。カートを見出し、世界を救うと考えており彼を解放するため、何かと手を尽くす。白髪の老人。
- アントニオ(マルコ・レオナルディ)
- 警備会社社長の側近。密かにジェシカを狙っており、カートに奪われたことで恨みを募らせている。会社の大金を奪い、ジェシカを掠め取ろうとしており、全ての罪をカートに着せようと画策する。
- ジェシカ(リズ・ソラリ)
- 警備会社社長の娘。赤毛で美しい女性。カートに一目惚れし恋人になる。仕事に対してはとても勤勉。カートを信じてシェルターへ共に入ると決心する。
- ジョニー(ジャスティン・ケリー)
- カートの親友。15年前の戦争で戦死しているが、幻覚となって度々、姿を現す。励ましたりアドバイスをしたりと、カートの心の支えとなる。
映画『ラスト・マン 地球最後の男』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ラスト・マン 地球最後の男』のあらすじ【起】
環境災害と世界経済の崩落、度重なる戦争により荒廃した世界。西洋文明崩壊に要した日数はたったの30日だった。その期間のことを人々は黒い1か月と呼んでいる。人口は減少し人々は都市を捨て去り、社会は機能を停止。そのため、秩序を失った世界では暴動や強奪が発生し無法地帯と化した。
辛くも生き残った元兵士のカート・マシスンは、戦友ジョニーを苦しみから解放したことで15年もの間、酷い悪夢に苛まれていた。自分が変わらなければと思いつつそのきっかけを掴めず、家に引きこもっては足掻く日々を送っている。
そんなある日、世界の終末を唱える巡礼者ノエと出会ったカート。曰く、気候変動により人類はじきに消滅するらしい。そこで、カートは救いを求めるべく避難するための物資を集めることに。そのためには資金が必要である。カートは資金を得るため、警備会社へと就職することにした。
その日の夜、カートの前にジョニーが出現。亡霊か幻覚か分からないが、彼は親友を励ましそろそろ立ち上がれと言って去って行く。その言葉に多少は前向きになったカート。メンテナンス係として会社へ出勤する日々が始まった。
映画『ラスト・マン 地球最後の男』のあらすじ【承】
会社の同僚には社長の娘ジェシカがいる。一目会った時から彼女に好意を抱いていたカートだったが、職場で接する機会はそう多くない。
彼は毎夜、避難するための物資を集め自宅の地下にシェルターを作り、武器を集めて体力作りに励んだ。
ノエは信徒を連れて3日後には出発するらしい。カートにも共に行こうと誘ってきたが、明確な返答はしなかった。ついて行くかシェルターに籠もるか、迷ったカートだったが、それでも着々と準備を進める。そんな彼にジョニーは混乱し正気を促した。
そんなある日、自宅へジェシカが訪ねて来る。ジョニーと口論になりつつも、武器の類を隠して身なりを整え彼女を迎えた。慌てた様子のジェシカが言うには、会社の大金が盗まれたことで社長が激怒しているらしい。カートが犯人ではないかと疑われていると言う。
映画『ラスト・マン 地球最後の男』のあらすじ【転】
ジェシカもまたカートに惹かれていたため、カートが犯人ではないことを信じている様子。2人はその場で真偽のほどを確かめ合い、勢いで体を重ねてしまうのだった。
その後、ジェシカに真実を明かしたカート。彼が家財道具の一切を売り渡し、貯金を使い果たしてシェルターを作り物資を集めていることを知ったジェシカだったが、準備が1人分しかされていないことを指摘。自分も共に避難すると言い出す。カートは避難準備のことは一切、他言無用だと告げ彼女を受け入れるのだった。
一方、ジェシカの父親で会社の社長は、側近のアントニオから大金を盗んだ犯人がカートであり、加えて娘をも奪われたと聞かされ報復を考えていた。そうして、カートの自宅を訪ね脅してくる。しばらくして帰って行ったが、ジョニーはカートを止めようと様々な難癖をつけていた。
その日はノエが出発する日だった。カートは彼を助けるために準備をして自宅を出る。ノエは避難するための物資を集めるため、店を開いて資金を稼いでいたが、周辺を牛耳るギャングが彼に難癖をつけ絶えず嫌がらせをしていた。そのため、出発する際も何かしら事を起こすのではないかと予想される。
街に大型の台風が近付いていた。空は赤黒く雷が閃き、強い風が吹いている。案の定、ノエの一行にギャングが絡んでいた。カートは暗視ゴーグルと銃を用いてギャングを撃退。彼はその時、終末や孤独が怖いのではなく、簡単に人が殺せてしまう自分が怖いと感じるのだった。
映画『ラスト・マン 地球最後の男』の結末・ラスト(ネタバレ)
無事にノエ一行が出発。彼らを見送ったカートは自宅へ戻り、シェルターの機能と物資を確認。除染機能を備えた換気装置、浄水装置付きのタンクに水分補給パック、クリーンな発電機による光源に重曹。救急道具にラジオと衛星電話、食料。準備はほぼ完了した。
台風は全世界へとほぼ同時に発生し、脅威をもたらしているようだ。じき嵐のせいで人類は滅亡する。ところが、いよいよ避難しようとした時、自宅にジェシカが訪ねて来る。カートは用心せずにドアを開けてしまい、社長に捕縛されてしまうのだった。
警察へ引き渡されたカートは留置所へ収容され、刑事の尋問によりノエが実は詐欺師だったことが明かされる。尋問中にジョニーが現れからかうものだから、思わず笑ってしまうカート。嵐は過ぎ去ったが、人類は滅亡しなかった。
そんな折、カートの元に変装したノエが面会に現れる。彼は目に見える嵐は去ったが、見えない嵐が訪れると言う。カートにはもうどれが真実なのか、分からない。ただ、ノエの言う言葉はどうも本当のように聞こえる。彼は必ずカートを収容所から出すと言うのだった。
数日後、ノエの手引きによって収容所から脱出したカートは、すぐさま自宅のシェルターへ。だが、ジェシカを見捨てるわけにもいかないので、ジョニーの制止も聞かず再び外へ向かった。
新たな嵐が訪れようとしている。カートはジェシカ救出のため、会社へ向かい社長へと銃を向けた。だが、そこへアントニオが現れる。カートはアントニオの悪行を明らかにし、社長を味方につけたが、銃撃によって負傷してしまう。社長は息を引き取る間際、娘を探せと遺言を残すのだった。
激しい雷と暴風の中、ガスマスクを装着しつつ歩を進めたカート。どうにかシェルターへ辿り着くと、そこにはなぜかジェシカが。とても本物とは思えなかったが、カートは彼女を本物だと思い込むことにし、穏やかな生活を送ることにするのだった。
映画『ラスト・マン 地球最後の男』の感想・評価・レビュー
世界は環境災害と経済危機により荒廃している。主人公が戦争に参加し、PTSDに苛まれてからすでに15年が経過。その間、社会は徐々に復興し電気やラジオ、テレビなどが復旧している。荒廃しているという割には、警備会社はきちんと機能しているし、PC端末も動いていたりするので、思ったよりも荒廃しているという印象はない。
現実と主人公の妄想や幻覚が織り交ざり、何が真実か分からないストーリー展開。現実と幻覚と宗教的観念が複雑に交差し、真実を見えなくしているのが目的なのかもしれないと思う。つまり、一個人が本当だと思うものが、その人にとっての真実となるということだろうか。そんな不思議な作品。(MIHOシネマ編集部)
みんなの感想・レビュー