映画『子熊物語』の概要:母熊を亡くし一人ぼっちになった小熊と猟師に怪我を負わされた雄熊が出会い、本物の親子のようになっていく。ジャン=ジャック・アノー監督が6年の歳月をかけて撮影した熊の姿は必見。1988年公開のフランス映画。
映画『子熊物語』 作品情報
- 製作年:1988年
- 上映時間:96分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ジャン=ジャック・アノー
- キャスト:チェッキー・カリョ、ジャック・ウォレス、アンドレ・ラコンプ etc
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映画『子熊物語』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『子熊物語』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『子熊物語』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『子熊物語』 あらすじ【起・承】
1885年、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州。ロッキー山脈の雄大な自然の中、母熊と小熊が崖下で木の根元にある蜂の巣を食べていた。土を掘り返した振動で落石があり、母熊は石の下敷きとなって死んでしまう。残された小熊は母熊を起こそうとするが、母熊は2度と動いてくれなかった。
同じ山へ狩りに来ていた猟師のコンビは大きな雄熊を発見してその左肩を撃つ。しかし雄熊には逃げられてしまう。雄熊は猟師たちの馬を襲い、姿を消していた。ベテランの猟師は足を怪我した若い猟師を山に残し、応援を呼ぶため一旦山を降りる。
雄熊が水場で傷を癒していると、一人ぼっちになって放浪していた小熊が近づいてくる。小熊は雄熊の傷口を舐め、2匹は行動を共にするようになる。雄熊は親代わりとなり、小熊に餌を分け与え、一緒に眠る。
森に残った若い猟師は雄熊の襲撃に怯えながら、川辺で野宿をしていた。仲間を待つ間、強力な破壊力を持つ銃弾を作り、何とか巨大な雄熊を仕留めようと考えていた。
ベテラン猟師は助っ人と猟犬を連れて帰ってくる。数頭の猟犬はすぐに雄熊の匂いを嗅ぎつけ、追跡を始める。異変に気付いた雄熊は崖の上に逃げる。小熊も必死で雄熊についていき、岩陰に隠れる。雄熊は犬に追われ岩山に消え、小熊は猟師に捕まってしまう。
映画『子熊物語』 結末・ラスト(ネタバレ)
生け捕りにされた小熊は縄でつながれ、猟師たちに可愛がられる。そこへ雄熊に逃げられた猟犬たちが帰ってくる。猟師たちは小熊を連れている限り雄熊が向こうからやってくるだろうと予想していた。
猟師たちの予想通り、雄熊は小熊を助け出そうと一行の様子を伺っていた。朝、岩場で顔を洗っていた若い猟師に雄熊が近づく。銃を持っていなかった若い猟師は雄熊に威嚇され、“殺さないでくれ”と命乞いをする。雄熊は怯えている猟師を見て、何もせずにその場を去っていく。
若い猟師はすぐに銃を取ってきて雄熊の後ろ姿に銃口を向けるが、撃つことはできなかった。仲間の猟師がやってくる前に雄熊を逃がそうと、空に向けて威嚇射撃をする。現場へやってきたベテラン猟師は、黙って相棒のやり方に従ってやる。
猟師たちは小熊を逃し、山から引き上げていく。再び一人ぼっちになってしまった小熊はピューマに狙われ、必死で逃げる。川に転落し、流れ着いた先で追いかけてきたピューマに襲われそうになった瞬間、小熊の背後に雄熊が現れピューマを撃退してくれる。
その後、冬を迎えた山で本当の親子のようになった2匹は仲良く冬眠する。
映画『子熊物語』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『子熊物語』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ものすごい熊役者
ジャンルは一応ヒューマンドラマにしているが、この作品は“ベアードラマ”と呼ぶのが正しい。というのも主役はあくまで小熊であり、内容も彼の成長物語だからだ。
この作品は野生の熊を撮影したドキュメンタリー映画ではなく、あくまで人間が作ったドラマに沿って熊たちが演技をしている。最初に母熊が死んだシーンで、一体こんな瞬間をどうやって撮影したのかと不思議に思って調べてみたらそういうことだった。小熊の愛らしい表情や動き、さらに巨大な雄熊が怪我をして前足をかばいながら歩く姿も、全部演技なのだ。演技指導をする人間もすごいが、あれほど迫真の演技ができる熊たちの感受性はもっとすごい。素晴らしい役者だ。
とにかく可愛い
何はともあれ主役の小熊は猛烈に可愛い。動きや表情のひとつひとつがあまりに可愛くて、彼がピンチを迎えると“あ!”とか“あーあー!”と自然に声が出てしまう。あの巨大な雄熊も猟師たちも、この小熊の可愛さにメロメロだった。きっと監督や撮影スタッフもそうだったのだろう。とりあえず抱っこしたい。
根気と執念
確かに小熊も雄熊も名役者なのだが、それでも“じゃあこんな感じでお願いします”“オッケー!任せといて”というわけにはいかなかっただろう。かなり根気よく彼らに演技指導をし、機嫌をとりながらの撮影だったに違いない。それがどれほど大変なことか…素人でも容易に想像がつく。
出演者は熊だけではない。馬、蛙、小鳥、ネズミ、リス、ヘラジカ、蝶々、犬、ピューマ…と、かなり多彩な顔ぶれがそれぞれの持ち場で絶妙な演技を見せてくれる。もしかしたらジャン=ジャック・アノー監督は動物たちとコミュニケーションできる特殊な能力を持っているのかもしれない。嘘だけど。
当たり前だが人間の猟師以外にセリフはない。しかし動物の表情や仕草から喜怒哀楽はしっかりと伝わってくる。撮影も編集もうまいのでストーリーも無理なく理解できる。あくまで自然な演出にこだわり抜いた監督やスタッフの根気と執念には盛大な拍手を送りたい。
熊の演技力が素晴らしすぎて、自然に起きたシーンを撮影しているのではないかと錯覚してしまうほどでした。
動物の世界は、人間が生きる世界よりも遥かに過酷で、まだ幼い子熊でさえ急にひとりぼっちになってしまうことがあります。分かってはいても、本当に可哀想で涙が出てきました。
雄熊と出会って、平穏な暮らしが送れるかと思いきや、猟師に追われ安らぎが訪れない熊たち。猟師と同じ人間なのに、熊の目線で見てしまい、熊を捕らえようとする猟師たちが憎く感じてしまいました。(女性 30代)
映画『子熊物語』 まとめ
人間が熊の心の声を吹き替えしたりすることなく、熊を主役にした実写でこれだけの作品を作り上げたことは本当にすごい。しかもあくまで野生の熊という設定なので、巨大な雄熊の迫力は満点。この雄熊はものすごくでかくて怒ると怖い。それでも彼が小熊を見守る目は完全にお父さんの目で、彼の小熊に対する愛情が伝わってくる。結末も優しくて、とてもいい映画だった。
“最大の喜びは殺すことではなく、生かすことである”という原作者ジェームズ・オリバー・カーウッドの言葉がズンと胸に響く良作。ロッキー山脈の雄大な自然も美しい。
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