映画『ルパン三世 天使の策略 夢のカケラは殺しの香り』の概要:ロズウェル事件として語られるUFO墜落時のカケラ、「オリジナルメタル」を巡ってルパン一味と女だらけの組織・ブラッディエンジェルスの戦いを描く。なかなか見ることができないメインキャラクター5人による共闘シーンもあり、仲間同士、またルパンと銭形警部との絆も見所の一つ。
映画『ルパン三世 天使の策略 夢のカケラは殺しの香り』の作品情報
上映時間:90分
ジャンル:アニメ、アクション、コメディ
監督:宮繁之
キャスト:栗田貫一、小林清志、井上真樹夫、増山江威子 etc
映画『ルパン三世 天使の策略 夢のカケラは殺しの香り』の登場人物(キャスト)
- ルパン三世(栗田貫一)
- 大泥棒のアルセーヌ・ルパンを祖父に持ち、自身も世界を股にかける大泥棒。滅多に真面目な姿は見せないが、泥棒としてのスキルはピカ一。不二子に毎回騙される。
- 次元大介(小林清志)
- ルパン一味の一人。常に帽子を深くかぶり、ほとんど素顔は現さない。射撃の名手で、早撃ちが特技。
- 石川五ェ門(井上真樹夫)
- ルパン一味の一人。斬鉄剣という岩でも真っ二つに切れる刀を持つ。クールな性格。
- 峰不二子(増山江威子)
- ルパン一味の一人。絶世の美女だが金や財宝に目がなく、すぐに儲け話に飛びつく。ルパンを巧く利用して操るのが得意。
- 銭形幸一(納谷悟朗)
- ベテラン名刑事だが、いつも惜しいところでルパンを取り逃がす。ルパンを捕まえることを日々の目標としている。
- エミリー・オブライエン(松井菜桜子)
- 銭形警部の部下。おっちょこちょいな性格で、ルパンを取り逃がす原因となるミスを犯す。
- ポイズン・ソフィ(能登麻美子)
- ブラッディエンジェルスの一人で、ラッキークローバーという幹部。毒を使った攻撃を得意とし、ルパンを付け狙う。
- ボンバー・リンダ(新井里美)
- ブラッディエンジェルスの一人で、ラッキークローバーという幹部。表向きはマジシャンだが、爆弾を使った攻撃が得意で次元を殺そうとする。
- 辻斬りカオル(田中敦子)
- ブラッディエンジェルスの一人で、ラッキークローバーという幹部。和装の美人。妖刀と言われる紅桜を武器に持ち、五ェ門と対決する。
- レディ・ジョー(浅野まゆみ)
- ブラッディエンジェルスの一人。ラッキークローバーという幹部で、リーダー的ポジション。男装している。
- 東甚五郎(永井一郎)
- 元は有名な刀職人だったが、妖刀紅桜を作り出してしまったという罪悪感から刀研ぎ師になる。五ェ門に協力する。
- 珍幻斎(穂積隆信)
- ルパンの祖父であるルパン一世の古い友人。表向きは古本屋だが、建物の地下に巨大コンピューターを隠し持っており、オリジナルメタルの謎を解く。
映画『ルパン三世 天使の策略 夢のカケラは殺しの香り』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ルパン三世 天使の策略 夢のカケラは殺しの香り』のあらすじ【起】
アメリカにある「エリア51」と呼ばれる空軍基地で、銭形警部は部下のエミリーと共に警備に当たっていた。ここにはUFOのカケラだという「オリジナルメタル」が保管されており、ルパン一味から盗みの予告が届いていたのだ。予告通り現れたルパン、次元、五ェ門の三人は警備の隙を突いてオリジナルメタルを盗み出し、アメリカ軍が秘密で開発していたUFOをも奪って飛び立った。施設のゲートを閉めるスイッチを押すようエミリーに命じた銭形だったが、慌てたエミリーはゲートを開けるスイッチを押してしまう。まんまと逃げたルパン一味だったが、途中でUFOが失速して不時着した。
オリジナルメタルは不二子からの頼みで盗んだのだが、ルパンはそれで指輪を作り、不二子に贈ろうとしていた。そのため五ェ門に斬鉄剣でオリジナルメタルをカットしてもらうよう頼むのだが、なんと斬鉄剣の方が負けて刃こぼれしてしまった。五ェ門はそれにショックを受け、修行の旅に出てしまう。あまりにも毎回不二子にいいように利用されるルパンに対し、次元も呆れてアジトを出て行くのだった。そこに現れた不二子は、色仕掛けでルパンを惑わしている隙にさっさとオリジナルメタルを盗み去って行った。
不二子はレディ・ジョーという人物と接触する。ジョーは「ブラッディエンジェルス」という組織の幹部で、オリジナルメタルを狙っていたのだ。不二子は大金と引き換えにオリジナルメタルを渡そうとするが、力づくで奪おうとしたジョーに対し発泡したところ、弾がオリジナルメタルに命中してしまう。斬鉄剣でも切れない頑丈なオリジナルメタルが粉々に崩れていき、ジョーはこれが偽物だと気づく。ヌンチャクを取り出し不二子を追うジョーだったが、不二子は間一髪で逃げ切る。
映画『ルパン三世 天使の策略 夢のカケラは殺しの香り』のあらすじ【承】
同じ頃、次元は路地裏で男たちに絡まれていた女を助けていた。しかし、どうやら彼女は只者ではないようで、会話をしていた次元が気づかないうちに次元愛用の銃を盗んでいた。彼女はマジシャンだと言い、銃と弾丸一発を次元に返す。
一方のルパンは、カジノで大負けしていた。持ち金がなく店から放り出されたルパンに、保険調査員を名乗るソフィーという女が声をかけた。ルパンは彼女の誘いに乗りバーで一緒に酒を飲んでいたが、実はソフィーはジョーと同じブラッディエンジェルスの一味だった。彼女は隙を見てルパンの酒に自白薬を入れ、オリジナルメタルを持っているのは誰なのか聞く。朦朧としているルパンは「次元大介」と答えるのだった。それを聞き、ルパンを置き去りに早速仲間と連絡を取り合うソフィーだったが、実はルパンは直前に超吸収ボールを喉に入れていた。自白薬を飲んだフリをして、嘘の情報を流したのだ。
次元が一人ジャズバーで飲んでいると、マジックを披露している女が目に入る。ついさっき会った女だと気付き、彼女のマジックに拍手を送る次元だったが、女は豹変しマシンガンで攻撃してきた。彼女の名前はボンバー・リンダといい、爆薬による攻撃を得意とするブラッディエンジェルスの一味だった。しかし、次元もオリジナルメタルを持っていないということがわかる。その知らせを受けたソフィーは、ルパンに騙されていたことを知った。さらに、彼女のバッグの中にルパンによるいたずらが仕掛けられていた。憤慨するソフィーだったが、ルパンの性格が彼女の死んだ恋人に似ていることに気づく。
一方、五ェ門は修行の旅の中で甚五郎という人物に接触していた。彼は有名な刀研ぎ師であり、刃こぼれした斬鉄剣を研いでもらおうとしたのだ。しかし、甚五郎からは断られてしまう。一人修行に励む五ェ門だったが、そこに通称「辻斬り」カオルが現れる。彼女は五ェ門行きつけの小料理屋の女将で、差し入れを持ってきたと言う。五ェ門は、杖をついている彼女がこんな雪深い山奥まで来れるはずがない、と彼女の正体を見抜き、斬り合いが始まる。しかし、刃こぼれした斬鉄剣では太刀打ちできず、五ェ門は辛くも逃げ去るのだった。
映画『ルパン三世 天使の策略 夢のカケラは殺しの香り』のあらすじ【転】
ルパンは祖父の古い友人、珍幻斎を訪ねる。彼は表向きは古本屋を営んでいるのだが、実は地下に巨大なコンピューターを隠し持ち、オリジナルメタルの正体を解析していた。そして同じ頃、銭形警部もそれを聞かされることになる。オリジナルメタルはUFOのカケラなどではなく、アメリカ軍が極秘に開発している特殊兵器の一部だった。オリジナルメタルを材料に使った兵器はどんな外壁でもすり抜けることができるのだ。さらに、レーダーに感知されることもなく、中の物をレーザーで焼き尽くすことができるという恐ろしい兵器だった。
銭形が食事をしている店にエミリーがやってきて、先日の失敗を悔やんでいた。もう捜査に加わらない方がいいのではないかと自嘲するエミリーに対し、銭形は上司として思いやりのある言葉をかける。捜査から退こうとしていたエミリーはその言葉に励まされ、元気を取り戻す。その弾みで彼女のバッグがひっくり返ってしまい、中身を拾うのを手伝っていた銭形は彼女がラベンダーの香水を持っていることに気づいた。警察官が香水なんてつけるな、とエミリーに説教をするのだった。
一方、それぞれに攻撃を受けた形となったルパン一味は再びアジトに集結する。彼らに接触してきた女たちがブラッディエンジェルスという反米組織に所属しているということ、恐らくアメリカの敵対国にオリジナルメタルを売り渡そうとしているという狙いを突き止めたのだ。彼女たちと徹底的に戦うことを決めたルパン一味だったが、そこに銭形警部とエミリー、捜査員たちが現れる。ルパンたちを一網打尽にしようとする銭形だったが、捜査員に扮したルパンたちにまんまと逃げられてしまう。ルパンたちは、斬鉄剣でも切れないオリジナルメタルを加工するには何かがあるはずだ、と考える。
映画『ルパン三世 天使の策略 夢のカケラは殺しの香り』の結末・ラスト(ネタバレ)
ルパンと次元は、不二子が根城にしている島へ向かっていた。不二子はジョーとの戦闘の際に、取引用の金の一部を持ち去っており、島で優雅に過ごしていた。ようやく辿り着いたルパンと次元だったが、不二子と話している間にジョーが率いるブラッディエンジェルスの銃撃を受ける。バラバラに逃げる一味は、それぞれ敵と対決することになる。不二子は金を持ったままジョーと崖で戦うが、その最中に金が全て海へ落ちてしまう。
次元は、ボンバー・リンダと対決する。しかし、爆薬とマシンガンで追ってくるリンダに防戦一方となり、弾が一発しかない状態で倉庫に逃げ込む。追ってきたリンダの姿を物陰からとらえ引き金を引く次元だったが、それは鏡に映った姿だった。弾切れとなり絶体絶命の次元は、ポケットに一発の銃弾を見つける。それは以前リンダと会った時に彼女から返された弾だった。次元は起死回生の一発をリンダの利き腕に撃ち込み、倉庫から逃げ出す。怒り狂ったリンダは倉庫内でマシンガンを連打するのだが、倉庫に大量に置かれていた小麦によって粉塵爆発を起こし、爆死したのだった。
再び甚五郎の元を訪れ斬鉄剣の修復を頼む五ェ門。甚五郎はその熱意に押され、妖刀紅桜を葬り去ることを条件に引き受けるのだった。
一方、ルパンはソフィーと対決していた。必死にルパンを仕留めようとするソフィーに対し、ルパンは出会った時と同じようにのらりくらりとかわしてしまう。ついにソフィーは降参を認め、自らの過去を話し出す。彼女の恋人はアメリカ軍の兵士だったのだが、戦争の最中に味方の爆撃により亡くなっていた。そのショックから彼女はブラッディエンジェルスに入り、アメリカへの復讐を企んでいた。ソフィーが組織のボスの名前を口にしようとした時、何者かが自分たちを狙っているのに気付きそちらへボウガンを向けるが、ルパンを庇って撃たれてしまう。ソフィーは「もっと早く知り合いたかった」と涙を浮かべながらルパンに告げ、ルパンの腕の中で息を引き取った。ルパンの目に強い怒りが宿った。
その時、ジョー率いるブラッディエンジェルスの面々が追ってきた。ルパンを追う銭形、エミリーと共に銃撃に巻き込まれ、瓦礫の隙間に身を隠すルパンだったが、エミリーからラベンダーの香りがすることに気づく。ルパンはソフィーからオリジナルメタルを加工するために必要なものは、ラベンダーの香りの香水だと聞いていたのだ。エミリーがブラッディエンジェルスのボスだと見抜いたルパンは彼女の正体を暴き、それによりエミリーは残忍な正体を現す。次元、不二子、そして甚五郎により斬鉄剣を復活させた五ェ門は銭形も含めた5人で共闘する。
駆けつけた警察部隊たちのサポートもあり、ブラッディエンジェルスは徐々に形勢不利となる。レディ・ジョーも彼らに捕捉され、一人逃げようとしたエミリーはジョーが乗ってきた船を頼りに港へ走った。しかし、先を見越した五ェ門により船のロープは切られていた。オリジナルメタルを売った金の半分をあげよう、とルパンに命乞いをするエミリー。怒りを覚えながらも見逃してやろうとしたルパンだったが、それはエミリーの演技であり密かに銃を手にしていた。その瞬間、ルパンはエミリーを撃ったのだった。
結局オリジナルメタルの本物はルパンが持っていたのだが、一味はそれを売り渡すつもりはなかった。オリジナルメタルは、今日もルパン一味のアジトにある水道管の部品として活躍している。
映画『ルパン三世 天使の策略 夢のカケラは殺しの香り』の感想・評価・レビュー
正当防衛とはいえ、ルパンが敵の女性を殺すというラストが衝撃的であり斬新だった。それだけソフィーの仇を討ちたいという気持ちが強かったのかもしれない。また、彼女を本当の娘のようにかわいがっていた銭形の失意も響いていたように思う。女だけの秘密組織という設定は面白いので、設立のきっかけなどもう少し掘り下げて描いてくれたらより良かったのではないか。(MIHOシネマ編集部)
この作品の見どころはルパンと銭形が一旦休戦して手を組むところや、ルパン一味(不二子含む)と銭形が5人背を合わせて銃を構えて共同戦線を張るところだ。もちろん毎回それをやられたら意味がないのだが、たまにこうして共通の敵に向かって一緒に戦うシーンを見れるのは楽しい。ルパンらと銭形は敵同士でありながらお互いを必要としているという図式が面白いのだから。ただ敵役が大勢いすぎて何がどうなってるのかよそ見をしていると分からなくなる。もうちょっと絞ってくれると感情移入しやすいキャラもいたのだが。(男性 40代)
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