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映画『街の上で』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『街の上で』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『街の上で』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『街の上で』の結末までのストーリー
  • 『街の上で』を見た感想・レビュー
  • 『街の上で』を見た人におすすめの映画5選

映画『街の上で』の作品情報


出典:U-NEXT

製作年 2019年
上映時間 130分
ジャンル ヒューマンドラマ
監督 今泉力哉
キャスト 若葉竜也
穂志もえか
古川琴音
萩原みのり
中田青渚
製作国 日本

映画『街の上で』の登場人物(キャスト)

荒川青(若葉竜也)
下北沢の古着屋に勤めるアラサー男子。行動範囲はほぼ下北沢に限定されており、行きつけの古本屋、カフェ、ライブハウス、バーは全て下北沢にある。
川瀬雪(穂志もえか)
青と付き合っていたが、他の男と浮気していた。自分の誕生日に、浮気が青にばれ、開き直って青に別れを切り出す。
田辺冬子(古川琴音)
青の行きつけの古本屋の店員。
高橋町子(萩原みのり)
美大で映画製作を学んでいる。卒業制作の映画に、青に出演して欲しいと依頼する。
城定イハ(中田青渚)
高橋の映画のスタッフ。青に興味を持ち、打ち上げで青に声をかける。

映画『街の上で』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『街の上で』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『街の上で』のあらすじ【起】

荒川青は、下北沢の古着屋で働くアラサー男子。彼女の雪の誕生日に、雪の浮気が発覚した。雪は青とは別れたいと言うが、青は「浮気された上に、ふられるなんてとんでもない。絶対に別れない」と宣言した。

雪は、それなら自分は浮気相手と付き合うから、青は勝手に、自分とまだ付き合っているつもりでいればいいと切り捨てた。

翌日青は、勤め先の古着屋で、喧嘩をする男女を接客する。2人は別れたカップルで、男性が新たに好きになった相手に告白するときに着る服を、元カノである女性が一緒に選んでいるのだという。女性が「こんなのおかしい」と怒り悲しむのに対し、男性は「告白してふられたらまた君と付き合うかも」となだめる。

青は一人でライブを見に行った後、行きつけのバーに立ち寄る。小説を書いていると言っていた常連客の五叉路が、今は舞台役者をしていると聞き驚く青に、マスターが、雪から「青とは別れたのに、青がまだ連絡してきて困っている」という相談を受けていると話し始め、青はショックを受けつつ、怒りがこみあげてくるのを感じた。

映画『街の上で』のあらすじ【承】

青がよく行く古本屋の元店主・カワナベが亡くなった後初めて、青は古本屋を訪れた。
青が店番をしている田辺と世間話をしている流れで、田辺が、以前青が音楽をやっていたことについて言及し、恥ずかしさからパニックになった青は、田辺とカワナベの不倫の話題を口にしてしまう。不快感をむき出しにした田辺に、その場では謝れなかった青は、後で古本屋の留守電に謝罪のメッセージを残す。

青の勤める古着屋に、美大で映画を撮っているという高橋が訪れ、青に、高橋の映画に出演してほしいと依頼する。演技は出来ないし台詞も覚えられないからと断る青に高橋は、台詞はなく、ただ本を読んでいるだけでいいからと脚本を託し、去る。

青は行きつけのバーで、五叉路から「映画出演の依頼を断るのは、愛の告白を断ることだ」と説得され、出演を決める。

翌日青は古本屋に行き、改めて田辺に謝罪。田辺はそれを受け入れ、青の映画出演を応援する。

高橋の映画には、雪が大ファンだった俳優・間宮も出演していた。青は緊張から不自然な演技しか出来ず、出演シーンを全てカットされてしまう。

映画『街の上で』のあらすじ【転】

青は映画製作の打ち上げに誘われ、参加したものの、青の演技に対する批判や、スタッフ同士の口論が聞こえてきて、居心地の悪さを感じた。

打ち上げに参加したことを後悔し始めた青の向かいに、スタッフの城定イハが座り、高橋の恋愛事情について話し始め、青はイハの話に興味を抱く。

打ち上げが終わり、スタッフたちは2軒目へ移動する。青も誘われたが断り、帰路に着こうとしていると、同じく2軒目への移動を断ったイハが追いかけて来た。

イハはごく自然な流れで青を自宅に誘い、お茶を飲みながら2人で今までの恋愛経験を語り合う。

青は雪が初めての彼女で、いざ男女の関係を持とうとしたときに上手く行かず、雪に叱られたことや、雪に浮気された上にふられたが、今でも雪を想っていることを打ち明け、イハは今までに付き合った男性は3人おり、1人目の束縛が不快だったこと、2人目のことをまだ好きで、3人目はそれほど好きではないけれど付き合ったことを打ち明けた。

イハと青の間には恋愛感情はないものの、一緒にいるときの居心地の良さと友情を、お互いに感じていた。

映画『街の上で』の結末・ラスト(ネタバレ)

雪は青と別れて間宮と付き合っていたが、自分の心の中の青への想いに気付き、間宮に別れを切り出す。間宮は雪と別れないと言い、雪はそのことをマスターに相談する。

青はイハの部屋に泊まったが、別々の部屋に寝て、何事もなく朝を迎えた。青が帰ろうとしたところに、イハの部屋の合鍵を持つイハの元カレが登場するが、イハの元カレは、青の姿を見るなり出て行った。

イハが青を送ると言い、2人で歩いていると、道の向かいから雪とマスターが一緒に歩いて来た。青は雪の新しい恋人がマスターだと誤解し、雪は、青とイハが付き合っていると誤解する。そこへ、イハの元カレがやって来て、青に「イハを幸せにしてくれ」と告げてイハの部屋の合鍵を渡そうとする。

混乱はあったものの、最終的には誤解が解け、青と雪はまだ想い合っていると分かる。

帰宅した青のもとへ、間宮と雪が訪れる。間宮は青に、雪にふられたと告げて去った。青は雪に、間宮を追いかけろと言うが、雪は青に「バカ。好き」と言う。

高橋の映画の公開初日、青と雪は、別れた日に食べかけたケーキを一緒に食べる。

映画『街の上で』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

なんでもない日常の延長線にあるような物語に、こんなにも引き込まれるとは思いませんでした。下北沢の街並みや古着屋という舞台がリアルで、自分の生活圏と地続きのように感じられました。主人公・荒川青が恋人にフラれたあとも、特別な成長を遂げるわけでもなく、ただ少しずつ変わっていく過程がリアルで愛おしかったです。(30代 男性)


観終わったあと、「ああ、自分も街の上で生きている一人なんだ」と思わせてくれるような映画でした。物語はすごく小さくて、何か大きな事件が起きるわけでもないけれど、登場人物たちの会話や佇まいがすごく魅力的。最後に青がカメラの前で自然な笑顔を見せるシーンが印象的で、彼の中で何かが変わったのが伝わりました。(20代 女性)


「物語らない映画」としてこれほど完成された作品は稀だと思います。青の周囲に現れる女性たちがそれぞれ魅力的で、青自身もどこか頼りなくて、でも嫌いになれない。恋人の浮気をきっかけに出会う人々との関わりが、ささやかだけど確実に彼を変えていく様子が丁寧に描かれていて、何でもない日常が一番愛おしいと気づかされました。(40代 男性)


自分自身も演劇をやっているので、青が撮影に巻き込まれるシーンには妙にリアリティを感じました。あのぎこちなさ、気まずさ、でもどこか楽しい空気がとてもよく描かれていました。青のまわりを囲む女性たちが彼を通じて語られるのではなく、それぞれの視点や背景があって、群像劇としてもとても優れた作品だと思います。(20代 女性)


「下北沢」という街がまるで登場人物の一人のように感じられました。演出も照明も自然光がメインで、まるで自分がそこにいるような没入感。青の成長はあまり目に見えるものではないけれど、彼が最後に笑うだけで、「ちょっとだけ前に進めたんだな」とわかる演出が秀逸でした。これは“何も起きないこと”が美しい映画です。(50代 男性)


派手な展開やBGMに頼らず、会話劇とキャラクターの魅力だけで引き込まれたのは久しぶりです。特に印象的だったのは、青と恋人との別れが淡々と描かれていたこと。泣いたり怒ったりせずに終わってしまう感じが、むしろリアルでした。何も変わらないようで、ちゃんと何かが変わっている。静かな感動を覚えました。(30代 女性)


女性たちがとにかく魅力的。青という受け身なキャラクターを通じて、それぞれの女性の背景や価値観が浮かび上がるような構成が素晴らしかったです。演技も自然で、特に伊藤沙莉さんの存在感が抜群。物語にメリハリがないと感じる人もいるかもしれませんが、自分はこの“揺らぎ”こそが魅力だと感じました。(20代 男性)


演劇的な要素とドキュメンタリーのようなリアリティが混在していて、すごく不思議な感覚になりました。青が巻き込まれる形で演劇の撮影に参加し、徐々に自分の感情と向き合う過程が、すごくさりげなくて、それでいて確実に響いてくる。ラストのあの柔らかな笑顔に、観ているこちらまで救われるような気持ちになりました。(40代 女性)


まるで自分の過去を見ているようでした。フラれたあとも、うじうじして、でもどこか吹っ切れない青の姿が、自分の失恋と重なりました。特別なことは起きないけど、街の空気や人との出会いが、自然と人を変えていく。そんな日常の連なりを、ここまで心地よく映し出す映画は珍しいと思います。下北沢を歩きたくなりました。(10代 男性)


主人公の青にはとにかく共感しました。恋人にフラれて、未練がましくて、でも少しずつ前に進もうとしている。その過程が決してドラマチックではなくて、日常の中でふとした出会いや言葉に救われるところがとてもリアルでした。東京で生きる若者たちの姿が、そのまま写し出されていて、じんわりと沁みる映画でした。(50代 女性)

映画『街の上で』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『街の上で』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

愛がなんだ

この映画を一言で表すと?

“報われない片想い”に全力で生きる女性のリアルすぎる恋愛ドラマ。

どんな話?

主人公テルコは、何をしても振り向いてくれない男・マモルに全力で尽くしてしまう。恋愛として成立していない関係にしがみつく彼女の姿は痛々しくも切実で、自分自身の在り方を問い直す物語へと変わっていく。

ここがおすすめ!

『街の上で』と同じく、日常に寄り添う繊細な会話劇とキャラクター描写が魅力。感情の“ゆらぎ”や“曖昧さ”を丁寧に映し出す演出が光り、恋愛だけでなく自己肯定感や依存のテーマにも深く踏み込んでいます。

リンダ リンダ リンダ

この映画を一言で表すと?

ひと夏の文化祭に青春の全てを詰め込んだ、静かに熱いガールズムービー。

どんな話?

文化祭直前にバンドメンバーを失った女子高生たちが、急遽編成した新バンドでブルーハーツの曲を演奏するまでの数日間を描く。日常の会話と音楽への情熱がゆるやかに交差する青春群像劇。

ここがおすすめ!

会話の“間”や空気感を大切にする演出は『街の上で』と非常に近い感覚。登場人物たちが自分の気持ちをうまく言葉にできないまま、でも確かに繋がっていく感触が心に残る。ラストのライブシーンは必見です。

舟を編む

この映画を一言で表すと?

辞書づくりに人生を捧げる人々の静かな情熱に胸を打たれる感動作。

どんな話?

出版社に勤める控えめな男・馬締光也が、辞書編集という地味ながらも奥深い仕事に没頭し、言葉の世界と人とのつながりを少しずつ築いていく姿を描く。恋愛や仕事を通して彼の成長が描かれる優しい物語。

ここがおすすめ!

派手な展開はなくとも、細部に込められた想いや職人の誠実さがしっかり伝わってくる。『街の上で』のように、等身大の人物を丁寧に描き、じんわり心に染みる感動が得られる作品です。言葉の力を改めて感じられます。

パンとバスと2度目のハツコイ

この映画を一言で表すと?

恋と結婚の“あいだ”で揺れる女性の心をリアルに描いた、静かな恋愛映画。

どんな話?

結婚に疑問を持ち、独身を貫く市井ふみと、結婚を前提に再会した元カレ・湯浅たちとの再会を描く。周囲の“当たり前”に流されず、自分の心に正直に向き合う女性の姿が丁寧に描かれている。

ここがおすすめ!

『街の上で』と同じく、劇的な展開ではなく登場人物の心の動きをじっくり描写。台詞よりも“間”や視線の動きが語ることの多い映画で、観終わったあとにじんわり余韻が残ります。主人公の姿に共感する人も多いはず。

サッド ヴァケイション

この映画を一言で表すと?

不器用な人々の交差と再生を描く、現実と情感が交錯するヒューマンドラマ。

どんな話?

北九州を舞台に、過去に母に捨てられた男と、母と再会してしまった青年の姿を中心に、血縁や絆、他者との繋がりの難しさを描く群像劇。監督は青山真治、痛みと優しさが混じり合う作品。

ここがおすすめ!

『街の上で』にあったような、都市と人間の距離感、偶然の出会いが人生に変化をもたらすという要素が色濃い作品。人と人との関係性にリアリティがあり、不器用な優しさに心を揺さぶられる名作です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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