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映画『MEN 同じ顔の男たち』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『MEN 同じ顔の男たち』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『MEN 同じ顔の男たち』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『MEN 同じ顔の男たち』の結末までのストーリー
  • 『MEN 同じ顔の男たち』を見た感想・レビュー
  • 『MEN 同じ顔の男たち』を見た人におすすめの映画5選

映画『MEN 同じ顔の男たち』の作品情報


出典:U-NEXT

製作年 2022年
上映時間 100分
ジャンル ホラー
SF
監督 アレックス・ガーランド
キャスト ジェシー・バックリー
ロリー・キニア
パーパ・エッシードゥ
ゲイル・ランキン
製作国 イギリス

映画『MEN 同じ顔の男たち』の登場人物(キャスト)

ハーパー(ジェシー・バックリー)
ショートボブが似合う白人女性。夫ジェームズが建物から落下し死亡するのを、目の前で見てしまった人。夫が死亡する直前に大喧嘩をしていたことから、罪悪感に苛まれ1人旅に出る。田舎にある贅沢なカントリーハウスに滞在。
ジェームズ(パーパ・エッシードゥ)
黒人男性。ハーパーの夫。キレやすい性格で、その反面ハーパーが自分を加害者扱いすることに不満を持っていた。建物から落下し死亡する。
ライリー(ゲイル・ランキン)
ハーパーの女友達。1人旅をするハーパーと、スマホで連絡を取っている。ハーパーの良き理解者で、彼女を心配している。
ジェフリー(ロリー・キニア)
高級感あふれるカントリーハウスのオーナー。おしゃべりで世話好きな、田舎の中年男性。

映画『MEN 同じ顔の男たち』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『MEN 同じ顔の男たち』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『MEN 同じ顔の男たち』のあらすじ【起】

自宅の窓の外を眺めていたハーパーは、夫ジェームズが上の階から落ちてくるのを見た。

ハーパーは1人で、癒しの旅に出掛ける。予約した高級カントリーハウスの庭に入っていくと、林檎の木があった。ハーパーは林檎をかじり、オーナーのジェフリーに挨拶する。ジェフリーは古くて豪華な屋敷内にハーパーを案内した。ジェフリーから夫について訊かれ、ハーパーは「夫はもういない」と答える。

ジェフリーが帰ると、友人ライリーから電話があった。電話を切るとハーパーは、夫のことを思い出す。夫が死ぬ直前、ハーパーは彼に離婚話を持ちかけていたのだ。カッとなった夫は、自殺を仄めかすようなことを言った。

ハーパーは気分転換に屋敷を出て、散歩する。緑の生い茂る美しい景色を眺めながら歩いていると、長いトンネルを見つけた。そこでハーパーは、トンネル内で自分の声が木霊するのを楽しむ。だが向う側から見知らぬ人が走ってきたので、怖くなって引き返した。その人物が追って来ないだろうと思う場所まで逃げ、自然の光景をカメラに収めようとスマホを覗く。すると遠方に全裸の男が立っていたので、ハーパーはギョッとして屋敷に戻った。

映画『MEN 同じ顔の男たち』のあらすじ【承】

翌日ハーパーはライリーのリクエストに応え、ビデオ通話でカントリーハウスの様子を紹介する。ふと見ると昨日見た全裸の男が、窓の外からハーパーを見ていた。ハーパーは慌てて「庭に侵入者がいる」と警察に通報する。彼女はジェームズが死ぬ直前、自分を殴ったことを思い出した。全裸の男のほうは、すぐに警察から逮捕される。

逮捕された男は、ジェフリーと同じ顔をしていた。警察は裸の男を変わり者だと判断し、特に警戒していないようだった。

警察からの帰り道、ハーパーは教会に立ち寄った。祭壇には中世ヨーロッパの美術品のモチーフにある、グリーンマンの彫刻がなされている。ハーパーはジェフリーから殴られた直後、怒り狂ったように彼を追い出したことを回想し、苦しくて叫び声を上げ泣いた。

教会から出たハーパーは、マリリン・モンローのお面を被った少年サミュエルに出会う。サミュエルはかくれんぼがしたいようだった。そこへ神父が現れ、サミュエルを追い払う。神父もサミュエルもやはり、ジェフリーと同じ顔をしていた。神父は先ほどからハーパーの様子を見ており、心配する素振りを見せる。

映画『MEN 同じ顔の男たち』のあらすじ【転】

ハーパーは、神父に夫のことを全て話した。彼女は夫の飛び降りが、事故だったのか自殺だったのかを気にしている。神父はハーパーが罪悪感に苛まれ、苦悩しているのを察した。だが「夫に謝る機会を与えたか?」とハーパーを責め、機会を与えれば彼は生きていたかもしれないと言う。ハーパーはブチ切れてその場を去った。

怒りを鎮めるためパブに入ると、ジェフリーが酒を飲んでいた。そこへ警官が来て、先日の裸の男が釈放されたと言う。ハーパーは危険人物をなぜ釈放するのかと抗議したが、警官は男がストーカーだという証拠はないと言って取り合わない。ハーパーは男たちに「クソ野郎ども!」と言って去った。パブのオーナーや客、警官も皆ジェフリーと同じ顔だった。

周囲の男たちが信用できなくなったハーパーは、帰宅後ライリーに電話をした。ライリーが屋敷に向かうと言うので、彼女に住所のデータを送る。だが誰かからハッキングされたようで「居場所は分かっている」という、不気味なメッセージが返ってきた。

ハーパーは庭に立っている警官に声を掛けたが、彼は返事をしなかった。

映画『MEN 同じ顔の男たち』の結末・ラスト(ネタバレ)

ジェフリーが来て、屋敷内でカラスが死にかけているのを見つける。その後、彼は外の様子を見に行った。

屋外を照らす照明が消え、再び灯りが点いた。ハーパーの前には、顔に葉が生えた裸の男が立っている。男はタンポポの綿毛をハーパーに吹きかけた。ハーパーは室内に逃げ玄関のドアを閉じる。男がポストから右手を入れてきたので、ハーパーはその手をナイフで裂いた。屋敷にはサミュエルや神父も侵入し、ハーパーに絡む。彼らの右手は、裸の男と同じように2股に裂けていた。

その後ハーパーは車で逃走したが、不注意からジェフリーを撥ねてしまう。足を負傷したジェフリーはハーパーから車を奪い、彼女を轢こうと突進した。車は塀に衝突し、ハーパーの前に足を負傷した裸の男が現れる。

男のお腹は妊婦のように膨らみ、サミュエルを出産した。すると今度はサミュエルのお腹が膨らみ、神父を産む。神父はジェフリーを産み、ジェフリーは夫ジェームズを産んだ。同じ顔の男たちの怪我をした姿は、死んだ夫の姿だった。夫は「君がやった」とハーパーを責める。

夜が明けライリーの車が屋敷に到着する。ハーパーは妊婦のライリーを見て、微笑んだ。

映画『MEN 同じ顔の男たち』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

アレックス・ガーランド監督らしい陰鬱で挑戦的な映像体験だった。序盤は心理的な恐怖、そして終盤は完全に象徴主義とボディホラーの領域へ。主人公ハーパーが「男たち」から逃れようとする姿は、過去のトラウマと向き合う女性の内面的闘争として描かれていて痛々しくも力強かった。終盤の「男の出産」シーンは衝撃的だったが、男性性の継承や抑圧の連鎖というメッセージが込められているように感じた。(30代 女性)


ハーパーが訪れた田舎町で出会う男たちが皆同じ顔をしているという設定は、最初こそ奇妙だったが、次第に男性による抑圧の象徴と気づいて背筋が寒くなった。ジェシー・バックリーの演技も素晴らしく、苦悩と怒りの振れ幅がとてもリアル。終盤は現実味を超えたグロテスクな展開があるが、それも含めて「恐怖とは何か」「男性性とは何か」を問う作品だったと思う。(20代 男性)


正直、ラストの展開には言葉を失った。何層にもわたる象徴表現で構成されていて、観る人によって解釈が大きく変わる映画だと思う。私は「女性が抱える恐怖と怒りの具現化」として捉えた。全ての男が同じ顔をしていることが、ジェンダー的な抑圧の普遍性を示しているようで非常に重たかった。アート的な映画が好きな人には刺さるが、娯楽性を求める人にはきついかも。(40代 女性)


男性性に対する批判や、加害と被害の連鎖をテーマにした作品であることは伝わったけど、正直ついていけなかった。終盤の展開はあまりにも異質で、グロテスクさが先に立ち、メッセージがぼやけて感じてしまった。ハーパーの過去の出来事がトリガーになっているのは理解できたが、もっと現実に根差した描き方でも良かったんじゃないかと思う。(50代 男性)


ハーパーが一人になることで浮き彫りになる孤独と不安、そして「男たち」が次々と押し寄せてくる恐怖は、まるで精神世界を映像化したようだった。象徴性が強く、明快な説明はないが、考察しがいのある映画。ロリー・キニアの怪演も圧巻で、同一人物でありながら全く違う性質を持つキャラクターを見事に演じ分けていた。(30代 男性)


この映画は「理解しようとすることをやめた時」に初めて響いてくるタイプの作品。とにかく映像と音の演出が秀逸で、説明抜きでも恐怖や不気味さが伝わってくる。女性の側に立った視点で描かれる恐怖体験に共感し、何度も自分の中の記憶や感情をえぐられるような気持ちになった。アート映画好きにはたまらない一本。(20代 女性)


最初はホラー映画だと思って観ていたが、途中から完全に芸術作品。繰り返し登場する「男の顔」が、加害者としての男性性のステレオタイプを表しているように感じた。特にラストの出産シーンは、見るに耐えないけど目が離せなかった。母性や創造と破壊、そういったテーマが複雑に交錯する怪作だと思う。(40代 男性)


ハーパーが抱える罪悪感や怒りが、町にいる「同じ顔の男たち」に投影されていく様が非常に印象的だった。特に教会での場面や、森でのシーンは宗教的・神話的なモチーフが見え隠れしていて、一見ホラーでもあり哲学的でもある。観終わった後にいろいろ調べたくなる、そんなタイプの映画。万人向けではないが、挑戦的な内容だった。(50代 女性)


ロリー・キニアの演技が凄すぎた。顔は同じなのにキャラの違いを絶妙に出していて、恐怖と滑稽さが入り混じる演出にゾッとした。ハーパーが体験する恐怖は現実に根ざしたものなのに、どんどん超現実にねじ曲がっていく感じが不気味でクセになる。あのラストをどう捉えるかで感想は真っ二つに割れるだろう。(10代 男性)


フェミニズムやジェンダーの視点で語られることの多い作品だけど、それだけでは収まらない深みがあると思った。自然の中に身を置くハーパーの姿は癒やしと恐怖の両面を映しており、カメラワークや音の使い方で見事に彼女の心理が表現されている。最後の“再生”のシーンに至るまで、緊張と違和感が途切れず続いたのが印象的。(60代 女性)

映画『MEN 同じ顔の男たち』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『MEN 同じ顔の男たち』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

ミッドサマー

この映画を一言で表すと?

美しくも異様な祝祭の中で、心の闇が暴かれていくサイコホラーの傑作。

どんな話?

恋人を失った深い喪失感を抱える女性が、恋人と共にスウェーデンの奥地で行われる夏至祭に参加するが、次第に常識を超えた儀式の真相と、自身の内面の変化に直面していく。恐怖と美が同居する異質な体験が描かれる。

ここがおすすめ!

明るい昼の光の中で進行する恐怖という、通常のホラーとは真逆の演出が新鮮。精神的トラウマや共同体の狂気を繊細に描き、観る者の価値観を揺さぶる。感情の変化や人間関係のひずみを体感するような演出が魅力。

アンダー・ザ・スキン 種の捕食

この映画を一言で表すと?

地球に降り立った異質な存在が人間を見つめる、美しくも不穏なSFスリラー。

どんな話?

スカーレット・ヨハンソン演じる謎の女がスコットランドの街をさまよい、男たちを誘惑しては消していく。彼女が見ている人間とは?そして自分とは何者なのか?言葉少なに展開する哲学的なSF。

ここがおすすめ!

ストーリーよりも感覚やイメージで語られる作品で、『MEN』同様に「見る者に考えさせる」余白が多い。映像美と音楽の不協和音的な融合が、観る人に独特な不安を植えつける。観終わったあとも長く心に残る作品。

イレイザーヘッド

この映画を一言で表すと?

意味不明なのに引き込まれる、デヴィッド・リンチの奇怪な悪夢世界。

どんな話?

異様な赤ん坊、荒廃した都市、音と静寂の支配する部屋——言語化できない不安や恐怖が、男の精神を少しずつ侵食していく。物語というよりも、体験そのものを観る感覚に近い。

ここがおすすめ!

『MEN』の象徴的な恐怖やグロテスクな描写に衝撃を受けた人には刺さるはず。白黒映像が放つ異質な雰囲気、音響による精神的圧迫感など、感覚に訴えかける演出が満載。クセになるカルト的世界観が魅力。

ブラック・スワン

この映画を一言で表すと?

完璧を求めるがゆえに壊れていく心と身体の美しき崩壊劇。

どんな話?

バレエ団の主演に抜擢されたニナは、完璧を追い求めるあまり、自己の境界が崩れ始めていく。現実と幻想、善と悪が入り混じる中で、彼女の精神は次第に歪んでいく。圧巻の演技と心理スリラーが融合した作品。

ここがおすすめ!

精神の奥底にある不安や恐れを映像で表現するセンスが秀逸。ナタリー・ポートマンの鬼気迫る演技に引き込まれ、観る側も彼女と同じように現実と幻想の境界を見失っていく。心理ホラーの完成形とも言える一作。

ザ・ウィッチ

この映画を一言で表すと?

静寂と宗教観の中で育まれる、少女の目覚めと“禁忌”の物語。

どんな話?

17世紀のニューイングランド。農村に暮らす一家に次々と不可解な出来事が襲いかかり、やがてそれは魔女伝説と結びついていく。少女トマシンは、家族の崩壊の中で自らの運命と向き合うことになる。

ここがおすすめ!

『MEN』同様、女性の視点から描かれる“外からの抑圧”と“内なる変化”がテーマ。ミステリアスな雰囲気と丁寧な演出で、静かな恐怖がじわじわと迫ってくる。寓話的な恐怖と女性の自己覚醒が交錯する秀作。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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