この記事では、映画『MEN 同じ顔の男たち』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。
映画『MEN 同じ顔の男たち』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 2022年 |
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上映時間 | 100分 |
ジャンル | ホラー SF |
監督 | アレックス・ガーランド |
キャスト | ジェシー・バックリー ロリー・キニア パーパ・エッシードゥ ゲイル・ランキン |
製作国 | イギリス |
映画『MEN 同じ顔の男たち』の登場人物(キャスト)
- ハーパー(ジェシー・バックリー)
- ショートボブが似合う白人女性。夫ジェームズが建物から落下し死亡するのを、目の前で見てしまった人。夫が死亡する直前に大喧嘩をしていたことから、罪悪感に苛まれ1人旅に出る。田舎にある贅沢なカントリーハウスに滞在。
- ジェームズ(パーパ・エッシードゥ)
- 黒人男性。ハーパーの夫。キレやすい性格で、その反面ハーパーが自分を加害者扱いすることに不満を持っていた。建物から落下し死亡する。
- ライリー(ゲイル・ランキン)
- ハーパーの女友達。1人旅をするハーパーと、スマホで連絡を取っている。ハーパーの良き理解者で、彼女を心配している。
- ジェフリー(ロリー・キニア)
- 高級感あふれるカントリーハウスのオーナー。おしゃべりで世話好きな、田舎の中年男性。
映画『MEN 同じ顔の男たち』のネタバレ・あらすじ(起承転結)
映画『MEN 同じ顔の男たち』のあらすじ【起】
自宅の窓の外を眺めていたハーパーは、夫ジェームズが上の階から落ちてくるのを見た。
ハーパーは1人で、癒しの旅に出掛ける。予約した高級カントリーハウスの庭に入っていくと、林檎の木があった。ハーパーは林檎をかじり、オーナーのジェフリーに挨拶する。ジェフリーは古くて豪華な屋敷内にハーパーを案内した。ジェフリーから夫について訊かれ、ハーパーは「夫はもういない」と答える。
ジェフリーが帰ると、友人ライリーから電話があった。電話を切るとハーパーは、夫のことを思い出す。夫が死ぬ直前、ハーパーは彼に離婚話を持ちかけていたのだ。カッとなった夫は、自殺を仄めかすようなことを言った。
ハーパーは気分転換に屋敷を出て、散歩する。緑の生い茂る美しい景色を眺めながら歩いていると、長いトンネルを見つけた。そこでハーパーは、トンネル内で自分の声が木霊するのを楽しむ。だが向う側から見知らぬ人が走ってきたので、怖くなって引き返した。その人物が追って来ないだろうと思う場所まで逃げ、自然の光景をカメラに収めようとスマホを覗く。すると遠方に全裸の男が立っていたので、ハーパーはギョッとして屋敷に戻った。
映画『MEN 同じ顔の男たち』のあらすじ【承】
翌日ハーパーはライリーのリクエストに応え、ビデオ通話でカントリーハウスの様子を紹介する。ふと見ると昨日見た全裸の男が、窓の外からハーパーを見ていた。ハーパーは慌てて「庭に侵入者がいる」と警察に通報する。彼女はジェームズが死ぬ直前、自分を殴ったことを思い出した。全裸の男のほうは、すぐに警察から逮捕される。
逮捕された男は、ジェフリーと同じ顔をしていた。警察は裸の男を変わり者だと判断し、特に警戒していないようだった。
警察からの帰り道、ハーパーは教会に立ち寄った。祭壇には中世ヨーロッパの美術品のモチーフにある、グリーンマンの彫刻がなされている。ハーパーはジェフリーから殴られた直後、怒り狂ったように彼を追い出したことを回想し、苦しくて叫び声を上げ泣いた。
教会から出たハーパーは、マリリン・モンローのお面を被った少年サミュエルに出会う。サミュエルはかくれんぼがしたいようだった。そこへ神父が現れ、サミュエルを追い払う。神父もサミュエルもやはり、ジェフリーと同じ顔をしていた。神父は先ほどからハーパーの様子を見ており、心配する素振りを見せる。
映画『MEN 同じ顔の男たち』のあらすじ【転】
ハーパーは、神父に夫のことを全て話した。彼女は夫の飛び降りが、事故だったのか自殺だったのかを気にしている。神父はハーパーが罪悪感に苛まれ、苦悩しているのを察した。だが「夫に謝る機会を与えたか?」とハーパーを責め、機会を与えれば彼は生きていたかもしれないと言う。ハーパーはブチ切れてその場を去った。
怒りを鎮めるためパブに入ると、ジェフリーが酒を飲んでいた。そこへ警官が来て、先日の裸の男が釈放されたと言う。ハーパーは危険人物をなぜ釈放するのかと抗議したが、警官は男がストーカーだという証拠はないと言って取り合わない。ハーパーは男たちに「クソ野郎ども!」と言って去った。パブのオーナーや客、警官も皆ジェフリーと同じ顔だった。
周囲の男たちが信用できなくなったハーパーは、帰宅後ライリーに電話をした。ライリーが屋敷に向かうと言うので、彼女に住所のデータを送る。だが誰かからハッキングされたようで「居場所は分かっている」という、不気味なメッセージが返ってきた。
ハーパーは庭に立っている警官に声を掛けたが、彼は返事をしなかった。
映画『MEN 同じ顔の男たち』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジェフリーが来て、屋敷内でカラスが死にかけているのを見つける。その後、彼は外の様子を見に行った。
屋外を照らす照明が消え、再び灯りが点いた。ハーパーの前には、顔に葉が生えた裸の男が立っている。男はタンポポの綿毛をハーパーに吹きかけた。ハーパーは室内に逃げ玄関のドアを閉じる。男がポストから右手を入れてきたので、ハーパーはその手をナイフで裂いた。屋敷にはサミュエルや神父も侵入し、ハーパーに絡む。彼らの右手は、裸の男と同じように2股に裂けていた。
その後ハーパーは車で逃走したが、不注意からジェフリーを撥ねてしまう。足を負傷したジェフリーはハーパーから車を奪い、彼女を轢こうと突進した。車は塀に衝突し、ハーパーの前に足を負傷した裸の男が現れる。
男のお腹は妊婦のように膨らみ、サミュエルを出産した。すると今度はサミュエルのお腹が膨らみ、神父を産む。神父はジェフリーを産み、ジェフリーは夫ジェームズを産んだ。同じ顔の男たちの怪我をした姿は、死んだ夫の姿だった。夫は「君がやった」とハーパーを責める。
夜が明けライリーの車が屋敷に到着する。ハーパーは妊婦のライリーを見て、微笑んだ。
映画『MEN 同じ顔の男たち』の考察・解説(ネタバレ)
映画『MEN 同じ顔の男たち』が意味不明と言われる理由
映画『MEN 同じ顔の男たち』が「意味不明」だと評される理由は、物語が象徴的かつ抽象的な描写に満ちており、ストーリーの解釈が困難な点にあります。この作品では、主人公ハーパーが田舎の家で過ごす中で遭遇する複数の男性キャラクターが、全て同じ顔を共有しているという奇妙な設定が重要な役割を果たしています。映画の中で展開される出来事の多くが現実的とは言えず、ハーパーの心理状態や過去のトラウマを象徴的に表現しているため、観客にとって現実と幻想の境目が曖昧になってしまうのです。
特に、終盤に描かれる男性たちの「出産」シーンや、同じ顔の男性が繰り返し登場するといった奇異な出来事は、物理的な現実の範疇を超えた不条理な演出として受け取られ、多くの観客にとって理解の難しいものとなっています。この映画のテーマは女性に対する抑圧やジェンダーの問題を扱っていると言われていますが、具体的な出来事がそれを直接的に説明することは少なく、暗示的な表現にとどまることが多いため、メッセージが分かりづらいと感じられることが少なくないのです。
そのため、観客が何を意味しているのかを正確に把握できないまま物語が進行するため、「意味不明」と感じる人が多くなるのです。解釈の自由度が高い一方で、説明的な要素が乏しいため、ストーリーの理解に戸惑いを感じることがこの映画が難解だと言われる所以なのです。
映画『MEN 同じ顔の男たち』に気まずいシーンはあるか?
映画『MEN 同じ顔の男たち』には、観客が気まずさを感じるシーンがいくつか存在します。特に、映画の中で男性キャラクターたちが同一の顔を持っているという異様な設定が、不自然で奇妙な状況を生み出し、それが徐々に不気味さを増していく過程が気まずい雰囲気を醸成するのです。
また、ハーパーが地元の男性たちから感じる不安や恐怖を描いた場面も、視聴者に緊張感と居心地の悪さを与えます。彼女が男性たちから受ける視線や、彼女に対する暗黙の期待やプレッシャーが、女性が男性社会の中で感じる抑圧や不安を象徴しているのです。特に、男性たちがハーパーをじっと見つめたり、何かを求めてくるような場面では、彼女が追い詰められたり孤立している様子が強調され、観客に気まずさを感じさせるシーンとなっています。
加えて、映画後半の「男性の連続的な出産シーン」は、その生々しさと異常さから、特に気まずく感じる場面だと言えます。このシーンにはグロテスクな描写が含まれており、視覚的にも強いインパクトを与えるため、一緒に鑑賞する相手によっては非常に気まずい空気が流れるかもしれません。この映画のテーマや描写自体が非常に独特で、観る人によっては不安定な感情や不快感を抱くシーンが多いため、全体的に気まずさを感じる場面が多い作品なのです。
映画『MEN 同じ顔の男たち』にトラウマになるようなシーンはある?
映画『MEN 同じ顔の男たち』には、トラウマになる可能性のある衝撃的なシーンがいくつか含まれています。その中でも、特に視覚的に強烈で、観客の心に深い影響を与えかねない場面がいくつか挙げられます。
まず、映画後半に登場する「男性が男性を出産するシーン」がその一例です。このシーンでは、同じ顔を共有する男性たちが次々と出産を繰り返すという非常に異様で不気味な描写が展開されます。この場面では、生々しい特殊効果が用いられており、観客に強いショックを与えると同時に、何度も繰り返される出産のプロセスが恐怖や不快感を伴うのです。特に、このシーンは通常のホラー映画とは一線を画する不条理な恐怖を持ち、観る人によっては深い印象を残す可能性があります。
また、ハーパーが田舎の家に滞在している間に遭遇する不気味な男性たちとのやり取りも、トラウマとなり得る場面だと言えます。彼女が何度も不安や恐怖を感じる状況に置かれ、男性たちから逃げられない閉塞感が強調されるこれらのシーンは、観客に強い緊張感を与えます。特に、ハーパーが自分の家にいるにもかかわらず、他の男性たちが彼女を監視したり押し迫ってくる場面では、圧迫感や孤立感が描かれ、それが観る側にもトラウマ的な印象を残す要素となるのです。
これらのシーンは視覚的、心理的に強烈で、観る人にとって不安や恐怖、さらには長く残る衝撃を与えるものなのです。
映画『MEN 同じ顔の男たち』がつまらないと言われている理由
映画『MEN 同じ顔の男たち』が「つまらない」と感じられる理由の一つは、その物語の進行が非常にゆっくりで、象徴的なシーンが多く、理解しにくい点にあります。この映画は、ホラー映画やサスペンスの要素を持ちながらも、物語がシンプルでありながら象徴的な描写が過剰に含まれており、観客に具体的な説明や解答を与えないまま終わる部分が多いため、一部の視聴者にとっては退屈に感じられることがあるのです。
また、映画のテーマやメッセージが明確に示されることが少なく、多くの部分が暗示的であるため、ストーリーの意図をつかむのが難しいことも原因だと言えます。特に、同じ顔の男たちが登場する奇妙な設定や、終盤のグロテスクな出産シーンなど、視覚的には衝撃的な場面が多いものの、物語全体の展開や結論がはっきりしていないことが「つまらない」と感じられる要因となっているのです。
さらに、映画の進行が非常に静かで、緊張感が高まるまでの時間が長いため、テンポの遅さも退屈に感じられるポイントです。ハーパーの心理状態や男性たちとのやり取りがじっくりと描かれる一方で、観客にアクションや劇的な展開が少ないことが、エンターテインメントとしての面白さに欠けると感じられることがあるのです。
映画『MEN 同じ顔の男たち』の男が男を出産するシーンの考察
映画『MEN 同じ顔の男たち』のクライマックスで描かれる、男性が男性を出産するシーンは、この作品の中でも最も象徴的かつ衝撃的な場面だと言えます。このシーンは、自然界の常識を覆す異常な出来事であり、観客に強烈な印象を与えます。この場面は、単にグロテスクな描写としてだけでなく、映画のテーマである「男性の抑圧や支配」、「女性に対するプレッシャー」など、社会的なテーマを反映した象徴的なものだと考えられるのです。
男性が男性を産むという異常なサイクルは、社会における男性中心の支配構造や、男性が男性によって育まれ、次世代に同じ価値観や抑圧を受け継いでいくというサイクルを表しているとも解釈できます。このシーンで描かれる無限の出産サイクルは、男性が自分たちの問題や価値観を繰り返し、世代を超えて引き継いでいく様子を風刺しているのかもしれません。
また、この場面は、ハーパーが過去に経験したトラウマや、男性との関係性の中で感じてきた抑圧に対する象徴的な対決でもあります。彼女が目の当たりにするこの異様な光景は、彼女が男性社会や過去のトラウマを乗り越え、自分自身の解放に向かっていく過程を反映しているとも言えるでしょう。この不気味で衝撃的なシーンは、物理的な現実の限界を超えた精神的な解放や対決の象徴としても解釈できるため、単なるグロテスクな描写以上の深い意味を持っていると考えられるのです。
映画『MEN 同じ顔の男たち』は映画『ミッドサマー』のように女性と観ると気まずくなるか?
映画『MEN 同じ顔の男たち』は、『ミッドサマー』と同様に、女性と一緒に観ると気まずさを感じる場面がいくつかあります。両作品はともに、女性が男性社会や抑圧的な環境の中で不安や恐怖、孤立を体験するというテーマを扱っており、男性キャラクターたちが女性に対して見せる態度や行動が、非常に不快感を与えるものとなっているからです。特に、男性キャラクターたちがハーパーに向ける視線や言葉、態度が、観客に気まずい感情を抱かせるシーンが多く存在します。
『MEN 同じ顔の男たち』では、ハーパーが男性たちの視線にさらされ、精神的に追い詰められる様子が繰り返し描かれています。特に、男性たちが全て同じ顔を共有しているという設定は、彼女にとって逃げ場がなく、常に監視されているという感覚を強めるのです。このような状況が、観客に対して男性と女性の間の緊張感や抑圧的な関係性を意識させるため、観ている側も気まずさを感じやすい映画だと言えます。
『ミッドサマー』が女性の孤独感や男性社会における異質感を描いたように、『MEN』も同様に、ジェンダーにまつわるテーマが中心となっており、そのため、性別に関する視点や抑圧が描かれる場面で気まずさが生じることがあるのです。
映画『MEN 同じ顔の男たち』はグロいシーンの連続なのか?
映画『MEN 同じ顔の男たち』には、グロテスクなシーンがいくつか存在しますが、全編がグロシーンの連続というわけではありません。ただし、特に後半にかけて視覚的に強烈な場面が増え、観客に衝撃を与える瞬間が多くあります。最もグロいと感じられるシーンの一つが、クライマックスに登場する男性の出産シーンです。このシーンでは、男性が次々と他の男性を産み落とすという異常な光景が繰り返され、そのプロセスが非常に生々しく描かれているのです。この場面は視覚的に強烈で、苦手な人にとっては衝撃的なシーンだと言えます。
また、映画の序盤から中盤にかけて、ハーパーが田舎で体験する不気味な出来事や、男性たちから感じる異常な雰囲気も、グロさというよりも精神的な不快感や不安を煽る場面が多いです。例えば、ハーパーが家の外で目にする不気味な男性の存在や、彼女に向けられる視線が、次第に彼女の不安を高め、観客にもその恐怖が伝わってくるのです。
グロテスクなシーンの数自体はそれほど多くはありませんが、特に後半の出産シーンや身体の変形などがグロさのピークを迎えます。この映画は、ホラーやサスペンス要素に加え、視覚的なショックを与える部分も含まれており、グロテスクな描写が強調されるシーンが印象に残る作品だと言えるでしょう。
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