映画『ミスター・グッドバーを探して』の概要:1973年にアメリカで実際に起こった事件をもとにして書かれた同名の小説をリチャード・ブルックス監督が映画化した。主演はダイアン・キートン。1977年公開のアメリカ映画。
映画『ミスター・グッドバーを探して』 作品情報
- 製作年:1977年
- 上映時間:135分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:リチャード・ブルックス
- キャスト:ダイアン・キートン、リチャード・ギア、ウィリアム・アザートン、チューズデイ・ウェルド etc
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映画『ミスター・グッドバーを探して』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★☆☆☆
- ストーリー:★☆☆☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★☆☆☆☆
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映画『ミスター・グッドバーを探して』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ミスター・グッドバーを探して』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ミスター・グッドバーを探して』 あらすじ【起・承】
1975年アメリカ。テレサ・ダン(ダイアン・キートン)は聾唖学校の教師になるため大学へ通っていた。テレサは脊髄側曲症という先天性の病気で11歳まで足が不自由だった。大手術をして背骨を矯正し現在は歩けるようになっていたが、腰の痛みは今も続き、背中には大きな傷が残っていた。
テレサは教授のマーティンに憧れており、彼に処女を捧げる。マーティンには妻子がいたが、2人の不倫関係はしばらく続いた。しかしマーティンはテレサとのセックスに飽きると一方的に彼女を捨てる。
テレサの両親はカトリック教徒で、特に父は厳しかった。姉のキャサリン(チューズデイ・ウェルド)は美人で優秀だったが男にだらしなく、離婚してすぐに再婚する。キャサリンの新居を訪ねたテレサは、マリファナと酒とセックスに溺れる退廃的な姉夫婦の姿に衝撃を受ける。
父と衝突したテレサは家を出て、姉の夫が所有するアパートの一室で一人暮らしを始める。昼は聾唖学校で熱心な教師として働き、夜になるとバーへ繰り出す。バーで知り合ったトニー(リチャード・ギア)と刺激的なセックスを楽しみ、テレサは深みにはまっていく。
テレサは学校の生徒を通して知り合ったジェームズ(ウィリアム・アザートン)と親しくなり、実家に招く。両親はまじめなジェームズを一目で気に入り、テレサとの結婚を望むようになる。ジェームズは乗り気だったが、テレサは彼に冷ややかだった。
映画『ミスター・グッドバーを探して』 結末・ラスト(ネタバレ)
トニーに振り回され、テレサはコカインにも手を出すようになる。そのせいで昼の仕事にも支障をきたすようになり、テレサの生活はどんどん荒れていく。ジェームズはそんなテレサを心配し、彼女の行動を見守り続ける。
トニーが姿を見せなくなり、寂しさに耐えかねたテレサはジェームズとセックスしようとする。しかし避妊具をつけようとしたジェームズを見てテレサは笑い出し、ジェームズを深く傷つける。その後もテレサの男漁りはますますひどくなっていく。
ある晩、トニーが突然姿を見せる。金がなくなり自分を頼ってきたトニーをテレサは強く拒絶し、暴力を振るわれる。キャサリンが来てその晩は無事だったが、その後もトニーはテレサを脅迫してくるようになる。
テレサは自分の体の歪みが先天性であることに絶望し、避妊手術まで受けていた。自分に明るい未来はないと思い込み、自暴自棄になっていたのだ。父はそのことで胸を痛めており、それを知ったテレサも変わろうと思い始める。
テレサが酒場通いをやめようと思っていた夜。彼女はゲイのヒモだったゲーリー(トム・ベレンジャー)と知り合い、家まで送ってもらう。セックスがうまくいかなかったゲーリーは突然暴れ出し、抵抗するテレサを抑えつけ彼女をナイフでメッタ刺しにする。テレサの絶叫はやがて消え、静寂の闇にあどけないテレサの顔が浮かび上がる。
映画『ミスター・グッドバーを探して』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ミスター・グッドバーを探して』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
テレサは特別な女性ではない
テレサは生徒たちから慕われる熱心な聾唖学校の教師だ。優しい微笑みをたたえ、子供たちに言葉を教えるテレサの姿は、どこから見ても清潔で神々しい。しかし夜になると彼女はバーで酒を飲み、ドラッグをやり、初対面の男と簡単にセックスをしてしまう。この極端な二面性がやがて悲劇的な結末を招くことになるのだが、それを自業自得だとはどうしても思えない。なぜならテレサは決して特別な女性ではないからだ。
テレサが極端な二重生活を送っていた期間は2年弱だ。長い人生の中で自分を見失い、崩れてしまう時期というのは誰にでもある。しかしほとんどの人はそこを乗り越え、更生していく。実際にテレサもこの生活を改めようと考えていた。その矢先に彼女は命を落とす。本作は実在する殺人事件をもとに製作された映画であり、事件当時も彼女が殺害された事実より、まじめな女教師の二面性がセンセーショナルに報道されたようだ。
同じ女性として、私は彼女に同情を禁じえない。程度の差はあれ、テレサのような女性はいくらでもいる。現在は涼しい顔で貞淑な妻として生きている女性でも、誰にも言えない過去を抱えているかもしれない。不条理に殺害されたことで、テレサの秘密は世界中に暴露されてしまった。そのことでテレサは2度殺されている。そこに強い怒りを感じる。実際に亡くなった女性のためにも“テレサは特別な女性ではない”ということを強く訴えておきたい。そして、あくまで彼女は被害者であることを忘れないでほしい。
ダイアン・キートンの頑張り
映画が製作された背景や結末を考えると受け止め方が非常に難しく、どう批評すべきか悩んでしまうのだが、ダイアン・キートンの頑張りだけは素直に認めたい。彼女がテレサをナチュラルに演じたことで、テレサに悪印象を持つ人は大幅に減ったはずだ。そこは高く評価できる。
本作で唯一笑えたのはバーでダイアン・キートンが「ゴッドファーザー」を読んでおり、リチャード・ギアの演じるトニーから“アル・パチーノはかっこいいよな”と声をかけられるシーンだ。ダイアン・キートンは「ゴッドファーザー」でも私生活でも(これより後のことではあるが)アル・パチーノの恋人だった。ここだけは和んだ。
映画『ミスター・グッドバーを探して』 まとめ
衝撃的な作品ではある。ダイアン・キートンの演じるテレサが痛々しくて重い。映像的にラストシーンの演出は良かったが、それを冷静に鑑賞するような気持ちになれない残酷な結末なので、これを人に薦めようとはどうしても思えない。
映画として決してできの悪い作品ではない。それでも未だにDVD化されていないので、やはり扱いの難しい問題作なのだろう。最も気になったのは、殺した犯人よりテレサに問題があったような描き方だ。そこはマスコミの垂れ流す無責任なゴシップ記事のようで不快だった。被害者のご両親の気持ちを思うといたたまれない。
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