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映画『渚にて』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『渚にて』の概要:第三次世界大戦で核兵器が使用され、大規模な放射能汚染が発生した。北半球は壊滅状態になり、5か月後にはオーストラリアにも放射能が到達すると推測。人々は残りの人生を、思い残すことなく過ごそうとしていた。

映画『渚にて』の作品情報

渚にて

製作年:1959年
上映時間:135分
ジャンル:SF、ヒューマンドラマ
監督:スタンリー・クレイマー
キャスト:グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー、フレッド・アステア、アンソニー・パーキンス etc

映画『渚にて』の登場人物(キャスト)

ドワイト・ライオネル・タワーズ艦長(グレゴリー・ペック)
アメリカの原子力潜水艦の艦長。戦争勃発時には潜航していたため生き延びたが、アメリカに住む妻子は放射能汚染で死んでしまった。
モイラ・デビッドソン(エヴァ・ガードナー)
オーストラリア人女性。ドワイトと出会い好意を抱き、積極的にアプローチをする。
ジュリアン・オスボーン博士(フレッド・アステア)
オーストラリア科学調査委員会の博士。独身でフェラーリをこよなく愛し、レースに出場するのが夢。
ピーター・ホームズ大尉(アンソニー・パーキンス)
オーストラリア海軍の大尉。放射能汚染で妻子が苦しんで死ぬことが耐えられず、安楽死できる強力な睡眠薬を手に入れる。
メアリー・ホームズ(ドナ・アンダーソン)
ピーターの妻。アメリカの潜水艦に同行する夫を心配する。放射能が近づき、徐々に精神を病んでいく。

映画『渚にて』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『渚にて』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『渚にて』のあらすじ【起】

1964年、第三次世界大戦が勃発。核兵器による放射能汚染で、北半球は壊滅状態となった。ドワイト・タワーズ艦長率いるアメリカ原子力潜水艦は、オーストラリアのメルボルンに寄港。南半球にはまだ放射能が到達しておらず、街には電車が走り、多くの人が行き交っていた。ただしガソリン不足で車はほとんど走っていない。科学調査委員会は、オーストラリアに放射能が到達するのは5か月後と推測した。

妻子と暮らすオーストラリア海軍のピーター・ホームズ大尉は、アメリカの潜水艦に4か月同行する予定だ。ピーターはドワイト艦長を自宅のパーティーに招く。女友達のモイラが駅までドワイトの迎えに行く。彼女はドワイトに一目惚れした様子だ。

パーティーには科学者のジュリアン博士も同席。彼は米ソの戦争で原爆が使われたことを痛烈に批判していた。モイラは原爆投下時の様子をドワイトに尋ねる。彼自身は潜水艦で潜航していて無事だったが、妻シャロンと2人の子供は死んだと答えた。その後、お酒で酔いつぶれたモイラを、ドワイトは寝室まで運んだ。

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映画『渚にて』のあらすじ【承】

翌日、潜水艦は出航に向けて準備をするなか、モイラはドワイトを訪れ、昨夜の失態を謝った。港では科学調査委員が潜水艦に乗り込むために準備中。船内では、数日前から届く不明なモールス信号を調べていた。

出航前の休日、ドワイトとモイラはヨットを楽しんでいた。すっかり仲良くなった2人。砂浜でじゃれ合ううちに、ドワイトは思わずモイラのことを「シャロン」と呼んでしまい、気まずくなる。街のプール・バーでは2人の老紳士が、残り5ヶ月で店内の400樽ものワインは飲めないとぼやいていた。

メアリーはピーターに、芝刈り機を買ってほしいとせがんだ。しかし彼は神妙な表情で、彼女に強力な睡眠薬を手渡す。自分が不在中に放射能が到達した場合、苦しまずに死ぬために飲めと言うと、彼女はショックを受けて出て行った。

モイラはドワイトと再び会い、奥さんと間違われたことは気にしておらず、むしろ奥さんだと思ってほしいと見つめた。しかしドワイトはその言葉を遮り、家族を死なせたことを今も悔やんでいるのだと話した。

映画『渚にて』のあらすじ【転】

振られたモイラはジュリアンを訪問。彼は愛車のフェラーリの整備をしていた。モイラは若い頃に大変もてて、ジュリアンも彼女に恋をしていた。2人は結局、今も独身のまま。モイラは愛する人がないまま死ぬことを嘆いた。

潜水艦はオーストラリアを出航。南極で予想以上に高い放射線を観測した。次にサンフランシスコに向かう。サンフランシスコを象徴するゴールデン・ゲート・ブリッジは、いつもなら多くの車が行き交うはずが、今は一台も走っていない。潜望鏡で観察する街にもまるで人影がいなかった。

サンフランシスコ出身の船員スウェインが、ドワイトが止めるのも聞かず、勝手に潜水艦を飛び出した。彼は街で全員死んでいるのを見た後、海に戻って釣りを始めた。「死ぬなら故郷で死にたい」と潜望鏡のマイクを通してドワイトに伝える。潜水艦は彼を残し、サンフランシスコを去った。

次はサンティエゴに寄港。謎のモールス信号の送り主を探すため、隊員が防護服を着て降り立った。街は誰もいない。発電所で発信機を発見すると、コーラの瓶に紐が引っかかって、発信機に当たっているだけだった。

映画『渚にて』の結末・ラスト(ネタバレ)

潜水艦はオーストラリアに帰港。ドワイトはモイラを訪れ、熱いキスをする。ピーターもメアリーと抱き合った。ジュリアンは念願だったレースに、愛車のフェラーリで出場。衝突・炎上が多発する過激なレースだったが、ぶっちぎりで優勝した。ドワイトはモイラとマス釣りを楽しみ、夜はワインを飲み、ひと夜を過ごした。

潜水艦の船員に放射能の症状が現れる。オーストラリアへの放射能の到達は、予想以上に早かった。教会には「まだ時間はある」との垂れ幕で集会が開かれ、多くの信者が集まった。病院では睡眠薬を求め、長い行列が続いている。

やがて放射線の数値は急上昇。潜水艦は船員たちによる投票で、アメリカに戻ることが決まった。集会は信者が激減、プール・バーにも客はいない。ジュリアンは車の排ガスを倉庫に充満させ、一酸化炭素中毒自殺を図る。ドワイトはモイラに愛を伝え、別れのキスをする。ピーターはメアリーに睡眠薬を渡し、初めて会った渚での思い出を語り合った。

潜水艦はついに出航。その後、街には誰もいなくなった。

映画『渚にて』の感想・評価・レビュー

1957年の小説を映画化したもので、1964年に起きた第三次世界大戦後の世界を描いている。舞台となるのは、放射能の到達が近づき、人類滅亡の日が迫りつつあるオーストラリア。放射能の到達前に妻子を苦しませず死なせたいと考える者、愛する人を求める者、趣味を極める者など、さまざまな人間の行動が描かれている。パニック映画とは異なり、全編モノクロの静かな作りだ。それがかえって、終末への恐怖、絶望の深さを表しているように感じた。(MIHOシネマ編集部)


核によって訪れてしまった世界の終末と、残された時間を過ごす人々が描かれる。パニックになるか、すがるか、もがくか、観終えた後自分だったらと暫く考えてしまう。この作品の制作時は1960年辺りで、世界の核戦争が最も現実味を帯びていた時期である。どうか、昔話だと切り離して考えないでほしい。半世紀前の技術で、すでに世界を滅ぼす武力を人間が持っているのである。怖がらせるための作品ではないです。”まだ時間はある”裏を返せば時間は有限であることを、心に留めておきたい。(男性 20代)

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