映画『なんちゃって家族』の概要:麻薬の密売を成功させるために集まった偽の家族が、数々の危険を乗り越えながら旅を続けるうちに、本物の家族のようになっていくコミカルなロード・ムービー。2013年公開のアメリカ映画。
映画『なんちゃって家族』 作品情報
- 製作年:2013年
- 上映時間:109分
- ジャンル:コメディ、ラブストーリー
- 監督:ローソン・マーシャル・サーバー
- キャスト:ジェニファー・アニストン、ジェイソン・サダイキス、エマ・ロバーツ、ウィル・ポールター etc
映画『なんちゃって家族』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『なんちゃって家族』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『なんちゃって家族』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『なんちゃって家族』 あらすじ【起・承】
大学時代からマリファナの売人をしているデヴィッド(ジェイソン・サダイキス)は、不良少年たちに絡まれていたホームレスの少女ケイシー(エマ・ロバーツ)を助けようとして逆襲に遭い、売り物のマリファナとお金を強奪される。元締めのブラッドは、メキシコからマリファナを密輸してくれば今回のヘマを許し、さらに報酬も支払うと言い出す。
しかしメキシコ国境での厳しい検問を乗り切るのは至難の技で、デヴィッドは頭を抱える。そこへキャンピングカーに乗った陽気なドンの一家が声をかけてきて、デヴィッドは善良そうな家族旅行を装えば、麻薬の密輸を疑われないだろうと思いつく。
妻は同じアパートに住む場末のストリッパー・ローズ(ジェニファー・アニストン)、長女はケイシー、その弟には親に見捨てられたケニー(ウィル・ポールター)を誘う。3人はそれぞれに事情を抱えており、半信半疑ながらデヴィッドの話に乗る。
即席の一家は巨大なキャンピングカーでメキシコの組織へ到着。そこで渡されたマリファナは2トンもあり、キャンピングカーのあらゆるところに隠される。帰りの検問所ではかなりのピンチを迎えるが、偶然発生した密入国者の逮捕劇に救われ、見事に国境を通過する。あとはデンバーのブラッドにマリファナを届ければ任務完了であったが、車が故障してしまい、足止めを食らう。その窮地を救ってくれたのは、ドンの一家だった。
一方、メキシコの組織にはデヴィッドが持ち帰ったマリファナの本当の受取人であるパブロが来ており、デヴィッドの行方を追い始める。実はブラッドがデヴィッドを騙し、他の組織からマリファナを横取りしていたのだ。
映画『なんちゃって家族』 結末・ラスト(ネタバレ)
そんなことは知らず、デヴィッドたちはドン一家とキャンプをしていた。デヴィッドは早く帰りたかったがどうすることもできない。4人はドン一家の前で仲のいい家族のふりをしているうちに、何となくこの即席家族に親しみを感じ始める。
翌朝、ドン一家と別れ、修理を終えたキャンピングカーを引き取りに行くと、そこにはパブロと部下がいた。4人は殺されかけるがローズの機転で逃げ出すことに成功。しかしケニーが車内にいた毒グモに睾丸を噛まれてしまい、今度は病院で足止めを食らう。ケイシーはそこで出会った胡散臭い男とデートへ行き、デヴィッドとローズは本当の両親のように彼女を心配する。デヴィッドとローズは本名を教え合い、互いに惹かれあっていく。
ようやく動けるようになったケニーを連れ、急いで帰ろうとするが、そこで報酬額の不平等を巡って喧嘩となり、デヴィッドは3人を残して1人で帰ってしまう。しかしデヴィッドは1人の寂しさに耐え切れず、結局戻ってくる。
4人が帰ろうとした時、またドン一家と再会する。そこにパブロたちも現れ、ついにデヴィッドたちの嘘がバレてしまう。デヴィッドは自分だけを殺して欲しいとパブロに頼み、みんなを守ろうとする。パブロは聞き入れてくれないが、一瞬の隙をついてデヴィッドたちが反撃し、パブロと部下は麻薬取締官であるドンに逮捕される。
翌朝、デヴィッドはブラッドにマリファナを届ける。ブラッドは全てがうまくいったと浮かれていたが、そこへ麻薬取締局が一斉に乗り込んでくる。実はデヴィッドがドンと取引し、デヴィッドには証人保護プログラムが適用されることになっていた。
後日、郊外の一軒家で家族として暮らすデヴィッドとローズ、ケイシーとケニーの幸せそうな姿があった。
映画『なんちゃって家族』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『なんちゃって家族』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
テンポ抜群の展開
マリファナの売人である主人公のデヴィッドが、麻薬密輸という大仕事を成功させるため苦肉の策で集めた偽家族たち。本作はこの偽家族が大量のマリファナを積んで、国境を越えるロード・ムービーなのだが、話のテンポがとても良くて、全く退屈しない。
全体にハラハラさせるシークエンスとのんきに笑わせるシークエンスのメリハリがしっかりしており、観客の集中力の持続を非常にうまくコントロールしてくれる。コメディなのでシリアスな展開にはならないだろうと思っていても、検問所ではやはりドキドキするし、さらに別の組織から追われていることや、やたらと顔を合わすドン一家の存在が大きな枷となり、どこでどうなってしまうのかが微妙に読めない。
車に積み込まれたフルーツの盛り合わせに毒グモがいるのも、結構なスリルだ。まさかあのタイミングでケニーの睾丸があんなことになるとは全く予想していなかったので、思いがけない展開に大笑いした。
次々とアクシデントは起こるのだが、登場人物の心の変化もうまく見せており、感情移入もしやすい。“次にどうなるの?”という観客の期待を裏切らない、よくできた脚本だ。
キャラの立った登場人物たち
話のテンポもいい上に、登場人物たちのキャラ作りがうまい。主人公のデヴィッドは器の小さい男だが憎めない魅力があり、息子役のケニーは純粋無垢な天然気味の童貞ボーイ。娘役のケイシーはあの若さでホームレスをしていただけに、ちょっとひねくれたクールな少女だが、実は一番この家族を気に入っている。
その中でも特に良かったのは妻役のローズの人物像。彼女は場末のストリッパーで苦労人。それだけに人の気持ちもよくわかるし、いつも冷静な判断をする。このローズがただのはすっぱな女ではなく、賢い女性であることが、様々な部分で効いている。さっぱりとした姉御肌のローズは、ジェニファー・アニストンの雰囲気にぴったりだった。
さらにやたらと遭遇するドン一家がとてもいい。特にドンの妻エディの能天気さとおバカぶりが最高に笑える。ちょっと面倒臭いぐらいに人のいいエディが、ローズの胸を揉むシーンは爆笑必須。このくどいキャラをキャスリン・ハーンが好演しており、彼女にはかなり笑わせてもらった。面白い女優さんだ。
麻薬密輸を強行するため主人公が仕立てた家族、近所の間抜けな少年、隣人のストリッパー、家出パンク少女。本当に演技かと疑いたくなるほどの自然な家族感、突然のビジネスパートナー感、距離感がごちゃごちゃになるやり取りが観ていてムズムズします(笑)。
“おふざけ全開の映画にするつもりが、何故か心温まる映像が撮れてしまいました。”そんな感じの作品です。エンディングのカットシーンを観ても、本当に楽しく撮影したんだろうなと思える雰囲気で、そういった楽しさが作品に滲み出たのだと思います。(男性 20代)
映画『なんちゃって家族』 まとめ
「なんちゃって家族」などというダサい邦題のせいで大した期待もせずに見始めたのだが、これは面白い。下ネタ満載のいかにもアメリカらしいコテコテのコメディなのに、ストーリーも人間描写もよくできており、最後はちょっと胸熱。素直に“家族ができてよかったよね、うんうん”なんて、この結末が嬉しくなる。
映画としての総合評価は75点だが、この手のコメディとしては内容も笑いも満足度は高いので、星は4つにさせてもらった。いろいろ丁寧に作られていて、気持ちよく大笑いできるなかなかの力作だ。
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