この記事では、映画『ニューオーダー』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ニューオーダー』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ニューオーダー』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0072427
製作年 | 2020年 |
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上映時間 | 86分 |
ジャンル | スリラー |
監督 | ミシェル・フランコ |
キャスト | ナイアン・ゴンサレス・ノルビンド ディエゴ・ボネータ モニカ・デル・カルメン フェルナンド・クアウトレ |
製作国 | メキシコ フランス |
映画『ニューオーダー』の登場人物(キャスト)
- マリアン・ノベロ(ナイアン・ゴンサレス・ノルビンド)
- 裕福層であるノベロ家の25歳の令嬢。人道主義。豪邸でアランとの結婚パーティを開いている。元使用人が困っていると知り、クリスチャンの案内で貧困層の住む地域へ向かった。赤いドレスを着ている。
- ダニエル(ディエゴ・ボネータ)
- ノベロ家の息子でマリアンの兄。愛妻と一緒にパーティに参加している。金に困り結婚パーティに来たロランドを、冷たく追い返してしまう。利己的な性格。
- マルタ(モニカ・デル・カルメン)
- ノベロ家の使用人の責任者的な存在。クリスチャンの母でおとなしい性格。ロランドと同じアパートに住んでいることから、騒動に巻き込まれていく。
- クリスチャン(フェルナンド・クアウトレ)
- ノベロ家の使用人でマルタの息子。母マルタと同居中。優しい男。マリアンをロランドの家まで連れていく。
- ロランド(エリヒオ・メレンデス)
- ノベロ家の元使用人。妻エリサの手術代が必要となり、ノベロ家を訪ねる。
- ビクトル(エンリケ・シンガー)
- 警察官僚の上層部の男。軍に対して強い権力を持っている。ノベロ家の人々と親しく、家族を連れてマリアンの結婚パーティに参加する。物腰は柔らかいが、危険を察知すると保身に走る傾向がある。
映画『ニューオーダー』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ニューオーダー』のあらすじ【起】
世界中で貧富の差が広がり、市民の不満は限界点を越える。国立病院の入院病棟には突然怪我をしたデモ隊が押し寄せ、従来の入院患者が追い出された。
一方裕福な暮らしをするノベロ家の豪邸では、マリアンとアランの結婚パーティが行われていた。パーティは、美しいドレスを着たセレブたちで溢れている。ノベロ家と親交のある警察官僚のビクトルも、家族とパーティに来ていた。だが近くで暴動が起きていると知り、家族を連れて速やかに退散する。
マリアンの母レベッカが、洗面所の蛇口を捻ると緑色の水が出てきた。不審に思ったレベッカは夫を呼ぶが、夫が見ると普通の水に戻っていた。
そこへノベロ家の元使用人ロランドが、レベッカを訪ねてやってくる。ロランドの妻エリサは先ほどのデモのせいで国立病院から私立病院へ移り、急遽手術が必要になったのだ。ロランドはレベッカに20万ペソ貸して欲しいと頼むが、レベッカはカンパで集めた3万5000ペソしか貸さなかった。マリアンは貰ったお祝儀から20万ペソ出そうとするが、暗証番号が変更されておりあたふたする。
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映画『ニューオーダー』のあらすじ【承】
諦めたロランドは、マリアンの知らない間に帰ってしまった。ロランドが心配なマリアンは、彼と同じアパートに住む使用人クリスチャンを車に乗せ、走りだした。だがデモ隊が道路を埋め尽くしており、なかなか前に進めない。
一方豪邸には暴徒が侵入し、マリアンの父が撃たれた。さらに門番だったフェリペの号令で、大人数の暴徒が豪邸に侵入する。日頃からこき使われていた使用人らが不満を募らせ、暴動を起こしたのだ。使用人は、そこら中にある貴金属を鞄に詰めはじめた。豪邸の使用人の長であるマルタは息子クリスチャンに電話をし、危険だから戻って来るなと伝える。暴動に加わっていないのは、この親子だけだった。他の使用人は皆セレブらに銃を向け財布や貴金属を奪う。レベッカは暴徒に撃たれ死亡した。
ちょうどその頃、マリアンの車のフロントガラスに緑色のペンキがぶちまけられた。暴徒が車の窓を叩く。何とかロランドのアパートに辿り着いたマリアンは、弱っているエリサを励ました。マリアンはその晩クリスチャンの部屋に泊まる。
映画『ニューオーダー』のあらすじ【転】
翌日クリスチャンがマリアンを自宅へ送ろうとすると、兵士に見つかった。兵士らはマリアンを送ると言って車に乗せ、貴重品を奪った上に拉致した。あるグループの兵士らはどさくさに紛れ、金持ちを人質に取っていたのだ。
街はカオスとなり、市民には外出禁止令が出される。決められた時間以外に外出した者は処罰の対象となった。マルタは豪邸から無事帰宅し、息子クリスチャンと抱き合う。
マリアンの兄ダニエルは妻と母を同時に亡くし、泣き崩れた。アランもダニエルもマリアンの居場所が分からず、途方に暮れる。2人は、ビクトルにマリアンの捜査の依頼をした。
マリアンは大勢の人たちと一緒に、薄暗い部屋に監禁されていた。乱暴な兵士たちがマリアンや他の女性に、性的暴行を加える。
事件から1か月が経った。ロランドは自宅でエリスの看病をしていたが、ある日兵士から撃たれ死亡してしまう。その後エリスも亡くなり、マルタとクリスチャンは2人の葬儀に参列した。
邪悪な兵士たちは金持ちを人質にして、親族に多額の身代金を要求する。また人質を集団で丸裸にして水浴びをさせるなど、彼らの行動は過激化していった。
映画『ニューオーダー』の結末・ラスト(ネタバレ)
ダニエルの元に、マリアンの身代金要求の電話が入る。そこでアランとダニエルは、ビクトルにこの報告をした。
マルタのアパートに兵士が押しかけ、ダニエルから身代金の80万ペソを貰って来いと脅す。翌日マルタとクリスチャンは仕事に通うふりをしてダニエル宅を訪ね、80万ペソの身代金を受け取った。だがそれを兵士らに渡すと、さらに100万ペソの身代金を要求されてしまう。
翌日アランたちがダニエルを訪ね、さらに100万ペソ要求されたと言うと、ダニエルはクリスチャンを疑った。そして「誘拐犯は使用人でした」とビクトルに連絡する。ダニエルは「マリアンがクリスチャンの家にいるはずだ」とつけ加えた。何も悪いことをしていないマルタたちは、呆然と立ち尽くす。
ビクトルの部下は、マリアンを拘束している邪悪な兵士の集団を見つけ処刑した。だがその後マリアンをマルタの家に連れていき、射殺する。そしてクリスチャンも殺し、彼に濡れ衣を着せた。ビクトルの部下はダニエルの疑った通りに事を運び、兵士たちが得た身代金を横領したのだ。
後日、罪なきマルタは多くの市民の前で処刑された。
映画『ニューオーダー』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
衝撃の連続。上流階級の結婚式から一気に暴動と略奪に転じる展開に、息を呑みました。貧富の格差が臨界点を超えたとき、秩序がどう崩壊するかを容赦なく描いていて、人間の本性が剥き出しになる感じがリアルすぎる。マリアンが拉致され、体制側に利用される流れも恐ろしく、救いが一切ない。怖いのに目を離せない映画です。(20代 男性)
正直、観終わった後しばらく呆然としていました。暴動、暴力、監禁、拷問…すべてがリアルで生々しくて、現代のメキシコ社会を知らなくても訴えかけてくるものがありました。上流層の脆さと、下層民の怒り、そして何より軍や政府の非道さが浮き彫りになる後半。社会の裏側を覗いた気分です。(30代 女性)
冷徹で救いがない。でも、それが現実なのかもしれない。これほどまでに格差と暴力のリアルを突きつけられる映画はなかなかないと思う。主人公が象徴する“中立的な善意”すら無力で、結局、力を持つ者が支配するというメッセージが怖い。重すぎる内容だけど、絶対に観るべき一作だと感じた。(50代 男性)
マリアンが結婚式の場から逃れ、必死に人を助けようとしたのに、その善意が逆に自分を地獄に落とす皮肉…。女性としては彼女の扱われ方が辛すぎた。監禁され、金づるとしてしか扱われない姿には怒りすら感じた。権力と暴力の理不尽さが全編にわたって描かれていて、考えさせられる作品です。(20代 女性)
混沌の演出が巧みで、終始ピリピリとした空気が張り詰めている。最初のパーティーのシーンがいかに“平和ボケ”していたか、後半になるにつれて思い知らされる。新体制=軍による弾圧という、希望を持たせないラストも潔い。テーマは極めて重いが、映画としては非常に完成度が高い。(30代 男性)
年齢的にも暴動や政治的混乱を体験した世代として、あまりにもリアルで心が痛くなった。暴徒と政府の対立、民衆の無力感、それらはフィクションではなく現実と地続きである。作中で描かれる「新秩序」が、古い体制よりもさらに暴力的であることが皮肉で、恐怖でもある。観るべき映画です。(60代 男性)
静かな始まりからの落差がすごい。映像も音も抑制されていて、逆に不穏さが増していく演出がすごく上手いと思いました。主人公が無力化される展開もショッキングでしたが、それ以上に社会全体が機能していない感じがリアル。暴力描写に目をそむけたくなるけど、最後まで観る価値ありです。(40代 女性)
学生として社会構造や格差について勉強中だったので、この映画は本当に衝撃でした。理想や善意だけでは何も変えられない現実、制度の外にいる人々の声の大きさ、それに反応できない既得権益側。映像もメッセージ性も強烈で、他の作品とは一線を画していました。勉強としても観る価値がある作品だと思います。(10代 男性)
映像の冷たさが印象的。まるでドキュメンタリーのような質感が、暴力の描写をより残酷にしていた。見せ方に一切の演出過剰がなく、そのリアルさが心に突き刺さった。社会構造の崩壊を描く作品は多いけれど、ここまで“救いがない”と逆に納得できる。誰にとっても、無関係ではない映画だ。(30代 女性)
上流と下流、権力者と市民、暴力と無力。そのすべてが不気味なほど現代に通じる構図で描かれていて、観ていて冷や汗が止まらなかった。まさに“今、観るべき映画”。マリアンの最期の表情が忘れられない。何が善で、何が悪かなんてもう意味をなさない世界。それを突きつけてくる傑作です。(40代 男性)
映画『ニューオーダー』を見た人におすすめの映画5選
パラサイト 半地下の家族
この映画を一言で表すと?
「笑いの裏に潜む格差の闇が、ある夜爆発するサスペンスドラマ」
どんな話?
半地下で暮らす貧しい一家が、富豪一家に徐々に取り入り、生活をのし上がっていくが、次第に思わぬ真実と崩壊が訪れる。社会の構造を描くとともに、人間の本性に迫る衝撃のドラマ。
ここがおすすめ!
『ニューオーダー』同様、格差社会を軸に展開する物語。暴力や混乱の描写は控えめながら、構造的な不公平さと、それが崩れる瞬間の恐ろしさがリアルに伝わる。ラストの衝撃も一級品。
クロニクル(原題:Chronicle)
この映画を一言で表すと?
「力を得た弱者が、社会を壊していく“もう一つのヒーロー譚”」
どんな話?
超能力を手に入れた高校生たちが、その力に溺れて暴走していく。とくにいじめられっ子だった主人公が、内面の怒りを爆発させるさまがリアルで切ない。疑似ドキュメンタリー的手法も秀逸。
ここがおすすめ!
下層から這い上がろうとする者の絶望と暴走を描いた点で、『ニューオーダー』と通じる。貧困や家庭内暴力など、現実の闇を背景にしたドラマとしても見応えあり。思春期×社会派の異色作。
ホテル・ルワンダ
この映画を一言で表すと?
「絶望の地獄で、人間性を守り抜いた男の静かなる闘い」
どんな話?
1994年に実際に起きたルワンダ虐殺を舞台に、ホテル支配人が命がけで人々を守る姿を描く。国際社会の無力さと、暴力の狂気、そして倫理的な選択が胸に迫る実録ヒューマンドラマ。
ここがおすすめ!
『ニューオーダー』と同じく、体制の崩壊と無秩序の恐ろしさを描いている。実話に基づいた分、その重みは倍増。ただし、そこに“人間性”の希望を残す点で、対照的な余韻を持つ作品。
チョコレートドーナツ(原題:Any Day Now)
この映画を一言で表すと?
「社会の“常識”に抗った、愛と人間らしさの記録」
どんな話?
1970年代、ゲイカップルが知的障がいを持つ少年の親権を巡って法と戦う物語。貧困・差別・不寛容が交錯する社会のなかで、愛だけを頼りに戦う姿に涙が止まらない。
ここがおすすめ!
『ニューオーダー』が“冷酷な現実”を描くなら、本作は“人間の尊厳”を描く。それでも社会の理不尽さという共通テーマはあり、胸が締めつけられる。暴力のない、優しいが厳しい作品。
エリート・スクワッド(原題:Tropa de Elite)
この映画を一言で表すと?
「暴力は暴力でしか抑えられない、スラムのリアルな現実」
どんな話?
ブラジルの麻薬組織と、それを取り締まる警察特殊部隊の戦いを描く。正義と暴力の境界線があいまいな中、命を賭けた戦場が繰り広げられる。実録さながらの迫力とスピード感が魅力。
ここがおすすめ!
国家による暴力と腐敗、民間人の巻き添え、支配のための正義…『ニューオーダー』の軍と暴徒の構図をそのまま地続きに感じる映画。ハードでリアル、社会の暗部を描く傑作です。
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