映画『女が眠る時』の概要:2016年公開の日本映画。ウェイン・ワン監督がスペインの作家の短編小説を映画化したミステリー作品で、ビートたけし、西島秀俊をキャスティングした豪華俳優陣が話題の映画である。
映画『女が眠る時』 作品情報
- 製作年:2016年
- 上映時間:103分
- ジャンル:サスペンス、ミステリー
- 監督:ウェイン・ワン
- キャスト:ビートたけし、西島秀俊、忽那汐里、小山田サユリ etc
映画『女が眠る時』 評価
- 点数:60点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★☆☆☆
[miho21]
映画『女が眠る時』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『女が眠る時』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『女が眠る時』 あらすじ【起・承】
過去に賞も獲ったことのある小説家の健二(西島秀俊)はまとまった休暇のため、編集者である妻の綾と海辺のリゾートホテルに滞在している。
処女作以降執筆が進まず、第二作目は売れなかった。
そのため今は小説を書くこともせず、転職をしようと思っているところなのだ。
ホテルのプールサイドで休んでいると、綾が前にいる初老の男と娘ほど年の離れた娘に気が付いた。
不倫なのかどうなのか?という興味を持つ綾の話を聞き、健二も彼らに興味を持つようになった。
健二はその日から二人の行動が気になった。
外出すると後をつけ、部屋をのぞき見するようになる。
その部屋の中では、毎晩少女美樹(忽那汐里)の寝ている姿をビデオ撮影しているその男の姿があった。
健二はその男に近づいてみた。
彼は佐原(ビートたけし)と言った。
会話をしようとした健二に佐原は、美樹が寝ているビデオを見せる。
そして本当に「無垢な少女の寝ている姿を見たことあるか?」という台詞を言う佐原に恐怖を感じる健二だった。
佐原はこうも言った。
「あの子の最後の日を記録しようと思って」と。
健二の好奇心は止まらない。
やがて外出したのを確認した後、健二は二人の部屋に忍び込むまでに至ってしまった。
しかし偶然美樹が帰宅し、急いでベッドの下に隠れる。
その後佐原もやってくるが、何とかベッドの下でやり過ごした。
健二は二人の後をつけるうち、いかにも怪しげな店主(リリー・フランキー)がいる居酒屋にたどり着く。
そこに飾られていた客の写真の中に、佐原と家族で映る美樹の姿があった。
健二は気になり店主に質問するが、昔家族と佐原で来ていたとしか言わない。
綾は仕事に出かけるという。
70を過ぎた小説家に仕事場にいてくれると仕事がはかどると言われ、家に出向いているのだ。
帽子が無いと探す綾に、そのうち出てくるだろうという健二。
その日は17時に駅で待ち合わせて食事を一緒にする約束である。
映画『女が眠る時』 結末・ラスト(ネタバレ)
タクシーに乗り込み向かおうとする健二の前に、美樹が現れた。
いきなり健二が乗っているタクシーの助手席に座る美樹に、健二は質問をするが何も答えない。
いきなり途中で目的地を言い向かいだした美樹。
到着した場所で車を待たせ出て行ったかと思うと、泣きながら戻って来た。
再び走り出したタクシー。
次に止まった場所は大雨の海岸。
そこで泣き崩れる美樹を後ろから抱く健二だった。
その夜結局待ち合わせ場所にいけなかった健二は、部屋で綾が出向いている小説家のチラシを目にしてしまう。
そこに載っていたのだ70過ぎといっていたはずなのに、健二とさほど変わらない男性の姿。
そんな男のところに毎日通うことに疑問を抱く健二は、帰って来た綾に尋問しながらシャワー室で強引に引き寄せた。
翌日のこと。
健二が朝食をとっていると、一人の若い刑事が現れた。
彼は佐原の連れの女性が行方不明となり、探しているというのである。
しかし健二のところに来た理由はそれではない。
部屋に侵入していたことを佐原が警察にいったというのだ。
動揺する健二。
急いであの居酒屋に向かい、彼女が失踪したことを話すと写真を探しながら彼女は親を裏切ったのだと話した。
別の日。
健二と綾は出版社の人と会食をしている。
健二の新作が売れたのだ。
食事の席で健二がふと顔をあげると、見覚えのある後姿が。
後を追い町中までいった健二が「佐原さん!」と声をかけると、振り向いた佐原はにやりと不適な笑みを浮かべた。
健二もそれに対し微笑むのだった。
映画『女が眠る時』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『女が眠る時』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
気持ちの悪い作品
この映画は最初から最後まで曖昧である。
はっきりした描写は一切なく、佐原と美樹がどのような関係であり、美樹が何故失踪したのか。
健二と綾の関係がどのようになったのか。
佐原と綾とが実は何か関係があったのか。
全てが謎に包まれどれも解明されないままエンドロールが流れる非常に気持ちの悪い作品だ。
だからといって面白くないか?と聞かれると、それなりに楽しめるから不思議である。
北野武の作品はこのような雰囲気のものはなく、見ているものにはっきり提示してくる誇張型の映画が多い。
だからこそ男性ファンが多く、見やすいのだ。
基本的に難しい哲学的なものは省き、感情や台詞をストレートに発信することが多いのである。
今回のような誰かに使われる作品は珍しい。
ミステリーなのか、そうでないのかわからない不思議な映画は全く想像していない。
本作品はビートたけしが出演している作品で、俳優として真骨頂だと言われている。
映画だと絶賛され、哲学的だと何度も称賛されるのもわからなくはないが、ビートたけし出演の作品だからと言って甘くなりすぎてはいけない。
もう少しわかりやすい伏線があってこそ、ミステリーが成り立つ。
最期の最後までわからないとなると、見終わったあとのモヤモヤ感が残ってしまい少々いらついてしまうのだ。
リリー・フランキーの意味
結局彼は何だったのか。
意味深な出方をしているくせに何の意味もない。
ただの不気味な居酒屋の主人である。
何かあるのだろうと思わせるのがうまい演技だし、彼の存在感自体がものすごいミステリーを演出している。
この作品でリリー・フランキーの俳優としての大きさを痛感したくらいだ。
何かあると思ったところには何も無くて、油断していたところに何かが隠されているという非常に掴みどころのない作品でしたが、ビートたけしのクセのある演技と西島秀俊の爽やかなのに裏があるような表情がすごくマッチしていて、何もかもが怪しく思えてしまいました。
ビートたけし演じる佐原がとても気持ち悪く、何のためにビデオを撮っているのか、何を知っているのかなどたくさんの疑問が出てきますが最後までそれが明らかになることはありません。
なんの答えも出ないままエンディングを迎えてしまうので拍子抜けしましたが、それがこの作品の面白さなのかも知れません。(女性 30代)
映画『女が眠る時』 まとめ
最近久しぶりにメイン出演なのに監督をしていないビートたけしの作品、という位置づけで鑑賞した1本。
どんな作品なのかと宣伝のうたい文句で気になったが、実際にはさほどミステリアスな感じはない。
いや、もしかしたら外国の映画として上映したらよかったのかもしれない。
このような不思議ミステリアス作品は、日本人には合っていないような気がするのだ。
日本人の奥ゆかしい演技と思考がまるでこの作品の脚本にはまっていない、そんな印象をうける作品。
つまりただの意味のわからない困惑映画ということになってしまうのだ。
もう少し上手な作り方で鑑賞したら面白いかもしれない。
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