この記事では、映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0036829
製作年 | 2007年 |
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上映時間 | 135分 |
ジャンル | ヒューマンドラマ |
監督 | 新城卓 |
キャスト | 岸惠子 徳重聡 窪塚洋介 筒井道隆 |
製作国 | 日本 |
映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』の登場人物(キャスト)
- 鳥濱トメ(岸惠子)
- 知覧で食堂を経営する女性。多くの特攻隊員の心の拠り所。
- 板東勝次(窪塚洋介)
- 家族に何も告げないまま特攻隊員に志願した青年。階級は少尉。
- 中西正也(徳重聡)
- 中西隊の隊長。特攻作戦に複雑な想いを抱くものの、隊員たちをまとめ上げる。階級は少尉。
- 河合惣一(中村倫也)
- 中西の部下、まだ10代ながら特攻隊員となる。階級は軍曹。
- 田端絋一(筒井道隆)
- 日本の戦況と特攻作戦に理不尽さを感じている特攻隊員。階級は少尉。
- 金山(前川泰之)
- 朝鮮人であるものの特攻隊に参加した青年。亡き母のために立派な軍人を志す。階級は少尉。
- 鳥濱礼子(多部未華子)
- トメの娘。特攻隊の飛行場で働くことになる。
- 大西瀧治郎(伊武雅刀)
- 海軍中将。断腸の思いながら、国のために特攻作戦を発案する。
- 田端良子(戸田菜穂)
- 絋一の婚約者。
- 鶴田一枝(中越典子)
- 一般人。特攻作戦に向かう戦闘機を見た父から、隊員に奉仕するように命じられる。
映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』のあらすじ【起】
太平洋戦争が激化しながらも、徐々に終わりを迎えようとしていた頃。
多くの若い命が散っていったものの、彼らの魂を包んだ女性の存在もあった。
その女性の名前は、鳥濱トメ。
知覧で食堂を営む、優しい女将だった。
同じ地域では、若き招集兵が厳しい飛行訓練を受けている。
食堂はそんな彼らの憩いの場であり、トメは彼らの心の癒しでもあった。
1943年。
若い兵士の知らないところで徐々に、しかし確実に戦況は悪化していた。
それを重く見たのは海軍上層部。
大西瀧治郎中将は、とある命令を部下に下す。
それは、敵軍空母に対する特攻作戦命令だった。
大西としても特攻作戦は本意ではなかったものの、例え敗戦したとしても『国としての体面』を維持するための苦渋の決断であった。
大西の部下である関行男大尉が特攻の先陣を切ることとなり、彼もまた葛藤を重ねる。
しかし最終的には覚悟を決め、特攻用の戦闘機に乗るのだった。
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映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』のあらすじ【承】
1945年。
トメの娘・礼子は、知覧の特攻部隊基地で働くことに。
金山少尉は朝鮮人ながらも隊員であり、彼はトメと懇意になる。
板東少尉も隊員の一人。
彼は志願兵ながら、自分の父に何も告げていないことを悔やんでいた。
板東はその悩みをトメに打ち明け、自分の死後に父に報せてほしいと彼女に頼むのだった。
ついに出撃命令が下され、翌朝、該当部隊の兵士は散っていった。
敵を砕くべく、戦闘機は朝の空を突き進んだのだ。
一般人の鶴田正造はそれを見ており、何かを感じたのか、娘の一枝に『特攻隊の奉仕をするように』と命じた。
田端少尉の婚約者・良子は田端の父に、彼との入籍を懇願。
しかし田端の父は、死にゆく息子との入籍を許さないのだった。
知覧に中西隊長が到着した。
親友の荒木が翌朝の出撃を命じられていたため、中西は彼のために宴会を開く。
金山はトメに亡くなった母親の話をし、そして母親のためにも立派な日本軍兵士でありたいことを打ち明けた。
映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』のあらすじ【転】
さらなる出撃命令が下されるが、加藤伍長は体調不良で出撃できなくなってしまう。
さらに田端も、エンジン不調により出撃中断となった。
上官に叱責された彼はトメのもとを訪れるが、居合わせた中西と口論に。
田端は日本の敗戦を予期しており、死ぬ必要はないと考えていたのだ。
そして翌朝、田端は出撃後にエンジンを自ら切り、墜落死した。
坂東は奇跡的に一命をとりとめ、知覧に帰還した。
しかし上官は、彼を改めて別の特攻部隊に所属させる。
一枝はその部隊に奉公しており、彼女の提案で隊員たちは、鉢巻きに自らの血で日の丸を描いた。
後日、トメは憲兵に捕らえられる。
隊員が書いた手紙を、検閲を通さず密かに送っていたからだ。
『死にゆく者が書いた手紙に検閲が必要なのか』と憲兵に主張するものの、彼女は激しい暴力を受けてしまう。
やがて解放されたトメに、中西は改めて隊員たちの手紙を預ける。
そしてとうとう、中西の部隊にも出撃命令が下された。
映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』の結末・ラスト(ネタバレ)
河合軍曹もまた、中西の部隊の一員だった。
彼も出撃する身ながらも、トメに『蛍に生まれ変わって戻る』と約束する。
そんな河合に、トメは『皆が決して忘れない』と伝える。
再び出撃する坂東に会いに来たのは、彼の父・弟・妹。
納得できないままの家族に坂東は『お国のためだ』と言うが、彼の弟は泣き叫ぶのだった。
中西は一枝の家に赴き、彼女の父の正造と飲み交わす。
別れ際に泣き出してしまった一枝を、中西は抱きしめるのだった。
翌朝、中西たちは出撃する。
生還者は、それぞれ特攻に失敗した坂東と中西のみ。
他の部隊員たちは皆、散っていった。
やがて、終戦となる。
坂東は家族と再会したものの、中西は自分が生き残ったことを晩年まで悔やみ続けた。
時が経ち、終戦から数十年後。
かつての仲間たちの幻影が、中西とトメに手を振るところで物語の幕が閉じる。
映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
特攻隊というテーマに真正面から向き合った作品でした。どの隊員も年齢が若く、死を受け入れながらも「生きたい」と願っていた心の叫びが胸に響きました。特に印象に残ったのは、出撃前に笑顔を見せる彼らの表情の裏にある悲しみです。最後に“君のために”という言葉の意味が、戦争を知らない世代の自分にもずしりと伝わってきました。(20代 男性)
夫が戦争体験を持つ世代として、見ていて非常に複雑な気持ちになりました。特攻隊という存在を美化するでも否定するでもなく、彼ら一人一人の人間としての感情や葛藤に光を当てていた点は評価したいです。特攻出撃を前にした若者たちの言葉が、今の平和の重みを改めて感じさせてくれました。涙が止まりませんでした。(70代 女性)
涙なしには見られませんでした。映画全体が淡々としている分、逆に隊員たちの心情がリアルに伝わってきます。中でも印象的だったのは、出撃直前に母親宛てに書かれる手紙。命を賭けて戦地に向かう姿に、現代では想像もできない重みがありました。戦争映画としてではなく、「若者の青春」として見るべき作品だと思います。(30代 女性)
歴史や戦争について興味があって観たけれど、想像以上に感情に訴えてくる映画だった。特攻隊の若者たちは英雄ではなく、ごく普通の青年たち。その一人ひとりに“守りたい人”や“夢”がありながら、命を投げ出さなければならなかった現実は重い。戦争を語り継ぐ意味を感じました。(10代 男性)
渡辺大の演技が素晴らしかったです。教官として厳しく振る舞いながらも、内面では深い葛藤を抱えていた姿が人間的で印象的でした。特攻という“死”に向かう行為が、単なる国家の命令ではなく、隊員たちの心情や思いと結びついていることを丁寧に描いていたと思います。戦争映画というより、青春映画としても観られる作品です。(40代 男性)
観終わったあと、しばらく動けませんでした。涙も出ないほど、心にずしんと響く映画です。出撃前の手紙、家族の面会、そして最後の飛び立つシーンすべてが静かで美しく、なおかつ残酷でした。「君のためにこそ」という言葉に込められた真意を考えると、胸が締めつけられるようでした。(30代 女性)
この映画を観て、初めて“特攻”というものに感情移入できた気がします。教科書で知る知識と、映画で描かれる人間ドラマの間には大きな差がある。若者たちが抱える不安や恐怖、それでも笑顔を見せようとする強さが心に残りました。平和であることのありがたさを、改めて感じさせられる作品です。(50代 男性)
戦争の悲劇というより、“青春の喪失”という印象を受けました。夢や恋、家族への想いを胸に抱いた若者たちが、自分の意志ではない死に向かう姿には、怒りや悲しさを感じざるを得ません。セリフ一つひとつに重みがあり、静かだけれど圧倒的な力がありました。日本人として観るべき一本だと思います。(20代 女性)
若い人にこそ観てほしい映画です。戦争映画というと派手な戦闘シーンを想像しがちですが、この作品は静かに、でもしっかりと“命”の意味を訴えてきます。特攻に行くまでの時間、仲間とのやり取り、家族への想い。どれもが心を打ちます。過去を知り、今を考えるためのきっかけになる作品です。(60代 男性)
この映画には、思想や政治を超えた“人間の物語”があったと思います。特攻という言葉だけでは語れない、そこにいた一人ひとりの感情が丁寧に描かれていた。出撃を前にした隊員の涙、無言の別れ、手紙に込めた想い。どの場面も胸が痛みました。賛否はあるかもしれませんが、観る価値のある作品です。(40代 女性)
映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』を見た人におすすめの映画5選
永遠の0
この映画を一言で表すと?
戦争の“英雄”に秘められた、本当の願いが胸を打つ感動作。
どんな話?
太平洋戦争で特攻隊員として散った祖父の過去を、孫が現代から辿っていく物語。宮部久蔵という一人の操縦士が、家族を想いながら“死”に向き合う姿を描いた、命と愛の意味を問いかけるヒューマンドラマです。
ここがおすすめ!
特攻隊の実像に迫りながらも、戦争の悲惨さや命の尊さを深く考えさせる作品です。『俺は、君のためにこそ死ににいく』に感動した方には、より内面的な葛藤や愛の深さが伝わるこの作品がきっと響くはずです。
火垂るの墓
この映画を一言で表すと?
戦争が奪ったのは、ただの命ではなく、家族の未来だった。
どんな話?
太平洋戦争末期、神戸で両親を失った兄妹が、生きるために懸命に日々を生き抜こうとする。しかし、現実はあまりにも厳しく、やがて二人の運命は悲しい結末へと向かう。戦争の非情さを子どもの視点から描いたアニメーション映画。
ここがおすすめ!
美しい作画と対照的に、描かれるのは“生きること”の過酷さと絶望。戦争がもたらした“失うこと”の残酷さを、誰の心にも響く形で伝えてくれます。涙なくしては見られない名作です。
男たちの大和/YAMATO
この映画を一言で表すと?
若者たちの夢と命を乗せて沈んだ戦艦「大和」の記憶。
どんな話?
戦艦大和に乗艦し、沖縄特攻作戦で命を落とした若者たちの青春と死を描いた実話ベースの戦争映画。現代パートを交えながら、過去に散っていった彼らの想いと生き様を語り継いでいきます。
ここがおすすめ!
特攻と同様に、「死に向かう任務」に挑んだ若者たちの葛藤が丁寧に描かれています。海戦シーンの迫力と同時に、仲間との絆や残された者の想いが胸を打つ一本。“記憶”をつなぐ映画です。
この世界の片隅に
この映画を一言で表すと?
戦争の中でも“日常”は続いていた──それでも生きる物語。
どんな話?
戦時下の広島・呉で懸命に日常を生き抜こうとする女性・すずの姿を、細やかな日常描写とともに描いたアニメ映画。爆撃や空腹、悲しみを乗り越えながら、それでも笑いと愛を忘れない彼女の暮らしが胸を打ちます。
ここがおすすめ!
戦争映画にありがちな悲劇の誇張ではなく、“日常を奪われる恐ろしさ”をリアルに体感できます。『俺は、君のためにこそ死ににいく』のように命の尊さを描きながらも、別の視点から戦争を見つめる優しい傑作です。
特攻隊最後の証言
この映画を一言で表すと?
語られなかった“本当の特攻”に光を当てるドキュメンタリー。
どんな話?
生き残った特攻隊員や遺族の証言、当時の記録をもとに、特攻の実態とその背景にある政治的・軍事的判断を追ったNHK制作のドキュメンタリー映画。感情ではなく、事実に迫る映像記録です。
ここがおすすめ!
感動や涙ではなく、“事実”として特攻を理解したい人に向けた作品です。『俺は、君のためにこそ死ににいく』で揺さぶられた感情を、より深い理解と歴史認識に変えてくれる知的な1本。日本人として一度は観ておきたいドキュメントです。
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