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映画『王の涙 イ・サンの決断』あらすじネタバレ結末と感想

映画『王の涙 イ・サンの決断』の概要:朝鮮王朝第22代王イ・サンが即位して1年後に起きた暗殺未遂事件を描いた時代劇。出演はヒョンビン、チョン・ジェヨン。ドラマ「チェオクの剣」のイ・ジェギュ初監督作。

映画『王の涙 イ・サンの決断』 作品情報

王の涙 イ・サンの決断

  • 製作年:2014年
  • 上映時間:137分
  • ジャンル:時代劇、アクション、ミステリー
  • 監督:イ・ジェギュ
  • キャスト:ヒョンビン、チョン・ジェヨン、チョ・ジョンソク、ハン・ジミン etc

映画『王の涙 イ・サンの決断』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『王の涙 イ・サンの決断』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『王の涙 イ・サンの決断』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『王の涙 イ・サンの決断』 あらすじ【起・承】

朝鮮王朝第22代王、イ・サン。学問を好み、実学を重んじた王だったが、老論(ノロン)派による暗殺未遂に何度も遭う。それだけではなく、老論派の策略によって、世子だった父を米櫃に入れ餓死させられたのだ。

1777年、7月28日夜。即位して1年後のイ・サン(ヒョンビン)に最大の危機が訪れようとしていた。同日、20時間15分前。イ・サンは、体を鍛えていた。暗殺に備えて日頃の鍛錬は欠かせなかった。

いつものように尚冊(サンチェク)、カプス(チョン・ジェヨン)を側に呼んだ。尚冊とは、王の書籍を管理する宦官。重りを入れた下着を付けてもらい、見えないところでも常に鍛錬し、用心しているのだ。

その後、「周礼」を持ってくるよう頼んだ。本を取りに向かう、尚冊の服の裾に血がついていることに王は気づいた。尚冊は、服を着替えるため自室へ下がるが、部屋で”今日殺王”と書かれた赤い紙を見つけた。

尚冊が気づき、口の中に放りこんだ時、衛兵たちが尚冊を連行した。暗殺計画の首謀者として、厳しい取り調べを受ける尚冊。幼い頃から腹心の友であったが故に、ショックを隠せないイ・サン。

尚冊・カプスは、”王様にだけお話しします。”と答えた。イ・サンは、先王への参拝があるため、”死なせるな!”とホン・グギョン(パク・ソンウン)らに言い残して向かった。

イ・サンの心に「中庸」第23章の言葉が甦ります。「小事を軽んじず至誠を尽くせ。小事に至誠を尽くせば誠となる・・(以下略)天下において至誠を尽くす者のみが己と世を変えることが出来る」と。

(尚冊カプスの告白)1762年(15年前)。孤児だったカプスは、闇商人クアン(チョ・ジェヒョン)の元に集められ、暗殺者や内通者になるべく育てられた。穴の中で子供達は番号で呼ばれ、成長した後、実力者の養子になった。

カプスは宦官となり、王宮へ入り少年時代のイ・サンと出会う。1765年、イ・サンの父が無念の死を遂げた日も寄り添う。服の裾に血がついていたのは、養父アン尚膳を誤って殺した時についたらしい。

イ・サンはカプスに問う、”私を助けると決めたのはいつなのか?”と。カプスの告白を聞き、イ・サンはカプスを王宮から逃がした。

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映画『王の涙 イ・サンの決断』 結末・ラスト(ネタバレ)

宮中では、老論派の筆頭として権力を振るう、先代の王妃・貞純王后(ハン・ジミン)がいて、王立図書館である奎章閣(キュジャンガク)に籠る王イ・サンに対して苦言や恨み事を言い、隙あらば殺そうと狙っていた。

イ・サンの母・恵慶宮(キム・ソンリョン)は、息子を守ろうとして貞純王后の命を狙おうとするが、ばれて貞純王后の館に幽閉されてしまう。そこでイ・サンは、貞純王后に”恵慶宮を殺す!”と脅されるが、”どうぞご随意に。”と返答した。

1777年、7月28日。午後4時(暗殺未遂事件まで7時間15分前)。朝鮮一の暗殺者ウルス(チョ・ジョンソク)は、女官ウォレ(チョン・ウンチェ)と会っていた。ウルスは女官ウォレに好意を持っていたが、2人とも孤児で王の暗殺に関わっていたとは知るよしもなかった。

一方、尚冊カプスは、孤児の人身売買と闇稼業を暴くべく証拠となる取引帳を盗んだ。王を守るため、再び王宮へ。女官ウォレは、同居している10才の女官見習いのポクピンを助けるため、イ・サンの服に暗殺計画を記し密告した。

そんなこととは露知らず、貞純王后付きのコ・尚宮(ソ・イスク)は、イ・サンに”必ず、同徳会にお越しください”と伝えるのだった。

午後11時15分。奎章閣で読書をしていたイ・サンは刺客の気配を感じた。屋根の上では、王の軍隊が刺客を待ち構えていた。刺客ウルスは、王宮内部へ侵入し、イ・サンも弓で応戦した。そこへ、取引帳を持ち尚冊カプスもやってきた。

カプスには、王を狙うのが共に苦難を味わった弟分のウルスであると確信していた。
王イ・サンと刺客ウルスの激しい闘いが続いた。カプスは銃弾に倒れ、ウルスとつかの間の再会を果たすが死んでしまう。

王イ・サンは、この暗殺事件”丁酉逆変”を機に老論派のク・ソンボクらを全て殺した。こうして、亡き父の無念を晴らし、真の王として歩み始めた。

映画『王の涙 イ・サンの決断』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『王の涙 イ・サンの決断』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

イ・サンと刺客たちの攻防戦!~暗殺計画の裏に何があったのか?

イ・サンは朝鮮王朝後期の王として、大変人気です。実学を中心とした学問や産業を奨励し、孝に尽くしたと言われています。本作では、即位から1年後の暗殺未遂事件「丁酉逆変」を基に骨太な歴史ドラマを展開しています。

そんな王が、1番恐れていたのは老論派による暗殺でした。本作では、暗殺未遂事件を刺客たちの回想と絡めて24時間で描いています。韓国での公開時、回想シーンについて”TVドラマ”の域をでていないと批判がでたそうです。

しかし、批評家の受けはあまり良くなくても、観客側から観れば、ドラマチックでありながらかつシンプルにまとめられた作品だと私は評価しています。何よりも豪華な俳優陣で、イ・サンのカリスマ性も抜群です!

惜しむのは、王よりも個性的な刺客たちの演技が目立ってしまった点にあります。イ・サンを演じる、ヒョンビンは鍛えられた肉体と研ぎ澄まされた知性を発揮し、まるで生まれながらの王です。

一方、第2の主役として活躍する尚冊、カプスは苦難に満ちた少年時代と内通者として生きた悲哀があります。彼が世孫(後のイ・サン)と出会うことで、王を支えようと決意するシーンは前半の見どころの1つです。

そんなカプスの生き方が、王イ・サンの政治を動かしてゆくのです!時代劇としてのアクションシーンも見事です。刺客との闘いにイ・サンが弓で応戦する姿に注目して下さい。

背中で語る男~ヒョンビンの魅力

ヒョンビンは、ドラマ「ボディガード」でデビューし、2014年に「私の名前はキム・サムスン」でお金持ちの年下男を演じて人気になりました。そして入隊前のドラマ「シークレット・ガーデン」(10)で再ブレイクしたという人気俳優。

お金持ちで性格はわがままだけど、憎めないキャラクター。加えて、「2面性」を演じさせたら誰にも負けない演技力が魅力です!これまで、映画の方では今ひとつヒット作がなかったのですが、本作のイ・サン役でようやく彼の演技力が認められたようです。

本作では、文武両道の王を演じるために乗馬や剣術、弓など厳しい鍛錬を重ねてきました。前半部分で、イ・サンが腹筋を鍛えているシーンがポイント。ヒョンビンの肉体の美しさにうっとりしますよ。

後半では、激しい刺客との闘いが見どころです!ドラマの演出家らしいスピード感とキレのあるアクション・シーンに思わず、身を乗り出して観てしまいます。ヒョンビンの創り出す完璧なまでの王様ぶりをぜひ、堪能して欲しい。

加えて第2の主役として、存在感を魅せる尚冊カプスや刺客、女官の3人の絡みも興味深い。韓国が恨みの文化と言われる一端を知ることが出来るかもしれない。王の側から観てもいいし、尚冊カプスの側から観ても楽しめる作品です!


王になるという事は、必ず何処かに自分をよく思わない人間が居て、常にそんな人たちからの暗殺に脅えながら一生戦い続けなければいけないのでしょうか。ヒョンビン演じるイ・サンは強く、偉大な王のイメージにぴったりでこんな王なら皆がついて行くのではないかと感じてしまいますが、実際は子供の頃からの親友にも裏切られてしまうなど周りは敵ばかり。
そんな彼が自分の生きる道を諦めなかったのは、カプスの存在と父親の無念を晴らすという復讐の気持ちでしょう。
カプスが自分に与えられた役割よりも、自分の気持ちを優先したことが何よりも正しい行動だったと感じます。(女性 30代)

映画『王の涙 イ・サンの決断』 まとめ

ヒョンビン除隊後の作品として、”期待を裏切らない”時代劇だったと思う。尚冊カプスや刺客、女官ウォレとの複雑な運命を王イ・サンの生き様と絡めて描く手法は見事でした。

回想シーン等に不満を抱く人もいるようだが、シンプルにまとめている点を評価したいと思う。ヒョンビンはこれまで、”2面性”や”男女の入れ替わり”といった複雑な役柄を演じてきた。

本作ではその経験が、静かに花開いたと思う。今後は、イ・サン以外の王を演じる、ヒョンビンも観てみたい。

また最近、ヒョンビンは本作で貞純王后を演じたハン・ジミンとの共演が多く、最新ドラマ「ジキルとハイド、私」では2人は恋人同士を演じています。

本作のハン・ジミン演じる、貞純王后はくせ者で老論派のトップですが、王イ・サンと年齢が変わらないほど若いのです!(史実では、イ・サンと7才違いだったそう)

先王の妃なのに若すぎる!と疑問に思わないで下さいね。それを差し引いても、ハン・ジミンには意地悪な印象があまりないので、貞純王后役には向いてないと感じてしまいます。

そんな時代劇の配役の難しさもエンターテインメントに変える!「王の涙 イ・サンの決断」をお楽しみ下さい。

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