12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『π パイ』あらすじネタバレ結末と感想

この記事では、映画『π パイ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『π パイ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『π パイ』の結末までのストーリー
  • 『π パイ』を見た感想・レビュー
  • 『π パイ』を見た人におすすめの映画5選

映画『π パイ』 作品情報

π パイ

  • 製作年:1997年
  • 上映時間:85分
  • ジャンル:SF、サスペンス
  • 監督:ダーレン・アロノフスキー
  • キャスト:ショーン・ガレット、マーク・マーゴリス、スティーヴン・パールマン、ベン・シェンクマン etc

映画『π パイ』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『π パイ』 あらすじネタバレ(起承転結)

映画『π パイ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『π パイ』 あらすじ【起・承】

並外れた頭脳を持つ数学者のマックス・コーエン(ショーン・ガレット)は、自分で作ったスーパーコンピューターに向かい、整数論を基に株式市場の予測をする毎日を送っていた。

「すべての事象は数値化でき、すべての物事には法則がある」という考えを持つようになった彼は社会に馴染むことができず、取り憑かれたように研究に没頭する。

ある日彼は、バーでユダヤ教徒のレニーと知り合う。レニーもまた数学者で、ヘブライ語と数字の関係性を見出し、モーセ五書に関する研究をしていた。

レニーと出会ったことによってさらに研究に没頭するようになったマックスは、以前から悩んでいた頭痛がさらにひどくなり、幻覚を見るほどになっていた。

かつての恩師であるソルに息抜きも必要だと説かれるマックスだったが、彼が従うことはなかった。

マックスがいつものように部屋にこもって株式市場の予測をしていると、コンピューターが216桁の数字を表示してショートしてしまう。

コンピューターが起動せず困ったマックスは、かねてより彼の能力に一目置いていた証券会社と取引をする。株式市場の法則性が判明次第提供することと引き換えに、彼はコンピューターのチップを受け取る。

映画『π パイ』を無料視聴できる動画配信サービスと方法
映画『π パイ』を無料視聴できる動画配信サービスと方法を分かりやすく紹介しています。

映画『π パイ』 結末・ラスト(ネタバレ)

216桁の数字についてソルに助言を求めたマックスは、ソルがかつて円周率の研究をしていた時に216桁の数字が表示されてコンピューターがショートしたという話を聞かされる。

さらにマックスは、レニーがモーセ五書に関する216桁の数字の解明に取り掛かっていることを知る。

216桁の数字に何か意味があると感じたマックスは、取り憑かれたようにその法則性を探り始める。

そのことを知った証券会社の従業員がマックスに情報を提供するよう求めるが、それを断った彼は襲われてしまう。

レニーたちによって救われるマックス。だがレニーたちもまた、彼が持つ216桁の数字の情報を手に入れようとしていた。

レニーたちによって拉致されたマックスは、自分だけが216桁の数字の意味を理解でき、神の言葉を聞くことが許される人間だと語る。

その後解放されたマックスは頭痛が悪化し、思考が極地まで達した彼は自ら電動ドリルで脳を破壊する。

数日後、公園で草木を微笑みながら眺めるマックス。近所の少女がいつものように暗算の早解きを求めるが、彼は答えることができなくなっていた。

映画『π パイ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『π パイ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

自己の世界か神の世界か

主人公であるマックスは、数学的法則によってこの世界が支配されているという概念に取り憑かれている。フィボナッチ数列、黄金比、円周率・・・。自己の世界に入り込み、その中で答えを追求し続ける。

だがあることをきっかけに、彼はさらなる深みへと入っていく。それがユダヤ教徒レニーとの出会いだ。レニーから聞いた数字とヘブライ語との関係性、そしてそこに潜んだ数学的神秘に惹かれ、彼は神の領域に足を踏み入れる。

そしてレニーがモーセ五書に関する研究の中で辿り着いた216桁の数字と、自分のスーパーコンピューターが表示した216桁の数字に何か意味があると考えた彼は恩師の忠告を無視して答えを模索する。

今作で重視すべき点は、果たしてこれらすべてが彼の妄想なのか、それとも本当に神の仕業なのかというところだ。

何かの概念に取り憑かれた人間は、無関係のものにも意味を見出そうとする。216桁の数字も単なる偶然の一致で、そこにはなんの意味もないのかもしれない。マックスは人より思考力があるばかりに、他人には理解できないものを強引に理解してしまったのだ。

もしくは、彼が言っていることはすべて真実で、本当にこの世の真理に近づいたのかもしれない。

彼が自分の脳を破壊したのは思考力に耐えられなくなったからか、神の領域に入ってしまった自分自身を無に帰すことを決意したからか。それは彼のみが知る。

作り物だとは分かっていても、観てはいけないようなものを観てしまった気分にさせる映画だ。

予算という縛りを断ち切る

今作は6万ドルという超低予算で製作されたのだが、正直そんなことは鑑賞中には全く気にならなかった。ダーレン・アロノフスキー監督の古典的かつ先進的な映像表現が功を奏している。

今ではハリウッドの製作スタイルに染まってしまった彼も、デビュー作である今作と、次作の『レクイエム・フォー・ドリーム』ではその特性を存分に発揮している。

短いカットの繋ぎを連発する編集、出演者にカメラを固定して表情を追い続けるカメラ演出、不快感を与える音楽、登場人物を落とすところまで落として観る者を当惑させるストーリー。そのすべてがうまく調合され、予算という縛りを断ち切った斬新な映画が生み出されている。


本作は、この世の全ての理を数式で考える天才数学者の苦悩を描いたSFサスペンス作品。
数学の概念に囚われた男が壊れていく姿にとんでもない衝撃を受けた。
一つの事に執着する姿には共感し、頭が良すぎるが故の生き辛さに刺激を感じた。
低予算でつくられたにもかかわらず挑発的で事件的で、映像やデジタル音を使った音楽の使い方が素晴らしく秀逸だった。
難解な部分もあるが、数学が苦手な人でも夢中になれ、知的好奇心をくすぐられる世界観。(女性 20代)


とにかく衝撃的な映像体験。白黒映像とノイズの効いた音楽、そして数学やカバラといった宗教的要素が融合した世界観は、観る人を選ぶがクセになる。天才ゆえに精神を崩壊させていくマックスの姿は、どこか現代の情報社会に対する皮肉にも感じられた。難解だけど、確実に記憶に残る一本。(20代 男性)


観終わったあと、何とも言えないザラザラとした感覚が残る映画。主人公マックスが「世界の本質は数式で表せる」と信じて突き進む姿は狂気と紙一重で、観ていてゾクっとした。映像と音楽が不穏さを際立たせていて、まるで自分も彼の錯乱に巻き込まれていくようだった。(30代 女性)


正直、難しかった。でも、映像とリズムがあまりに独特で、内容を完全に理解できなくても目が離せなかった。数学というテーマがここまでスリラーとして成立するのは驚き。頭を使う系の映画が好きな人には刺さるはず。ダーレン・アロノフスキー監督のデビュー作とは思えない完成度。(40代 男性)


精神的にずしんとくる作品でした。数学という冷たいはずの題材が、こんなにも不安と狂気を生むのかと驚きました。自分の存在意義や世界の秩序について考えさせられるような、哲学的な作品でもあります。白黒の映像が逆にリアリティを増していて、最後まで緊張感がありました。(20代 女性)


数学やユダヤ教神秘主義(カバラ)といった、普通なら交わらなそうなテーマを一本の映画にまとめた手腕はすごい。難解だが、それぞれのモチーフに深い意味が込められていて、考察しがいがある。個人的にはエンディングの“解放”とも言える選択に納得。観た後に考えることが多い映画だった。(50代 男性)


「脳の中を映像化するとこうなるのか」と思わせるような狂気の描写に圧倒されました。予算の少なさを逆に武器にしたような大胆な演出がとても斬新。ノイズまじりの音響や編集のリズムも見事。難解だけど、“映画でしかできないこと”を追求したような作品で感動しました。(30代 女性)


中盤からのスピード感がすごく、観ていて息苦しくなるほどの緊張感がありました。主人公が追い詰められていく様子はサスペンスそのもので、しかもその原因が“数学”というのが興味深い。恐怖の対象がスピリチュアルにも見えるし、リアルな脳障害にも見える。その曖昧さが不気味で面白かったです。(40代 女性)

映画『π パイ』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『π パイ』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

メメント

この映画を一言で表すと?

記憶の迷宮に迷い込む、知覚を揺さぶるノンリニア・スリラー。

どんな話?

短期記憶を失った男が、愛する妻を殺した犯人を追い続ける。時間を逆行して進む物語の構成と、記憶を失う恐怖が交錯し、観客は彼と同じく“真実”を探し続けることになる。

ここがおすすめ!

『π パイ』のように頭脳と精神の限界を描く本作は、映像の構成や哲学的テーマも見応え十分。観終わったあとにもう一度観たくなる、緻密に組み立てられたサスペンスの傑作です。

ドニーダーコ

この映画を一言で表すと?

狂気と運命が入り混じる、時空を超えた思春期の黙示録。

どんな話?

飛行機の残骸から奇跡的に生き残った少年ドニーが、“28日後に世界が終わる”という謎の声に導かれ、奇妙な出来事に巻き込まれていく。時間と妄想が交差する、異色の青春SFスリラー。

ここがおすすめ!

難解で哲学的、そしてどこか切ない――『π パイ』が好きな方にはドンピシャの感覚世界。不可解な映像と深読み必須のストーリーで、カルト映画ファンの間でも高く評価されています。

ブレイン・デッド(1990)

この映画を一言で表すと?

現実と妄想の狭間で揺れる、脳科学ホラーの異色作。

どんな話?

脳の研究を行う医師が、被験者の精神世界に入り込んだことをきっかけに、次第に自身の現実認識が崩壊していく。果たして、彼が見ているものは現実なのか、狂気なのか…。

ここがおすすめ!

『π パイ』と同じく、知性と狂気のギリギリを描く実験的なスリラー。低予算ながら独特な世界観と恐怖演出が光り、脳科学や精神世界に惹かれる人にはたまらない一本です。

プリズナー・ナンバー6(TVシリーズ)

この映画を一言で表すと?

意識と自由の意味を問う、思想系SFの金字塔。

どんな話?

突然“村”に監禁された元スパイ。名前を奪われ“6番”と呼ばれる彼は、脱出を試みるが、すべてが監視されるこの村では思考すら読まれていく…。アイデンティティと自由意志の物語。

ここがおすすめ!

『π パイ』が問いかけた「思考と孤独」に共鳴する、強烈な思想性と実験的構成の作品。古いドラマながら、映像表現や哲学性は今なお色あせず、思考型視聴者には強烈に刺さります。

アンダー・ザ・スキン 種の捕食

この映画を一言で表すと?

“人間とは何か”を問う、無言のSF心理スリラー。

どんな話?

美しい女性の姿をした“何か”がスコットランドを徘徊し、男たちを誘惑しては姿を消していく――。最低限の台詞と不穏な映像で紡がれる、抽象的かつ哲学的な異色SF。

ここがおすすめ!

ストーリードリブンでなく、感覚・思想・映像で語る点が『π パイ』と共通。音楽と画の力で観る者の脳に直接訴えかけてくるような体験は、一度ハマると忘れられない唯一無二の作品です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

影山みほをフォローする
SF映画サスペンス映画

みんなの感想・レビュー