映画『ピアッシング』の概要:作家、村上龍の同名作品を映画化。殺人衝動を抱える主人公が、SM嬢を殺そうと計画と立てる。入念な準備とシミュレーションを経て、いざホテルの一室へ。ところが、呼び出したSM嬢もまた自殺願望を抱えた厄介な女だった。
映画『ピアッシング』の作品情報
上映時間:81分
ジャンル:サスペンス
監督:ニコラス・ペッシェ
キャスト:クリストファー・アボット、ミア・ワシコウスカ、ライア・コスタ、マリア・ディッツィア etc
映画『ピアッシング』の登場人物(キャスト)
- リード(クリストファー・アボット)
- 設計士として自宅で図案を製作している。娘への殺人衝動を堪えきれず、SM嬢を殺そうと計画を立てる。妻モナを心の支えにしていたが、赤ん坊が生まれてから満足に構ってもらえず、不満を抱いている。
- ジャッキー(ミア・ワシコウスカ)
- 金髪のSM嬢。控え目ながらも自分だけのこだわりを持っている。衝動的に自傷行為へと走る癖があり、リードと出会ったことで彼に共通の感情があることを察し、逃がすまいとする。
- モナ(ライア・コスタ)
- リードの妻。夫の全てを知っており、鬱屈した闇を抱え殺人衝動を堪えていることを察し、殺人計画を推奨。笑顔で見送る。子供を何より大切にしている。
映画『ピアッシング』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ピアッシング』のあらすじ【起】
生まれたばかりの赤ん坊である娘に対し、殺したいという衝動を覚えどうにも堪えられなくなった父親のリード。殺人衝動のせいでろくに眠ることもできなくなり、娘の代わりにSM嬢を殺そうと考える。
ホテルへ泊まり込み道具も練習も完璧に整え、いざSM嬢をホテルへ呼び出す。そうして、リードが泊まるホテルの一室へジャッキーという名の金髪の女が現れた。
ところが、ジャッキーはシャワーを浴びると言ってシャワールームへ入ったきり、しばらく経っても出て来ない。時刻は深夜。気になって中へ入ったリードは、なんとジャッキーが自らの右太ももにアイスピックを何度も突き立てている場面へ遭遇。驚愕したリードだったが、彼女も驚いて悲鳴を上げる。ホテルのフロントから注意の連絡が入り、対応した彼は帰り支度を始めたジャッキーに噛み付かれながらもどうにか宥め、ベッドへと横にさせた。
映画『ピアッシング』のあらすじ【承】
予想外の展開に慌てふためくリード。ジャッキーは薬でもやっているのか、突然笑い出すなどとても正気とは思えない。ひとまずは足の傷の手当を行い彼女のための衣服を用意。その頃には薬の効果が切れてきたのか、ジャッキーが正気に戻る。服を着せるのを手伝い、ホテルをチェックアウトすると彼女を病院へ送った。
リードは病院の外で彼女を待つことにし、ジャッキーが処置をしてもらっている間、妻モナに助けを求める。モナは夫が殺人衝動を抱え苦悩していることを知っており、過去にも何度か協力したことがある。モナは態度を軟化させたジャッキーの話を聞き、3つの可能性を提示。そのうち2つは最終的に計画を遂行できると話した。
映画『ピアッシング』のあらすじ【転】
病院から戻ったジャッキーは、酷く感動しリードを自宅へと案内。彼女と会話を続けるとどうやらジャッキーは死にたがりらしい。そこで、リードは許されたと感じて早速、彼女を殺そうとしたが、ジャッキーが先に食事をしようと言い出す。
ジャッキーに差し出された料理を口にしたリード。ところが、その食事には強い鎮痛剤が仕込まれており、リードは強い幻覚に襲われる。彼は幼い頃から母親に虐待されて育ち、衝動的に母親を刺してしまったことがある。そんな彼の鬱屈した思いを救ってくれたのが、妻のモナだった。
映画『ピアッシング』の結末・ラスト(ネタバレ)
幻覚に苛まれ虚ろとなったリードがモナという、恐らく女性に助けを求めている。そんな彼の姿を見守っていたジャッキーは、嫉妬の念から彼を工具で殴りつける。
血塗れとなりながら、徐々に正気を取り戻し始めたリードだったが、母親の幻覚に背中を押されジャッキーの手首を縛り始めた。
口に布を詰め込みアイスピックで刺してやると告げる。すると、ジャッキーは彼が本気であることを察し、悲鳴を上げ始めた。だが、そこでリードは反撃され意識を失ってしまう。ジャッキーは彼の荷物を探り、日記を見つけ中に目を通した。
翌朝、目を覚ましたリードだったが、両手を拘束され口枷が嵌められていた。衣服は脱がされ下着のみが残されている。ジャッキーは淡々と準備を整え、今日の記念だと言って乳首にピアスを通す。そうして、アイスピックを手にリードを刺そうと弄んだ。そこで、口枷が外されたため、リードは何かを食べようと彼女に声をかけるのだった。
映画『ピアッシング』の感想・評価・レビュー
作家、村上龍の同名作品をハリウッドが映画化。80年代後半を彷彿とさせる雰囲気で統一され、古めかしいながらも新しいといった不思議な感覚になる。PG-12に指定されていることもあり、今作には自称行為や刺傷シーンがリアルに描かれ、殺人衝動を抱える男と自殺願望を持つ女の奇妙な一夜を映し出し、2人の狂気がやがて共鳴し始める様子が繊細に描かれている。(MIHOシネマ編集部)
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