この記事では、映画『理由(1995)』のあらすじをネタバレありで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『理由(1995)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『理由』 作品情報

- 製作年:1995年
- 上映時間:102分
- ジャンル:アクション、サスペンス
- 監督:アーネ・グリムシャー
- キャスト:ショーン・コネリー、ローレンス・フィッシュバーン、ケイト・キャプショー、ブレア・アンダーウッド etc
映画『理由』 評価
- 点数:30点/100点
- オススメ度:★★☆☆☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★☆☆☆
- 演出:★☆☆☆☆
- 設定:★★☆☆☆
[miho21]
映画『理由』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『理由(1995)』のあらすじを紹介します。
1986年フロリダ州オチョピー。ある日、黒人青年ボビー・アール(ブレア・アンダーウッド)の自宅へ地元の警官のウィルコックスが訪れ、ボビーを連行し取調室で暴力を振るっての尋問に掛ける。そんな中、死刑反対論者であるハーバート大学の法学部教授ポール・アームストロング(ショーン・コネリー)の討論会に、エヴァン(ルビー・ディー)という老婦人が訪ねた。彼女は少女誘拐殺人の濡れ衣を着せられ、死刑監房に入れられている孫の命を助けて欲しいと申し出る。彼女の願いを一度は断ったポールだったが、もと弁護士の妻ローリー(ケイト・キャプショー)の説得で、事件の真相を究明することになる。フロリダに飛んだポールは刑務所のボビーと面会、彼は警官タニー・ブラウン(ローレンス・フィッシュバーン)らの、丸一日掛けての苛酷な取調べに屈し、身に覚えのない自白を強要されて自分が犯人であると告げたと語る。ポールは事件の起こったオチョビーに赴き、閉鎖的な町の実体を知り、黒人というだけで煙たがられていたボビーの身の上と、彼を犯人に仕立てるため中途半端な捜査が行なわれたことを確信する。再度刑務所に出向いたポールはボビーの口から、同じ死刑囚であり連続殺人鬼のブレア・サリバン(エド・ハリス)が真犯人であると知らされ、ブレアも誇らしげに自分の犯行だと語る。ボビーの無実を立証できる様々な証拠を手にしたポールは再審を要求し、ボビーは勝訴し釈放された。やがてポールの妻ローリーと娘がボビーに誘拐される。ボビーの本当の目的はローリーを殺すことだった。ボビーは少女殺人事件の前に犯罪を犯して逮捕されており、その時警官たちの虐待に遭って去勢されてしまった。その事件の担当弁護士がローリーであり、彼女を逆恨みしたボビーは復讐を決意するが、オチョピーでの少女殺しのため刑務所に入れられてしまった。目的を達成するためには無実を勝ち取って出所するしかなく、そこで法律学者でローリーの夫であるポールに目を付けた。ポールはボビーが真犯人であると見抜いていたタニーと協力し、ボビーに連れ去られた妻と娘の後を追跡する。

映画『理由』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『理由(1995)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ミステリーとしての手法にこだわりすぎ、ディティール描写に欠如する内容
アメリカ南部の街で起こった少女の殺人事件を背景に、濡れ衣を着せられた黒人青年を助けようと主人公が真相を追及する中、思いもよらぬ衝撃の事態に直面するサスペンス。ショーン・コネリー演ずる主人公のポールが、法学部教授という学者でありながら個人的に犯人のボビーの冤罪を晴らすため奔走するのだが、冒頭からボビーへの取り調べ室での暴力描写で。観る人間は完全に警官が悪いという概念をすり込まれる。しかしその刷り込みの仕方が中途半端であり、最終的にボビーの捏造だったのかどうかという描写がない。リアリティを追求しているような描き方をしている割には、辻褄の合わせ方が曖昧なのである。そして犯人ボビーが大学卒でありエリートの黒人であるという設定で、ボビーの描かれ方がどうにもぎこちなく、最初は真っ直ぐな目をして柔和な表情なのだが、物語中盤辺りから表情や態度でボロを出すようなシーンが多い。知能犯らしからぬ態度の変わり方にリアリティがなく、ひょっとしてコイツの冤罪は裏があるなというところが見え見えなのである。制作総指揮と主演のショーン・コネリーというところでカバーされているかも知れないが、辻褄合わせの演出を見せるカラクリに慎重さが足りない感じだ。シナリオが練り込まれていないという点ではミステリー映画独特の「やられた」という気持ちが起こらなかった。
ショーン・コネリーもどことなく威厳がない
ショーン・コネリーの教授役もどこか弱々しく威厳がないように思える。見た目は渋いのだが所々で必要のないヘタレな演技が観られガッカリするところを感じる。この人のイメージが定着してしまっているというのもあるのだろうが、「レッド・オクトーバーを追え」や「ザ・ロック」のような、英国紳士的な威厳を感じられないのである。ショーン・コネリーの個人的なファンは残念な感じがするのではないだろうか。エド・ハリスのクレイジーな演技だけが際立ち、その辺もあるのか物語の展開も緊張感が薄かった。真犯人のボビーが知能犯らしく陰湿な一面を強調されれば、もっとインパクトは強かったのかも知れないが、全体的に役者の演技にぎこちなさがつきまとい、中途半端な内容になってしまった感が強く残った。
ショーン・コネリー演じる弁護士ポールが、無実を訴える死刑囚の真実を探る姿に引き込まれた。序盤は社会派サスペンスのような重厚な雰囲気で進むが、終盤にかけてのどんでん返しが見事。特に死刑囚ボビーの狂気的な演技は圧巻で、彼がただの被害者ではないことが明かされた瞬間、背筋が凍った。倫理と正義の境界を問う物語としても見応えがある。(30代 男性)
正義感にあふれるポールが真実を追う姿勢に感情移入していたが、後半の展開で価値観が揺さぶられた。ボビーが巧妙に人を操る恐ろしさと、妻と娘を襲う結末は衝撃的。人間の悪意の深さを描いた作品として印象に残った。音楽も静かな恐怖を引き立てており、90年代のスリラーらしい緊張感が心地よい。(40代 女性)
サスペンスとしてはクラシックな構成だが、ショーン・コネリーの存在感が作品を格上げしている。特に彼の「法と正義」に対する揺るぎない信念が、物語の中盤で崩れていく過程が見事だった。ボビーの二重人格的な狂気が明らかになるシーンでは鳥肌が立った。90年代スリラーの佳作だと思う。(50代 男性)
大学時代に法学を学んでいたこともあり、この映画の「冤罪」と「正義の誤り」をテーマにした部分に強く共感した。正義を信じることの難しさや、真実を見抜く力の限界を痛感させられる。終盤の展開はショッキングだが、ラストの虚無感がリアルで余韻が残る。社会派スリラーとしても秀逸。(20代 女性)
妻が襲われるクライマックスは本当に怖かった。ボビーの恐ろしさは、単なる殺人鬼ではなく「知能で支配する悪」だという点が秀逸。ショーン・コネリーの落ち着いた演技と対照的に、エド・ハリスの狂気が際立っていた。正義の限界と人間の愚かさを突きつける名作スリラーだと思う。(30代 男性)
昔はただのサスペンスだと思っていたが、大人になって見返すと、正義の名の下で人を裁くことの恐ろしさを痛感した。無実を信じた弁護士が逆に悪を解き放ってしまうという皮肉な構造が印象的。90年代の作品だが、今見てもテーマは普遍的。演出も地味ながら緊張感が続く良作。(40代 男性)
母親として、妻が襲われる場面は見ていて本当に辛かった。正義を信じた夫が結果的に家族を危険に晒すという構図が悲しい。人間の「信じたい気持ち」が悲劇を招くことを痛感させられる。ラストの静かな絶望感に涙が出た。派手ではないが、心に深く刺さる映画。(30代 女性)
法廷サスペンスと思って見始めたが、実は心理スリラーに近い。無実を主張するボビーの演技があまりにリアルで、途中までは彼を信じてしまった。だからこそ、真相が明かされたときの裏切られた感覚が強烈だった。正義の裏に潜む闇を描いた秀逸な構成。(20代 男性)
ショーン・コネリーとローレンス・フィッシュバーンの共演が見どころ。二人の信念の違いが物語を深めており、最後には「どちらが正しかったのか」と考えさせられる。単なる犯罪映画ではなく、社会の偏見や司法制度の問題にも踏み込んでいる点が評価できる。演技派俳優たちの真剣勝負が光る。(50代 女性)
90年代スリラー特有の雰囲気が懐かしく、静かな恐怖がじわじわと迫る。結末を知ってから見返すと、ボビーの言動のすべてが計算されていたことに気づく。ショーン・コネリーの品格とエド・ハリスの狂気の対比が絶妙。古い映画だが、今でも十分通用する完成度。(60代 男性)
映画『理由』を見た人におすすめの映画5選
プリズナーズ(2013)
この映画を一言で表すと?
「正義」と「狂気」が紙一重で交錯する、息詰まるサスペンスの傑作。
どんな話?
娘が誘拐された父親が、警察の無力さに絶望し、自ら犯人を追う物語。被害者と加害者、正義と暴力の境界線が次第に曖昧になり、誰が本当に悪なのか分からなくなる。観る者の倫理観を根底から揺さぶる衝撃作。
ここがおすすめ!
ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールの鬼気迫る演技が圧巻。暗く重厚な映像と、徐々に暴かれていく真実が生む緊張感が見事。『理由』が描いた「正義の誤り」を、より深く掘り下げた作品といえる。
告白(2010)
この映画を一言で表すと?
静かな狂気と復讐の連鎖が心を抉る、国産サスペンスの金字塔。
どんな話?
教師が自分の娘を殺した生徒たちに対して復讐を仕掛けるという衝撃的な物語。語り口は淡々としているのに、感情の奥に潜む憎悪がじわじわと迫り、観る者の心を支配する。
ここがおすすめ!
中島哲也監督の映像美と演出が圧倒的。松たか子の冷徹な語りが、復讐というテーマを新たな次元に引き上げている。『理由』で感じた「善悪の曖昧さ」や「人間の闇」をさらに突き詰めたい人にぴったり。
セブン(1995)
この映画を一言で表すと?
「罪」をテーマにした究極のサスペンススリラー。
どんな話?
連続殺人事件を追う刑事コンビが、犯人の残虐な“七つの大罪”に翻弄されていく物語。静かに進行するストーリーが、ラストで信じがたい衝撃を与える。全編に漂う絶望感が圧倒的。
ここがおすすめ!
デヴィッド・フィンチャー監督の冷徹な演出と、ブラッド・ピット、モーガン・フリーマンの名演が際立つ。『理由』同様、「人間の罪と罰」を哲学的に描いた傑作。結末を知ってもなお語り継がれる名作だ。
真実の行方(1996)
この映画を一言で表すと?
弁護士と被告の心理戦が生み出す、法廷スリラーの金字塔。
どんな話?
殺人容疑をかけられた青年を弁護する弁護士が、事件の真相に迫るうちに衝撃の事実に直面する。巧みに仕組まれたストーリー展開と、次第に明らかになる登場人物の本性が見どころ。
ここがおすすめ!
リチャード・ギアとエドワード・ノートンの演技合戦が圧巻。特にノートンの演技はデビュー作とは思えない完成度で、観る者を欺く。『理由』が好きな人には、この二重構造の心理劇がたまらないはず。
タイム・トゥ・キル(1996)
この映画を一言で表すと?
正義と偏見、法と感情の狭間で揺れる衝撃の法廷ドラマ。
どんな話?
娘を暴行された父親が犯人を殺害し、裁判にかけられる物語。人種差別と正義の問題を背景に、弁護士と陪審員たちが「真の正義」とは何かを問われる。裁かれるのは人ではなく社会そのものだ。
ここがおすすめ!
マシュー・マコノヒー、サミュエル・L・ジャクソンら豪華キャストが重厚な演技を披露。『理由』と同じく「正義を信じた人間の悲劇」を描いており、ラストの法廷シーンは圧巻の一言。






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