この記事では、映画『ライフ・イズ・ビューティフル』のあらすじをネタバレで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ライフ・イズ・ビューティフル』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ライフ・イズ・ビューティフル』 作品情報
- 製作年:1998年
- 上映時間:117分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ロベルト・ベニーニ
- キャスト:ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ジョルジオ・カンタリーニ、ジュスティーノ・デュラーノ etc
映画『ライフ・イズ・ビューティフル』 評価
- 点数:100点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『ライフ・イズ・ビューティフル』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ライフ・イズ・ビューティフル』のあらすじを紹介します。
1937年のイタリア・トスカーナ地方の小さな街アレッツォ。本屋を開く夢を描いて訪れたユダヤ系イタリア人のグイド(ロベルト・ベニーニ)は、美しい小学校教師のドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)と運命的な出会いをする。グイドは生活のため叔父のジオ(ジュスティーノ・ドゥラーノ)に紹介されたホテルのボーイになり、ドイツ人医師のレッシング(ホルスト・ブッフホルツ)らと知り合いながら日々過ごす中、ドーラの前に意表を突いた登場の仕方で、彼女の気を引こうと奮闘する。ドーラは町の役人と婚約していたが、抜群のタイミングとユニークなセンスを持ち合わせるグイドに心を奪われる。ホテルで行われたドーラの婚約パーティで、グイドは大胆にも彼女を連れ去り、二人は晴れて結ばれた。息子のジョズエ(ジョルジオ・カンタリーニ)に恵まれ、一家で幸せな日々を送っていたが、時代背景はムッソリーニによるファシズム政権下で、ユダヤ人の迫害は小さな街のアレッツォにまで及ぼうとしていた。ある日、ドーラが母親(マリザ・パレデス)を食事に呼ぶため外出したとき、グイドとジョズエは叔父のジオと共に強制収容所に連行される。ドーラはその後を追い、自ら収容所行きの列車に乗り込んだ。絶望と死の恐怖が待つ収容所で、グイドは幼いジョズエを安心させるために必死の嘘をつく。収容所生活はジョズエがお気に入りの戦車を得るためまでのゲームであり、生き抜いて“得点”を稼げば、戦車がもらえるのだとグイドは息子を励まし続ける。強制労働の合間に女性の収容所に押し込められたドーラを励まそうと、放送室に忍び込み妻に呼びかけたり、グイドの涙ぐましい努力は続く。そんな中で戦況は進み、収容所は撤退準備をはじめる。グイドはジョズエを秘かに隠しながらドーラを捜す間に衛兵に捕らえられる。グイドはジョズエの隠れ場所を通る際に、おどけるような行進でジョズエに目配せをする。それは悲しくも彼の最後の姿となった。ドイツ兵が去った後、外へ出たジョズエはアメリカ軍の戦車を見て歓喜の声を上げる。戦車に乗せられたジョズエは生きていたドーラを見つけ母子は感動の再開で抱き合った。

映画『ライフ・イズ・ビューティフル』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ライフ・イズ・ビューティフル』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ロベルト・ベニーニの鎮魂歌
アウシュビッツ収容所を舞台に、最後まで父親として、一人の人間として人生を全うした姿に感銘を受ける。主人公グイドが結婚し、息子を授かって家庭を築き上げる話から一転し、ユダヤ人であるために収容されたアウシュビイッツで、生き残ろうとする父親グイドの姿をコメディ調に描いているが、その描き方が忌まわしい収容所での事実を強調するようにイメージさせられてしまう。ガス室にユダヤ人の子供たちが送られていく中で、息子を自分のベッドに隠し通したり、絶望的な状況を決して我が子に気付かせないように気を配るグイドが痛々しく、命がけで放送室に侵入しマイクで妻に愛を伝えるところなども併せて涙を誘うシーンが多い。そしてラストはグイドが言った通りに、息子は収容所の中でドイツ兵に見つからないように隠れん坊をしてたと思っている。母親との再会場面は映画史上でも屈指の名シーンだろう。アウシュビッツに収容された個人の物語という、タブー視されがちなテーマを題材にした部分も賞賛されるところであるが、それをあの忌まわしい事実らしからぬ展開で映画に仕立て、悲惨さを前面に取り上げることなく美しいストーリーとして描き上げられている。戦争の犠牲となった人たちへの思いが切々と込められた、ロベルト・ベニーニの鎮魂歌のようにも思える作品だ。
危機的状況での「希望」に結びつく嘘
収容所の生活をゲームに見立て、1等を狙う物語の構成が素晴らしい。嘘というものも通してしまえば理にかなうものだという見本である。特にこのような危機的状況に置かれた状態において、何を持って希望を見いだすのかと考えたら嘘をつくというのは、大いなる希望にも繋がるものなのだという見本である。主人公のグイドは常に陽気でいい加減なように見えたりもするが、それは愛と希望というなの下にピエロを演じる優しさという事に他ならず、妻や息子のことを一番に考えて、どんな苦境に立たされても、家族の前では不安を見せずに明るい笑顔でいる。家族がいない場面で見せる弱気な一面が、尚更グイドの想いが強調され、切なさに拍車を掛ける。最後にドイツ兵に捕まったグイドがジョズエにウインクを見せ、笑顔で胸を張り手を大きく振って歩いていく姿は、嘘を突き通しながら最後まで弱さを見せなかった父親の姿として極めて印象に残る。
友達のフェルッチョが途中から居なくなって気になった。グイドが使い走りにしていたし、いつも彼に寄り添っていてくれたのに、どこへ行ってしまったのか疑問に残る。
ホロコーストを描いた作品としては物足りない気がしたけど、父親の妻と息子への愛はとても伝わった。他人にも優しくしてとは言いたくなるが、世界一優しくて愛の詰まった嘘に涙する人もいるに違いない。コメディ要素もあり、重いテーマでも気にならずに観れるところがロベルト・ベニーニの凄いところだ。(女性 20代)
アウシュビッツ収容所という非常に重苦しいテーマを努めて明るく描いた作品です。前半は非常にコミカルですが、後半は収容所生活なのでどうしても辛くなります。
子供のために優しい嘘をつき続けた父親が、ラストでおどけながら連行されていくシーンは涙なしには観れません。親子愛だけでなく、収容された母親を勇気づけにいくところでは男女愛も描かれています。
戦争を背景に美しい家族の愛がテーマになっていて、タイトルの付け方がとても上手いと感じます。(女性 30代)
名作であることは疑うべくもない。だが、胸が掻きむしられる苦しさを感じるため、二度目は決して見るものかと心に誓ってしまう。それでも時々見たくなって同じ感情を抱くのだが。
主人公は子供のためにユーモアを持ち続けるのだが、あまりに過酷な状況下で果たしてそうあれるだろうかと感じる。今は戦争下にない比較的平和な状況なのに、幸福感をそこまで感じているかと問われるとそうではないからだ。だから凄いとは思うが、共感はできないので涙が流れるほどには至らなかった。(男性 30代)
親を体験したことのある、もしくは体験している人間ならば、子供から真の哀しみを遠ざけるために試行錯誤したその矢先に、時に嘘が必要となる、そんな見返りのない愛を感じました。時代設定がそれだけにとてつもなく苦しい悲しみをこちらは味わうのですが、どんな言葉で説明してもあの感情を表現できないほど素晴らしい作品です。「人生は美しい」という尊いフレーズのタイトルに引け目を感じさせることのない、人生の美しさを心の底から受け止めました。(女性 20代)
多くの強制収容所ものは、当然のことではあるがどこか暗く重い空気が流れる。そんな中この作品は父親が子供にそう思わせようとしたように、笑いに溢れている。だが父親のテンションが私には若干高すぎて正直疲れてしまった。
どんな状況でも楽しむ方法はあるというテーマには共感できるが、主人公の行動は非道な相手を前に危機感がなさすぎではないかという印象が拭えない。
忘れて欲しくないのはイタリアの場合は同盟国として自らナチスを受け入れたことだ。そういう政治を許さないところから始めなければ美しい世界は来ないのではないか。(男性 40代)
グイドの底抜けの明るさが、あの過酷な強制収容所の中でも光を放ち続けたことに涙が止まりませんでした。息子の純粋な心を守るために「これはゲームだ」と演じ続けた父の姿は、まさに無償の愛そのもの。最後の「戦車がもらえるんだ!」と笑顔を見せる息子の姿と、それを見届けずに命を落とすグイドの姿が胸を締め付けました。ユーモアと悲劇がこれほど見事に融合する映画は稀だと思います。(30代 女性)
序盤のコメディタッチからは想像もつかないラストの悲劇性に、まさに「美しい人生」の皮肉を感じました。ユダヤ人迫害という重いテーマを、こんなにも温かく、でも逃げずに描いた手腕に脱帽です。グイドが最後まで息子に恐怖を見せず、自分の死さえも「ゲームの一部」にしてしまう演出に、父親の強さと優しさを痛感。忘れられない作品になりました。(40代 男性)
父が息子を守るために命をかけて“嘘を演じる”という愛の形に、ボロボロ泣いてしまいました。戦争映画でここまで笑いがあり、でも最後は静かに心を揺さぶるなんて、反則です…。音楽もとても印象的で、特にオペラのシーンが心に残っています。「人生は美しい」なんて、あんな状況で信じることができるのは、グイドのような人だけ。心を洗われました。(20代 女性)
授業でこの映画を見たとき、初めて戦争映画で号泣しました。普段はアクションやホラーばかり見てる自分が、こんなに感情移入するとは…。グイドの機転やユーモアはただのギャグじゃなく、誰かを守るための“武器”なんだと知りました。子ども目線の世界って、あんなにも純粋で残酷なんですね。戦争の悲劇をこうして優しく描けるのってすごい。(10代 男性)
『ライフ・イズ・ビューティフル』を見て、親の愛の深さと、戦争の愚かしさを改めて痛感しました。前半のロマンティックな恋愛劇と、後半の収容所の惨劇の落差が見事で、何度も泣かされました。グイドが死ぬシーンは静かであっけないのに、だからこそ衝撃が大きかった。あの一歩を、笑顔で歩ける人間が本当にいたら、それはもう“美しい”という言葉に尽きる。(50代 女性)
映画『ライフ・イズ・ビューティフル』を見た人におすすめの映画5選
シンドラーのリスト
この映画を一言で表すと?
ホロコーストの悲劇の中で生まれた、実在の“英雄”の魂の記録。
どんな話?
第二次世界大戦中、ドイツの実業家オスカー・シンドラーが、ナチスの迫害からユダヤ人を救うために1,100人以上を自分の工場で雇い、命を守った実話をもとにした感動のヒューマンドラマ。
ここがおすすめ!
実話をもとにした重厚なストーリーと、スティーヴン・スピルバーグ監督の演出が心を打ちます。特に「赤いコートの少女」のシーンは映画史に残る名場面。『ライフ・イズ・ビューティフル』と同じく、戦争下の人間の善意と愛に涙します。
戦場のピアニスト
この映画を一言で表すと?
音楽が生きる希望に変わる、絶望の中の奇跡の物語。
どんな話?
ポーランド系ユダヤ人の天才ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンが、ナチス占領下のワルシャワで音楽とともに極限状態を生き抜いた実話を描く感動作。
ここがおすすめ!
主演のエイドリアン・ブロディの鬼気迫る演技と、美しいピアノの旋律が心を揺さぶります。言葉を超えて伝わる芸術の力と、戦火の中に残る人間性の光が『ライフ・イズ・ビューティフル』の余韻を深めてくれます。
サウンド・オブ・ミュージック
この映画を一言で表すと?
音楽と愛がナチスの影を超える、不朽のファミリーミュージカル。
どんな話?
修道女見習いのマリアが、母を亡くしたトラップ一家の家庭教師として派遣され、歌と愛で家族に希望を取り戻していく。時代背景はナチス台頭期のオーストリア。
ここがおすすめ!
楽曲の美しさと物語の温かさが融合した名作。時代の不穏さを描きながらも、愛と音楽で立ち向かう姿が心を明るく照らします。『ライフ・イズ・ビューティフル』と同様に、家族愛と希望の大切さを教えてくれる作品です。
イン・ディス・ワールド
この映画を一言で表すと?
現代に生きる“逃避行”のリアルを描いた、静かな衝撃作。
どんな話?
アフガニスタン難民の少年が、イギリスを目指してパキスタンからヨーロッパを縦断する命がけの旅を、ドキュメンタリースタイルで描く人間ドラマ。
ここがおすすめ!
フィクションとドキュメンタリーの境界を曖昧にしながら、戦争と迫害の現実を見つめ直す力作。過酷な現実を生きる子どもの視点は『ライフ・イズ・ビューティフル』と重なり、希望を手放さない姿に心を動かされます。
グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
この映画を一言で表すと?
心に傷を持つ青年が、愛と出会いで人生を切り開く感動作。
どんな話?
天才的な頭脳を持ちながら、心を閉ざしていた青年ウィルが、セラピストとの出会いを通して自分の過去と向き合い、未来への一歩を踏み出していく物語。
ここがおすすめ!
戦争とは違う“心の壁”を描く本作は、愛と自己受容の大切さを温かく伝えてくれます。希望のメッセージが根底に流れ、『ライフ・イズ・ビューティフル』を愛する人に、ぜひ観てほしいヒューマンドラマです。
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