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映画『サッド ヴァケイション』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『サッド ヴァケイション』の概要:中国人マフィアから逃げていた男は、かつて自分を捨てた母親を発見する。彼はその復讐心から母親に近づき、着実に復讐を果たしていく。しかし、芽生え始めた母親への母性に葛藤し始める。

映画『サッド ヴァケイション』の作品情報

サッド ヴァケイション

製作年:2007年
上映時間:136分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:青山真治
キャスト:浅野忠信、石田えり、宮崎あおい、板谷由夏 etc

映画『サッド ヴァケイション』の登場人物(キャスト)

白石健次(浅野忠信)
中国人の密航を手伝っていた男。マフィアから逃げるため、運転代行業に転職する。お客だった間宮を送り届けたときに、自分を捨てた母親を発見する。母親に復讐をするため、間宮運送で働き始める。物静かで、良い兄貴分。しかし、時々心に潜む復讐心が顔を出す。
間宮千代子(石田えり)
健次の母親。健次を捨てた過去がある。間宮嘉葎雄と結婚し、間宮との子供を育てている。再会した健次に、異常な愛を寄せる。
田村梢(宮崎あおい)
間宮運送で働く女。過去に起きたバスジャック事件の被害者で、それが原因で母親が逃げてしまう。行き先をなくした末に、警察からの紹介で間宮運送で働き始める。口数が少なく、真面目な女。
椎名冴子(板谷由夏)
キャバクラ嬢。運転代行業をしていた健次に恋をし、子供を作る。逮捕された健次を、間宮家で待ち続ける。健次のことを心から愛している。
間宮繁輝(中村嘉葎雄)
間宮運送の社長。訳ありの人間を雇い、更生させることで有名。温和な性格。高齢のせいもあり、体調が良くないことが多々ある。
間宮勇介(高良健吾)
間宮家の長男。不良で、家族に反発している。挑発してきた健次を襲うも、返り討ちにされて殺されてしまう。
松村ユリ(辻香緒里)
健次の友人である安男の妹。知的障害者で、安男の死を知らずに帰りを待っている。健次と一緒に暮らしている。天真爛漫な女の子。
後藤(オダギリジョー)
間宮運送で働く男。借金を抱え、借金取りに怯えている。普段は横柄な態度で仲間に接する。
アチュン(畔上真次)
中国人の密航舟の中で父を亡くし、健次に拾われた子供。健次と暮らし始めるも、中国人マフィアにさらわれてしまう。

映画『サッド ヴァケイション』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『サッド ヴァケイション』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『サッド ヴァケイション』のあらすじ【起】

元暴力団員の松村安男は、五年の服役を経て故郷へ戻るも、六人を殺害して自ら自殺した。安男と行動を共にしていた健次とユリは行方不明になり、十年近い年月が経っていた。

北九州にある港に、中国からの密航者が乗った船が辿り着く。彼らを率いていた健次は、船の中で父が死を遂げてしまったアチュンという少年を自転車に乗せて家に連れて帰る。

健次がアチュンを連れて帰った家には、ユリという女がいた。彼女は幼馴染の安男の妹で、健次と同居している。ユリは知的障害者で、健次と一緒に安男を待っていた。アチュンがそこに加わり、三人での同居生活が始まる。

茂雄という男が、久々に再会した後輩と部屋でお酒を飲んでいる。茂雄は後輩に、梢の捜索隊に入れてやると冗談を言う。茂雄は 、梢という女を探しているのだ。

田村梢が、間宮運送という会社にやってくる。警察の人間から、ここで仕事をもらえると言われてやってきたのだ。社長の間宮嘉葎雄が、それを受け入れる。

梢に中を案内する間宮。ヤクザに借金をして借金取りに怯える後藤という男や、医師免許を剥奪された医師などがいた。間宮運送は、どこか心に傷を持った人たちが集まる場所だった。

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映画『サッド ヴァケイション』のあらすじ【承】

運転代行業に転職した健次は、仕事で椎名というキャバクラ嬢を乗せていた。椎名を送り届けると、週三回お願いしたいと頼まれる。

健次に、間宮から運転代行の依頼がくる。間宮運送のオフィスまで送り届ける健次。料金をもらい、梢に椎名の家まで送ってもらうことになる。その際、間宮の妻である千代子を見た健次は、突然笑みを浮かべる。

椎名と交際を始めていた健次は、子供の頃に若い男と逃げていった母を見つけたと椎名に言う。

大雨が降るある日、健次は車で間宮運送の前まで来ていた。車の中からオフィスの中をずっと見ている健次。千代子はその車を変に思い、間宮に様子を見させる。間宮が外へ出ると、健次はその場を去っていく。

後日、健次が間宮運送を訪れる。千代子が出てきて、健次を中に招き入れる。すぐに分かったと言う千代子。千代子は、安男とユリのことを心配していた。千代子は健次に、間宮運送で働くよう提案する。

間宮の息子の勇介が、デパートで万引きをする。捕まって家に帰った勇介は、父に殴られる。間宮運送で働き始めた健次が、それを止めに入る。

映画『サッド ヴァケイション』のあらすじ【転】

アチュンとユリと共に、すっかり間宮運送に馴染んだ健次。千代子は、いつか健次に間宮運送を継いで欲しいのだと言う。間宮が体調を崩すと、健次が代行を務めるまでになっていた。

勇介がバイクで家を飛び出そうとする。すると、社員のみんながそれを一斉に止めに入る。それを見て千代子は、健次だけが頼りだと言う。健次は、また息子を捨てるのかと千代子に問う。

後藤が健次を連れ出す。向かったのは、ある山だった。その場所は、ハワイから流れてきた珊瑚礁でできた場所だった。後藤は、日本という島も所詮同じような寄せ集めなのだと語る。

しばらく会っていなかった健次と椎名が、久しぶりに再会する。二人は喜び、一緒に暮らそうと言い合う。

アチュンが連れ去られてしまう。健次は、中国人が連れて帰ったのだと悟る。

梢が健次に、自分も母親を探しているのだと言う。梢は、かつてあったバスジャック事件の被害者だった。それが原因で、梢の母親は出て行ってしまったのだ。

映画『サッド ヴァケイション』の結末・ラスト(ネタバレ)

ある大雨の日、健次は外に人影を見つける。安男の名前を叫ぶ健次。翌朝、ずぶ濡れの健次は勇介の部屋にいた。健次は勇介に、この家から出て行けと言う。それが、健次にとっての母親への復讐のつもりなのだ。

勇介が、ユリを強姦して出て行く。千代子は、勇介が出て行ったことには怯んでいない。それどころか健次に、ユリと関係を持っていなかったことで安心したと言い出す。

バイクに乗った勇介が、車を運転していた健次を人気のないところに連れ出す。金棒で健次に殴りかかる勇介。しかし、健次にやられてしまう。何かを感じたのか、ユリが施設で悲鳴をあげる。そして、健次は勇介を殴り殺してしまう。

勇介の葬式が催される。健次の子供を妊娠していた椎名も、葬儀に参列する。そこへ、茂雄が梢に会いにやってくる。千代子は、椎名を健次の嫁として、さらにはユリを養女として受け入れる。

千代子が健次との面会に向かう。健次は、ユリが腹違いの兄妹だということを知る。

間宮運送に、後藤の借金取りが訪ねてくる。後藤は家で怯え、間宮がヤクザと言い争いをしている。その上で、ユリの作ったシャボン玉が破裂するのだった。

映画『サッド ヴァケイション』の感想・評価・レビュー

主人公の白石健次だけでなく、皆ギリギリのところに立って生きているのが伝わってくるストーリーだった。オープニングテーマのジョニー・サンダースの哀愁ある歌声が作品とマッチしていて、とても良かった。
間宮勇介を家から追い出して母への復讐を遂げようとする健次の行動が、切ないなと思った。勇介がいなくなれば母が悲しむことを考えたのだろうが、母の傍で育った勇介を恨めしく思う気持ちもあったのかなと思った。間宮千代子は身勝手なところがあって、どうも受け入れ難い女性だった。(女性 30代)


健次は何を思って生きてきたのだろう、これからどうやって生きていくのだろうと考えさせられる作品でした。ユリやアチュンと暮らす姿は優しい兄貴分そのものでしたが、幼い頃に母に捨てられた記憶は消えることなく心に深く刻み込まれていたのだと感じました。母を目にした時に微笑んだ健次を見て、ずっと復讐を考えていたのだと思い知らされます。
母の今の息子を殺してしまった健次。果たしてそれで健次の気持ちは晴れたのか疑問に思ってしまいました。このまま普通に何事も無かったように生きていけるのか考えてしまいます。(女性 30代)

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