映画『ソウ SAW』の概要:残虐な描写と息を呑む展開が大ヒットとなった「SAW」シリーズの第1作目。ストーリーが殆ど一室内で完結するという低予算な映画にも関わらず、観客を引き込む映画としての完成度は高い。
映画『ソウ SAW』の作品情報
上映時間:103分
ジャンル:サスペンス
監督:ジェームズ・ワン
キャスト:ケイリー・エルウィズ、ダニー・グローヴァー、モニカ・ポッター、リー・ワネル etc
映画『ソウ SAW』の登場人物(キャスト)
- ローレンス・ゴードン(ケイリー・エルウィス)
- 突然謎の室内に拉致された男性。医師をつとめており、妻子がいるにも関わらず不義を働いている後ろめたい部分がある。
- アダム・フォークナー(リー・ワネル)
- タップ刑事の指示を受け、ゴードンを追跡していたカメラマン。ゴードンと共に室内に監禁される。
- デイビッド・タップ(ダニー・グローヴァー)
- 長年殺人犯、「ジグソウ」を追う刑事。ゴードンがジグソウなのではないかと容疑を向けている。
- スティーブン・シン(ケン・レオン)
- タップの相棒を務める新米刑事。
映画『ソウ SAW』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ソウ SAW』のあらすじ【起】
アダムはふと息苦しさを感じて目覚めました。目を開けると何故かアダムは水中に沈んでおり、慌てて這い出たアダムは自分が見覚えのない一室のバスタブにいる事に気がつきます。そして同じ部屋にゴードンという男が自分と同じく状況をつかめない様子で座っているのを見つけました。
2人には足枷がかかり、互いに鎖で繋がれていました。そして何と、部屋の中央には拳銃を持って血まみれで倒れている男がいたのです。アダムとゴードンはそれぞれポケットにカセットテープが入っている事に気づき再生します。するとそのテープは、アダムは覗き魔であること、医師であるゴードンは他人に死を宣告した罪に処されるといいます。
そしてそれぞれに唯一助かる方法が提示されていました。アダムには「ハートに従え」というメッセージ、そしてゴードンには「6時になる前にアダムを殺さないと、アダムとゴードンだけでなくゴードンの家族も殺す」というメッセージが残されていました。
映画『ソウ SAW』のあらすじ【承】
ゴードンは最近世間を震撼させている凶悪連続殺人犯「ジグソウ」の存在を思い出します。ジグソウは命を軽んじる人々を捕まえては、この様に悪質としか言いようのない命を賭けたゲームに人々を巻き込んでいるのでした。そしてそのゲームに巻き込まれた人間は、たった1人アマンダという女性を除いては全員が悲惨な方法で命を落としています。
かつてゴードンは、自らのペンが殺人現場にあった事でジグソウ事件の容疑者として刑事に取り調べを受けていたのです。一方その頃、ジグソウを逮捕するべく動いている刑事がいました。タップというベテランの刑事と、その相棒で新米刑事のシン刑事です。この2人こそがゴードンに容疑を向けた張本人で、長い間ジグソウを追い求めています。
2人は執念とも呼ぶべき捜査でジグソウまであと一歩というところまで迫ります。しかしそこでジェフという男を人質にとられ、人命を優先したためにジグソウに逃げられてしまいます。そしてその途中、シンは命を落としタップも首に重傷を負いました。
映画『ソウ SAW』のあらすじ【転】
ゴードンが犯人と信じ込んでいる、復讐に燃えたタップはゴードン家をはっていました。しかしその時、ゴードンの妻アリソンと娘ダイアナは、ゼップという男に家の中で監禁されていたのです。そんな事は知らないゴードンとアダムは、部屋の中を漁り手がかりを探しました。そして古いノコギリを2つ発見したのです。
早速2人はノコギリで鎖を切りにかかりますが、既に刃こぼれしているノコギリでは一向に切れそうにありません。ゴードンはそのノコギリで自らの足を切りおとせというジグソウからのメッセージである事に気がつきます。そしてさらに手がかりを探していたゴードンは、拉致された妻と娘が映った写真を見つけるのでした。
そんな時アリソンから電話がかかってきます。その電話でアリソンは、実はアダムはゴードンの犯行を明らかにするべくタップに雇われたカメラマンであることを告げます。実は2人は初対面ではなく、アダムが一方的にゴードンを知っていたのです。アリソンはゴードンに、アダムを信用するなと忠告します。
映画『ソウ SAW』の結末・ラスト(ネタバレ)
そして、ゴードンに事前に言い渡されていたタイムリミットを迎えます。ゼップはアリソンとダイアナを殺そうとしますが、ゴードン家に異変を感じ取ったタップが突入しそれを阻止します。タップとゼップの激しい攻防は続き、2人はその最中命を落としました。実はゼップもジグソウに脅されてゲームに参加している人間の1人で、彼に言い渡されたルールは「時間と共にゴードンの妻と娘を殺せば、ゼップに注射された毒の解毒剤を渡す」というものでした。
一方、妻と娘の命が救われたことを知らないゴードンは、一心不乱にノコギリで自らの足を切り落としていました。そして鎖から逃れる事に成功したゴードンは、蒼白い顔で「助けを呼びにいってくる」と部屋を這い出たのでした。
そして部屋にはアダムと死体が残されました。すると何とその死体が動き出しだのです。その死体はゴードンに大腸に出来た癌の転移と末期の脳腫瘍の為死期を宣告されていたジョンという患者でした。ジョンはアダムに「ゲームオーバー」と告げると、1人部屋を出ていくのでした。
映画『ソウ SAW』の感想・評価・レビュー
もはや誰もが知っている、パニックホラー作品SAWの第一作目。
巧妙に仕掛けられた殺人ゲームや、なんともグロテスクな描写、最終的などんでん返しなど、この映画の衝撃は測り知れない。
仕掛けられた残虐な罠もさる事ながら、限られた状況下での人間同士の確執など、全てが伏線のような作りとなっている。
とはいえ、苦手な人はなかなか直視できないシーンが多いので注意。
特に最後の死体(ジグソウ)がむくっと起き上がる場面は、まったく予測できない展開だっただけに、思い出すと鳥肌が立ってしまう。(男性 30代)
新たな殺人鬼の誕生とともにゲーム性の高い仕掛けは秀逸の一言。
限定された空間、片手で数える登場人物、用意された道具から状況を把握していく「ソリッド・シチュエーション・スリラー」の代表とも言える本作の演出は群を抜いている。
いきなり始まる意味不明な状況から、限られた手がかりで真相を解明していく展開は目が離せない。
シリーズ最大の魅力となる生きる為の選択による犠牲。生きる為に自ら過酷な選択を強いられる殺人鬼からの要求は震え上がるほどの恐ろしさがあります。
そして、衝撃のラストはそれまでの積み重ねさえも吹き飛ばす。
あの一だけで他の作品とは一線を画する上手さが詰まったラストである。(男性 30代)
最初に映画館で鑑賞した時、結末の衝撃さでなかなか立ち上がれなかったことを強烈に覚えている作品。ホラーながら、事件を追う刑事の姿や物語の経緯は、非常に綿密に描写されている。その分シリーズ化された後の作品はホラー要素を追求しすぎて残念ではある。ラストまで見れば、全ての伏線とも言える謎は解けるが、結末については誰も予測のつかない展開であろう。
密室の中で肉体的にも精神的にも追い詰められていく二人の人間と、犯人の心理戦は、派手な場面の切り替えが無い分余計に恐怖が際立つ。ラストの畳みかけは言うまでもなく圧巻。ある程度のスパンを置いてまた見たくなってしまう中毒性のある映画。(女性 30代)
言わずと知れたサイコホラーの名作です。正直、シリーズで唯一まともに観られるのがこの第一作目です。以降は、グロテスク描写に力を入れ過ぎているのか、あまり楽しめるものではありませんでした。
本作は、冒頭から謎のシチュエーションで始まります。ラストは他に気を取られている視聴者は誰もが驚く展開でしょう。
物語の伏線、人物描写、恐怖を煽る演出、意表をつく展開、どれをとってもこの一作目は完璧でした。(女性 20代)
目が覚めたら、とある部屋に鎖で繋がれていて、目の前には同じような男……さらに部屋の中心には別の男の死体が。これが自分だと思うとゾッとするシチュエーションだ。
この映画はただのホラーではなく、そうした環境下におかれた人間の狂気やズルさを見事に表現しているのだ。張り巡らされたサスペンスは、次の展開が気になって仕方ない。「なぜ?」「どうして?」と。
そして、最後には「まさかそんなことになるとは!」という、とんでもないオチが用意されている。このオチからこの映画の企画が持ち上がったというウワサも納得できる。(男性 40代)
劇場に見に行こうとしましたが、先に見た友人があまりにも衝撃的で足が震えて立ち上がれなかったと言っていたので、登場私はDVDで鑑賞しました。
初めて見た時の衝撃は忘れられません。これまでにもグロテスクで過激な描写の作品は沢山見てきましたが、精神的に参ってしまうような、見ているだけなのに疲労がどんどん溜まっていく作品は今作が初めてです。
最初から最後までかなり過激でショッキングな展開が続くので、苦手な方は本当に注意して欲しいです。(女性 30代)
関連作品
次作 ソウ2
みんなの感想・レビュー
本作は密室パニック・サスペンス・スリラーで、シリーズ化された第一作目である。
序盤は、よくわからない状況や突拍子もない設定に動揺を隠せない。
中盤からグロテスクさや過激さが増し盛り上がりを見せる。
考え込んでしまいそうになり戸惑うが異様に考え込むほど、益々犯人を捜すのは困難になる。そして終盤は思いもよらぬ結末にどんでん返しを食らった。伏線回収や仕掛けられた巧妙なトリックに騙され、更にこれが密室の中だけで完結するストーリーであることに驚きを隠せずにはいられない。
「ソウ」を最初に見た時、ジグソウの風貌にどこかで見た覚えがあると思った。日本の映画「ライヤーゲーム」のゲームマスターとよく似ているじゃないか。偶然かもしれないが、雰囲気とは似るもので、恐怖度は「ソウ」の方がはるかに怖い!
回想形式で語られる過去のジグソウの犯罪が緊張感と罪悪感を観る者に刻みつけます。自分の意思ではなく、サイコキラーの意思によって殺し合いをさせられるのが一番嫌でおぞましい。人の心理を逆手に取ったサスペンスであるといえます。
ジグソウは言う、”感謝してほしいくらいだ。こうして生きている実感を感じるだろう?”殺しの場面には、直視できないほど残虐なシーンも多い。もし、自分が巻き込まれてしまったら?人を殺してまで生きたいと思わないので自殺すると思います。
殺しの場面も痛いが、一番痛そうだと感じたシーンは、ゴートン医師が足を切断して逃げるところ。撮影では、ダミーの足を切っているそうなのでご安心下さい。そういえば、血少なかったよね。アダムが”やめてくれー!”と泣き叫んでいたのでより痛さを感じたのかも。
密室型サイコ・サスペンスで、なかなか犯人が分からないのも面白い。タップ捜査官は、ゴートン医師が怪しいとにらんでいたし、ゴートン医師は病院の雑用係ゼップが犯人だと思っていた。しかし、誰もがジグソウにはめられただけ。
回想シーンをじっくり見たまえ!必ず、犯人が写っているから。そう、犯人は、ゴートン医師の務める病院に通う患者ジョン・クレイマー(トビン・ビル)だった。最後のシーンで、自殺死体がむっくり起き上がった時、恐怖は最高潮になった。
ヤバイ!心臓が弱い人は絶対に観ないで下さい。
恐怖を増加させる小道具の効かせ方が上手い。小道具は、ノコギリ・録音テープ・再生デッキ・たばこ・銃・鍵などで、脱出に使えそうで使えないものばかり。唯一、拘束具を外す鍵は、アダムの努力むなしく排水口に消えてしまう。
密室に閉じ込められた2人の演技を見ていると、殺すことで対応するのではなく2人で協力して脱出しようと努力しているところに好感がもてます。他の殺人ゲームでは1人で他者を殺すはめに陥るのに何故なのか?
ジグソウのせめてものつぐないか?ジグソウも予想しなかったに違いない。また「ソウ」は低予算で作られており、脚本を書いているリー・ワネルがアダム役を演じているという点も見逃せない!
シリーズ化によって少々マンネリ化してしまった点は残念だが、「ソウ」は意表をつく展開を見せるサイコ・サスペンスとして面白い。人の心理を逆手にとったストーリー構成と小道具、2人の芝居で魅せています。
残虐なシーンばかりについ目がいってしまうが、2人が協力して脱出しようとする緊張感あふれるシーンに注目して下さい。誰がジグソウなのか分からない不安感とラストの衝撃度はクセになります。ジグソウは一人で犯罪をおかしているかのように見せていますが、本当は共犯者がいるのでは?と気になります。
もしかすると、シリーズ全体を観ないと解決できない謎があるのかもしれません。回想シーンを注意深く観れば、犯人への手がかりがつかめます。恐怖より謎解きで熱い夏を乗り切っていきましょう。