この記事では、映画『シークレット・ルーム(2016)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『シークレット・ルーム(2016)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『シークレット・ルーム』の作品情報
上映時間:109分
ジャンル:サスペンス
監督:ロビン・スウィコード
キャスト:ブライアン・クランストン、ジェニファー・ガーナー、ジェイソン・オマラ、ビヴァリー・ダンジェロ etc
映画『シークレット・ルーム』の登場人物(キャスト)
- ハワード・ウェイクフィールド(ブライアン・クランストン)
- 企業相手の訴訟を専門にする弁護士。ちょっとした口論をきっかけに長年抱えていた夫婦のわだかまりが溢れ出し、屋根裏部屋で監視生活を送ることになる。
- ダイアナ・ウェイクフィールド(ジェニファー・ガーナー)
- ハワードの妻で博物館に勤めている。以前はダークと付き合っていたが、ハワードがダークについた嘘をきっかけにハワードと結婚した。ハワードが失踪した後も、二人の娘の面倒を見ていたしっかり者。
- ダーク・モリソン(ジェイソン・オマラ)
- ダイアナの以前の交際相手のビジネスマンで、ハワードとは友人だったが、彼のついた嘘をきっかけにダイアナと破局。現在では一流のビジネスマンとして雑誌に取り上げられるほど出世している。
- バープ(へヴァリー・ダンジェロ)
- ダイアナの母で、ハワードの義母。夫はすでに他界しているものの、彼の遺産で悠々自適に生活している。ハワードと仲が悪い。
映画『シークレット・ルーム』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『シークレット・ルーム』のあらすじ【起】
やり手の弁護士、ハワード・ウェイクフィールドは電車で帰宅していた。やっと仕事を終え、ほっとしたのも束の間、乗っていた電車が突然停電する。
疲れた体を引きずって、やっとのことで帰宅したハワードは、自宅の前にいた野生のアライグマを追い払ううちに、自宅の物置の屋根裏部屋に入り込んでしまう。
屋根裏部屋の窓からふと自宅を覗き込むと、妻、ダイアナが電話をかけていた。以前、ハワードはダイアナが元交際相手と話していたことに嫉妬したことをきっかけに、喧嘩していたのだった。
電話に出ないハワードに痺れを切らしたダイアナは、ハワードの用意していた夕食をゴミ箱に。その様子をみたハワードは、帰宅せず、家族が寝静まった頃に家に帰ろうと考えた。
しかし、仕事の疲れもあり、椅子に座ると眠ってしまい、気がつくと朝になっていたのだった。
慌てたハワードだったが、今帰宅すると自分の浮気を疑われてしまうと考え、捨ててあった昨夜の夕食で飢えを凌ぎ、妻が仕事に出るまで待つことにする。
映画『シークレット・ルーム』のあらすじ【承】
双子の娘たちが学校に出かけると、ダイアナはハワードが心配で、職場や友人たちに電話する。その様子を見て面白がっていたハワードだったが。ダイアナが警察に連絡したことにより、事態は深刻に。
警察に事情を話した後、ダイアナが涙している姿を見たハワードは罪悪感を感じたが、ダイアナの母、バープが訪ねてくると再び腹を立てる。彼はバープのことを嫌っていたのだ。
バープと顔を合わせたくないハワードは、それからしばらく屋根裏部屋に立て篭ることに。
手持ちの現金は少なく、痕跡が残るためカードも使えない。食料も底をつき、ゴミ漁りで飢えを凌ぐしかない。こうしてハワードは次第に浮浪者のような姿になっていくのだった。
彼は監視しながら日々を過ごす中で、二人の結婚について回想する。ダイアナは以前、ダーク・モリソンという真面目なビジネスマンと付き合っていた。ダークとハワードは友人であったにも関わらず、ハワードはダイアナに嘘を吹き込んで略奪したのだった。
結婚当初、彼女に対する愛情を実感できていなかったものの、娘たちが生まれると次第にそのことを考えなくなってしまったのだ。
そんなある日、ダイアナと娘たちが車でバカンスに向かう姿を目撃する。自分がいなくとも幸せに生活している家族を見て、ハワードは孤独を噛み締める。
映画『シークレット・ルーム』のあらすじ【転】
ある日の晩、いつものようにゴミを漁っていたハワードの前に、二人のロシア人が現れる。彼らは浮浪者ではないが、使えそうな粗大ゴミを回収していた。彼らとゴミの取り合いをするハワード。しかし、屈強なロシア人に歯が立たず追いかけられるはめに。
彼はロシア人を撒くためにとある民家に逃げ込む。するとそこにはダウン症の少年ハーバードと、発生障害を持つ少女、エミリーがいたのだった。ハワードは自分の存在を秘密にするよう彼女たちに頼むと、二人は快く了承する。
翌日、二人がハワードの屋根裏部屋を訪ねてくると、人との触れ合いに植えていたハワードは、二人と遊んで過ごす。
その後、ダイアナは再びダンス教室に通い始め、娘たちにはボーイフレンドができる。自分以外の家族たちが幸せに生活している姿を目の当たりにしたハワードは、家族への愛情を再確認する。
季節は流れ、冬になる。あまりの寒さに体調を崩したハワードはエイミーとハーバードに看病してもらう。
なんとか体調も回復した頃、ハワードが外に出ると、偶然同じタイミングで外出しようとしていたダイアナと遭遇。しかし、ダイアナは彼に目もくれず、自分の夫であることに気がつかなかった。
映画『シークレット・ルーム』の結末・ラスト(ネタバレ)
ダイアナに自分だと気付かれなかったハワードは、監視生活をやめて妻に会いにいくことを考え始めるが、今さら姿を見せて家族に受け入れられるのかわからず、なかなか決心がつかない。
そんなある日、家族の夕食に何者かが招待される。ハワードが一部始終を監視している中、ディナーは開かれ、招待客が姿を現す。その客とはダイアナの元恋人で、ハワードが騙したダーク・モリソンだった。
自分の過去の罪がばらされたと思ったハワードは、もう二人を引き裂こうとはしなかった。
翌日、ハワードは服を買い、散髪して身なりを整え、ニューヨークにあるオフィスに向かう。人で溢れかえる街に動揺しつつも、オフィスの近くの高級店でスーツを購入したハワードは自宅に戻る。
家の窓からダイアナと娘たちがクリスマスの準備をしている様子を見て、再び受け入れてくれるのか不安になったハワードは足を止める。
覚悟を決め、腹を括ったハワードはドアを開け、「ただいま」と告げるのだった。
映画『シークレット・ルーム』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
今作の主人公は基本的に社会から断絶しているため、会話のシーンが少ないがボイスオーバーで心理状況を詳しく説明しているため、逆に感情理解がしやすかった。
妬み、怒り、幸せ、喜びなど、人間関係の中で発生するすべての感情を体験する主人公を通じて、人と関わることの難しさや、そこから得られる喜びを学ぶことができた。
人は、一人では肉体的にも精神的にもいけていけないということに改めて気付かされる映画だった。(MIHOシネマ編集部)
本作は、日常に嫌気がさし、あるきっかけで屋根裏部屋から家族を監視する生活を始める訴訟弁護士ハワードを描いたサスペンス作品。
自分がいなくなった家族の様子を観察するのは面白そうだが、最初混乱していた妻も段々普通に過ごしている様子は、夫を思うといたたまれない気持ちになった。
そして、含みを待たせる結末も鑑賞者によって色々な解釈ができて楽しめた。
家族の監視を通して、人の関わりの大切さを気付かせてくれる作品。(女性 20代)
弁護士として優秀なハワードだが、ダークに嘘を吐いて略奪したこともあり、ダイアナとの関係に自信が持てないことは理解できる。でも、引っ込みがつかなくなって、数か月も家族を監視しているのは異常だと思う。夫だからと言っても、妻が真実を知ったら悲鳴を上げて嫌がると思う。それに、物語のラストが中途半端で拍子抜けした。ハワードが家族にいなくなっていた期間のことをどう説明するのか、家族はどんな反応を返すのかが気になった。(女性 30代)
屋根裏部屋に隠れ、家族の生活を覗き見すると言うストーリーは簡単に理解できるものではありませんでしたが、ハワードの心境や異常な行動をしてしまった原因などが分かると、ハワードに対して哀れな気持ちを抱いてしまいました。
自分が過去に犯した罪のせいで自分に自信が持てなかったり、家族との関係がギクシャクしているときに、愛があるのか確かめたくなったりする気持ちはよく分かります。ハワードの場合は軽い気持ちでとった行動がおおごとになってしまっただけなのではないでしょうか。(女性 30代)
突然失踪した男が、自宅のガレージ上から家族の様子を覗き見ながら、人生を見つめ直していくという、異色の心理ドラマ。最初は身勝手な選択に思えたけど、彼の孤独や、家庭への違和感が徐々に見えてくる構成が面白かったです。観察を通じて、彼の中に変化が生まれていく様子が静かに描かれていて、非常にリアルでした。再び家族の前に現れるか否かを濁したラストも秀逸で、観る者に問いを投げかけてきます。(30代 男性)
人生を「一時停止」したくなったことのある人なら、きっと共感できると思います。主人公が勝手に姿を消し、ガレージの上で家族を観察し続けるという設定は突飛に思えますが、それが逆に私たちの日常の「逃げたい気持ち」をリアルに表現しているようでした。ラストで彼が再び扉を開けるかどうかの描写には、涙が出そうになりました。心の奥を静かにえぐってくる作品です。(20代 女性)
ブライアン・クランストンの一人芝居とも言える演技が圧巻でした。セリフよりも表情と独白で見せる演出が効いていて、心理劇として非常に見応えがあります。彼の自己中心的な思考が次第に崩れていく過程が興味深く、「他人の目を通して自分を知る」というテーマが深く突き刺さります。淡々と進むストーリーの中に、人生の虚無や再生の可能性が詰まっていて、地味ながら名作だと思います。(50代 男性)
観終わった後、夫婦関係や家族の意味について考え込んでしまいました。妻と子どもに囲まれているのに、彼は孤独で満たされていなかった。そこから逃げた結果、外から家族を見てようやく気づくという皮肉な展開が切なかったです。女性としては、妻の強さや順応力が印象的でした。自分が同じ立場ならどうするか…と、リアルに考えさせられました。(40代 女性)
主人公の「消えたい」という衝動に共感できる部分があり、観ていて他人事ではなかったです。特に現代の社会人にとっては、すべてを投げ出して、誰にも干渉されずに“観察者”になりたい瞬間ってあると思うんです。だけど、そこから得られるのは“自由”じゃなく“空虚”なんだと、物語が教えてくれました。地味だけど深い、味わいのある作品でした。(20代 男性)
物語の舞台がガレージの屋根裏という、ほぼ一箇所で展開する異色の映画でしたが、その限定空間が逆に主人公の心の閉塞感を強く感じさせて印象的でした。夫婦のすれ違い、孤独感、社会的役割からの解放…静かながらも鋭く刺さるテーマが詰まっています。夫を演じたブライアン・クランストンの独白が、まるで自分の心を読まれているようで怖かったです。(30代 女性)
映画『シークレット・ルーム』を見た人におすすめの映画5選
キャスト・アウェイ
この映画を一言で表すと?
孤独と対峙する男の「生きる意味」を問う、壮大なサバイバルドラマ。
どんな話?
飛行機事故で無人島に漂着した宅配会社の社員チャック。現代社会から完全に隔離され、自らの力で生き延びる中で、彼は孤独と希望に向き合っていく。人間の本質と再生を描いた感動作です。
ここがおすすめ!
ほぼトム・ハンクスの一人芝居で進行する圧倒的な演技力に引き込まれます。誰もいない環境に置かれた主人公が、やがて「帰る場所」を求める過程は『シークレット・ルーム』の内面的葛藤とも重なり、深い余韻を残します。
アバウト・シュミット
この映画を一言で表すと?
定年退職した男が自分の人生を問い直す、哀しみと皮肉に満ちたロードムービー。
どんな話?
長年務めた会社を退職し、妻を亡くしたシュミットがキャンピングカーで旅に出る。娘の結婚式に向かいながら、過去の選択や人生の意味を見つめ直していく。ユーモアの中に切なさが溢れる大人の物語です。
ここがおすすめ!
ジャック・ニコルソンの抑えた演技が心に染みます。人生の“空白”に気づいてしまった男の視点は、『シークレット・ルーム』の主人公と重なります。日常の中の孤独をリアルに描いた良質なヒューマンドラマです。
レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
この映画を一言で表すと?
理想と現実の狭間でもがく夫婦の崩壊と、その切なさを描く心理劇。
どんな話?
1950年代の郊外で暮らす夫婦が、平凡な日常の中で次第に壊れていく姿を描く。夢を捨てた夫と自由を求める妻の衝突を通して、家庭の裏に潜む虚無や絶望が露わになっていきます。
ここがおすすめ!
レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが体現する夫婦のリアルが圧巻。『シークレット・ルーム』と同じく、“完璧な家庭”の内側に潜む閉塞感が描かれていて、観る者に問いを突きつけてきます。
トゥー・リバーズ
この映画を一言で表すと?
消えた過去と向き合う孤独な男の、静かで切ない再生の物語。
どんな話?
元警官の男が、かつて起きた悲劇的な事件を抱えながら、引きこもるように静かな日々を過ごしている。ある日、新たな出会いをきっかけに、彼は再び社会との関わりを取り戻していこうとする。
ここがおすすめ!
派手な展開はありませんが、感情の機微を丁寧に描いた珠玉のヒューマンドラマです。『シークレット・ルーム』のように、人との距離感や“消えたい衝動”を抱えた人物に共感できる方には刺さるはずです。
イントゥ・ザ・ワイルド
この映画を一言で表すと?
全てを捨てて旅に出た青年の、自由と孤独に満ちた魂の記録。
どんな話?
裕福な家庭に生まれた青年が、全ての所有物と社会とのつながりを手放し、一人でアラスカの荒野を目指す実話ベースの旅路。現代社会への疑問と、生きる意味を探す強烈なメッセージが込められています。
ここがおすすめ!
美しい自然と共に、青年の精神的な変化を描いた映像詩。『シークレット・ルーム』と同じく、“すべてを投げ出した男”の孤独と内面の旅が描かれ、自由とは何か、生きるとは何かを考えさせてくれます。
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