映画『雪暴 白頭山の死闘』の概要:中国と北朝鮮の国境近くにある白頭山にて金塊の強奪事件が発生。その際、逃走する強盗団と遭遇してしまった刑事が相棒を殺されてしまう。1年後の冬、刑事は再び雪山にて強盗団と遭遇し、相棒を殺された復讐を遂げようと命を賭ける。
映画『雪暴 白頭山の死闘』の作品情報
上映時間:113分
ジャンル:サスペンス
監督:ツイ・シウェイ
キャスト:チャン・チェン、ニー・ニー、リャオ・ファン、ホアン・ジュエ etc
映画『雪暴 白頭山の死闘』の登場人物(キャスト)
- ワン(チャン・チェン)
- 公安の刑事。普段は白頭山の森林区域にて密漁者の取り締まりを行っている。相棒のハンと美人医師スンの取り合いをしていた。森林区域の見回りに来た際、強盗団と遭遇しハンを助けられなかったことを酷く後悔している。
- スン(ニー・ニー)
- 医師。ワンとハンに好意を寄せられていたが、ワンを選ぶ。正義感が強く医師としての素晴らしい腕を持っている。北京へ異動することになったが、車の故障で山小屋へ避難。強盗団とワンの戦いに巻き込まれる。
- ダーマオ(リャオ・ファン)
- 強盗団のリーダー。弟とジョウを含めた総勢4人で金塊を盗む。慈悲深く親切な面があるものの、冷酷で人殺しを厭わない面もある。弟をとても大切にしていた。
- ジョウ(ホアン・ジュエ)
- 強盗団の仲間の1人。仲間の全員を殺害し、金塊を全て我が物にしようと考えている。ダーマオの弟を殊更嫌っており、殺そうと狙っている。損得勘定で動く人物。
- ハン(リー・グァンジェ)
- ワンの相棒で公安の刑事。洞察力に優れ、正義感が強く非常に優しい。ワンの兄貴的存在で、強盗団に遭遇した際、銃殺されてしまう。
映画『雪暴 白頭山の死闘』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『雪暴 白頭山の死闘』のあらすじ【起】
中国と北朝鮮の国境近くにある白頭山にて、強盗団による金塊輸送車強奪事件が発生。刑事であるワンとハンは、世話になり好意を寄せていた美人医師スンの誕生会へ出席した後、白頭山森林区域での密猟者の取り締まりに向かっていた。その途中、無線により金塊輸送車強奪の知らせが入ったものの、無線機の調子が悪く詳細を聞き逃してしまう。2人は道中、停車している車を不審に思いハンが様子を見に向かうことにした。
停車中の車は強盗団のもので荷台には金塊が山と積まれている。ハンは男達の独特な雰囲気と優れた洞察力により、相手が強盗団ではないかと疑念を抱いたが、相手は3人でこちらは2人。ワンは車で無線機の調子を見ておりハンの状況を見ていない。不利だと悟ったハンは一旦、奴らを見逃すことにした。しかし、相手の車が動いた途端、ハンは強盗団の銃弾に斃れ銃声に気付いたワンもまた奴らによって銃撃されてしまう。強盗団が去った後、怪我を負いながらも車へ戻ったワンは、殺された相棒を目にして愕然とするのだった。
強奪事件は強盗団の検挙に至らず未解決のまま1年後、ハンを喪った深い悲しみと後悔、恨みから抜け出せないワンは、無謀なことばかりを繰り返すようになっていた。そんな彼を心配して励まし続けていたスンが異動することに。
映画『雪暴 白頭山の死闘』のあらすじ【承】
だが、スンが出発するその日、ワンは彼女を見送ることもせず、再び森林区域にて密猟者の取り締まりへ。若い相棒は森林区域の見回りにあまり乗り気ではない様子だったが、密猟者である地元猟師を逮捕。その男から強盗団は白頭山の川を使って金塊を運び、逃走を成功させたのではないかと聞く。或いは、逃走する機会を狙って麓の町にまだ潜伏しているかだ。
そこで、川に至る道へと向かったワンと相棒は、奇しくも金塊を運び出そうとしている強盗団と遭遇。相棒と二手に別れて道を進んでいたワンは、丘の上から若い相棒が強盗団の一味に撃たれ運ばれているのを目にする。そこで彼は相棒を助けるため、単独で突撃し相手が強盗団であることに気付く。雪の中に隠されていた金塊を発見したワンは、更に一味が持っていた無線にて相手が密猟者ではなく、1年前にハンを殺した強盗団であることを確信するのだった。
その日は天候が悪化すると予報が出ている。無線の男ジョウと交渉し、強盗団逮捕よりも負傷した相棒を連れ帰ることにしたワン。人質として強盗団の一味を連れて見晴らしの良い場所へ来たものの、ジョウは仲間でも容赦なく銃を発砲しスノーモービルで逃走。森の中へ急いで逃げ込んだワンだったが、絶え間なく銃の発砲が続く。隠れていても埒が明かないため、ワンも対応すべく銃撃戦を展開することに。彼は年中、森林区域の見回りをしているため、猟師が仕掛ける罠の場所もよく知っている。それを利用し、ジョウの動きを封じることに成功した。
映画『雪暴 白頭山の死闘』のあらすじ【転】
ジョウが持っていた無線から強盗団のリーダーであるダーマオから連絡が入る。ワンは罠にかかったジョウを殺さず放置することにした。恐らく、このダーマオがハンを直接殺した犯人だろう。金塊の隠し場所へ逮捕していた猟師と共に向かったワンは、奴らが撃たれた仲間を助けるために最寄りの山小屋へ向かうことを予想。戻って来る時間に余裕があると分かると、金塊を掘り出し移動させようと考える。
その頃、ダーマオはジョウに撃たれた弟を連れて最寄りの山小屋へ。そこには、道中車の故障で身を寄せていたスンがいる。医者の彼女に弟の怪我の手当を頼むことに。スンはダーマオが猟師だと信じて山小屋でワンの帰りを待つことにした。
一方、金を掘り出した後、ジョウを助けて山を移動していたワン。途中で猟師が逃走してしまったものの、ジョウから近くの洞窟に逃走用の荷物を隠していることを聞き出す。やがて、日暮れが近づき吹雪始めた白頭山。
弟の面倒をスンに頼み再び山へ来たダーマオは、隠していた金塊が無くなっていることに気付き、恐らく洞窟へ向かっただろうと予想して進路を向けた。果たして予想は的中。ダーマオはスンのマフラーと無線をその場に置いて距離を取る。ワンは無線を通じてダーマオと会話し、スンが山小屋にいることを知る。ダーマオはハンをやむを得ず殺してしまったと謝罪し、弟と自分を見逃してくれたら金の半分とスンを助けると言う。だが、ワンはそれに応じず、ハンの仇を取る決心を固めていた。丈高いススキの原にて吹雪で視界が悪い中、距離を測りつつ銃を向け合う。だが、ワンはダーマオによる銃撃によって倒れてしまうのだった。
映画『雪暴 白頭山の死闘』の結末・ラスト(ネタバレ)
辺りが暗くなった頃、山小屋にダーマオが帰って来る。彼はジョウと深手を負ったワンを連れていた。ワンの手当をスンが行うことになったが、ダーマオはすぐさま弟の様子を見て、スンが更に麻酔を打ったことに気付く。彼はワンから金塊の隠し場所を聞き出すため、スンを人質に取ることにした。すると、ワンは逃げ出した猟師が詳しい場所を知っていると告げる。逃走した猟師もまた山小屋へ来ていたが、ダーマオが戻って来た時点でベッドの下に身を隠している。一同が山小屋へ集っているが、ダーマオはまだ猟師が山小屋にいることを知らない。
一旦、スンを解放しワンの手当を再開。そこへ、弟が目を覚ましジョウが裏切って自分を殺そうとしたこと、猟師が山小屋に来たことを明かす。すると、山小屋の中には緊張が走る。ワンが猟師の行方を知っていると口にした途端、ジョウが銃を発砲。この機に乗じて猟師もベッドの下から応戦したものの、被弾して命を落としてしまう。その隙にワンはスンを連れて山小屋から逃走。ダーマオはジョウを始末し、逃げ出したワンとスンを追った。
2人が外へ逃げ出したところで、弟の助けを求める声を聞きつけたダーマオ。戻ると弟が流れ弾に当たって虫の息となっていた。ダーマオは自らの手で弟の息の音を止めて外へ。ワンがダーマオと決着をつける間、スンは車に乗って近くの非常電話で助けを求める予定だった。激しい殴り合いを展開したワンとダーマオ。2人はすでに満身創痍である。しかし、ワンを殴り倒し止めを刺そうとしたダーマオの前にスンが戻って来てしまう。
彼女がダーマオを詰問している隙に意識を取り戻したワンは、背後から襲いかかりとうとうダーマオを倒した。
しばらく後、怪我を癒したカワンはハンの墓へと参り、仇を取ったことを報告。スンは異動により北京へ戻る予定となっていた。ワンはハンからスンにプロポーズして2人で町を出ろと言われていたことを思い出し、ハンとの約束を守るべくスンと共に北京へ向かうことにするのだった。
映画『雪暴 白頭山の死闘』の感想・評価・レビュー
釜山国際映画祭最高賞授賞の犯罪サスペンス。極限の状態で死闘を繰り広げる様子を描いている。相棒の死が女医と主人公の関係に暗い影を落とし、2人の関係は1年もの間、進展せずにいる。主人公は仇を討つことに執念を燃やし、とうとう雪山で強盗団と再会するのだ。ハリウッド映画なら撃たれた相棒は助かるだろうが、今作では若い相棒も主人公の前で殺されてしまう。ただ撃たれた場面を目撃して、何もできず死ぬのを見ているだけしかできないという無念がひしひしと伝わり、主人公を更に追い詰めていく。強盗団でも裏切りがあって、お互いに戻れないところにまで進むため、非常に緊張感が高まる戦いが展開する。さすがと言わざるを得ない展開と演技力である。(MIHOシネマ編集部)
雪山を舞台にした作品は、ストーリーがどうであれ美しく幻想的に見えてしまうのが不思議ですよね。雪山で強奪された金塊の行方と犯人を追う刑事の物語ですが、あまり細かく説明されないので見ていきながら背景にあるものや、キャラクターの心情などを感じていく作品です。
個人的には恋愛要素は要らなかった気がしますが、雪山での寒々しい雰囲気の中で描かれる愛は普通のそれとは違う美しさがあるのかもしれません。(女性 30代)
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