映画『ショートウェーブ』の概要:娘を失い深い喪失感と悲しみに陥った夫婦。再起を図るつもりで新居へ引っ越して来る。短波無線信号を研究する夫と生活を開始した夫婦だったが、妻が謎の短波信号に共鳴してしまう。そうして、起こる凄惨な悲劇を描いた作品。
映画『ショートウェーブ』の作品情報
上映時間:89分
ジャンル:SF、サスペンス
監督:ライアン・グレゴリー・フィリップス
キャスト:フアニータ・リンゲリン、クリストバル・タピア・モント、カイル・デイヴィス、ジェイ・エリス etc
映画『ショートウェーブ』の登場人物(キャスト)
- イザベル(ファニータ・リンゲリン)
- ジョシュの妻。黒髪で美しい女性。愛情深くジョシュとの間に1人娘がいたが、2年前に失っており心身ともに病んでしまう。新居にて発信されている短波無線と共鳴し、地球外生命体に乗っ取られてしまう。
- ジョシュ(クリストバル・タピア・モント)
- イザベルの夫。短波無線の研究者で愛情深く、忍耐強い。娘を失った痛みに耐えつつも、イザベルを支え続ける。
- トーマス(カイル・デイビス)
- ジョシュの共同研究者で親友。研究のために親友夫婦を利用し、謎を解明しようとするも地球外生命体に乗っ取られたイザベルに妻ともども殺されてしまう。
映画『ショートウェーブ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ショートウェーブ』のあらすじ【起】
短波無線電波の研究者であるジョシュと大恋愛の末、結ばれたイザベル。夫婦の間には1人娘も産まれ、愛に溢れた穏やかな日々を送っていた。
ある日の夕方、イザベルは娘を連れ本屋で行われている絵本の読み聞かせへ向かった。しかし、彼女がトイレへ入っている隙に娘が忽然と姿を消してしまう。
2年後、夫婦は愛娘を失った痛みを抱えつつも、心機一転するべく人里離れた森の中の一軒家へ引っ越す。研究施設も兼ねた家には最新の防衛システムも備えており、イザベルの療養にも最適と思われた。この家を紹介してくれたのは、ジョシュの共同研究者であり親友でもあるトーマスである。引っ越しにはトーマス夫妻も訪れ、手伝ってくれるのだった。
娘を失って以来、病んでしまったイザベルを親身になって支えるジョシュ。互いへの愛は変わらないが、娘の喪失は2人の間に深い溝となって横たわっているのだった。
一夜明け、ジョシュが町へ出かけると言うので、気分転換も兼ねて自分も行こうとしたイザベル。しかし、玄関から数歩出た先で突然、意識を失い倒れてしまう。
意識の戻った彼女は心配する夫を労り、留守番をすることにした。
少し休んだ後、夫が帰るまでに家の掃除をして、マイペースに行動するイザベル。そんな彼女をじっと観察する何者かがいることも知らず、服薬した後にふと床下の扉に目を向ける。イザベルは扉を開けて床下へと潜り込んだ。しかし、誰もいないはずなのに扉が閉まり、床下へと閉じ込められてしまう。帰宅したジョシュによって助けられたため、大事には至らずに済んだが、このせいで夫婦は喧嘩してしまうのだった。
映画『ショートウェーブ』のあらすじ【承】
数時間後、互いに謝罪したものの関係は更に悪化。必死に妻を支えるジョシュだったが、彼が苦しんでいないはずもなく。時には激情を抑えきれなくなる時もあるのである。ジョシュはひとしきり地下で激情をやり過ごし、涙を流した。
その後、夫は短波無線信号の研究へと没頭し、妻は外出もせずに淡々と日々を過ごす。
そんなある日、ジョシュから地下の研究施設へ呼ばれたイザベル。そこにはトーマスもおり、
歓喜に沸いていた。なんと2人は宇宙から発信されている短波信号を解明したと言う。発信場所はいて座の球状星団M55からのもので、1977年に受信した信号と同じものらしい。当時は場所の特定までできなかったが、彼らは9年もの歳月をかけとうとう場所の特定をしたのだった。
これを祝い自宅にてパーティを開催。だが、ジョシュには気がかりが1つだけあった。宇宙からの信号に隠れ、もう1つの信号を発見していたためだ。彼は密かに上司へとその事実を明かす。信号はジョシュが住まう家でもある研究施設から発信されていたのだ。
その話を耳にしたイザベルは、おもむろに地下研究施設へ向かい受信機のスイッチを押す。そして、自室のベッドへ。そこで彼女は行方不明の娘と再会するビジョンを見る。
会話を済ませた上司がトイレへ向かったところへ、イザベルが姿を現し彼を刺傷。場内は一気に騒然とした。だが、意識が戻ったイザベルは事の次第を何も覚えていなかった。
幸い、被害者である上司は助かったらしいが、病気の悪化を懸念したジョシュは、イザベルの病院受診を強く希望するのだった。
映画『ショートウェーブ』のあらすじ【転】
翌朝からイザベルは幻覚とも言えるビジョンに囚われる。過去か未来か。ビジョンは取り留めもなく、主に自分の記憶と由来したものが多い。ジョシュに声をかけられ、ビジョンから覚醒したイザベルは自分が見たものを必死に訴え、病院へ行くことを拒否。恐らくきっかけは無線信号である。
ジョシュを説得したイザベルは、地下研究施設にて再び無線信号を聞くことにした。
そこで、彼女は夫と初めて出会った時のビジョンを見る。それはとても幸せな記憶だったが、
突如黒い手が彼女を捕まえ覚醒するのだった。
このことにより、ジョシュは彼女の言動を信じることにし、トーマスに相談。信号の送り主はどうやらイザベルと共鳴しているようだった。
イザベルは娘が消えた瞬間の記憶を見られるかもしれないと思い、もう1度無線信号を聞くことにする。このことが最悪の状況を招くことになるとも知らずに。
信号を聞くと、そこは湖の中。岸に上がり気付くと広大に広がる大豆畑にいる。そして、自らの顔を切り裂く姿、傷だらけのジョシュが自分を責めるビジョン。
イザベルはヘッドホンを外して愕然とした。
トーマスとジョシュはイザベルに何が起きているのか、突き止めようと相談している。だが、彼女は何かが自分を支配し始めていることに気付いていた。
深夜、何者かの気配に目覚めたイザベルは、受信機から例の信号が流れているのを発見し、再びビジョンを見せられる。
彼女は真っ白な空間におり、黒い人影に囲まれ何らかの力によって身体の自由を奪われた挙句、股から赤子を取り上げられた。
妻の姿がベッドにないことに気付いたジョシュは、彼女がベランダで出血しながら立ち尽くしている姿を見る。イザベルは恐怖に震えながら、テーブルの下に避難。そして、夫に逃げろと言う。奴らが来ないように防衛システムをロックしたが、時すでに遅く。ジョシュは奴らに操られ、包丁で自らの腕を切り裂いてしまった。
その間、イザベルも身動きできないよう操られ、ただ夫が自傷する姿を泣きながら見ていたのである。
奴らの拘束が解かれた後、夫は出血多量で息を引き取った。防衛システムのパスワードを知らなかったイザベルは、気が動転してしまい何もできずに泣き続ける。
映画『ショートウェーブ』の結末・ラスト(ネタバレ)
翌朝、バスルームで目覚めたイザベル。昨夜の現場へ足を踏み入れるも、ジョシュの遺体が忽然と姿を消している。あるのは血痕だけ。
防衛システムは相変わらずロックされており、外には出られない。彼女はシステムのリセットを思い出し、リセット後に外へ出た。しかし、玄関から数歩出たところで、ショック状態となり吐血。まるで外へ出さないように画策されているようだった。
その夜、トーマスの妻がジョシュ夫妻の家を訪問し、異変に気付く。彼女は中へ入り血塗れのイザベルを発見する。
深夜、妻が戻らないので親友夫妻の家へやって来たトーマス。家へ入りイザベルと対面。彼女は血塗れで異様な様相を呈しており、何かに操られていた。
地下施設へ向かったイザベルの後を追ったトーマスは、そこで拘束された妻を見つける。妻を人質にしたイザベルはトーマスから銃を奪い、事の仔細を聞き出した。
研究の出資者とトーマスは信号発信にて現れた地球外生命体の正体と目的を知るべく、解明できる探究心の強い研究者を探していた。その研究者としてジョシュを選び、奴らと共鳴させる人物として妻のイザベルを選んだのだ。そのために娘を誘拐し、共鳴しやすい状況を作り上げた上で施設へと引っ越しを促した。更に、共鳴したイザベルのうなじにマイクロチップを埋め込み、家から出さないようにしていたのである。
だが、画策したトーマス達でさえ、こんな結末に至るとは思いもよらなかっただろう。イザベルは奴らに再び支配され、トーマスを操って妻を殺害させる。そうして、彼に自殺を促した。加えて家族を無残にも殺した恨みから、イザベル自らも彼へ傷を負わせる。しかし、トーマスは虫の息となりながらも逃亡。1階へと逃れ、彼女の娘がまだ生きていることを明かし、命乞いする。しかし、イザベルはそれを受け入れず、トーマスはとどめを刺され息を引き取った。
狂気に陥ったイザベルだったが、脳内では幸せだった頃の記憶で一杯だ。彼女はうなじのチップを取り出し、とうとう外へ脱出したのであった。
映画『ショートウェーブ』の感想・評価・レビュー
基本的に山奥にある新居でのシーンがほとんどで、ヒロインはその家から出ることができなくなる。ヒロインが宇宙の信号と共鳴したことで悲劇が起こるのだが、そこに至るまでどうなっているか全く予想ができない。傷心のヒロインが病んでいるのか、薬のせいなのか、引き篭もっているせいなのか。ヒロインと共にこちらもまた疑念に苛まれる。そして、終盤で明かされる真実に驚かされる。ただ、もうその時点でヒロインはすでにおかしくなってしまっているので、首謀者は命を落としてしまう。ざまあみろと言うべきか、やり過ぎと言うべきかは、悩ましいところだ。構成がとても良く、ストーリーの組み方もいいので飽きさせることがない。ただ、血みどろの終わり方でも外に出られたので、ハッピーエンドなのだろうが、どうにもこうすっきりした感じはしない。(女性 40代)
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