映画『神聖なる一族24人の娘たち』の概要:自然を崇拝するパランガという田舎町で、イニシャルがOの女性たちの生活を追う物語。監督はロシア出身のアレクセイ・フェドルチェンコ。脚本を手掛けたのは作家で民俗学者のデニス・オソーキン。
映画『神聖なる一族24人の娘たち』の作品情報
上映時間:106分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ
監督:アレクセイ・フェドルチェンコ
キャスト:ユリア・アウグ、ヤーナ・エシポヴィッチ、ダリヤ・エカマソワ、オリガ・ドブリナ etc
映画『神聖なる一族24人の娘たち』の登場人物(キャスト)
- オロプチー(ユリア・アウグ)
- 樺の木の傍でオヴダという森の精霊と出会い苦悩する女性。呪いをかけられてしまい精神的にも追い込まれた結果、とある決断に至る。
- オシュヴィーカ(ヤーナ・エシポヴィッチ)
- 綺麗になりたいと願いながら、望まぬ妊娠をした少女。恨んでいる相手の男に復讐しながらも、表情は曇ったまま変わることはない。
- オシャニャク(オリガ・ドブリナ)
- オペラ歌手として活動しながら、夢を追うために町を捨て都会に出ることにした女性。恋愛に対しても自由奔放で、思ってくれる男性をぞんざいに扱ってしまう。
映画『神聖なる一族24人の娘たち』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『神聖なる一族24人の娘たち』のあらすじ【起】
静かな草原でハンカチを広げ、ロウソク・マッチ・卵・パン・お菓子と手際よく取り出し準備を始めるオシュビューカ。そして大きな樺の木の前に跪き「ホクロを消して美人になりたい」と願った。
真っ白な雪が一面に広がるその土地では、新年の祝いの真っ只中だった。そんな中、オシュビューカの叔母・オカイは祭りの人々に巻き込まれ雪まみれにされながらも、浮かれた表情で帰宅した。前日の夜はとても充実していたというのだ。嬉しそうに話すオカイ。再び祭りの人々が自宅の前庭に入り込んできた。歌い踊る祭りの人々は、散々騒ぎ立てカンパをもらいながら去っていくのであった。その傍ら、青い小屋に閉じ込められ怒り狂う男が居た。静かに過ごすオシュビューカに向かって暴言を並べるのであった。
オシュビューカは一人川のほとりに水を汲みに行くと男はついていき、後ろから抱きしめ愛を伝えた。全く気のない様子のオシュビューカはおもむろに髪飾りを外し、男を刺し殺してしまうのだった。
映画『神聖なる一族24人の娘たち』のあらすじ【承】
牛小屋ではオラズヴィとベンジャがじゃれ合っていた。隠れて遊んでいる二人はまるで恋人同士のような時間を過ごす。しかし突然、オラズヴィは一人で小屋から飛び出していってしまった。
両親と一緒に婦人科に出向いたオドチャ。医師からどこにも異常がないと言われた母親は、納得がいかないまま神頼みするしかない状態だった。実はオドチャは住民たちが一目置く樺の木の近くで恋人と身体を重ねてしまっていた。その日以降、魂が抜けたような状態になってしまったのである。
ある日オルチャという少女が姿を消した。一緒に居た少年は「風に連れ去られた」というのだが、住人たちは彼の言うことを信じようとはしない。少年は理解しがたい説明ばかりするので撃ち殺されてしまった。
オカナイ叔母さんと朝食を食べるオシャニャク。二人は久しぶりに一緒に過ごしていた。いくつになっても細く、小枝のようなオシャニャクを心配するオカナイ叔母さんは、いつも夫とやっているというおまじないを伝授した。オシャニャクの母親には内緒のおまじないである。
映画『神聖なる一族24人の娘たち』のあらすじ【転】
オロプチーは森の中に居た。樺の木の傍にいると森の精霊・オヴダが話しかけてきた。実はオロプチーの夫に恋をしているので、一度だけデートをさせて欲しいとお願いであった。しかしオロプチーはひどい言葉を並べ、一蹴した。オヴダは恐ろしい表情で、のそのそとその場を去っていくのである。その夜から、オロプチーは夫に触れられるたびに奇妙な鳴き声が出る身体になってしまった。精神的に参るオロプチーの姿を見て、夫はオヴダに会いに行った。するとすぐにオロプチーの身体は元通りになったが、夫がオヴダと身体を重ねたと想像し絶望するのだった。翌朝、オロプチーはベルトを使って自ら命を絶つのだった。
オペラ歌手のオシャリャクに恋する青年。ずっと想い続けているが、振り向いてもらえず夢のために町を出たオシャリャクを破滅させようと企んでいた。青年は墓から遺体を掘り起こし呪いをかけてオシャリャクを監視させるも計画は破綻。その間、オシャリャクは実力者の教授と関係を持ち我が道を進んでいた。
映画『神聖なる一族24人の娘たち』の結末・ラスト(ネタバレ)
男の人への興味が絶えないオシュチレーチェ。姉は友人たちと一緒にキセリパーティの準備をしていた。何とか仲間に入れてもらおうと必死なオシュチレーチェだったが、一つの失態が仇になり追い出されてしまう。腹を立てたオシュチレーチェは村中の大人に声をかけ、一大事だと気セリパーティ会場に人を集めた。各々武器を持って食堂に集う村人たち。そこでは若い娘たちが裸で舞い踊っていた。その様子に圧倒されてしまう村人たちはただ立ち尽くすことしかできなかった。
オリカは飲み歩く夫に呆れ一人歩いているときにけがをしてしまった。一度懲らしめようと、「谷の悪魔にレイプされた」と嘘をついてみると、夫は必死な形相で架空の「谷の悪魔」を捜しに出ていった。もちろん何も見つからない。結局嘘だとバレてしまったが、夫婦の愛は深まるのだった。
町では一件の葬式が行われていた。友の死を尊ぶ一人の男性と、父の死に上手に悲しむことができないオシライ。人の死を悲しむだけではなく、思い出話と一緒に浄化する風習があるこの町。老若男女の女性が共存し、自分らしく生きている。
映画『神聖なる一族24人の娘たち』の感想・評価・レビュー
移ろう四季と共にたくさんの女性が登場する今作。女同士の殺伐としたやり取りと女々しい男たちの執着が印象的であった。おまじないやお祈りといったその地域に根付いた文化も多く、決してわかりやすい物語ではない。終盤に登場する「豚の蹄ゲーム」あたりからはもうイマジネーションの世界に入り、圧倒される一方であった。独自の言語と文化を承継し続けたマリ人の説話をモチーフにした一作に入り込むためにはある程度の寛容さと知識が必要であろう。(MIHOシネマ編集部)
カラフルで可愛らしいパッケージからは想像もできないような、ちょっぴり不思議で奇妙な物語。自然豊かな土地で暮らすユニークな人たちをオムニバス形式で描いているのですが、ストーリーと映像のギャップがありすぎて『ミッドサマー』のようによからぬ事が起きるのでは無いかと、ドキドキしてしまいました。
ストーリー自体はかなり独特でファンタジーな要素もあれば、ホラー的な怖さも感じられるので一癖ある作品が好きな人は物凄く楽しめるんじゃないかなと思います。
閉鎖的な空間で感じる「性」はなんとも言えない気持ち悪さがあり、そこが癖になる作品でした。(女性 30代)
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