映画『捜査官X』の概要:1917年中国雲南省のリウ村で事件が起こった。紙職人のジンシーと強盗犯達が揉み合いになり、その強盗犯達が亡くなってしまうという事件だった。捜査官のシュウ・バイジュウはこの事件を調べ、いくつかの不思議な点を発見する。
映画『捜査官X』の作品情報
上映時間:115分
ジャンル:アクション、サスペンス
監督:ピーター・チャン
キャスト:ドニー・イェン、金城武、タン・ウェイ、ジミー・ウォング etc
映画『捜査官X』の登場人物(キャスト)
- リュウ・ジンシー / タン・ロン(ドニー・イェン)
- リウ村で暮らす、紙職人。本当は「七十二地刹」という名の暗殺集団のナンバー2であり、ボスの実子。リウ村では皆から好かれている。
- シュウ・バイジュウ(金城武)
- 捜査官。かつて同情して放免した少年に毒を盛られ、殺されかけたことがある。それをきっかけに人を信じられなくなり、法を順守するようになる。リウ村で起こった事件を担当する。人体のツボに詳しい。
- アユー(タン・ウェイ)
- リュウ・ジンシーの妻。前夫との間に息子が1人と、ジンシーとの間に息子が1人いる。前夫が突然出て行ったことがトラウマになっており、ジンシーに家族のことや生い立ちなど、詳しく追及できずにいる
映画『捜査官X』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『捜査官X』のあらすじ【起】
1917年中国雲南省のとある小さな村。リュウ・ジンシーは紙職人として働きながら、妻と2人の子供と共に穏やかな日々を送っていた。ある日、男2人の旅人が両替商に現れ、金を強奪しようとした。店主は抵抗したため、ボコボコに殴られてしまう。その場に偶然居合わせたジンシーは、1人の男にしがみつき店主を守った。もう1人の男が刀を振り回しジンシーを攻撃しようとするが、中々当たらなかった。それでも旅人達は攻撃の手を止めずにいると、1人は棚に当たって死亡した。ジンシーはもう1人の男に池の中に引き摺られて殴られるが、突然男は動くのを止め、そのまま亡くなった。
警察による司法解剖が行われた。死体の1つは手配中の盗人、イェン・ドンシェンだった。イェンの手口は残忍極まりなく、多くの凶悪事件を起こしていた。3日前警察は一度逮捕したのだが、逃げられていた。知事は自分の県で凶悪犯を始末してくれたジンシーに感謝した。だが、捜査官のシュウ・バイジュウは、凶悪犯を始末したジンシーに疑念を持った。
1917年立夏。バイジュウはリウ村を訪れ、両替商で起こった事件の調査を行った。イェンは武術に長けており、丸腰の紙職人が簡単に倒せる相手ではなかった。村人に話を聞くと、ジンシーはリウ村の生まれではないことが分かった。ゴン村で生まれ、家は屠畜人の仕事をしていた。
バイジュウがイェンの遺体を調べ直すと、目が充血していた。それは、脳が衝撃を受けた証拠だった。こめかみの下には迷走神経があり、心臓の働きを司るツボがあった。衝撃を受ければ心臓は停止するのだが、素手で迷走神経を断ち切るのは普通の人間では無理だった。バイジュウの脳裏には3人の逃亡犯が浮かんだ。優秀な武官だったが残虐な性格により罷免されたファン・リーショウ、強盗を働いたら証人を残さない非道な男ジャオ・イーグアン、刀の達人で凶暴な男ブー・ユエン。
映画『捜査官X』のあらすじ【承】
バイジュウはかつて犯人に同情し、悲惨な目に遭ったことがあった。養父母の金を盗んだ少年を捕まえ放免にしたのだが、その少年は食事に毒を盛ったのだ。養父母は死に、バイジュウの体には毒が残った。それから、バイジュウは人を信じられなくなり、法と物を重視するようになった。
バイジュウはジンシーの妻のアユーに話を聞きに行った。だが、アユーはジンシーの生い立ちについて、あまり知らないようだった。前夫はアユーと子供を残し、突然家を出て行っていた。アユーはその時のことがトラウマになり、ジンシーに深く追求できずにいるのだ。
小暑、バイジュウは初めてジンシーを尋問した。バイジュウはジンシーの話と両替商に残されていた足跡を見て、ジンシーが相手の力を借りて逆に相手の動きを操っていたことに気づく。さらに話を聞き、ジンシーが武術を使って相手と戦ったことが予想できた。イェンの相棒の男も、ジンシーに雲門穴というツボを押され殺されたのだ。
バイジュウはジンシーの後を執拗につけ回すが、何も手がかりが得られずにいた。バイジュウは自分の故郷の話をしながらジンシーに質問するが、ジンシーは言葉少なで何も話そうとはしなかった。唯一、愛馬を父に殺され、知らぬ間に食べさせられたことを話した。父はジンシーの恐怖心を失くそうとしたのだ。バイジュウはそれ以上何も聞けなくなる。
映画『捜査官X』のあらすじ【転】
ジンシーはバイジュウの執念さに負け、かつて殺人を犯して10年刑に服していたことを打ち明けた。他の屠畜人が父から金を借りていたのだが返せなくなってしまい、父はその屠畜人の始末をジンシーに言いつけたのだ。バイジュウが人を殺して10年で済むはずがないと驚くと、大赦があったことを教えられる。それから、ジンシーは過去を変えるため、故郷を離れたのだ。
バイジュウはジンシーの話を信じ切れず、武術の達人かどうか試すために背後から鎌を振り下ろした。ジンシーは避けなかったため、肩に鎌が刺さってしまう。バイジュウは驚き、戸惑った。村人達は心優しいジンシーを傷つけたバイジュウが許せず、非難した。
バイジュウは密偵から話を聞き、ジンシーが生まれたゴン村という場所がなかったことを知る。しかし、屠畜人一家が殺された事件は、10年前に起こっていた。その一家は殺された後、肉まんの具にされ、村人達に振る舞われていた。殺したのは「七十二地刹」と呼ばれる、西夏族の暗殺組織だった。その事件以降、組織のナンバー2が行方不明になっていた。それは、ジンシーがリウ村に来た時期と重なった。ナンバー2の名はタン・ロンだった。
バイジュウは逮捕状を取りに戻るが、タン・ロンが手配犯ではなかったこともあり、上司から20両払わないと出せないと拒まれる。年俸が4両のバイジュウにとって、簡単に払える金額ではなかった。バイジュウは仕方なく前妻に頭を下げ、借りに行った。前妻は父を逮捕したバイジュウを許せずにいた。バイジュウの義父は偽薬を販売したのだが、それは何の害のないものだった。だが、バイジュウは法を犯した義父を許さず、逮捕したのだ。義父はそれを苦に自殺していた。
バイジュウは後味の悪い思いをしながら前妻から金を借り、逮捕状を手に入れた。一方、バイジュウの上司は「七十二地刹」にタン・ロンの在処を密告していた。そこで、バイジュウの上司は衝撃の事実を聞かされる。なんと、タン・ロンは「七十二地刹」教主の実子だった。そのため、タン・ロンを殺せと暗に命じてしまったバイジュウの上司は、「七十二地刹」に殺されてしまう。「七十二地刹」はタン・ロンを連れ戻すために動き出した。
映画『捜査官X』の結末・ラスト(ネタバレ)
「七十二地刹」がリウ村に現れ、町に火を放った。ジンシーの前にも養母が立ちはだかり、ジンシーを連れ戻そうとした。だが、ジンシーは義母から殴られても反撃せず、自分は「リュウ・ジンシー」だと譲らなかった。しかし、村人達が襲われているのを見て、戦うことを決意する。ジンシーが戦っている姿を、アスーは悲しげな表情で見ていた。ジンシーはアスーに何も言うことはできなかった。
ジンシーと義母は場所を変え、激しい死闘を繰り広げた。しかし、義母は暴れる牛に押し出され、小屋の外に落ちそうになる。ジンシーは咄嗟に腕を掴むが、義母はそのまま激しく流れる川に落ちていった。義母は落ちる間際、「タン・ロン」と戦えたことを喜び、笑顔を見せた。その後、ジンシーは家に戻り、アスーに別れを告げた。
リウ村に戻って来たバイジュウは、村の惨劇を見て驚きを隠せなかった。一緒に来た警官は「七十二地刹」の報復を恐れて、タン・ロンを逮捕するのを嫌がり村を離れた。アスーを含むリウ村の人々は、砦に避難した。バイジュウはジンシーと村に残り、今後のことについて話した。バイジュウはツボを使ってジンシーを仮死状態にし、警察と「七十二地刹」の目を欺いて逃げようとした。
警察のことは無事に欺けたため、荷台に乗せてジンシーを運ぶことにした。「七十二地刹」の目も欺けたが、ジンシーの遺体の前で祈り始めてしまう。15分以上仮死状態を維持すれば、ジンシーは本当に死を迎えてしまう。バイジュウは仕方なくジンシーの仮死状態を解いた。目覚めたジンシーは「七十二地刹」のメンバーに囲まれていることに気づき、自らの左腕を切り落とすと絶縁を申し出た。申し出を受けたのは、ジンシーの兄だった。兄は弟が生家を捨てたことを悲しみながらも、仲間を連れて去って行った。
ジンシーが家に帰ると、アスーや子供達と共に教主が待ち構えていた。教主はジンシーの切り落とされた腕を見て、激しい怒りを見せた。そして、昔を懐かしみ、ジンシーが幼い頃に自分を慕ってくれていた頃の話をした。ジンシーはそれを涙ながらに聞いていたが、絶縁する思いは変わらなかった。すると、教主はジンシーの実子に手を出そうとした。ジンシーは我が子を助け、教主に切りかかった。
バイジュウは密かに家の下に侵入し、教主の足のツボを押して攻撃するが、反撃され投げ飛ばされてしまう。ジンシーは教主と戦い激しい死闘を繰り広げるが、外に投げ飛ばされ殺されそうになる。バイジュウは立ち上がると、必死に教主にしがみつき首に針を刺した。すると、教主の首に雷が落ち、絶命した。教主の足には、バイジュウが刺した針が残っていた。
1917年霜降、捜査は終了した。ジンシーはアスーや我が子と共に暮らしていた。
映画『捜査官X』の感想・評価・レビュー
前半ミステリー部分の鋭くしつこい捜査官の金城武の推理がとても面白い。
予備知識無く観はじめたので、主役は変人っぷりが光る金城武の推理物かと思っていたが、だんだんとドニー・イェンのするどい眼光が気になり始めた。
ドニー・イェンの少し気の抜けたお人好しという化けの皮が剥がれてからの後半は、彼の最強のカンフーアクションにただただ惹き込まれていった。
撮影している風景も良くて見応えある作品。(女性 40代)
ドニー・イェンと金城武。2人の好きな俳優が出ているとあれば見ない訳にはいきません。ドニー・イェンと言うとアクションに定評があるため、今作でもバリバリのアクションシーンを楽しみにしていたのですが、それ以上に金城武の推理や少し変わったキャラクターが面白くてハマってしまいました。
ストーリー的には若干重めな内容ではありますが、前半と後半で雰囲気が異なるので飽きずに見られると思います。特に、ドニー・イェンや金城武のファンは間違いなく楽しめる作品でしょう。(女性 30代)
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